(虫の鳴き声)
(時計の秒を刻む音)深田光寛:どうして8@うことをJ9かないんだこのB−は!!
(深田秋江)やめて!お願い。
リハビリすれば元のように歩けるようになるとお医者さまが…。
あ〜っ!!
(打ち据える音)
(光寛)痛いか…?痛いだろう?
(打ち据える音)俺の足はなあ…痛みも…何も感じないんだあ!ああっ
(打ち据える音)
(時計の秒を刻む音)秋江…!
(光寛の寝言)殺すわ…。
あの人殺して…あの家出るわ。
(青山和晃)できねえくせに…。
あの人が死ねば君は遺産を相続して楽しく暮らせるよなあ。
そんな金があれば俺もバイトなんかせずに彫刻に打ち込める。
そうすれば俺だって…。
光寛さんは…外国から持ち込んだ拳銃を隠し持ってて酒を飲む時眺める趣味があるんだよな。
何考えてるの?君が…酒で眠らせて拳銃を持ち出し後は偽装して強盗の仕業に見せかける。
私が撃つの?無理だろうな…。
(和晃)もし君がリビングルームの鍵を開けておいてくれたら…俺が…。
駄目よそんなの!できないわ…。
自由になりたくないのか?このまま一生殴られ続けていいのか?
(時計の秒を刻む音)痛みを感じるだけなぁ幸せだと思え!!
(打ち据える音)別れたいだろう?う〜ん?慰謝料たっぷりもらって自由の身になりたいんだろ?そうはさせないよ。
お前はな…生涯俺のなぶりものだ。
歩けない俺につきあって一生…地獄を味あわせてやるよ!
(時計の秒を刻む音)
(銃声)私ったら…ああ…なんてこと…。
(銃声)あ…私…。
取り返しのつかないことを…。
(虫の鳴き声)
(倉茂恭平)…ああ…。
(時計の秒を刻む音)
(時報)
(ノックする音)こんばんは倉茂です。
どなたかいらっしゃいませんか?
(ノックする音)すみません奥さん遅くに…。
いや…霧がすごくて近くの道で車を溝に落っことしちゃってレッカー呼ぼうにもこの霧じゃ…。
できたら霧が晴れるまでこちらで…。
ご主人…?死んでますよ!奥さん!何するんです?警察に…これは殺人ですよ!待ってください!
(電話を切る音)一体何があったんです?主人の…光寛の拳銃で脅されたんです。
拳銃?主人はお酒を飲むとコレクションの拳銃で私を脅して私今夜こそ本当に殺されると思って…。
あなたが殺したんですか?…そうです。
私です…。
私が…私がどうかしてたんです。
そうですか…?奥さん…。
落ち着いてください。
少しお話を聞かせていただけませんか。
なぜご主人があなたを拳銃で脅すんです?2年前…主人は酔って崖から落ちて下半身不随になりました。
突然体の自由を奪われ人が変わったように意地悪になりそのうえ毎日のように私に暴力を…。
仲のいいご一家だと思っていたのに…。
今夜も乱暴が始まってそれで思わず私…。
他の皆さん今夜は…?主人の母とその妹の朋美叔母さまが母屋の方に…。
それだけ?主人と義母の介護をしてくれている住み込みの介護士村岡さんと温室で植物の世話をしてる遠山祥太君がいるはずです。
でもどなたも駆けつけて来ませんね。
庭をはさんで少し距離がありますから…。
奥さん…彼らが銃声を聞いていないのならこれはあなたには好都合かもしれませんよ。
えっ?あなたがご主人を撃ったことはあなたと僕しか知らない。
僕はこの事を警察には言いません。
どうしてそんなことを…?毎日車を売ることに飽きたセールスマンの気まぐれですかね。
それにひどいご主人のためにあなたのような魅力的な女性が刑務所で一生を棒にふるなんて悲しいことだと思いませんか…?それ私の…!奥さん…。
ねえ奥さん!はい。
ご主人何か恨みを買うトラブルを抱えていませんでしたか?主人は…外面はすごくいい人でしたから…。
そう…何年か前主人が交通事故を起こしたことが…。
詳しく…。
(急ブレーキの音)林佳菜子:卓哉卓哉!旅行中のお母さんとお子さんでお子さんの方は…。
亡くなったんですか?ご両親…主人をとても恨んでいたと聞きました。
絶対に許さないって。
何かされたんですか?警察の調べで主人に過失はない。
原因は子供の飛び出しだったということになって…。
そうですか…。
それでいつのことですか事故があったのは?5年前…義母の誕生日だったので5月6日です。
「借りは完全に返した」?警察に犯人はその事故で死んだ子供の両親だと思わせるんです。
何のために?状況を混乱させるんです。
自殺に見せかけるより誰か容疑者をでっちあげた方が時間が稼げる。
警察は事故死した子供の両親をいずれ見つけるだろうが無実だからアリバイくらい成立するでしょう。
奥さん…拳銃を貸してください。
何か用を作って母屋に行くんです。
僕が拳銃を撃つから銃声の後でみんなを連れて来るんです。
そして…死体を発見させるんですよ。
まだお休みじゃありませんでした?
(広瀬朋美)お姉さまが眠れないというので。
お義母さまは?
