松本清張SP 顔 2014.08.19

た、自宅内に死体があることなんて気づきませんでした」と容疑を否認しています。
(男性)お前にあるのは闇だ。
どこまでも広がる深い闇。
その暗闇からはい出ることはできない。
それがお前の定めというものさ。

(手をたたく音)・
(スタッフ)はい。
そこまで。
10分休憩。
(スタッフ)はい。
10分休憩。
(涼子)ありがたいお話なんですけど私映画は…。
(矢澤)石井監督のご指名でも?えっ?石井監督の?監督が『美しき背徳』の公演を見てくれてね。
まあこんなチャンスはめったにないもんだからさ。
君に確認する前に受けてしまったわけだが。
これ。
数カットの端役なんだが主演の五十嵐晶子とも絡みのある重要な役どころだよ。
五十嵐晶子さん?うん。
ああ。
上京して9年
初めて見るまばゆい光

(女性たち)晶子ちゃん!キャー!晶子ちゃん。
サインして。
晶子ちゃん。
晶子ちゃん!
憧れだった大女優との共演に私は興奮していた
けれど同時によからぬ黒い雲が広がってくるような落ち着かなさを感じてしまう
(スタッフ)五十嵐晶子さん入られます。
(一同)おはようございます。
おはようございます。
伸子役の小暮涼子と申します。
よろしくお願いします。
(晶子)映画初めてなんですって?はい。
五十嵐さんと共演できるなんて光栄です。
(晶子)舞台と違って戸惑うだろうけど頑張ってちょうだい。
はい。
「本当に見送らないの?」「あの人は必ず帰ってくるから」「姉さん」
出演場面の中で顔が大きく映るのは一瞬だけ
映画は全国封切りとなってひとつき近くになる
きっとあの女は見ていないのだろう
こんばんは。
いや。
見ていたとしてもたった一瞬では私に気付くはずもない

(女性)あのう。
『春雪』に出てましたよね?はい。
(女性)やっぱり!本物だわ。
(女性)すごい!
(女性)あのう。
よかったらサインお願いします。
はい。
(女性)ありがとうございます。
(女性)ありがとうございます。
(矢澤)「主演の五十嵐晶子もさることながら新人の小暮涼子が印象的」「哀愁漂う儚げな風貌に味がある」いいこと書くよな。
実はね石井監督が次回作も君を使いたいと打診してきたんだよ。
本当ですか?しかも新堂哲彦の相手役だよ。
新堂さんの?そう。
これまだ準備稿なんだがね。
余命わずかな婚約者を献身的に支えぬく男が新堂君演じる主人公で君はその婚約者。
つまりヒロインだよ!ヒロイン。
そう。
(矢澤)いやぁ。
ハハハ。
風呂敷一つでうちに飛び込んできたときにはあか抜けない田舎娘だったけど。
君根性だけはあったからな。
白楊座に入れていただいて感謝してます。
(矢澤)次の作品が成功すれば君は人気女優の仲間入りだ。
想像してごらん。
全国津々浦々誰もが君の顔を知ることになる。
フゥ。
でも私映画向きじゃないと思うんです。
舞台の方が楽しいですし。
(矢澤)大丈夫だよ。
君の演技力なら問題ないさ。
いや。
違うのだ
私の不安はもっと別の…
もっと破滅的な深い闇なのだ

(男性)ああっ。
すみません。
(真奈美)ハーイ。
ジェントルマン。
遊んでいかんね。
安うしちょるけ。
(英語の会話)
(真奈美)チッ。
カッコつけちからに。
(女性)あー!
(女性たち)いらっしゃい。
(英語の会話)プリーズ。
お酒どうぞ。
ソーリー。
(兵士)カモン。
やめてください。
(割れる音)すいません。
(女性)待っちゃり。
(女性)お客さん。
何しよんあんた!
(女性)いらいらしちょるわ。
(飯村)あん子は?
(女性)お客さん。
あん子はやめり。
九州人のくせして東京弁しゃべるっちゅう好かんやつやけんさ。
(女性)あんな子どうでもええやん。
それより飯村さん。
もっと飲まんね。
(女性)そうやそうや。
(飯村)ほら。
お前らも飲み飲み。
(女性たち)ええん?ええよ。
ええよ。
(女性たち)ホントに?ちょっと。
(女性)お高くとまっとんやないよ。
(女性)ええ靴やねぇ。
(女性たち)ハハハ。
(女性)これアメ公からもらったんよ。
アメリカ製。
(女性)ここで生きるしかないんやけ。
あんたも仕事し。
(女性)男なんてみんな一緒。
一遍寝たらすぐ慣れるっちゃ。
できません。
(女性)あっ?体を売るなんて私にはできません。
(女性)嫌でも笑うて何ぼ。
抱かれて何ぼやけ。
(女性)ほら。
笑っちみ。
(女性たち)ハハハ。
(女性)使えん女。
行こう行こう。
(女性)あー。
おなかすいた。
(飯村)ほら。
風邪ひくっちゃ。
(飯村)ほい。
ほれ。
すみません。
(飯村)はい。
(飯村)ああ。
奇麗な月やね。
(飯村)月と地球の距離を知っちょるか?いいえ。
(飯村)おおよそ12億7,000万尺。
地球30個分ぐらいやのう。
まあ果てしのう遠いっちゅうこっちゃ。
そやけど人が月に行く時代がきっと来るけ。
できんやったことができるようになる。
不可能が可能になる時代がやっち来る。
そう考えたら楽しかろ?
(飯村)よっしゃ。
そしたらもう戻り。
風邪ひくけ。
あのう。
ありがとうございました。
(女性)奇麗なお月さまやね。
(真奈美)月なんち見たっち腹は膨れんけ。
遠い月より目の前の金金。

