神守幹次郎殿は理不尽な夫から私汀女を救い出し3年の逃亡の果てに江戸に流れ着きました。
そして吉原の女たちを守る事になったのです
女は切手だよ!女は切手だよ!お師さん。
旦那様が薄墨太夫の危ないところをお救いになったそうですね。
誰に聞いたのですか?吉原中で専らの噂ですよ。
あ〜あ私も神守様に助けて頂きたい!
(遊女たち)私も〜!神守様は私が危ない目に遭ってもお救いになって下さるでしょうか。
もちろんです。
あ〜よかった!それが務めですから誰であっても助けてくれる事でしょう。
それよりお師さん。
お客様に出す文これならきっと来て下さるっていう文句何か考えて下さいな。
私もお願いします!
(遊女たち)私も私も!お客様がきっと来て下さる文句…。
さて…。
神守様のお心をとりこになすったお師さんですからさぞかし艶っぽい文句を考えて下さいますでしょう。
(遊女たち)うわ〜!お願いします!「一日千秋の思いでお待ち申し上げ候…」。
吉原中で幹殿が薄墨太夫を助けた事が評判になっているそうですよ。
評判?私は私の仕事をしただけです。
私もそのように言いました。
あっおなかがすいたでしょう?すぐに支度を。
あらそれは?薄墨太夫から先日のお礼にと会所に届けられていました。
いつですか?昨日です。
すみません。
言うのを忘れてました。
もうそんなに食べたのですか。
はい。
食べますか?要りません。
すぐ夕餉なのに。
あ!私が作る食事より花魁から頂いた饅頭の方がいいのですね?そんな事ありません。
支度が少し遅くなったからといって薄墨太夫から頂いた饅頭をそんな当てつけのように食べなくてもよいではありませんか。
当てつけ?ただ腹が減ったから食べていただけです。
ではおなかいっぱいでしょうね。
夕餉は後にします。
おはようございます。
あっご苦労さまでございます。
ちょっと出てまいりますので。
お気を付けて。
頭取お一人で大丈夫ですか?あっしがお供しましょう。
仕事じゃねえんだよ。
ちょっと出かけるだけじゃねえの。
いちいちついてくんじゃねえ!やってくれ。
(駕籠かき)へい。
お父っつぁん!お父っつぁん忘れ物!しょうがないわねえもう…。
女ん所へでも行ったのかね。
羨ましいねえ。
(駕籠かき)エッホエッホエッホエッホ…。
エッホエッホエッホエッホ…。
ああ!・どうしたい?どちら様でしょうな。
吉原会所七代目四郎兵衛と知っての事ですかな。
やれ!ほほう。
どうやら間違いじゃなかったようですな。
追え!何やつ!?神守様…。
おけがは?大丈夫です。
お下がり下さい。
誰に頼まれた?やれ!うわ〜!引け!これをお届けに。
ああこれはどうもありがとうございます。
どうやらただの物取りではないようですな。
おい!どうした?と…頭取が襲われたって聞いて…!そうなんだ…。
お父っつぁん!お父…お父っつぁん!ギャーギャー騒ぐなよ。
かすり傷だ。
(清次)あっ生きてる!誰が死ぬんだい!よかった…。
バカ!あんたがお父っつぁんが死んだみたいな事言うからさあ!もうバカ!バカ!まあまあまあまあ…。
とにかくご無事でよかった。
みんな心配かけてすまない。
(男衆たち)いやいやいやとんでもねえです。
襲ったのは何者でしょう?中に相当な使い手がいたようだが…。
(長吉)会所に恨みを持つ者や吉原にうなってる金を狙う者は大勢いるんだ。
いや腕の立つ浪人を何人も使ってるところを見るとかなりの金持ちだろう。
それじゃあまた襲われるおそれが…。
某が頭取のそばについているようにします。
お手数をかけます。
(男衆たち)お願い致します!バカ野郎!誰が会所の頭取を襲えなどと言った!?だってよあの野郎をやるのが一番手っとり早いと思ったんだよ。
このバカ野郎が!出来の悪い息子を持つと苦労するわ!わしが手間ひまかけて会所を乗っ取ろうとしておるのをお前はそれをぶち壊しにしたんだぞ!お父っつぁんのやる事はどうもまどろっこしいんだよな。
