1オイコノミア「ボクら、地方で暮らします!」(後編) 2014.08.19

(テーマ音楽)1,000年にわたる信仰の地。
紀伊の国熊野。

(又吉)自然があっていつかこういう所住みたいなと思ったこともありますね。
雄大な自然に魅了された都会の若者たちが最近熊野に増え始めています。
若者たちの活動拠点となっているカフェがあります。
はじめまして又吉です。
どうも。
柴田と申します。
柴田さん。
お願いします。
カフェを運営している柴田さんは4年前にやってきました。
立ち上げたNPOを通じて移住を希望する若者の支援をしています。
移住者の思いも大事にしたいし地域で抱えているいろんな課題もあったりして後継者がおらんとか畑が余ってるんやとか…。
移住してきた人にとっても自分のためだけじゃなくて地域のためにもなってるみたいな形で仕事できる方がやりがいもあるやろうし。
うん。
最盛期には6,000人を超えていた熊野川町の人口も今ではおよそ1,500人。
人口減少時代に突入した日本。
今後税収の増加が見込めない中で私たちはこの課題にどう向き合えばよいのでしょうか。
人口が減ると困る市町村は増えてくるんですか。
(中川)ええ。
これから日本の特に地方の都市ですけれども人口減少が進んで高齢化が進んでいくとなかなか税負担ができないようなそういう人が増えていきます。
ということは公共サービスの支え手をですね少なくしていくことになりますからなかなか市町村の財政が厳しくなっていくという現象がこれから起こるんじゃないかなと思ってます。
なるほど。
町の人口は適当な数があるんでしょうか?町の人口とか人口密度には適当な規模があると考えられています。
例えば…これは横軸に人口をとって縦軸に一人当たりの歳出額をとったグラフです。
全国およそ1,800の市区町村について住民一人当たりにかける公共サービスの歳出額を示したものです。
ある規模までは一人当たりの費用が減りサービスの効率がよくなります。
この辺りを最適な人口規模と考えます。
人口7万人〜20万人ぐらいが底かなぁと。
う〜んいかがですか?柴田さん。
そうですね。
熊野川町は2,000人ぐらいだったので非常に非効率な行政サービスが行われている町だったかもしれませんね。
これ以下の市町村が恐らく今後増えてくるだろうと言われています。
これは2010年と2035年の各人口規模の市町村数をですね表したものなんですけど先ほど7万人以上ぐらいが効率的なのかなと申し上げましたけどもそれよりも上の市町村って減るんですね。
どこが増えるかと言うと5,000人以下の非常に何て言いますか規模の小さい市町村だけがですね2010年〜2035年にかけてメチャクチャ増えるというそういう状況にあります。
行政サービスの効率性がですね落ちた提供のしかたしかできない市町村が今後非常に増えるということが予想されています。
先生そうなった場合どうすればいいんですかね?市町村合併というのは1つの手だと思います。
現にここも熊野川町だったのが新宮市と合併をして新宮市に今なっていると。
かつて熊野川町には小中学校が合わせて16校ありました。
今では1校ずつしかありません。
今人口の4割は65歳以上の高齢者。
こちらの施設には入所者が50人。
それ以外にデイサービスの利用者も50人います。
少子高齢化人口減少への対策として熊野川町は2005年に新宮市と合併しました。
変化の1つが職員の再配置。
元は50人いた職員の半数が市役所勤務となりました。
合併を機に充実したサービスもあります。
以前は消防は6名体制ですが今は10名体制っていうことでそういう救急・消防関係に対しては充実しているんじゃないかと思いますね。
合併後は新宮市の消防本部の管轄となったことで人員の増加や市内の消防署との連携が改善されました。
週に1度無料で運行する行政バス。
路線数が増加しました。
民間バスの通らない区域と市街地を結ぶ貴重な交通手段です。
「市町村合併が1つの手ですよ」という話をしたわけですがそれは基本的にオールマイティーではないんですね。
難しい問題があると。
それは何かということなんですが…。
公共施設というのはいろんなタイプの施設があるわけですね。