(英語の会話)
(真奈美)ハロー。
(女性)ハーイ。
(兵士)ハイ。
ガールズ。
ハウズイットゴーイング?
(真奈美)オー。
グレート。
200。
(兵士)ノー。
150。
ノー。
トゥチープ。
(汽笛)待って!待って。
乗ります!待って!あっ。
(飯村)次の汽車4時間後っちゃ。
あのう。
うん?この前の話本当でしょうか?うん?不可能なことが可能になる時代ホントに来るんでしょうか?わしはそう信じちょる。
こんな時代やけんきついことばっかしやけどわしはなそう信じて生きちょるけ自分の仕事が軌道に乗ったっち思うとるんよ。
それに今日やって不可能やち思うとったことが可能になったけの。
あんたとこうして奇跡的に再会できたけ。
えかったらまた会うてくれんか?・
(男女の笑い声)不可能が可能になる時代。
そろそろ帰らなきゃ。
(飯村)仕事辞められんのか?あん店女給が体売っとるっち聞いた。
している人もいますけど私そういうことは。
やったらなしてあんな仕事しとるんか?ここから抜け出したいから。
えっ?私東京へ行きたくて。
東京?笑わないって約束してくれます?おう。
なりたいんです。
女優に。
女優か。
東京に行って女優になるのが夢っていうか。
だからあのお店でお金ためていつか上京したいんです。
なして女優に?家族をなくしてから毎日生きるので精いっぱいで今のお店に拾われました。
けどふと思ったんです。
私は何のために生きてるんだろうって。
仕事は失敗ばかりだし私は生きてる価値がないんじゃないかって。
そんなときに新人女優の新聞記事を読んだの。
五十嵐晶子って女優さん。
彼女も私と同じ年で家族をなくして貧しい暮らしをしてたって。
でも彼女の笑顔まぶしいぐらいにすてきだった。
何にも取りえのない私でも彼女みたいに笑えるかもって思ったら急に生きる希望が湧いてきて。
単純ですよね。
いんや。
ええと思う。
うん。
すっごくええ夢や。
近くまで送っちゃろう。

(真奈美)叔母ちゃん。
これ今日の分。
(和子)ああ。
いっつも悪いねぇ。
(三郎)姉ちゃんは食べんの?
(真奈美)腹減っとらんけ。
いっぱい食べり。
(和子)真奈美。
仕事辞めてもええんよ。
何言っちょるん?
(和子)ほら。
前に言うた縁談。
こまい農家やけどあんたを嫁にもらいたいっち言うてくれとるんよ。
(真一)姉ちゃん。
俺も工場で稼ぐけ。
食べる分ぐらい。
(真奈美)子供は心配せんでええ。
(真奈美)叔母ちゃんには感謝しちょる。
ここにおらしてもろうとるだけでもありがたいっちゃ。
そやけうちがしっかり弟を養わんと天国の父ちゃん母ちゃんに怒られるっちゃ。
お口に合わないかもしれませんけど。
ああ。
おいしそうやなぁ。
いただきます。
よいしょ。
うん。
うん。
今日も仕事か?いえ。
お休みなんです。
うれしいっちゃね。
ちょこっとでも長う涼子さんとおられるけ。
うん。
うまい。

