(風間)
「僕はちゃんと生きた。
学生時代は常に友達と遊びスポーツ好きで恋愛好きで酒好きでいろいろ好きで少しは勉強もした。
社会人になるとほとんどの先輩上司に叱られながらかわいがってもらい仕事を楽しみしっかり貢献もして会社を出たらまた16歳に戻るような毎日だった。
楽しく充実した幸せな恵まれた日々を送り未来の計画夢は大きくたくさん持っていた。
人生の全てが変わった瞬間。
筋萎縮性側索硬化症ALSと宣告された時情緒不安定めまい悔しさの極限。
ふざけんな」
藤田正裕さん34歳。
3年半前全身の筋肉が徐々に衰え体が動かなくなる難病ALSを発症しました。
藤田さんは大手広告代理店のプランニングディレクターとして活躍していました。
原因不明でいまだ治療法がないALS。
それでも仕事の第一線に立ち病と闘い続けています。
生きる事とは何か。
藤田正裕さんからのメッセージです。
僕たちはみんなつらい事悲しい事悔しい事にぶつかり前に進めなくなってしまう時があります。
そんな時見えない壁を壊してくれるのは誰かが言ってくれた何気ないひと言かもしれない。
ある朝ふと思いついた小さな気付きかもしれない。
再び一歩前に踏み出すヒントを探る「ブレイクスルー」。
今日の主人公は藤田正裕さん。
愛称ヒロ。
難病と闘う広告プランナーです。
ヒロさんは去年自らの闘病の日々を一冊の本にまとめました。
「僕は今この文章を目で書いている。
正確には視線とまばたきでパソコンを操作して書いている。
なぜならもうキーボードをたたく事ができないから。
僕は藤田正裕。
父の仕事の関係で海外での暮らしが長くみんなからはヒロと呼ばれている。
僕はALS患者だ」。
広告プランナーとして活躍するヒロさん。
出勤の準備。
ファッションにはこだわりがあります。
Tシャツは親友のギタリストCharからもらったもの。
そして香水をひと吹き。
念入りにひげの形を整えます。
今ヒロさんが動かせるのは目と唇だけ。
自分の力で息をする事もできなくなり去年人工呼吸器をつけました。
それはALS患者にとって大きな決断です。
体が全く動かなくなっても生き続ける覚悟を決めたという事です。
どんな時も自分らしく。
この日の通勤のBGMはドキュメンタリー。
もしかして今回の撮影にちなんだ選曲かな。
コーディネートの最後はスニーカー。
20足以上あるコレクションの中から今日はブラック。
最後に足を組んで準備OK。
父親の転勤で海外暮らしが長かったヒロさん。
スイスイギリスアメリカ。
自由奔放やんちゃな子どもでした。
「小学生のころ平日はアメリカンスクールに通い毎週土曜に日本語の補習校へ行った。
その日本語の宿題がイヤでしょうがなかった」
「ある日親が兄を迎えに行く間『ヒロは漢字をここまでやっときなさい』と…。
絶対イヤだ。
いろんな言い訳を考えたが全部すでに使用済みだった。
なぜか『骨折るしかねー』と思った。
2階の階段から落ちてみた。
けどちょー痛いだけ。
腕をソファとソファの肘置きに乗せて踏んで膝蹴り入れてみた。
ちょー痛いだけ」
18歳。
ハワイの大学へ進学したヒロさん。
世界中から集まった仲間たちと交流し自由な学生生活をおう歌しました。
勉強はそこそこ。
でも将来の夢を見つけました。
世界を変えるような影響力のある仕事。
狙いを定めたのは外資系広告会社。
幹部に電話攻勢をかけ更に友人知人あらゆるつてをたどって入社を勝ち取ったのです。
そして手がけた広告はたちまち話題を集め最年少でプランニングディレクターに昇格するなど大活躍しました。
この日難航しているプロジェクトの戦略会議が開かれました。
ある大手飲料水メーカーからインパクトのある企業P.R.のアイデアを求められていましたがなかなかOKが出ません。
考える?更に新しいアイデアを提案すべきなのかそれともこれまで出したものを再検討した方がいいのか。