その時に公共施設の種類によってはカバーする人口が全然違っているということですね。
1つの公共施設が何人の人々にサービスを供給できるかを表した図です。
例えば小中学校は1校につき1万人にサービスを提供できます。
高校は5万人程度大学は30万人程度です。
しかし逆に人口が少ない地域ではこれらの公共サービスは効率面では維持が難しくなります。
例えば中学校というのは基本的に1万人程度。
これくらいの人口に対して中学校が1校あればいいという感じなわけですね。
ところが病院なんていうのはもっといっぱいないと駄目だと。
5万人以上の人口がなければ支えられないという事ですね。
何を言いたいか。
市町村が非常に小さい規模であるにもかかわらず全ての公共施設をフルセットで提供しちゃいますというのが今までの日本の公共サービスの考え方だったわけですけどもそれはもしかしたら非効率な場合が出てくるかもしれないということですね。
例えば市町村の境目があると。
そこの道路1本はさんで図書館が2つあるとかですね。
そんな非常に非効率な事も起こってしまうので。
必ずしも市町村の境界によってサービスを分けるというのがいい方法ではないというお話でしたけど何か他に方法ってあるんですかね。
例えば2つの市町村がありました。
子供の数があって2つの小学校を支えていました。
ところがですね片っ方の市町村で急速な少子高齢化子供の数が非常に減ってしまいましたと。
という場合にどういうやり方があるのかという事ですけど…。
ここの小学校についてはやはり廃校させていただくと。
そこでこちらのお子様にはこちらの小学校に通っていただくんですけれども。
じゃあこの小学校の施設はどうしたらいいのか?それは基本的に少子高齢化が進んでますのでお年寄りの方って非常にたくさんいらっしゃるわけですね。
ですからこういう方々が使うような高齢者施設にですね廃校したあとの小学校を使っていただくと。
そうする事によって建物の除却費とかそういうものはあまりかけることなく地域に合ったサービスを効率よく提供することも可能なんじゃないかなと。
そんなふうに思っています。
まさに市町村が連携をし合ってサービスを融通し合う。
公共施設の再配置をやっている市町村ですごく有名なところというのは浜松市ですね。
合併をすることによって非常に多くの公共施設を抱えることになったんですね。
そのためにこの公共施設の再配置とかあるいは総量を削減するという事をものすごく積極的にやっている市です。
柴田さんはどうですか?そうですねこのブックカフェ「kuju」もまさにそうでまさに廃校になって「取り壊しに」という話になって確かに廃校になって取り壊すぐらいの所ですから生徒が戻ることはまず考えられない土地ですけど。
やはりこの施設の魅力とかこの立地ですよね。
いろいろ考えたときにもう一回地元の人を市街地からもお客さんが来れるようなカフェとしてもしくは都会で田舎に来てみたいなと思っている人がここに来てここを拠点にして地域に定住していく。
そういう施設として使っていってる。
まさにそんな事例ですよね。
カエルが。
カエルもここで見るときれいに見えますね。
熊野川町にはおよそ130軒の空き家があります。
その一つを利用して新しい形の移住を実践する人たちがいます。
ちょっと行ってみましょうか。
はい。
ああどうも。
こんにちは。
こんにちは。
お久しぶりです。
お久しぶりです。
こちらプログラマーでライターのphaさん。
語感が気に入って付けたハンドルネームで活動中。
東京でパソコン好きの仲間を集めたシェアハウスを主催し暮らしています。
地方にも仲間とシェアする拠点を持ちたいと見つけたのがこの空き家。
へぇ〜!すごいですね何か。
あっこんにちは。
こんにちは。
お邪魔します。
安く借りてそれで自分たちで床とかを張って改装して今はみんなで使っているというそんな感じです。
実はこの家2011年の紀伊半島大水害の被害を受け手放されたものでした。
phaさんと共同でこの家を借りている伊藤洋志さん。
ライターをしながら衣食住の自給にチャレンジしています。
もちろん大工仕事はお手のもの。
壁を剥がす作業から始め床張りや水場の修理も2人で集めた仲間たちと全て手作業で行いました。