(飯村)怖いんか?いいえ。
これ誰かの贈り物?母の形見です。
私のたった一つのお守り。
涼子さんは母親になるつもりはないんか?えっ?ほら。
もっとこまい夢やちあるやろ?例えば結婚しちから子供産んで季節の花庭で育てるとか。
そういうこまい幸せっちゅうんかな。
そういうのもすてきですね。
でも…。
どうしても女優になりたいんか?証明したいんです。
自分にも価値があるって。
じぇったい涼子さんは日本一の女優になるる。
うん。
それでねいつか映画館の観客席で自分が出演してる映画を見るの。
すてきでしょ?うん。
そういや石井っちゅう映画監督知っとるか?石井国光監督?おおそうや。
もちろん知ってるわ。
俺ん友達がそん監督と知り合いっちゃね。
すごいわ。
あの石井監督と?ああ。
あんたさえええんやったら監督に紹介しちゃる。
えっ。
でも…。
涼子ならきっと監督も気に入るっちゃ。
(サイレン)
(真奈美)あっ。
痛…。
あっ。
飯村の兄ちゃん?
(飯村)おっ。
真奈美か。
(真奈美)じゃあ先月こっちに?
(飯村)うん。
知り合いの事業手伝っとってね。
工場に技術者を紹介しよるんよ。
(真奈美)へえー。
すごいね。
立派んなって。
(飯村)真奈美は?今何しよるんか?
(真奈美)近くのうどん屋を手伝いよる。
(飯村)そうね。
うどん屋か。
がき大将に泣かされとった真奈美がな。
働いとるんか。
(真奈美)いっつも飯村の兄ちゃんが助けちくれた。
うちはそれがうれしかったけ兄ちゃんの後ろばっかついて歩きよったやん。
(飯村)そうやったな。
よう妹やち間違われとった。
(真奈美)兄ちゃん。
昔といっちょん変わっとらん。
(飯村)真奈美も変わっとらん。
そろそろ行かんと。
(飯村)ああ。
付き合わしち悪かったのう。
(真奈美)ううん。
楽しかったっちゃ。
それじゃあ。
(飯村)頑張りぃ。
(真奈美)うん。
(女性)遊んでいかん?ねえ。
お兄ちゃん。
遊んでいかん?ええやん。
(飯村)涼子とおると落ち着くっちゃ。
私も。
あんな。
ちょこっと言いづらいんやけど。
何?うん。
例の話残念やけど諦めた方がええ。
そう。
そうよね。
そうやないっちゃ。
監督にしゃべったら涼子に興味を持ってのう。
研修生にならんかって。
研修生?ああ。
ただ金が要るらしいんよ。
高いっちゃね。
私少しは蓄えがあるの。
上京するためにためてたから。
そやけど。
涼子には無理っちゃ。
何とかするわ。
幾らなの?1万円。
そ…そんなに?無理することないっちゃ。
また次があるけ。

(女性)もう好かん。
あん客。

(女性)そんなこと言わんで我慢しぃ。

(女性)金も払わんくせに体ばっかり触ってきよる。

(女性)いいよ。
あんた金稼げるんやから。
急に何ね?どうかしたんか?私やっぱり東京へ行きたい。
ここから出たいんです。
だから…。
こりゃ。
1万円あります。
監督に渡してください。
ホントにええんか?分かった。
それ。
(飯村)ああ。
酔っぱらいに絡まれたっちゃ。
手当てしなきゃ。
ええっちゃ。
もう時間がないけ。
飯村さん。
安心しぃ。
金はちゃんと監督に渡しちゃる。
(飯村)真奈美。
(真奈美)キャー!ああっ。
(飯村)おんどりゃ!
(真奈美)あっ。
嫌。
(飯村)どけ!
(真奈美)放しぃ。
(飯村)これがうどん屋か?育ちええ坊ちゃんには分からんやろね。
なしてこげな仕事しとるんか?ここで生きぬくためっちゃ。
(飯村)何ぼや?
(真奈美)えっ?
(飯村)あのアメ公からもろうはずやった金っちゃ。
100円。
(飯村)取っとき。
待ちぃ!やったら買いっちゃ。
うちを買い!・
(女性)もう。
フフフ。
ハハハ。

(男性)ほら。

(女性)嫌。
あっ。
もう。
ほらほら。
早く早く。
あー。
アハハ。
嫌。
ハハハ。
アハハ…。
何するん?もう。
あー。
やめて。
アハハ。

(真奈美)さっきもらったっちゃ。
(飯村)今日はもう客を取らんで帰り。

(女性)えー?殴られとったん?・
(女性)うん。
金貸しにぼこぼこ。
仕事失敗したらしいっちゃ。
(女性)見え張っとったんかね。
革のええ靴履いとってから。
(女性)あー。
飯村やろ?うちも金だましとられたんよ。
(女性たち)えっ!?
(女性)もっとええ店紹介しちゃるっちゅうて手数料2,000円を払うたらどろんちゃ。
(女性たち)あー。
あのう。
だまされたって。
(女性)あんたには関係ないっちゃ。
さっさと掃除しぃ。
なあ。
あん客とできとったん?
(女性)まあ。
そやけど他にも女がおったみたいっちゃね。
(女性)バカやねぇ。
(女性)人は見掛けによらんね。
(女性)そうやね。
(女性)うちは怪しいち思っとったっちゃ。
(女性)よう言うわ。