(村岡)お手洗いに。
お義母さま…。
(深田貴子)…あぁ痛い痛いわ。
動悸が早いの…眠れないのよ。
健康な人には分からないのよ。
ああ苦しい。
秋江さんこんな時間に何の用?朋美叔母さまに光寛さんを寝かすのをお手伝いいただけないかと思いまして。
まったく…亭主の面倒もみられないんだから。
(銃声)何の音かしら?光寛さんまた銃を…。
近所に聞かれたら大変。
朋美見て来て。
はい行きましょ。
はい。
(朋美)誰?こんばんは倉茂です。
車のセールスの。
(朋美)ああ…。
霧で車を脱輪させてしまって…。
今何か音がしましたねあっちで。
そうなんです。
それで見てこようかと思って。
(朋美)光寛さん…?
(朋美)光寛さん!?あなた!警察を呼びましょう!
(朋美)どうしてこんなことに!?
(佐藤刑事部長)この拳銃は?主人のです。
(長谷川刑事)保管場所は?書斎の引き出しの中です。
(佐藤)ご主人が自分で持ち出されたんでしょうかね?多分…。
強盗の仕業でしょうか?まだ何とも言えませんな。
どうしてなの!?誰が光寛を?お義母さま…。
秋江さん!あなたがついていながらどうして目を離したのよ!あなたがいいかげんだから殺されたのも気づかないのよ。
いえ…あなた何か知ってんじゃないの?本当に何も知らないの?もうよしましょうよお姉さん!私はあなたたちの結婚に反対だったの!ああ…それがあの子が言うことを聞かないもんだからこんなことに…。
(貴子の苦しむ声)死んじゃったわ私の光寛が…。
(貴子の泣き声)お姉さんしっかりして…。
(泣き声)するとあの拳銃はご主人が外国旅行をされた折に…。
はい。
隠し持ってるのは知ってたんですけど口を出しても聞いてくれるような人じゃありませんでしたから…。
ご主人はお酒を飲みながら拳銃を取り出して眺められていた。
そして酔い潰れちょうどそこへ犯人が…。
タイミングがよすぎますなあ!それとも拳銃を持ち出したのは犯人かも…。
物盗りの犯行じゃないとすれば…?パソコンに残されていたあのメモ…?問題はあれです。
「5月6日借りは完全に返した」…。
何か心当たりが…?5月6日…。
ずっと考えてたんですけどあの事故のことじゃないかと思うんです。
事故…?またお呼び立てするかもしれませんが…。
何か思い出したらご一報ください。
長谷川です。
ええこちらはアウトドアには最適だと思います。
ちょっと失礼。
はい倉茂です。
警察は私を疑ってる。
怖いわ…。
パソコンのメモ間違いだった。
私警察に本当の事を…。
それは困るな。
あれを考え出したのは僕だ。
ほんの親切心からね。
でも警察にバレればただの親切心じゃ通らない。
あらぬことまで疑われて共犯にされてしまいますよ。
いったん乗り出した船は引き返せないんです。
そうね…そうよね。
ごめんなさい。
初めてお邪魔した日からこんなふうにあなたを助ける立場に立ちたかったような気がします。
平成7年5月6日午後8時30分深田光寛の運転する車にひかれ林卓哉8歳…即死。
両親は林泰介と妻佳菜子。
旅行中の事故か…。
原因は歩行者側の不注意だった。
子供の飛び出し…。
しかし親は子供のことになると分別をなくすからな。
あるいはあの親の逆恨みか?子供の復しゅうですか?深田光寛の車には同乗者がいたのか…?広沢恵子…。
(読経の声)
(青山和晃)先代に引き続き光寛さんからもかわいがっていただいたのに誠に残念です。
あなたの鉄のアートを高く評価してましたからね。
夫も光寛も…。
青山さん…。
これ…。
どこに…?下で待ってます。
こんなふうに隠れて話すのはかえって危険だよ。
分かってるわ。
でも倉茂って男車のセールスマンなの。
その男があそこに…。
聞いたよ。
叔母さんと一緒に死体を発見したって。
君に疑いはかかってないだろ?ええ。
あの人は私をかばってくれたの。
でも本当は何を考えてるのか…。
私…いろんな事が心配で怖いのよ。
ねえ私たちこの先…。
昨日俺の作品が芸術祭の選考に残ったと通知が来たんだよ。
えっ?諦めかけてたチャンスがこんな時にくるなんて…。
売り出せば金も入るし仕事も…。
それなのに…。
あなたに迷惑はかけないわ。
万が一のことがあってもあなたの名前だけは絶対に…。
そうしてくれ。
とにかくしばらく連絡取り合うのはよそう。
お互いのためだね?ちょっと待って!和晃…。
はっ!?何を話し込んでいらしたんですか?いえ…。
(長谷川)あなたあの事故の時深田光寛と一緒にいたでしょう?