広〜いリビングとキッチンの他に部屋が2つ。
インターネットを開通させたので仕事もできる空間です。
居心地よさそうな。
う〜ん。
こういう所とかももともとは板とかあったけど無くてもこの辺はスッキリしてるかなって感じがしますね。
風も通りますしね。
う〜ん。
こっち側はキッチンですね。
あっphaさん。
はい。
上にも人が居てはりますね。
(pha)あっどうも。
こんにちは。
こんにちは。
一緒に住まわれてるんですか?ああそうですね。
こちらに住んで1か月ぐらいになります。
1か月ぐらい前から?はいそうです。
代わる代わるやってくる仲間はおよそ30人。
滞在期間は人それぞれ。
ちなみにphaさんは2か月に1週間ほど滞在します。
ここはどういうスペースなんですか?ここは漫画とかを読むスペースです。
本が置いてあって。
本があったり。
いいですね!すてきじゃないですか。
ここやったらずっと本読んどけますもんね。
あ〜そうですね。
本やCDは仲間が持ち寄ったもの。
調理器具は地元の人からのもらいもの。
人のつながりの分だけ快適になっていきます。
従来の貸し別荘とはひと味違う「シェア別荘」です。
家賃とかはどうしてるんですか?家賃は僕と伊藤君が折半で払っていて滞在する人からカンパという感じで何かお気持ちを入れてくださいみたいな感じでちょっとずつもらったりして。
そんな感じで回してます。
いや〜すごいな!という感じですね。
回してるシステムが面白いですね。
普通にルール決めてお金を取ってというよりは自発的に何か寄付で回っているというのはすごい面白いなと思いました。
伊藤さんは基本的にはどういうお仕事が多いんですか?
(伊藤)基本的には自営業なんで何かいろんな個人の事業をやるんですけど。
文章を書いたりもするので執筆するときはこっちで書くことが最近多いですね。
何か籠って仕事したくなったらこっち来て。
ひたすらここで静かに仕事して。
執筆するにはすごくいい環境ですよね。
きっとね。
僕みたいなサラリーマンといいますか時間がコントロールできないような方でこういう所を利用されている方はいらっしゃるんですかね。
(伊藤)ああいますね。
(pha)有給とか取ってくるとか。
誰でもなんですね。
そうですね2人だけ使ってても面白くないというか広がりがないし。
結構大きい家なんで使いきれないからもったいないので。
もっといろんな人が集まる場所にした方が面白いなと思ってやってます。
う〜ん。
phaさんは今こちらにお住まいですか?東京とこっちと今2つ家がある感じですね。
両方で?両方で。
東京とここってだいぶ遠いですよね。
遠いですね。
メチャクチャ遠いですね!メチャクチャ遠い方が何か気分転換になっていいなという。
ああ東京での生活を。
そうですね。
何か遠い所の出来事やったなみたいな。
(笑い声)都会でも暮らしながら時折地方暮らし。
仲間と自由に使うシェア別荘。
若者たちが見つけた新しい移住の形です。
phaさん先ほどご自宅と言いますか2個目の拠点を訪れさせていただきまして若い方が地方に移住してるということにすごく感心をしたんです。
これからご紹介したいのは年齢別にやっぱり求める移住先とか引っ越し先が違ってきてるというデータをお見せしたいんですが。
まずこれが都道府県別に15〜29歳の転入とか転出ですね。
それの比率を見たものなんですがこういう若い方というのはやっぱりこの1都3県という所に転入してきていてその他の地域からは転出が多いと。
都道府県別の転入超過率。
緑は転入の方が多く赤は転出が多いことを示しています。
30歳未満は大都市に集まる傾向があります。
30代〜50代半ばは大都市の周辺に分散します。
震災の影響からか西日本への移動も増加。
仕事をリタイアする世代は都市を離れ地方に移る傾向が見られます。
75歳以上になると地方から都市部に移る人々もいます。
それはなぜでしょうか?75歳以上になるとまたですね東京の周辺にあるいは愛知とか大阪そういう大都市圏に転入してくるんですね。
やっぱり介護するために息子とか娘さんが呼んでいるのかなという感じはするんですが。
このようにライフステージごとにですね大切にするものとかそういうものが違ってきていて移住とか引っ越し先も年齢階級別に全然違っているということがこれから分かると思うんですね。