生意気を言うな!それに会所を甘く見るな。
何でも腕の立つ用心棒がいるってえじゃねえか。
ああ。
あ…。
ん?じゃその浪人をやっちまえばいいんじゃねえか?ああもういい!余計な事はするな!行くぞ。
一緒に来い。
ほら。
どこへ?ソワソワするな。
でもよ…。
襲ったその日のうちに会いに来るとは思うまい。
あっこれは香取屋さん。
わざわざのお越しありがとうございます。
四郎兵衛さんもお元気そうで。
ああおかげさまで。
ご本業の方はいかがでございますかな?それが穀物問屋もまあいろいろとございまして…。
あっさて本日伺いましたのは以前からお頼み申しております件で…。
私も吉原の商売仲間に入れて頂きとうございます。
妓楼の株が売りに出ましたらすぐにお知らせ致します。
それがまあ売りに出るのは小見世ばかり。
それではいつまでたっても大きな商いができません。
私は三浦屋さんのような大きな店が…。
それは無理でございますよ。
あのような大籬はめったに売りに出るもんではございませんでなあ。
う〜ん。
まああの…金なら都合をつけますが。
金のあるなしではございません。
それが…いやなかなかあの…諦めきれませんでね。
お手柔らかに。
おやこのお手はどうなさいました?あっいやこれは花魁にかまれましてなあ。
お〜!ホホホホッ四郎兵衛さん隅に置けませんな。
えっいやいや何をおっしゃいます。
いやまあさぞ痛うございましたでしょ。
あっちょいとはばかりを。
このような立派な息子さんもおありになる。
香取屋さんはもう安泰でございましょうな。
それが何の頼りになりませんでねえもう…。
そんな事はございませんよ。
お恥ずかしい限りでございますよ。
キツネとタヌキだな。
幹殿。
お務めですか?はい。
ご苦労さまです。
ああ昨日の事ですが…。
今夜は…ちゃんとおなかをすかせて待っていて下さい。
はい。
何か御用でしょうか?用があるから来たんだよ。
おい!
(2人)お帰りなさい。
ただいま戻りました。
あね様!ご新造さんがいらっしゃらないんですか?先に帰っているはずなんですが…。
どうなさったんでしょう。
いや…。
黙って家を空けるようなお方ではないでしょう?はあ。
それが…。
何か心当たりでも?実は昨日少しいさかいを。
いやいさかいと申しますか向こうが勝手に腹を立てたんです。
またどうして?実は某は薄墨太夫から頂いた饅頭を食べただけなんですが…。
ほう。
ヤキモチですかな。
あっ辺りを少し捜してきます。
お芳お前も行っておあげなさい。
はい。
夫婦げんかは犬も食わぬで済めばよいのだが…。
神守様!すまぬ。
親方なんか怖くねえぞ!どんとこい!
(ざわめき)食うか?勝手にしろ。
亭主が助けに来ると思うな。
ここが分かる訳ないからな。
神守の女房をさらった!?ああ。
このバカ!わしがあれほど…。
お父っつぁんは俺の事出来の悪い息子だと思ってるようだがそうじゃねえとこ見せてやるぜ。
お父っつぁんのやり方は手ぬるい。
俺は俺のやり方でやらせてもらうぜ。
お…おい!どうする気だ!?あ〜。
神守をおびき出して始末する。
あっ待て!乗りかかった船だ。
こうなったらやるしかない。
汀女様まだお戻りになりませんか?はい。
心配な事だのう。
恐れ入ります。
裏同心などと言われていい気になって派手に動き回るからだ。
雉も鳴かずば撃たれまい。
俺らが何度助けてやったと思ってんだよ。
神守様…。
これは昨日の一件と関わりがあるかもしれませんな。
昨日の一件…。
それともあんた国からかみさんをさらってきたんだろう。
元の亭主がまだ妻敵討ちをたくらんでるんじゃねえのか?藤村壮五郎ならあね様をさらったりはしないはずだが…。
いやあんたをおびき出すためかもしれねえぞ。
(清次)お父っつぁん!おう。
お父っつぁんこの切手が下谷に行く道に落ちていたそうです!この赤いひもはあね様のものに違いありません!よし。
草の根を分けても捜し出すんだ!