(広沢恵子)済んだ事件ほじくり返してどういう気?深田家はこの町の地場産業を一手に牛耳る名門です。
町長や議員もみんな深田家の息のかかった人間ばかりだ。
その家の当主が事故を起こしたとしたら悪いもんも悪くはならんでしょう。
亡くなった子供の両親が殺したいほどの恨みを募らせていたとしたらそこには何かあるはずだ。
警察の記録にも残らない何かがね…。
まさか警察では光寛さんが殺されたのはあの両親の復しゅうだと…?全部正直に話してくれないとあなたの身の安全も保証しませんよ。
私まで恨まれてるっていうの?さあね…。
酔ってたのよ…光寛さん。
あのさあ。
(恵子)え?え〜?イヤだもうフフ…。
なにがイヤなんだよ〜。
イヤだ…
(急ブレーキの音)
(恵子)子供は即死だった…。
でも彼がひどく酔ってたことはすぐ分かってしまった…。
それなのにあの人が…。
市長や警察幹部に連絡して彼が酔って運転していたことをもみ消したわ。
相手の両親はおとなしく引き下がったんですか?もちろん必死で酒酔い運転を告発しようとしてたわ。
でも結局は無駄だった。
大奥さまの命令で弁護士が示談交渉に当たって深田家の人に会うこともできなかったそうよ。
ついでに私も別れさせられたわ。
わずかの金でね…。
分かるでしょう?それが深田家のやり方なのよ。
あの大奥さまのね。
私は関係ないわ。
ねえそうでしょ?
(貴子の嘆く声)せめて光寛に子供でもいれば…。
秋江さん…あなた光寛の子供が欲しくなかったの?ケガのせいで光寛にその能力がなかったとでも言いたいんでしょう。
嘘よ!母親の私には分かるわ。
あなたにあの子への愛が足りなかったから…だから!お姉さんよしましょうよもう…。
またかばうのね!私知ってるのよ。
あなたたちは「同じ穴のむじな」よ。
この家の財産にたかって生きてる!絶対信用しないわ。
出てって!二人とも出てって!
(朋美)お姉さんの言ったこと気にしないでね。
はい。
あの人…自分の病気のことで気弱になってるところへ光寛さんがあんな事になったでしょう。
光柾さんが亡くなって光寛さんもあなたに取られたような気がするんでしょうね。
誰がお嫁に来ても駄目だったと思うわよ。
あの人は夫にも息子にもみんなに裏切られてもう誰も信用できなくなってるのよ。
叔母さまのお力でこの家が回ってるんですね。
そんなことないわよ〜。
私だって結婚に失敗して実家も没落しちゃうしもうここしか行くとこないんですもの。
叔母さまがいてくださってるから私きょうまで…。
あなたってなんだか危なっかしくて…見てられない。
私みたいになってほしくないし…。
叔母さま…。
ん?私…。
いえ…。
何してるの?疑問が出てきてもう一度現場をね。
え…?あのライター青山さんのものだったんですね?あなた青山さんと?いいかげんなことを言わないで。
第一あなたには関係ないでしょ?ライター…事件の夜青山さんがここに落としていった。
そうでしょう?違います。
ねぇ秋江さん?ご主人を撃った時あなたどこに立っていました?行ってみて。
よく思い出せないわ動転していたから…。
あなたはそこでご主人に脅されご主人が置いてた拳銃をつかんでそこから撃った。
やってみてくれませんか。
ご主人はここでした。
撃ってみてください。
いやよ。
やるんだ!やめて!あなた撃ってませんね?撃ったわ。
銃弾はご主人の左の額に命中していました。
こっちからじゃ右側にしか当たらない。
私が撃ったのよ。
自分じゃないのに自分が撃ったなんて言うわけないわ。
青山和晃が撃ったからだ。
他人のしたことを自分がしたなんて言うわけないでしょう?あなたはとっさに計算した。
お宅へ伺った時俺はあんたに気のある目つきをした。
それに気づいていたから…「あなたのためなら俺がかばう」。
そう思ったから自分が撃ったと告白し俺に嘘の片棒を担がせたんだ。
不倫相手が亭主を殺したのを無関係の俺にごまかさせたんだ。
勝手に嘘ついたのそっちじゃない!今更嘘だったなんて言ったらあなたも罪に問われるわよ。
今度は脅すのか?奥さん…。
これからは共犯者同士だ。
地獄の底までつきあわせてもらいますよ。
なぜ呼び出すんだ?もうダメよ!倉茂恭平に何もかも見抜かれたわ。
これ以上隠しておけないな。
警察で事情を話す。
そんな…。
それじゃあなたが逮捕されるわ。
なんだって?私のために光寛を殺してくれたあなたが逮捕されるなんて…。
何言ってるんだよ殺したのは君だろう?からかってるの?車であの夜家へは行ったがさすがに恐ろしくなり酔った光寛さんと少し話をしただけで思いとどまって逃げ帰ったんだ。
俺が帰った後で君が自分で…。
違うわ!私じゃない。
じゃ誰が殺したの!?おいどういうつもりなんだ?俺のせいにして自分だけ逃れる気か?そうじゃない本当に私じゃないのよ。
たくさんだ警察へは行かない何もしゃべらない。
俺たちこれまでにしよう。
和晃…!?本当は潮時だと思ってた。
あんたももう火遊びしてる年じゃないだろう?どういうこと?誰が光寛を殺したの…。
長谷川君は来たばかりで知らんだろうが地元の者で深田家の世話になってない者はいない。
それに大奥さまは旧家の出でお嬢さん育ちでプライドが高い。
息子を殺されただけでも十分苦しんでるだろう。
しかしその息子のほうに問題大ありだったようじゃないですか。
サディスティックで家族をなぶりものにしていた。
介護士の村岡や使用人の遠山などは随分意地悪されたとウワサです。
君は事故で子供を殺された親の犯行ではないと?さぁ…。
ただ近親者に動機のある者がいるのが見逃せない事実だと思うだけです。
(佐藤)深田秋江か?夫の光寛は結婚当初から浮気を繰り返し抗議をすれば殴ったそうです。
事故で下半身が不自由になってからは酔って秋江に乱暴するのが習慣にさえなっていたと村岡や遠山が…。
それだけじゃ決め手にはならんよ。
分かってます。
あっそうだ!例の問い合わせ…新潟県警から返事はまだか?
