「彼女からあからさまなアプローチを受ける→私が告白する」という、童貞をこじらせて大変なことになっていた私にとっては奇跡的ともいえる幸運な展開が訪れたのだ。
流石に自分の恋愛に対する理解度が著しく低いことは分かっていたから、付き合うことが決まった段階で貪るように様々な恋愛コンテンツを読んだのだけれど、その過程で、如何に自分が恋愛というものを勘違いしていたのか思い知らされた。
事細かに挙げているとキリがないので、本質的なことをいうと、私には女性が恋愛に何を求めているのか、という視点が欠如していた。
まず自分が女の人を好きにならなければならない。
好きになるっていうのは多分ドキドキするということで、やっぱりそれは顔の綺麗な女の人にドキドキする。
でも私は綺麗な顔をしていないから綺麗な顔の人とは付き合えない。
恋愛なんて出来ないじゃないかクソが。
みたいな恐ろしく単純で幼稚な思考回路に終始していた。
今は彼女の発するシグナルを観察して、心情を読み取るのが楽しくて仕様がない。
言葉と感情が裏腹とかそんなのエスパーじゃないし分かるわけないだろとか思っていたけれど、ちゃんと彼女に集中していれば案外分かるものである。
恋のドキドキ感なんてものは顔の綺麗な人に片想いしていれば最大限に高まるもので、実際の異性関係において最も重視すべきことではないのだと思う。
かつての私の中にも愛は十分に用意されていたし、何かを愛することもあった。