(飯村)涼子。
涼子。
捜したのよ。
その格好…。
実はな監督から連絡があってのう。
金がなあと3,000円要るらしいっちゃ。
その話ホントよね?何言うとるんか。
まあここじゃ何やけん。
待って。
飯村さん。
ちゃんと答えて。
ねえ?私東京に行けるのよね?ねえってば。
石井監督との話嘘じゃないでしょ?答えて。
えっ?ねえ?嫌…。
嫌!飯村さん。
何なの?つあらん女やのう。
お前が女優なんかになれるわけないっちゃ。
でも気に入ってくれたって。
フッ。
フフッ。
お金は?私が預けたお金。
女給は金があるんやねぇ。
体売ったんか?違うわ。
あれは母の形見を…。
母ちゃんの形見か。
そりゃかわいそうにのう。
お前本気で女優になれるっち思っとるんか?えっ?あっ!だって言ったじゃない。
いつか月に行ける時代が来るって。
不可能が可能になる時代が来るって飯村さん言ったじゃない!めでたいやっちゃのう。
ええか?月に行けるんは能力のある者だけぞう。
ネズミがライオンになれるんか?お前が女優になるなんちそんくらい不可能なことっちゃ。
ひどい!ひどい。
ひどい…。
おい!あっ。
あっ。
全部嘘だったの?ねえ?飯村さん。
じゃかあしいわ!うっ…。
石井監督なんちゅうやつは知らん。
ハッ。
フフッ。
ほら。
安心しぃ。
俺はお前を離さんけん。
こん田舎で一生俺んために働き。
逃がさんけんなぁ。
お前は俺の奴隷っちゃ。
ヘヘヘッ。
あっ。
あー。
やめて!あー!じゃかあしい!ヘヘッ。
嫌!やめて…。
やめて!じっとしいや!やめて。
嫌!諦めっちゃ。
嫌…。
嫌!
(浩次)姉ちゃん。
お嫁さんになるん?
(真奈美)いっぱい野菜送っちゃるけん。
(浩次)うん。
(和子)真奈美。
ささやかやけど花嫁衣装っちゃ。
(真奈美)あっ。
(真奈美)わぁ。
(真一・三郎・浩次)すごい。
うわぁ。
叔母ちゃん。
ありがとう。
(真奈美)うわぁ。
ハハハ。
わぁ。
(三郎)姉ちゃん。
奇麗やね。
(真一)何言いよんか。
姉ちゃんはいっつも奇麗や。
(真奈美)おー。
どうしよう。
ほら。
奇麗やろう?
(飯村)へえー。
宿から海が見えるんか。
ええ。
温泉も広いって聞いたわ。
(飯村)ヘヘッ。
そりゃ楽しみやね。
うれしそうね。
(飯村)やっとお前が目覚ましちくれたけのう。
俺とお前新しい人生の門出っちゃ。
そうね。
私にもちょうだい。
おう。

(真奈美)兄ちゃん?すみません。
すみません。
すみません。
あっ。
(飯村)真奈美。
(真奈美)こげなところで会うたりして。
どこ行くん?
(飯村)まあ温泉にのう。
(真奈美)へえー。
ええねぇ。
(飯村)そっちは?何しよるんか?うち?これからお嫁にいくんよ。
(飯村)嫁にいくんか?
(真奈美)うん。
島根の浜田にあるちっちゃい農家なんやけどうちをもろうてくれるち。
うどん屋は卒業っちゅうわけか。
勝手な客ばっかできつかったけ。
うち幸せになるっちゃ。
(真奈美)お世話んなっちから。
さいなら。
飯村しゃん。
(飯村)おう。
奇麗な人ね。
やいとるんか?誰なの?おんなじ町の幼なじみ。
瀬川真奈美っちゅうんよ。
ふーん。
(飯村)そうか。
涼子もやくようになったんやな。
ハハハ。

(飯村)こっちでええんか?うん。
ねえ。
うん?景色のいい場所でお弁当食べましょうよ。
塩っ辛いのう。
なあ涼子。
金どうかならんか?2,000円ぐらいでええけ。
質に出せるような物何かあるやろ?分かったわ。
助かるっちゃ。
ねえ飯村さん。
うん?やっぱり私は女優にはなれないかしら?ハァー。
かわいそうっちゃねぇ。
俺もお前も無力なネズミっちゃ。
何もできんどぶねずみ。
暗い穴ん中はいずり回って一生を終わるんよ。
お前には無理っちゃ。
(雷鳴)おい。
宿急いだ方がいい。
何しよんか?早しぃ。
私はどぶねずみなんかじゃない。
おい。
うっ!?きさん…。
どぶねずみはあんただけで十分よ。
ううっ!くっ。
あー!うわっ!うわー!うわっ。
うーっ。
うわっ!あー!あー!あー!あー!ああー!んっ!うわー!
あれから9年
八幡に戻った私は店を辞めわずかに残った金を握り締めて上京した
その後飯村の遺体は発見され殺人事件と断定されたが警察は私にたどりついていない
でも…
真奈美。
瀬川真奈美

豊田真奈美。
旧姓瀬川真奈美
九州小倉出身
豊田家に嫁いで9年目となる真奈美は32歳
夫と共に農業で生計を立てている
(真奈美)はーい。
でけたよ。
(一同)いただきます。
暮らしぶりは裕福とは言えないがつつましくも穏やかな生活を送っている様子
あの女は私の顔を覚えているだろうか?
女優としての成功を願う一方で顔が広く知られてしまう映画を避け舞台の道を選んできた
身の安全を考えれば映画のヒロインなんて断った方がいいかもしれない
でも輝かしい私の未来がすぐそこにある
「私はもう来年の桜を見ることはできません」「皆さんの記憶の中…」
やっと巡ってきた幸運を手放したくない
「せっかく石村先生といいところだったのにあなたのせいで興ざめだわ」
そう。
私にだって幸運を手にする権利があるはず
(岸本)申し訳ない。
じゃあヒロインは誰がやるんですか?
(岸本)申し訳ないんですが五十嵐晶子で。
あっ。
小暮君は別の役で見せ場つくりますから。
(矢澤)そりゃあんまりですよ。
(岸本)ああ…。
監督は小暮君がいいって言ってんですが主演の新堂哲彦がうんって言わないんですよ。
ハッ。
五十嵐晶子が相手役じゃなきゃ降りるって。
新堂さんが?
(矢澤)確かに彼は五十嵐君に夢中だからな。
(岸本)まっ。
相手にされないだけ余計にね。
(矢澤)何とかなりませんか?
(岸本)ああ…。
女性に人気の新堂君を外せないし厳しい状況です。