(長谷川)光寛さんの事故で亡くなった子供の両親林泰介と妻佳菜子はその後悲惨な運命をたどっています。
子供を亡くした悲しみに耐えきれなくなってまず母親の佳菜子が自殺。
父親の泰介も仕事を辞め故郷の新潟に帰ったが2年前妻と子の後を追うように海に身を投げて自殺しています。
新潟県警に確認を取ってあります。
あなた例のパソコンのメモの件でそういう調査を…?ええ。
それが私どもと何の関係が?つまり光寛さんを殺したのは5年前事故で死んだ子供の親だという可能性はなくなったわけですよ。
じゃあのメモは?カモフラージュです。
子供を殺されたことに対する復しゅうなんかじゃない。
あのパソコンの文字は偽装で真犯人は内部の事情を知る者です。
(貴子)内部の…?出て和晃…。
私が犯人にされる。
どうしたらいいの?出て…。
何してるんですか!?出てってください。
疑われてますね。
見ちゃったんですよあの夜…大奥さまに言われて外の様子を見に庭に出たんです。
その時…。
あれは確かに青山さんでした。
あの夜来たんでしょう?それだけじゃないその後何か気になってもう一度庭に出てみたら…。
(銃声)てっきり光寛さんが荒れて木立に撃ったのだと思ったが…。
あれはあんたが光寛さんを寝かせるの手伝ってくれって朋美さんを呼びにくる前のことだった。
銃声は2発…どういう意味でしょうね?知りませんなんのことですか?でも俺その前にある人間を見てるんですよ。
あの晩あなたと青山さん以外に3番目の人間がいた。
誰なんです?あなたと青山さんの企みは知らないがでもその人が犯人ならあんたたち関係ないんだ。
教えてください!誰なんですか?ずっと思ってたあんたいい女だ。
あんたがこの先一生刑務所で暮らすなんてもったいない。
3番目の人間のこと警察に話してほしければ…。
ねえ…光寛さんが死んでこの先いつまでここで働けるか不安なんですよ。
出直すためには金が要る。
なるべく多くのお金がね。
お金…?私にそんなお金…。
殺された光寛さんの遺産相続するじゃないですか。
逮捕されなきゃの話ですけどね。
あんたの取り分全部だ!安いもんじゃないですかそれで無実が証明できるなら…。
(和晃)はい。
私…今下に来てるの。
お願い会って!「これまでにしよう」って言ったはずだけどな。
村岡に脅されたの。
あの晩あなたを見たって。
でももうひとりの人間も見たって…。
分かる!?光寛を撃ったのは私じゃない。
あなたでもない。
そのもうひとりの人間なのよ本当の犯人は…。
関係ないな。
無実ならそれでいいじゃないか。
それとも?本当に私じゃないのよ!ねえ和晃…私はあなたを信じるわ。
だからお願い…あなたも私を信じて!急にどうしたのよ!?私たちは本気で…。
一時はそう思ったこともあった。
でもあんたが人妻だからスリルがあったんだ。
俺悪いけど自分の身が危なくなったら警察にしゃべるよ。
そんな…。
いろいろ楽しかったよ。
頼る相手を間違えてますよ。
降りて!つまらない男だ。
降りてよ!なぜ私につきまとうの?言ったでしょうあんたに気があるから。
どうしたいの!?そんなに人が信用できないならあんたを安心させてやる。
村岡に脅されてるんだろう?飲み屋で使用人の遠山を相手に酔ってしゃべってた。
バカなやつだ。
探り回ってるの?あの夜現場にいたもうひとりの人間…か?金を出してもらいましょう3000万円ってとこかな。
それで事件を探り真犯人を突き止めてあげる。
お金…?あなたの望みはお金なの?「惚れたから助けたい」では納得しない顔してるから分かりやすくしたんです。
俺なら真相を突き止められる。
あんたの無実を知ってるのは俺だけなんだ。
分からないわあなたを信じていいのかどうか。
あんたは遺産を相続するんだろ?お互い金をつかみ自由を手に入れようじゃないか。
(朋美)秋江さん…。
どうしたの?顔色悪いわよ。
和晃さんに会えたの?青山和晃はいざとなれば平気で人を裏切る男よ。
光柾さんにかわいがられて金銭的にも世話になってたのにその息子の嫁に手を出すなんてね…。
ダメな女ですよね私…。
ダメなのは光寛さんよ。
体が不自由だからって自分の弱さに甘えて…。
叔母さま…。
うん?私あの夜…。
光寛さんを殺すつもりでした。
青山さんに手伝わせたの?撃ったのは私じゃない!青山さんでもないんです。
そうでしょうね。
あなたにはそんな度胸はないわ。
青山さんにもね。
人を殺すなんてこと思うことと実行することは別のことなのよ。
でも警察は…。
それに私村岡さんに…。
村岡?脅されたんです。
村岡さんあの夜現場でもうひとり見たって…。
それを「警察で話してほしければお金を出せ」って。
村岡がもうひとりを見た?ビール2つ!大変なことになったな深田の家…。
君は?あの夜は?