(男衆たち)へい!「女房は預りおり候。
山川観音に一人で来られたし」。
出てこい!おるのだろう。
おっ一人で来たようだな。
お前は…。
キツネとタヌキだな。
誰に頼まれた?引け!ほらよ。
お前の女房のもんだろう。
何が望みだ?ん?女房を帰してほしけりゃあ四郎兵衛を殺せ。
何?フフフフフッ。
まあ雇い主殺せって言われても無理な話か。
じゃこうしよう。
四郎兵衛は俺たちがやる。
お前は手出しせずにただ見てればいい。
な〜に思わず不覚をとったとか言やあ誰も怪しみゃあしねえよ。
四郎兵衛が死んでも吉原は続くんだ。
吉原を差配する者が入れ代わるだけだ。
できねえと言やあ女房の命はねえ。
お?ハハハハハッ。
あっそれからこの事は誰にもしゃべるんじゃねえぞ。
もし人に話しゃ女房の命はねえ。
(階段を上る足音)三ノ輪まで参ります。
お供をお願いできますか。
はい。
(男衆たち)行ってらっしゃい。
(公太)四郎兵衛は俺たちがやる。
お前は手出しせずにただ見てればいい。
できねえと言やあ女房の命はねえ。
どうしました?いえ。
この先にちょいと寄りたい所があるんですがよろしいですか?はい。
では。
玉藻のやつがね酒は体に障るからほどほどにしろってもううるさく言いましてな。
さようですか。
この間一人で出かけましたのは実は…薄墨太夫にかんざしを贈ろうと思ってそれを求めに参ったんでございますよ。
薄墨太夫に…。
はい。
毎年9月9日重陽の節句にそのかんざしを贈るのが私の楽しみでございましてな。
そうですか。
いえいえ。
別に…下心がある訳じゃございませんで。
あっお一つ。
ああいや…某は不調法で。
おっ汀女様に叱られますか?いえもとはそれなりに…。
ところが国を出て3年は酒を飲む余裕などなく…吉原に落ち着いた時にはすっかり体が酒を受け付けないようになっておりました。
随分ご苦労なさいましたな。
実は今度の一件私を襲ったのは…香取屋です。
私も吉原の商売仲間に入れて頂きとうございます。
ご存じでしたか。
香取屋はかねてから妓楼を手に入れたいと世話しろ世話しろともう私にうるさく迫ってまいりました。
吉原に落ちる日銭に目をつけたんでございましょうな。
まああんなたちの悪い男を吉原に入れる気は私には全くございませんでな。
何が望みでしょうな。
何か言ってまいったでしょう?四郎兵衛様を襲うのを黙って見ていろ。
さもなければあね様の命はないと。
汚えマネをしやがる…。
会所の皆に迷惑はかけられません。
某は一人で…。
いや。
香取屋に行きます!いやいや今乗り込んでいかれても汀女様はそこにはおられませんよ。
しかし…。
ここはひとつ会所にお任せ頂けませんか?必ず汀女様を見つけてさしあげますんで。
かたじけない。
何をおっしゃいます。
あなた方は我々にとっても大切なお方でございます。
骨を折るのは当たり前じゃございませんか。
すまねえ!気ぃ付けえ!これは…あね様の字だ。
何だ?この「一日千秋の思いでお待ち申し上げ候」ってのは。
遊女が客に出す文を考えていると言っていた。
居場所を知らせようとしたんだな。
「お待ち申し上げ候」か…。
まるで助けが来るのを待ってるみてえだな。
(仙右衛門)どこで見つけた?千住の裏通りです。
その辺りに香取屋の息のかかったうちがあるはずだ。
それを探してきな。
へい。
おい!
(男衆たち)へい!「一日千秋の思いでお待ち申し上げ候」。
(清次)あれです。
香取屋が妾を囲ってましたが今は空き家になってます。
あの男…頭取を襲った者の中にいた。
どうやら間違いねえな。
待て!まだあね様がどうなっているか分からない。
くそ…。
確かに中の様子が分からねえのに踏み込むのは得策とは言えませんや。
オトリを使いましょう。
オトリ?誰をオトリにするんです?私です。
(一同)え!?私がオトリになる。
頭取をオトリにするなんてのは…。
向こうの狙いはこの四郎兵衛だ。
私が襲われている隙に汀女様をお助けしろ。
いやしかしそれでは頭取が…。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」でございますよ。
安心しな。
俺たちが頭取を守る。
おいみんな支度するんだ。
(男衆たち)へい!四郎兵衛様。
はい。
やはり危険です。
向こうは腕の立つ者ばかり。
会所の男衆たちではとても…。
某たち夫婦は会所の雇われ人。
なのに身をていしてまで…。
なぜでございましょうな…。
女房が死んでからもう10年になります。
あなた方お二人を見ているとなぜかしきりと女房の事が思い出されましてな。
これ女房の形見にございますよ。
あなた方も遠い所からこの吉原に逃げてこられた。
そこでささやかな幸せを見つけられました。
私にとってはそのお二人の幸せが大切なものなのでございます。
お父っつぁん。
おう。
どうかしたの?ん?いや何でもねえよ。
あっちょいと出かけっからあの…夏半纏会所の持ってきてくれ。
あいよ。
娘にはないしょに。
いらぬ心配を致します。
はい…。
出かけるぜ。
一緒に参りやす。
一人でいいんだ。
おい。
(仲間たち)へい。
四郎兵衛が一人で出かけたぞ。
行くぞ!