(足音)お疲れさまです。
これから撮影ですか?
(晶子)あっ。
主演作の方は撮り終わったのよ。
今から新堂さんの誕生日パーティー。
俳優や仕事仲間を集めてやるって連絡来なかった?あっ。
そうですよね。
忘れてました。
面倒なのよねあの人。
しつこいから。
鈍いわね。
あっ。
すみません。
(晶子)あなた本気で女優やってくつもり?はい。
やめた方がいいわよ。
えっ?この仕事はね要求どおりに涙を流してどんなに悲しくても笑うの。
自分の顔なんてあってないようなものだわ。
私平気です。
あなたには無理じゃないかしら?《お前には無理っちゃ》《お前が女優なんかになれるわけないっちゃ》《本気で女優になれるっち思っとるんか?えっ?》
(晶子)田舎に帰って結婚でもした方が幸せよ。
(矢澤)あっ。
待たせたね。
いや。
監督とも話をしたんだが難しそうだ。
矢澤さん。
新堂さんのパーティー会場ってどこでしたっけ?確か自宅だって聞いてるけど。
あれ?誘われたのかい?いえ。
晶子さんにプレゼントを届けるよう頼まれたんですけど場所を聞きそびれてしまって。
あっ。
気を付けて。

(新堂)失礼。
(新堂)俺たちそろそろさ…。
(晶子)失礼。
おめでとうございます。
新堂さん。
(新堂)君は?ヒロインになれなかった女です。
君が小暮君か。
お会いできて光栄です。
次回作の件ならあれは監督の意向だからね。
僕に恨み言言われても困るよ。
そんなやぼなことはしませんわ。

(新堂)君九州のどこなの?さっきなまりが出てたから。
夢中で気付かなかった?実は僕も九州なんよ。
博多。
気のせいですよ。
私生まれも育ちも東京だもの。
でも…。
だったらもう一度確認してみます?
(晶子)ハァー。
(岸本)なあ。
主役の新堂君は?
(晶子)さあ?つまみ食いでもしてるんじゃない?
(新堂)まったく君って女は。
負けだ。
僕の負け。
僕の相手役は君しかいないよ。
監督には僕から話しておく。
ええ。
男なんてみんな一緒
一遍寝たらすぐ慣れるっちゃ
(岸本)これが決定稿です。
どうぞ。
(矢澤)ありがとうございます。
(岸本)主演の新堂君も君がいいって推してくれてね。
(矢澤)ありがとうございます。
何だか信じられません。
(石井)君には不思議な魅力がある。
天使のように無邪気な顔で笑ったかと思えば次の瞬間悪魔のように冷徹な顔でほほ笑んだりする。
小暮涼子という女優の中に何が眠っているか興味が湧くね。
(石井)そう思わせるのも君の作戦かな?監督にはバレちゃいました?
(石井)ハハハ。
(一同)ハハハ。

(ドアの開く音)
(晶子)ヒロイン決まったそうね。
おめでとう。
ありがとうございます。
あなたを誤解してたわ。
ずいぶん大胆なことするのね。
何のことでしょう?そんな顔していられるなんて恐ろしい人。
女優で成功するって決めましたから。
お疲れさまです。
どうも。

消えることのない不安が私の心を支配する

あの女を何とかしなければ

簡単な方法がいい。
あまり手は汚したくはない
(劇団員)どうぞ。
ありがとう。
毒がいいだろう。
それも青酸カリ
飲み物に入れるだけで命を奪える
舞台は地方がいい
人目につかない場所がいいけれど観光地なら警戒されずにおびき寄せられる
あの女が興味を示す人物に成りきって呼び出す
なるべく警戒されないような人物がいいだろう
簡単だ。
いつものように別の顔を演じればいい
「突然このような手紙を差し上げて失礼します」
「私は梅谷里子と申します」
「九年前に殺害された飯村恭三の親戚のものです」