(遠山祥太)朋美さんに急に言われて隣町のバイヤーの倉庫に苗木を取りに…。
夜にお使いか。
人使いが荒いんだな深田の家って。
いい給料払ってくれるの?大奥さまは口うるさいばっかりですごいケチなんです。
朋美さんが内緒で面倒みてくれなかったら俺も村岡さんもとっくに出てますよ。
だって相当な資産家だろ?他人にくれてやる金はないってことじゃないですかね。
ケチはイヤだよなケチは…。
飲みなよ今夜はおごるから。
村岡が「誰かを見た」っていう言葉自体が嘘だったとしたら?嘘…?村岡も相当光寛さんにいじめられていた。
動機はあるわ。
自分で殺しておいて嘘のネタで…ついでにあなたからお金を引き出そうとしていた。
なんだ…あなた方も飲んでいらしたんですか?酒ください酒!酔ってるの祥太!いけませんか?俺だってね酔っ払うことだってありますよ。
飲み屋で偶然出会っていろいろ話したんですよ〜っ。
なぁ?僕たちすっかり仲よし。
いろいろ話しましたね〜。
アパートに帰りなさい!安い給料じゃ酒も買えないんだそうですよ。
うまそうなワインだ。
僕にもごちそうしてくださいよ。
倉茂さん家の者に干渉しないでください。
僕は何も…。
秋江さんを口説いてるそうね?助けるからと言って。
この家は大奥さまのヒステリーで動いてる。
…と思ったら大きな間違いで本当はあなたが全部取りしきってるんだそうですね。
祥太君結構鋭い観察してますよ。
飲みましょう!嫌な事件がきっかけだけどせっかく知り合いになれたんだ。
倉茂さん!あなた一体何を狙ってるんですか?
(虫の鳴き声)まったくこんな所へ呼び出してどういう気なんだ?
(佐藤)正確には解剖所見を待たなければなりませんが犯行時刻は昨夜午前0時から3時ごろ。
ナイフのようなもので背中を刺されています。
(長谷川)念のため伺いますがお二人昨夜の行動は?昨夜は秋江さんと一緒に家にいました。
22時ごろ祥太と一緒に倉茂さんがいらして…。
祥太は酔い潰れていたので夜中目を覚ました時に少し叱っておきました。
アリバイが成立するわけですね。
あなたは?0時前には部屋に戻りました。
それを証明できる人は?これまでの経緯から深田家にまつわる連続殺人の可能性が高いがその後何か気づいたことありますか?ないわよね。
よろしいですか?奥さん…。
はい。
青山和晃氏と特別な交際なさってましたか?何のお話ですか?町であなたと青山さんを何度も見かけた人がいます。
「随分親しそうだった」という証言があり昨日来青山さんに話を伺っているんです。
彼はご主人が亡くなった夜お宅に行ったそうです。
何のために来たって言ってるんですか?最近の作品を買い取ってもらう相談で…。
すぐに帰ったと…。
あなたご存じなかったですか?青山氏と個人的な交際は?失礼ですよそんなこと!秋江さんに伺っているんです。
ございません。
(朋美)行きましょう。
(長谷川)そうですか…!?警察は不倫相手の恋人と一緒になりたい一心で妻が夫を殺したと考えているんです。
青山は私との関係に嫌気がさしてたんです。
だからしつこく警察に責められるといつ私が犯人だと言い出すか…。
でも犯人はどうして村岡さんを?村岡さんに見られたから?それとも村岡さんに脅されたから?あの夜やっぱり誰かいたんだわ。
村岡さんを殺したの?なぜそう思うんです?口を封じた方が私から多くお金を引き出せるから。
なるほど…。
昨夜あなたが深田家を出たのが22時すぎ…その後のアリバイは?ありませんよそんなものは…。
疑ってるから…それでわざわざ俺を呼び出したんですか?もしあんたが言うとおり…俺が犯人なら。
うっ…。
冗談だよ。
俺を疑うからだ。
あなたのことが信用しきれないから。
俺の気持は伝えたはずだ。
信用しないのはあんたの問題だよ。
じゃ助けてよ!早く犯人を見つけてよ!誰が光寛を殺したのよ!?自分が犯人じゃないというあんたの言葉信じますよ。
青山和晃も犯人じゃない…あんたに本気じゃない男が自分の将来を棒に振るような危険を冒してまで光寛さんを殺すとは思えない。
村岡はあの晩本当に誰かを見たのか…?それとも…。
約束してくれ。
あんたの役に立ったらあんたを抱かせてくれ。
本当に私を救えるの?つきあってほしい所がある確かめたいことがあるんだ。
はっ!お姉さん何やってるの!?やめなさい!生きてる理由がないの何もかも終わりなんだ…。
邪魔するなんて許さないわよ朋美!お姉さん光寛さんを殺したわね?私がどうして光寛を?心中よ…。
光寛さんがケガで不自由になって荒れるのを姉さん見ていられなかった。
とうとう自分にまで手をあげられ決心したんでしょ?光寛さんを殺して自分も死のうって…。
私じゃないわ!あの晩あなたは私たちをここに呼びつけておいて長い間トイレに立ったわね。
あれだけの時間があれば十分光寛さんを殺してここに戻ってこられる。
村岡が見たのは戻ってくるあなたの姿だったんだわ。
あんた何を考えてるの!?そしてお姉さんその罪を秋江さんに着せようとした。
かわいい息子を奪った憎い嫁だからね。