(仲間たち)へい!しめた。
引っ掛かった!お前は頃合いを見て入ってこい。
はい。
貴様!女を殺せ!うわ〜!幹殿!あね様!あっ後ろ!もしやと思って戻ってみたら…。
謀ったな。
許さん。
お待たせ致しました。
ええ少し。
けがは!?大丈夫です。
行かねばなりません。
四郎兵衛殿があね様のオトリになってくれているのです。
え!?
(階段を上る足音)あね様を頼む。
分かりました。
ご無事で!おいでなすったな。
私が会所の四郎兵衛だ。
ただじゃ死なねえから覚悟しやがれ。
(仙右衛門)どけどけ〜!頭取を守れ!
(男衆たち)おう!くそ罠だ!構うものか!神守は女房の方に引っ掛かってるはずだ!やれ!
(仙右衛門)龕灯!
(男衆たち)おう!おわっ!どりゃ〜!やれ!待て〜!
(男衆たち)神守様!くそ〜!某が相手だ。
でや〜!汀女様は?無事です。
やった〜!よし!どりゃ〜!出てきたらいかがですかな。
行くぞ。
くそ!くそ〜!女子を人質にするとは卑怯千万!はい。
あとはお役人に任せましょう。
文使い大黒屋よろしゅう〜!そこへ神守様が飛び込んでいってお師さんが間一髪のところを救ったそうなんですよ。
そうでしたか。
頭取を助けようとした男衆さんたちも勇敢な事ですね。
何でもその先頭に立ったのが仙右衛門とか。
さようですか。
顔は怖いんですけどいざって時に頼りになる人なんですよね。
仙右衛門様もご無事で何よりでしたね。
ええ本当に。
玉藻様。
はい?もしや仙右衛門様の事…。
アハッアハハッ何をおっしゃいますやら。
そんな訳ある訳ないじゃないですか。
ごちそうさまでした。
失礼致します。
何やらあのような騒ぎが起きた事がウソのようですね。
ええ。
しかし幹殿が今のお仕事をお続けになればまたこのような事が起きるかもしれません。
いえ。
このような事は二度と起こさせません。
妻として覚悟しておきます。
はあ…。
でもきっと来て下さると信じていました。
この文を見たら行かねばなりますまい。
文?「一日千秋の思いでお待ち申し上げ候」。
えっ…そんな事が書いてありましたか。
え?私はただやみくもにちぎって窓から飛ばしたのですが…。
何だそうだったのですか。
いえ。
わざとそこを選んだ事にしておきましょう。
(笑い声)柳里さん身請けされるんだって?柳里の知り合いの者だ。
あの男は!?きっと殺されます。
どうしたら柳里さんを助ける事ができるか知恵を出して下さい。
柳里はどこだ?人の幸せの邪魔をするな。
・「君のそばにいる」・「君を守って行く」・「悲しみを消してあげることは出来ないけど」・「ここからはふたり同じ道を行く」・「せめてひととき」・「風よやさしく」・「二人包んで」2014/08/21(木) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
木曜時代劇 吉原裏同心(8)「覚悟あり」[解][字]
武七(篠井英介)と息子・公太(浜田学)は吉原会所乗っ取りを計画。四郎兵衛(近藤正臣)を倒すのに幹次郎(小出恵介)が立ちはだかる。公太は汀女を誘拐、幹次郎を脅す。
詳細情報
番組内容
穀物問屋の武七(篠井英介)と息子・公太(浜田学)は、吉原会所の乗っ取りを計画していた。浪人を雇い四郎兵衛(近藤正臣)の命を狙うが、幹次郎(小出恵介)が立ちはだかる。公太は、幹次郎と汀女(貫地谷しほり)が一緒に居るのを目撃。すると汀女が一人になったのを狙い誘拐する。汀女を探す幹次郎の前に公太が現れ「女房を返して欲しけりゃ、四郎兵衛を殺せ」と脅す。一方、汀女が書いた手紙の切れ端が吉原の外で見つかる。
出演者
【出演】小出恵介,貫地谷しほり,野々すみ花,山内圭哉,京野ことみ,石井愃一,沼田爆,若葉竜也,平田薫,尾上紫,菜葉菜,近野成美,篠井英介,浜田学,定松直子,松之井綾,児玉陽子,富田エル,大賀太郎ほか
原作・脚本
【原作】佐伯泰英,【脚本】尾崎将也
音楽
【主題歌】小田和正,【音楽】林ゆうき
ジャンル :
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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