(木をぶつけ合う音)・
(真次郎)えいや。
おりゃ。
「私は名古屋の食器販売員ですが一年の大半は全国の大きな商店や食堂を回っております」
「今も出張先の京都でこの手紙を書いているしだいです」
「さて最近私は京都のある食料品店で飯村を殺害した犯人らしき女を見つけました」
「女は9年前に八幡に居住し出身は島根県です」
「あなたは山陰線の列車の中で飯村と一緒にいた犯人の女を偶然見られたそうですからぜひ私の疑っている女を見てやって頂きたいのです」
「誠に勝手なお願いで恐縮ですが十二月十八日午後二時京都の東寺でお会いできませんか?」
「日時を指定して大変申し訳ありませんが私は東北への長期出張のためその日しか空いていないのです」
「私は茶色の帽子眼鏡鼠色の上着を着て参りますのですぐにお分かり頂けると思います」
「飯村を殺害した憎き犯人を警察に突き出し無念を晴らしてやりたいのです」
「無理を承知でお願いしますので旅費として為替を同封いたします」
「私の疑っている女に間違いないとは思いますがあなたに見て頂くまでは何とも言えませんので違った場合を考え氏名は伏せておきます」
「同じ理由で警察への連絡はまだご遠慮ください」
(幸作)おい。
書留誰からだった?
(真奈美)うん弟。
書留なんち大げさやね。
(幸太郎)お父さん。
(幸作)おお。
(真次郎)お父さん。
(幸作)おい。

まず東寺であの女と会う

(真奈美)あっ。
梅谷さんやね?豊田さん?遠いところをどうも。
あの女は私の変装に気付かないだろう
早速女を見に行きましょう。
彼女は今勤め先を休んでるそうですが住所を聞いてきました。
私はそう言ってあの女を連れ出す
ここですよ。
このアパート。
2階の一番左です。
私が女を呼び出しますからあそこから顔を見てください。
もし飯村と一緒にいた女であったら警察に突き出しましょう。
はい。
私はアパートへ入る
でもどの部屋のドアもたたきはしない
そのまま出ていくのだ
あいにくです。
大家の話では具合が悪くて病院に行ったそうです。
店を休んだのもそのせいでしょう。
2時間もすれば戻るらしいです。
2時間ね。
そうだ。
比叡山には行ったことあります?
田舎で暮らすあの女は「いいえ」と答えるはずだ
いいえ。
せっかくですから少し観光しませんか?はい。
この辺りで女は尋ねるかもしれない
(真奈美)あのう。
なして梅谷さんはその女が犯人ち分かったんですか?彼女は取引先の販売員なんですが酒の席で飯村と男女関係にあったと口を滑らせたのです。
しかも飯村が殺された日現場近くの旅館に宿泊してましてね。
怪しいですね。
ええ。
おそらく彼女が犯人だと思います。
この先に黒谷青龍寺という寺があります。
そこまで行って戻りましょう。
ちょうど時間がいいと思います。
疲れたでしょう。
少し休みましょうか?そやね。
よいしょ。
どうぞ。
ああ。
ありがとう。
そして青酸カリの入った水をあの女が飲み干す

(子供たち)・「かごめかごめかごのなかのとりは」・「いついつでやる」
(幸作)警察に相談したがええ。
(真奈美)いたずらかもしれん。
(幸作)いたずらで為替を入れか?
(幸作)警察には俺から連絡しとくけ。
はい。
(田村)よいしょ。
(森坂)田村さん。
何しとるんですか?
(田村)うん?島根県警から電話があってな。
(森坂)ああ。
島根でこっちの人間が殺されたっちゅうやつですね。
(田村)森坂。
(森坂)はい。
(田村)悪いがあさって付き合うちくれんか?
(森坂)はい?・
(田村)奥さん。
(田村)ご無沙汰しております。
(田村)こりゃ奥さん。
すっごいもんですよ。
この梅谷里子はあんたが飯村の連れを汽車で目撃したことを知っちょる。
当時そげんこつは新聞には出たがあんたの名前は出しちょらん。
誰かに話したかね?
(真奈美)うちんもんは知っちょるけど他には刑事さんに話さんよう言われとりましたから。
(田村)梅谷はあんたの名前も知っちょる。
しかも旧姓やないで嫁にいった先の豊田宛てに手紙が届いちょる。
(真奈美)変やね。
(森坂)梅谷は奥さんを調べとったんでしょうね。
(田村)奥さん。
なぜやち思う?もしかして…。
(田村)梅谷里子こそ飯村と温泉に行った女。
犯人?
(田村)奥さん。
京都行って梅谷の顔見ちくれんね?
(森坂)われわれも一緒に行きますけ。
すみません。
ホント言うてもう関わりたくないっちゃね。
犯人を捕らえるチャンスなんですよ。
(真奈美)9年前も言うたとおりうちがあんな商売しよったこと夫は知らんのです。
あん事件が蒸し返されて万が一夫に知られてしまったら?今の生活を大事にしたいけ。
もう。
(田村)奥さん。
そのう。
(田村)旦那さんは知っとりますよ。
(真奈美)えっ?
(田村)9年前目撃証言しちくれた奥さんが逆に疑われたことがあったでしょうが。
実はわしらあんとき奥さんを調べとったんよ。
そいでわしんとこに旦那さんが来ち事件当日の奥さんの行動を細こう証言しちくれてね。
おかげで裏も取れたんで奥さんを容疑者からのかしたんよ。
そうやったんですか。
(田村)そんとき旦那さん言うとりました。
夜の商売のことも知っとって奥さんと結婚したっち。
妻の過去なんち気にしない。
でも妻が過去を知られとうないんなら一生知らんふりをし続ける。
そう言うとりました。
(田村)旦那さん。
犯人が捕らえられんのを心配しちょります。
目撃者の奥さんが危ない目に遭うんやないかち。
犯人捕らえて旦那さん安心させてあげんね。

