花子とアン一週間 第20週「海にかかる虹」 2014.08.18

・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」
大震災から3年目の夏。
歩はもうすぐ5歳になります
(花子)歩ちゃん!おじぃやんとおばぁやんが来てくれたよ。
(吉平)歩〜。
グッドイブニ〜ング!
(歩)おじぃやんおばぁやんグッドイブニング!てっ歩!もう海水着着てるだけ?歩ったら明日が待ち切れなんで朝から大騒ぎさ!ああ〜こんだけてるてる坊主つるしゃあ明日はきっと晴れるら。
(雨の音と雷鳴)歩ちゃん…。
海水浴はまた今度ね。
やだ。
みんなで海水浴するんだもん!
(泣き声)歩ちゃん。
みんなと一緒にお弁当食べましょう。
雨なんか嫌いだ!ずっと降らなきゃいいんだ!「今日のようにある暑い夏の朝の事です。
小さなひとひらの雲が海から浮き上がって青い空の方へ元気よく楽しそうに飛んでいきました。
ずっと下の方には下界の人間が汗を流しながら真っ黒になって働いておりました」。
「あんまり太陽の光線が強いので人々は時々空を見上げては雲に向かって『ああ…あの雲が私たちを助けてくれたらな』」。
さあ雲は何て言ったと思う?「助けてあげるよ」って。
そうね。
「下へ下へと人間の世界に下っていった雲はとうとう涼しいうれしい夕立の滴となって自分の体をなくしました」。
(英治)ほら。
まあ…。
雲は死んじゃったんだね。
ええ…。
でもね雲が降らせた雨で苦しい苦しい暑さからたくさんの人や動物や木や草花が救われたのよ。
じゃあ雨の事嫌ったらかわいそうだね。
うんそうね。
今日は雨で海に行けなくて残念だったけど今度の日曜日行こうね。
うん。
僕分かったよ。
(平祐)ん?何だ?歩。
雲はね雨を降らせて消えちゃったあと虹になるんだよ!ほうね!お別れにお空の虹になったんだ。
歩は神童に間違いありませんよ!いや〜全くじゃん。
(笑い声)
ある日の事。
花子に新しい翻訳の依頼がありました
(梶原)大急ぎで翻訳してもらえないだろうか。
はい。
是非やらせて下さい。
・「こっちがママアのダアリング」お母ちゃままだお仕事?歩と海に行きたいからこぴっと頑張ってるんだよ。
邪魔しないようにしような。
分かった。
そして日曜日がやって来ました
お母ちゃま起きて!早く海に行こうよ!てっ…。
もう朝…。
しまった!寝ちまった!早く!海海海!どう?行けそう?まだこれだけ…。
お母ちゃまの嘘つき。
締め切り間に合いそう?ええ。
今夜頑張ればなんとか。
お母ちゃま…。
どうしたの?歩ちゃん。
僕お熱があるかもしれないよ。
本当だわ。
随分高いお熱よ。
風邪ひいたのか。
(英治)歩?歩ちゃん?歩!?英治早く医者を呼べ。
はい。
歩ちゃん。
(平祐)歩!先生…歩は?
(医者)残念ながら疫痢の可能性が高い。
(英治)疫痢…。
そんな…。
(医者)もうお時間がないので抱いてあげて下さい。
花子さん…。
お母ちゃま。
何?歩ちゃん。
僕が「お母ちゃま」と言ったら「はい」ってお返事するんだよ。
お返事しますとも。
お母ちゃま。
はい。
お母ちゃま…。
はい。
お母ちゃま…。
…ちゃま。
はい。
はい!歩ちゃん?歩…。

その日の明け方歩は息を引き取りました
(郵便配達員)電報です。
(蓮子)歩君が…。
はなちゃん…。
(戸が開く音)
(英治)花子さん。
蓮子さんが来て下さったよ。
はなちゃん…。
蓮様…。
歩…。
「お母ちゃま…お母ちゃま」って…。
はなちゃん…。
歩…。
(泣き声)歩!
(泣き声)はなちゃん…。
(泣き声)
蓮子が再び花子のもとを訪れました
はなちゃん…。
こんな事しかできなくてごめんなさい…。
蓮様…。
ありがとう…。
「あすよりの淋しき胸を思ひやる心に悲し夜の雨の音」。
「母と子が並びし床の空しきを思いやるなりわれも人の親」。
「われにさへけさは冷き秋の風子をうしなひし君がふところ」。