朋美!?そして犯行を知られたと思った村岡まで殺した。
村岡が死んだ?とぼけないでよ!なぜごまかすの?自分が死んだ後もこの家の名誉を守りたいから?違うわ。
あなたが守りたいのは自分の見栄よ。
結婚が失敗で人を殺したと言われるのが嫌なんだ。
私の結婚が失敗?ふん!そうよ…夫にも愛されず息子に密着してマザコン男にしておいたのにその息子に足蹴にされ正気を失ったのよ!あなたいつでもそう子供のころから…。
自分勝手で鈍感で!何言うの!私に向かって。
出戻りのあんたを置いてあげたのは私よ!私ね光柾さんと愛し合ってたのお姉さんの目を盗んで…。
知らなかったでしょう?嘘…。
光柾さんは子供のころから私の憧れの人だった。
だからあなたと結婚し義兄になった時はうれしかった。
でもねいつまでも義兄じゃ嫌だった。
だから私が結婚してうまくいくわけないのよ。
離婚してこの家にきたのはそういうこと…。
そうだったの?よくもまあ私をだまして…。
私はあの人と一緒にいたかった。
だからあなたの使用人でいてあげたのよ。
彼が外に女を作った時もすべての処理をしたわ。
その女が産んだ子供への仕送りの面倒もみた。
ヒステリーを起こすばっかりで何もできないあなたに代わってね。
光柾さんは私のものだったのよ。
わあ〜っ!あなたは自分の高血圧と心臓のことで変になってる。
光寛さんと無理心中してついでに憎い連中を道連れにするつもりだったんでしょ!?秋江さんに罪を着せ村岡を殺して…。
私のことはどうするつもりだったの?使用人程度に思ってたから忘れてたんでしょ。
えっ!?冗談じゃないわよ。
私はね…あなたの妹で光柾さんの愛人なのよ!ああ〜っ!人殺し!自殺なんかさせない!罪を償いなさい!世間に恥を晒しなさいよ!やめて〜っ!処置は終わりましたが集中治療室に入ります。
脳梗塞ですね。
左半身がマヒしています。
多分この後はずっと車いすに…。
(工藤弁護士)いくら若奥さんでも大奥さまの遺言書の中身をお教えするわけには…。
詳しいことは結構です。
ただ…最近何か決め事が書き換えられていないか…それだけでも。
…困りましたねえ。
(街の騒音)あなたが言ったとおりだった。
光寛が亡くなってお義母さま…遺言書を作ってらしたわ。
やっぱりそうか。
通常はお義母さまが亡くなった場合すべての財産がたった一人の血のつながった妹朋美叔母さまが相続することになってるんだけど…。
わざわざ遺言書を作ったとなると…?朋美叔母さまに相続させないってこと?ひどい!あんなに深田家のために働いてきた叔母さまなのに。
・いらっしゃいませ。
コーヒーをお願いします。
で…朋美さんはそのことを…?確かめたらしいわ。
知ってるわけだ。
ええ…多分叔母さまはお義母さまのそんな気配を感じたんじゃないかしら…。
他にも…叔母さまの知らないことが…。
どんな?深田家は相当ひどい状態らしいの。
ひどい状態って?光寛がああいう人だったでしょ?経営は人任せで赤字続き再建も難しくて。
株や不動産などもズタズタらしいのよ。
フッ…フフフ…。
ハハハ…。
とても3000万円なんて払えそうもないわね。
どうでもいいさ!でも…そのことを朋美さんが知らないとすると…。
本当にかわいそうな叔母さま。
叔母さまはお義父さまの隠し子の面倒までみてたというのに…。
隠し子!?お義父さまが女の人と別れる時の手切れ金や子供の認知問題の交渉などすべて叔母さまが…。
その子の名前は?大竹勇次。
相手の女性は荒川区の工場の娘ですって。
深田家が破産寸前で当てが外れた?フフ…それは君の方じゃないのか?フフフ…。
私が中学生のころ両親が離婚したの。
すごく寂しかった。
それから…他人とうまくつきあえないようになったの。
両親に傷つけられたからだとず〜っと…恨んでた。
君の影はそういう影か…。
(船の汽笛)結婚なんて…人生を楽に生きてくための約束をしてくれる契約みたいなもんだってそう思ってた。
いろんな人と恋愛してでも…いつもそういう目で値踏みしてきたようなそんな気がする。
本気になってのめり込みそうになると自分で自分の気持を抑えていたの。
何人もの男を好きになって…別れて…。
そして…光寛と出会ったの。
初めて本当に人を愛せたってわけか。
フッ…フフフ…。
違うわ〜。
世間知らずでお坊ちゃん育ちで…財産もあって結婚相手には最高の男だと思ってた。
でもケガをして歩けなくなって…。
隠れてた本性が現れてどんどん嫌な男になってった。
そんなあの人に耐えられなくなったの。
それで…浮気か。
あの人を殺そう!そう考えたら思わず遺産の額を計算してたわ。
惨めよね…青山に裏切られて気づいたの。
いつの間にか私自身がイヤな女になってる…。
どうしてこんなことになったの?どうしてこんな袋小路に…。
秋江さんがお姉さんの遺言書について聞きに?もちろん詳しいことは話しませんが…。
一応秋江さんが見えたことだけお伝えしておこうと思いまして。
ああ…そうですか分かりました。
ありがとうございました。
あそれからもうひとつ大事なご報告が…。
はあ…!?