(森坂)ずいぶん早く着きましたね。
(田村)せっかくやし少し歩こうかね。
(森坂)あっ。
ここで地図もらいましょ。
(田村)奥さん。
あんたこっちには?
(真奈美)いいえ。
うち京都は初めてなんです。
(森坂)ああ。
『春雪』だ。
(田村)うん?何やそりゃ?
(森坂)人気の映画ですよ。
わあー。
見たいな。
奥さん。
見ました?
(真奈美)いいえ。
うち映画なんち見たことないっちゃね。
わしらもこんな仕事やけん。
なかなか。
映画ね。
(従業員)おおきに。
ありがとうございました。
(従業員)ありがとうございます。
(従業員)お待たせしました。
こちらいもぼう御膳どす。
(森坂)もう12時ですよ。
先に腹ごしらえしませんか?
(田村)お前は緊張感のないやつやのう。
ねえ奥さん。
ハハハ。
(森坂)何にしましょう?京都ちゅうたらあれやろ。
(森坂)あれっち何ですか?
(田村)まあええから。

(戸の開く音)
(従業員)3人さん。
こちらへどうぞ。
(田村)はい。
(森坂)高いんやないですか?
(田村)高うてもええ。
二度と京都へ来んかもしれんし。
(田村)あっ。
奥さん。
こっちどうぞ。
《あの女》
(真奈美)ああー。
すいません。
(真奈美)あのう。
えかったら使うちください。
いやぁ。
こんなええお店初めてやけん。
《あの女は確かに私の顔を見た。
それなのに…》
(真奈美)実は「いもぼう」ち何か知らんのです。
いもぼうっちゅうんはタラを素干しにした棒だらとエビイモを炊き合わしたもんですわ。
(真奈美)へえー。
そやけいもぼうですか。
てっきりサツマイモのゴボウの料理かち思うとった。
(田村)いや。
実はわしもよう知らんのです。
あっ。
すいません。
いもぼう御膳を3人前で。
(従業員)おおきに。
(真奈美)呼ばれてもええんですか。
捜査協力っちゅうことで経費で落としますけん。
《まさか!?》あのう。
ありがとうございました。
ああ。
いいえ。
けどうちきちっと協力できるかどうか。
(田村)そげん心配せんでええですよ。
(森坂)そうっちゃ。
顔を見たら思い出せるかもしれんし。
(真奈美)けど何度も言うたとおり顔なんち覚えてないけ。
初めっから。
(従業員)ありがとうございました。
私はいったい何を恐れていたのだろう?
まるで道化じゃないか?
9年間もあんな女を恐れていたなんて

(森坂)いたずらやったんでしょうか?
(田村)3時か。

(新堂)いよいよあしたで撮影も終わりだな。
あした2人で打ち上げしないか?お一人でどうぞ。
やっぱり僕を踏み台にしたんだな。
何のことかしら?この僕をもてあそぶなんて君世の女に殺されるよ。
あら怖い。
(新堂)なあ?小暮君。
いったいどの顔がホントの君なんだ?結局僕には見せてくれなかったな。
大した女だよ君は。
女優ですから。
(スタッフたち)おはようございます。
おはよう。
監督。
(石井)ああおはよう。
(一同)おはようございます。
(石井)最終日よろしく頼むよ。
よろしくお願いします。
(石井)うん。
監督。
このラストシーンなんですがもっとヒロインの悲しみを表現したいんですけど。
(石井)うーん。
そうだね。
たばこを吸おう。
たばこ?ああ。
愛する男が置いてったたばこを吸いながら彼を思う。
いいじゃないか。
小暮君。
頼むよ。
はい。
(助監督)それではいきます。
カット15。
用意。
スタート。
(かちんこの音)
(新堂)「全部嘘だったのか?病気も愛してるって言葉も」「最初から愛していなかったわ」
(真奈美)おっちゃん困らしたらいかんよ。
(幸太郎・真次郎)はーい。
(真奈美)はーい。

(幸作)おい。
ちょっと付き合ってもらえんか?
(晶子)大ヒットね。
おめでとう。
ありがとうございます。
あした次回作の記者会見なんです。
(晶子)聞いたわ。
主演だそうね。
ようやく五十嵐さんと同じ場所に立てました。
(晶子)意外とつまらないでしょ?高いところって誰もいないから。
いいえ。
最高にいい眺めですわ。
(晶子)私ね引退するのよ。
子供ができたの。
父親は一般の人。
昔ねかすって呼ばれてたの。
みそっかすのかす。
貧しくて虐げられてて。
いつも自分じゃない誰かになりたいって思ってた。
女優になれてうれしかったわ。
この顔一つでいろんな人間になれるんだから。
でも彼はありのままの私を愛してくれた。
だから偽りの顔を演じるのはもうおしまい。
もともと肌に合わない世界だったのよ。
でもあなたは天性の女優かもね。
これからも頑張ってちょうだい。
応援してるわ。