蓮子から贈られた歌の数々が花子を仕事に向かわせました
英治君。
これ。
申し訳ない事をしたかもしれないな…。
「歩ちゃん。
あなたと一緒にこのご本を読みたかったのですよ」。
「でももうあなたは天のおうちね…。
お母ちゃまはバカでしたね…。
こんなに早く天国に行ってしまうなら仕事ばかりしていないであなたのそばにずっといてやればよかった…」。
(雨の音)「雨が降ってきました…。
お母ちゃまの心にも雨が降っています…。
かわいいお宝の歩ちゃん…。
お母ちゃまの命はあなたの命と一緒にこの世から離れてしまったような気がします」。

(泣き声)英治。
花子さんどこ行ったんだ?ゆうべ徹夜したのでまだ寝てるはずですが…。
いや…どこにもいないぞ。
えっ?はなちゃんいなくなったんですか?すみませんが連絡があったら教えて下さい。
(戸が閉まる音)
(浪子)早まった事考えなきゃいいけどね。
えっ…。
父さん!おお…。
花子まだ戻ってませんか?ああ。
僕が目を離したりしなければ…。
おばさんナミダさんのお話して!僕はみみずのフト子さんの話がいい!はなちゃん!花子さん!心配したよ…。
早くに目が覚めてしまって…散歩に行っただけよ。
僕を置いて一人で歩のところに行こうとしたんじゃない?海に連れていけばよかった…。
仕事なんかしないで…海に行けばよかった…。
行きましょうよ…。
これから海に行きましょう。
もうここに来る事もないと思ってたわ。
思い出なんてつらいだけだもの。
仕事なんてしないでもっとそばにいてやればよかった。
もっと私がちゃんと見ていれば歩ちゃん…あんなに早く天国に行く事もなかったのに…。
花子さん!そんな事ないって!私みたいな母親のところに生まれてこなければ歩はもっと幸せになれた!私の子になんか生まれてこなければよかったのに!花子さん!それは違うよ!歩言ってたんだ。
「神様に頼んだ」って。
回想神様と雲の上から見てたんだ。
そしたらお母ちゃまが見えたの。
雲の上から?お母ちゃま英語のご本を読んだり紙にお話を書いたり忙しそうだったよ。
でも楽しそうだった。
だから神様に頼んだの。
「僕はあの女の人のところに行きたいです」って。
歩がそんな事を…?歩は本当に君を選んでこの地上にやって来てくれたような気がするんだ。
君は歩が選んだ最高のお母さんじゃないか。
はなちゃん!てっ…。
回想僕分かったよ。
雲はね雨を降らせて消えちゃったあと虹になるんだよ!そうね。
お別れにお空の虹になったんだ。
英治さん。
私もっと忙しくなってもいい?これからすてきな物語をもっともっとたくさん子どもたちに届けたいの。
歩にしてやれなかった事を日本中の子どもたちにしてあげたいの。
大賛成だよ。
はなちゃん…。
歩…。
ありがとう…。
花子は書き始めました。
歩に話してやったお話を思い出しながら
2014/08/18(月) 01:50〜02:10
NHK総合1・神戸
花子とアン一週間 第20週「海にかかる虹」[字]

花子(吉高由里子)は仕事が忙しくなり、息子・歩(横山歩)と海へ行く約束を先延ばしにする。歩と海に行けるよう仕事を頑張る花子。だが、歩が突然の病に冒され息絶える。

詳細情報
番組内容
第20週「海にかかる虹」
出演者
【出演】吉高由里子,伊原剛志,室井滋,鈴木亮平,賀来賢人,中島歩,横山歩,藤本隆宏,角替和枝,中原丈雄,仲間由紀恵
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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