(大竹秀雄)あんたたち深田さんとこの関係の人?義父に代わりまして何か…お手伝いでもと。
フン…!娘はとっくに結婚してるしな。
俺にとっては孫だがなつかなかったし…。
正直言って…もう忘れてえんだよそんな話。
あの…せめて今どこにどうされてるかだけでも。
じゃ…言うけどお宅に朋美さんて人いるだろう?朋美さんが何か…?ああ…あんた方は知らんだろうがあの人が厳しいことを言ってきてね…。
フン!わずかな手切れ金で娘は泣かされたようだよ。
そうだったんですか申し訳ございません。
まあその後ず〜っと娘の子の面倒をみてくれてるようだし…。
ず〜っと?金銭面ででしょうか?いろいろとさ。
そういえば高校を中退してからは名前を変えて働いてるって…娘から聞かされたことがある。
名前を変えて?名前を変えるなんて何でそこまでしなきゃならないんだって!面白かねえわな〜こっちは!その名前を教えていただけませんか?祥太君がお義父さまの子供だったなんて…。
大奥さまが言ってた「あの子の面倒を…」ってこのことだったんだ。
でも大奥さまはそれが遠山祥太だとは知らなかった。
祥太は朋美さんの切り札だった。
切り札?これで全部の謎が解けたよ。
あなた…まさか叔母さまと祥太君が?戻ろう!祥太の口を割らせるんだ!深田の家が…破産?事業は失敗…株も紙くず同然ですって。
深田の家はおしまい。
清算するしかないわ。
じゃあ…俺は?私がいずれ姉の遺産を相続したらあなたに譲るつもりだったの。
でも…それもできなくなった。
(スプレーを投げる音)話が…違うよ!あなたとはいろいろ約束したわね…。
お互い助け合おうって。
大丈夫…あなたを一人でほうり出しはしないわ。
あなたのことは最後まで…私が…。
ええ…作品を買ってもらうために行ったんじゃありません。
秋江さんに頼まれて光寛さんを…。
おおサンキュー!秋江が本ボシです。
青山がしゃべったのか?
(ドアをノックする音)祥太君!祥太君!留守なの…?祥太く〜ん!はっ…!毒…!ええ〜っ!祥太君!?秋江さん!遠山祥太の死体が?ええそうなんです。
遠山祥太が…。
事件の真相が分かったんです。
僕たちは深田家に向かってます。
遠山祥太が死んだ!?畜生!3番目の犠牲者かどうなってんだ!?倉茂恭平からの通報だ。
広瀬朋美が事件のカギを握っているらしい。
広瀬朋美が!?秋江さんあれ…!叔母さま…。
お義母さまが倒れたとさっき主治医の先生から連絡がありました。
本望でしょう?叔母さまの狙いはそれですものねえ。
身内のあなたを使用人同然に扱ってきた姉とその息子を憎んでた。
そして二人を殺そうと思うまでになった。
お義父さまを愛してらしたのね。
だからなんですか?お義母さまと光寛をそこまで憎んだのは…。
祥太君が亡くなりました。
祥太が!?とぼけないでください!遠山祥太の口を封じましたね…?これ…祥太君の部屋にあったんです。
祥太君はお義父さまの子供だったんですね?あなたは遠山祥太を利用した。
光寛さんを殺せば深田家の財産の大半はあなたのお姉さん深田貴子のものになる。
と同時に深田貴子が死んだ時その財産を相続できる身内はあなただけになる。
だからあなたはまず光寛さんを殺さなければならなかった。
光寛さんが殺された夜遠山祥太はあなたに急に用を言いつけられたと言うがそれは口裏を合わせただけであの晩彼は自由に動けたはず。
あなたはその彼に霧の夜の今夜がチャンスとそそのかし拳銃のありかを教えた。
そして自分は母屋に居てアリバイを作っておいた。
遠山祥太は秋江さんの行動を見ていた。
青山和晃がおじけづいて殺さず立ち去ったのを見て祥太君は拳銃を取って…。
(銃声)さらにあなたは村岡があの晩犯人を見てると聞き祥太に村岡を始末させた。
…このナイフで。
(ナイフが刺さる音)秋江さんも…あなたもそう信じるの?そして祥太君も殺された。
祥太君はすべての罪を背負って自殺した。
そう見せかけてあなたが殺したんです。
初めはそんなつもりじゃなかった。
でもあなたを遺産相続人からはずすという遺言と深田家が破産寸前だということを知り約束を果たすことができなくなったのですべてを暴露しかねない祥太君の口を封じた。
(ナイフが地面に落ちる音)
(パトカーのサイレン)祥太…。
私は…一体何を守ってきたんだろう。
姉を疑って…ひどいことを言って追いつめて…。
姉をあんな体にしてしまった。
深田の家は…私が終わらせてしまった。
あなたさえ現れなければ…。
叔母さま!え〜いっ!えいっ!やめろ〜!うっ!えいっ!や〜っ!おお〜っ!た〜っ!ああ〜っ!ああっ!!叔母さま〜っ!叔母さま〜っ!