(新堂)「僕は君のためなら家族も仕事も夢もこの命さえ失ってもいい。
僕には君が全てだったんだ」「私を責めるの?あなただって非日常な生活を楽しんだんじゃない?」「もう十分でしょ?」
(新堂)「全部嘘だったのか?病気も愛してるって言葉も」「最初から愛していなかったわ」・
(ドアの開閉音)「さようなら。
慶介さん」
(真奈美)《兄ちゃん?》《あっ》《真奈美》
(真奈美)《こげんところで会うたりしち。
どこ行くん?》《まあ温泉にのう》《へえー。
ええねぇ》
(幸作)おい。
おい。
おい!おい!
(ざわめき)
(矢澤)うわ。
すごい人だな。
とうとう小暮涼子の時代がやって来たな。
私の時代。
(司会)お待たせいたしました。
それでは期待の個性派女優小暮涼子さんにご登場いただきます。

(拍手)
(司会)おめでとうございます。
ありがとうございます。
(司会)それでは主演の小暮さんにお伺いします。
新作の『顔』はどんな作品ですか?私たちは少なからず心に闇を抱えて生きています。
大切なものを失った悲しみや無力な自分への嫌悪感。
理不尽に痛めつけられる現実に対する怒り。
新作の『顔』はそんな心に闇を抱えた貧しい女が大女優へと成功を遂げる物語です。
無力でも貧しくても輝ける未来を手にできる時代がやって来たのだと思います。
私も何もないところからようやくこうやって皆さんの前に立てるようになりました。
嫌な思いもいっぱいしました。
つらく苦しいことや泣きだしたいこともたくさんありました。
でもこの場に立つことだけを夢見て頑張ってきたのです。
《ふと思ったんです》《私は何のために生きてるんだろうって》《私は生きてる価値がないんじゃないかって》《証明したいんです。
自分にも価値があるって》そして私は今日こうやって夢をかなえました。

(ドアの開く音)
(ざわめき)
(矢澤)ちょっちょっちょい。
ちょっと。
(ざわめき)
(ざわめき)
(ざわめき)昔不可能が可能になる時代が来ると言った人がいました。
その人にとっては何でもない一言だったかもしれません。
でも私にとってはその言葉が全てだった。
私の人生の全てをその言葉に懸けてきたのです。
ずっとその言葉を信じて生きてきた。
だから私は…。
後悔なんてしていません。
皆さん。
ありがとうございました。
2014/08/19(火) 14:57〜16:47
関西テレビ1
松本清張SP 顔[再][字][多]

松雪泰子他豪華キャストで贈る、松本清張の原点ともいえる傑作短編「顔」のドラマ化!栄光への渇望と過去が露見する恐怖の狭間でゆれ、自滅していく女の運命は…

詳細情報
番組内容
 昭和22年、戦後の九州。小暮涼子(松雪泰子)は、アメリカ兵相手に大衆酒場で必死に働いていた。夢は上京して大女優になること。そんな涼子に転機が訪れる。大衆酒場で飯村恭三(坂口憲二)と出会う。涼子は紳士な飯村に惹かれ、2人は男女の関係に。その後涼子は飯村に夢を話すと飯村は「有名な映画監督と知り合いだから紹介する」という。しかしそれにはお金が必要だという。夢をつかむために涼子は、必死に働いて貯めたお金
番組内容2
を飯村に渡すのだった。
 涼子は新しい未来が開け始めたと喜んだのもつかの間、飯村は映画監督との交友関係はなく、お金ほしさの嘘であったことがわかる。自分の夢を打ち砕いた飯村に殺意を抱いた涼子は、飯村を温泉旅行へ誘い出し、包丁で刺殺してしまう。すべて証拠を処分し完全犯罪を目論んだ涼子だったが、彼女には1つの不安が・・・。道中、飯村が昔から妹のようにかわいがっていた瀬川真奈美(田中麗奈)と
番組内容3
遭遇していたのだ。
 上京して9年。年月が流れ事件の記憶も薄らいだ頃、涼子は映画で大女優の五十嵐晶子(稲森いずみ)らと共演を果たすなど女優として初めて脚光を浴び、ついにはヒロインの話が舞い込んでくる。夢にまで見た大女優への道が開けたのだ。
 しかし、訪れたチャンスを前に、再びたった1つの不安が涼子の頭をよぎる。真奈美の存在だ。真奈美は涼子の顔を覚えているのだろうか。そして涼子はある決意を固める…。
出演者
小暮涼子: 松雪泰子 
瀬川真奈美: 田中麗奈 
飯村恭三: 坂口憲二 
新堂哲彦: 武田真治 
五十嵐晶子: 稲森いずみ

ほか
スタッフ
【原作】
松本清張『顔』(新潮文庫「傑作短編集5 張込み」所収)

【脚本】
根津理香

【プロデュース】
清水一幸

【演出】
澤田鎌作

【制作】
フジテレビドラマ制作部

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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