そういう意味ではphaさんの何て言いますか試みというのは一般的にはやや想像しにくい。
ああ。
最先端なのかそれとも変わっていらっしゃるのかそういう取り組みじゃないかなと思ってるんですよ。
そうですね。
何か僕もわりと隠居したいなみたいな感じのが多いのでさっきリタイアした人が田舎に行くと言っていたのをちょっと早くやってるみたいな。
…があるかもしれないですね。
phaさんはどういうところにその魅力を感じて…。
う〜ん。
都会は何かせわしないなというのがあって。
さっき若者は都会に行くというのがありましたけど僕も昔はそう思って東京に出てきたりしたんですけど何かしばらくいたらもういいやみたいな感じになってきて。
ちょっともう情報が多すぎるし。
それでまあもうちょっと田舎の方が逆に面白いしのんびりできるんじゃないかっていうので来てるという感じです。
phaさんみたいに同じ年代でも価値観が多様なんですよね。
そういう意味では移動することのフレキシビリティを上げるというのは生産効率を上げるというだけじゃなくて人生の質を上げるということに私は貢献すると思うんですね。
Phaさんは今後どういう場所で暮らしていきたいと思ってますか。
何か帰れる場所がいくつか複数あると安心だなというのを思うんですよね。
僕はいつホームレスになってもおかしくないみたいな事を思ったりもして。
寝る場所と食べるものぐらいは確保できるような場所があると安心だなと思って熊野に来てるのもあって。
いろんな場所にちょっとリスクヘッジというかちょっとずつ関わっていくと何か柔軟な生き方を組み立てやすいなって思っていますね。
ホントに柔軟な生き方が可能な社会なのかどうなのかが地方のこれからの在り方にすごく大きな影響を与えるものではないかなって思います。
地方に永住するしかないみたいな感じだと何か誰もなかなか来れないと思うんです。
どんどん人が減ってくばかりやと思うので何かそういう柔軟な形で2拠点とかそんな感じで地方を使えるようにした方が何かまあみんな幸せになれるのかなって思いますね。
そうですね。
だからやっぱり自分の生活に一番合ってる場所で。
都会で息苦しく暮らしてるのが本当に嫌やったら一番自分が適してる場所を探してみるっていうのは重要なことやなと思うんですよね。
僕もPhaさんと同じように自分が帰る家がなくなるんじゃないかという恐怖感が昔からずっとあるんで最悪Phaさんに連絡を取れば何とかなるかな。
来てください。
…と思いましたし。
すごい。
先生も勉強になりました。
ありがとうございました。
「移動式公共施設を発明して下さい」。
2014/08/19(火) 00:00〜00:25
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「ボクら、地方で暮らします!」(後編)[字][再]

熊野に移り住んだ若者達は、廃校した小学校をブックカフェによみがえらせた。要らなくなった行政施設を活用した例だ。さらに経済学者も驚きの新たな地方暮らしがあった!

詳細情報
番組内容
和歌山県新宮市は人口およそ3万人。減りゆく住民へのサービス維持が大きな課題だ。市は高齢者向けに週に1度の無料送迎バスなど走らせる一方で、移住してきた若者達も動き出した。廃校の活用を行政に提案し、自力で補修してブックカフェをオープン、NPO法人を立ち上げ運用している。こうした取り組みが話題を呼び、首都圏や関西の若者が共同で廃屋を借り、都市と地方を行き来して暮らす柔軟な「地方暮らし」も始まっている。
出演者
【ゲスト】NPO「山の学校」代表…柴田哲弥,プログラマー・ライター…pha,【出演】又吉直樹,【解説】日本大学教授…中川雅之,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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サンプリングレート : 48kHz

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