(小鳥の鳴き声)秋江さん…出て…行く…ん…でしょう?分かって…るわ…。
もう…あなたを引き止め…て…おく理由は…ないものね。
長谷川刑事!新潟県警から緊急ファックスです。
これは?気になることを問い合わせたんです。
林泰介…それまでのいきさつと遺書から自殺として処理…でも遺体は発見されてません。
子供を殺された親の復しゅうの線も完全に否定できない…か。
一緒に行こう!君はもう自由だろう。
警察も殺人未遂のことは不問にしてくれた。
どこか…他の所に行ってやり直そう…俺たち。
…できないわ。
動けなくなったお義母さまを置いていけない。
何をバカなことを言ってるんだ!これ以上…あの家に縛られることはないだろう。
あの夜…。
光寛が殺された夜。
どうしてあんなこと思いついたの…?あなたがもし光寛にひき殺された子供の父親林泰介だとしたら…。
あの霧の夜最初の銃声を聞いて計画どおり青山和晃が撃ったものと思って「私が殺した」とあなたに言ったわよね…。
でも本当は…。
あなたが撃ったのよ!
(銃声)逃げようとしたあなたは霧のために車を脱輪させてしまい立ち往生してしまった。
だから舞い戻って偶然の客を装うしかなかった。
死んでますよ!奥さん!林泰介さん…あなたは光寛に殺された子供の復しゅうをするために来た。
そうでしょう?林泰介は死んだはずだ。
この日のためにあなたは自分を死んだことにして準備してきた。
そしてうまく光寛を殺すことができた。
ところがその夜村岡さんに姿を見られたと知り口を封じるために村岡さんを…。
祥太君を殺したのもあなたです。
殺人の罪のすべてを背負わせるために…。
お酒の好きな祥太君に毒入りワインをプレゼントした。
そして血の付いたナイフを見つける芝居までして私に祥太君が犯人だと信じこませた。
これであなたが光寛を殺したことは誰にも分からない。
だとすれば林泰介の復しゅうは完全に成功したわけだ。
いいえあなたにはもう一人の敵がいた。
深田家を守るために警察や地元の名士を動かして事故の原因である光寛の飲酒運転の事実をもみ消してしまったお義母さま…。
でも深田家に近づいてあなたはすぐに気がついた。
深田家を陰で本当に切り回してるのは朋美叔母さまだということ。
事故の真相をもみ消した張本人も叔母さまだってことを。
そしてあなたの憎しみは叔母さまに向けられた。
「祥太君を利用して光寛を殺した」とあなたが追及したとき叔母さまは黙ってあなたの話を聞いていた。
もしかしたら本当に祥太君が犯人なのかもしれないと思ったから。
面倒を見てきた祥太君がいじめに苦しみぬいて殺人まで犯しその罪の重さに耐えかねて自ら命を絶った。
そう思ったからかも…。
私には叔母さまの痛みがよく分かる。
お義父さまを愛してしまったから深田家を守るために…いろんな間違いを犯してしまった。
あなたのお子さんの死の真相を闇に葬ったことも含めて…。
そのうえお義母さまが脳梗塞で倒れたのも自分のせいだと思いこんで…。
だから叔母さまはすべての罪を自分一人で背負おうとした。
あの時…。
あなたさえ現れなければ…叔母さまはあなたが事故で亡くなった子供の父親だと分かってたのかもしれない。
事故の原因をもみ消した罪の深さを感じていた。
だから自分の無実を晴らそうともしないでその責めを負いあのような…。
家族も財産も無くし絶望のどん底にいる叔母さまの姿を見てはじめてあなたの復しゅうは完了した。
俺を告発するには証拠が要るぞ。
あなたを告発なんかしないわ!あなたは私を光寛から救ってくれた人だもの。
でも…人は完全に自由になんかなれない。
私は光寛を殺そうとした。
この事実は消えやしない。
人は背負った罪の重さを忘れることはできない。
あなたの復しゅうはこれで終わった。
それで過去の恨みからは解放されたのかもしれない。
でも…今度は新たに背負った罪の重さに縛られて生きていくのよ!2014/08/19(火) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「招かれざる客〜富士山麓連続殺人事件」[字]
不倫相手と企てた夫殺害計画。一発の銃声が妻の人生を狂わせる!
詳細情報
番組内容
二年前に事故にあって以来、車椅子生活を余儀なくされた深田光寛は、身体の自由を奪われた怒りを妻の秋江にぶつけていた。しかし、毎日繰り返される夫の暴力に耐え切れなくなった秋江は、愛人の芸術家・青山和晃と、夫・光寛の殺害を企てる。その計画とは、まず秋江が光晃を酒で眠らせ、光晃が隠し持っている拳銃を使って、青山が光晃を殺害するというものだった。
出演者
深田秋江・・・浅野ゆう子
広瀬朋美・・・野際陽子
倉茂恭平・・・三田村邦彦
長谷川刑事・・宇梶剛士
佐藤刑事部長・伊藤俊人
深田光寛・・・清水昭博
工藤弁護士・・山田明郷
村岡圭介・・・佐戸井けん太
青山和晃・・・田中哲司
遠山祥太・・・斎藤陽一郎 ほか
原作脚本
【原作】アガサ・クリスティー
【脚本】橋本以蔵
監督・演出
【演出】伊藤寿浩
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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