議論が煮詰まり前に進みません。
ヒロさんが目の動きでパソコンに文字を打ち始めました。
これすごいねヒロ。
ヒロさんは新しい企画を出すよりも今あるアイデアの中で実現性の高いものを練り直すべきだと主張。
自由に話せないヒロさん。
しかし核心をつくひと言で一気に議論を前に進めました。
スタジオにはヒロさんと会社の同僚の皆さんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
そしてヒロさんよろしくお願いします。
(安藤)VTRにもあったように相当おしゃれだと思うんですけどそこへのこだわりっていうものがどんなものなのかなと。
「マイブレイン…脳みそは普通なのでなるべく普通に見えてたいのかもしれない」。
服装って病気になる前となったあとってほとんど変わりはないですか?「はい。
ジーパンとTシャツだと思います」。
チームワークとコミュニケーションの会議の様子とかも全く普通すぎるぐらい普通以上にクリエーティブな会議だなと思って。
天の声が…。
天の声が聞こえて。
(白水)そうですね。
頭は切れるんで時間はそれなりに使いますけどそこは何も問題なく会議は進行できるっていう。
普通にアイデアを出しますし人のアイデアに駄目出ししますしそれをふだんどおりやってます。
「先生たちから『親も呼んだ方が』と言われた。
『何だよ大げさだな』と思い兄と2人で話を聞く事にした。
病棟の小さな会議室に先生2人兄弟2人。
2010年11月26日ALSと宣告された。
先生がこの病気の事を細かく説明してくれたが内容はほとんど覚えていない。
ただゆっくり全身まひになり死ぬ。
そして治療薬はないという事だけ分かった」。
この時から今また時がたって宣告された時を思い返すとどんな感情ですか?
(尾崎)「つらいだけです。
いまだに『何で俺?』って思いその時ももう訳分かんない。
今もそうです。
毎日上がったり下がったりちょっと頭が変になっちゃう時もあります」。
ジェットコースターに乗り続けてる感じ…。
はい。
「ある夜中学時代の仲間たちと集まって飲んだ。
一人につきあってくれと言って外まで車椅子を押してもらった。
みんなといたせいで気が高ぶっていたのかもしれない。
外で大泣きした。
するとそいつは少しも動かずひと言も話さず10分ぐらいただ立って同じ方向を見ていた。
その時一番必要としていた最高の慰めだった」。
少し羨ましさを感じるような仲間との結束なんですけれどもヒロさんにとって仲間の大切さっていうのを改めて教えてほしいんですけど。
(尾崎)「本当に恵まれた環境にいると思います。
仲間がいなかったらこの呼吸器もつけてないかもしれないです」。
「一人…一人の友達が言ってくれたのが立場が変わってたらヒロも同じ事をしてたからって言ってくれて。
そう信じたいです」。
すばらしい言葉ですね。
何かホントに思ったのがもともと前の写真を見ててもきっと輪の中心にいる人の心を集める人だったとヒロさん思うんですけれども今こうやって対面して目を見てるとホントに求心力というか目の吸い込まれそうな力がすごいなっていうふうにモテんだろうなっていうか…こうやっぱりかっこいいなって思います。
(尾崎)「まだまだ」。
(笑い声)ヒロさんが実際に仕事を続けていけるかどうか悩んだ時に上司の方に言って頂いたひと言に救われたと聞いたんですけどそれどんな言葉だったんですかね?頭がクリアーなので我々の仕事広告の仕事っていうのは頭がクリアーであればできるから別に今までどおり仕事をすればいいじゃないかっていうような話を上司が言っていたっていうふうに聞いています。
それを聞いた時にヒロさんはどういう気持ちでした?
(尾崎)「僕には自分にとっていい事やらなきゃいけない事をやればいいって言ってくれました」。
ヒロさんにとって仕事って会社ってどういう存在ですか?
(尾崎)「自分の存在意義を作ってくれる。
今会社で頼ってもらうすごい心の支えになってます」。
ALSと闘う。
ヒロさんは会社の仲間たちとENDALSという団体を立ち上げました。
この病気を広く知ってもらい患者へのサポート体制や治療法の確立を目指しています。
現在全国の病院を回り患者がどんな支援を求めているのか聞き取り調査をしています。
ALS自体があまりよく分からなかったんで病気の名前もあまり…名前ぐらいしか分からなかったんで…。
病院で検査技師として働いていましたが5年前ALSを発症しました。
やっぱこう会話をしたいですね。
人とね。
それはご家族…。
家族でも友人でも。
ALSを発症したのは12年前。
今ではほとんど体を動かす事ができません。
人づきあいが大好きな待井さんはパソコンやインターネットを使って家族や全国の患者仲間と交流を続けています。
僅かに動く右手の親指でパソコンを操作して気持ちを伝えます。
待井さんはALS患者にとって自由にコミュニケーションできる事が何より大切だと訴えました。
「ALSでも健常者と心は変わりません」。
ヒロさんたちはこうした患者の気持ちをまとめ国に政策提言したいと考えています。
更にヒロさんの声を仲間たちが朗読し世界に発信しています。
お前とお前のつまんねえ生活への愚痴や言い訳もうさんざん。
正直クソ食らえ。
お前にはその状況をどうにかする選択肢があるからこそその愚痴や言い訳を吐ける。
その出来事のジャンル自体に参加する事さえが取り上げられた時さっきまで愚痴ってた事がありがたい事に聞こえてくるはずだよ。
なのでその選択肢があるならベラベラしゃべってねえで黙って解決しろよタコ。
駄目だ。
俺めっちゃ嫉妬してる。
このENDALSっていうのは皆さんどのような思いで立ち上げられたんですか?
(尾崎)「治るためです。
それだけ。
その目的のために重要な事を少しでも貢献する事ですね」。
広告プランナーで広告チームがここで出会ったっていう事の意義が任務のように今見えてきてそこの才能のある人たちがこの病気に出会った。
(大木)今おっしゃって頂いたみたいにヒロは自分がなったのには何か理由がある。
…で貢献したい。
やっぱり患者さんでここまでいろんな事をコミュニケーションできる方って少ないと思うんですよね。
なのでやっぱりヒロがこういうふうに頑張ってるのを我々応援したい。
できる限りの事はしたいと私たちも思ってるし会社としても頑張れっていう事でサポートをしています。
尾崎さんいかがですか?私もヒロだとすごい多くの人が悲しんでしまうのに何で自分じゃないんだろうとか考えてたんですけどでも今はきっとヒロだからこの病気のためにこういう活動をやったりとか力がすごくある人なのできっとヒロだったからなんだなと思って…。
なのでこういう活動もホントにすごい勢いで広まって自分だったらこんな力なかったので…そういう一回自分に置き換えて考えたりもした事があるのでそういう気持ちで参加してます。
「普通はもっと年上がなる病気だけど若い分自分が頑張らないと駄目だなと思いました。
アメリカヨーロッパと日本をつなげてALSを終わらせる使命感はあります」。
ヒロさんの母校です。
この日ヒロさんは講演を頼まれました
起立。
気を付け。
礼。
(一同)よろしくお願いします。
あなたはALSです。
平均寿命3〜5年。
発症原因は不明。
治療法なし。
以上。
ALSを知ってもらいたい。
ヒロさんはありのままの体験を語ります
想像して下さい。
一日ごとに筋肉が一つずつ使えなくなる恐怖。
そして絶望の中で心から感じた大切な事。
ヒロさんは生徒たちにどうしても伝えたい事がありました
今日はすばらしいお話をありがとうございました。
「僕は楽しむ事だと思います。
なるべく多くのものを楽しむ事が生きる事」。
2014/08/18(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー「広告プランナー“ヒロ”難病ALSとの闘い」[字]
新企画ブレイクスルー。第2回は、全身の筋肉が衰えていく難病ALSと闘う広告マン。彼が、人生をかけて伝えたいメッセージとは。出演:風間俊介・安藤桃子、音楽:若旦那
詳細情報
番組内容
ハートネットTVの新企画「ブレイクスルー」。壁にぶつかって悩んだとき、一歩前に進むためのヒントを探る番組だ。第2回の主人公は、全身の筋肉が衰えていく難病ALSと闘いながら、大手広告会社で働く藤田正裕さん、愛称ヒロ。今も会社に通い第一線で活躍するだけでなく、ALS啓発の社会活動も行うヒロが、“人生をかけて”伝えたいメッセージとは。【出演】風間俊介(タレント)、安藤桃子(映画監督)【テーマ音楽】若旦那
出演者
【出演】風間俊介,映画監督…安藤桃子
ジャンル :
福祉 – その他
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
福祉 – 障害者
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