(パトカーのサイレン)
(三浦信輔)殴られて刺されたのか。
(芹沢慶二)あれが被害者の帯川さんが運ぼうとしていた荷物です。
(伊丹憲一)社長1人でか?ええ。
帯川運送は従業員5人の会社だとか。
(米沢守)え〜死体のそばに。
凶器ですな。
被害者の財布には現金3万円余りがありました。
じゃあ犯人の狙いは…おい荷物か?いやなくなった荷物はありませんでした。
物取りじゃないとすると怨恨か…。
おい凶器に指紋は?
(米沢)残念ながら被害者が抜いた時に消えたようですな。
被害者が抜いた?自分でカッターナイフを?ええ。
カッターナイフに付着した血痕の状況からそのようですね。
自分で刺したって事は…ないよな?ないですねえ。
刺された箇所がここでこの角度ですから。
それも結構な深さですね。
殺しに決まりだな。
あ…!これうちが使ってるカッターです。
ねえ?あれ?でもこれってちょっと…。
(伊丹)なんですか?借金の書類が多いですね。
被害者に金貸した人って一応捜査対象ですよね?ああ。
この手の書類の分析には財務捜査官の助けが必要だな。
手伝ってくれるかなあ?捜査二課ですか…。
(中園照生)先の衆院選における公選法違反の洗い出しによって捜査二課は現在多忙を極めている。
(内村完爾)お前は昔二課にいたな。
それなら簡単な財務分析ぐらいは出来るはずだ。
(杉下右京)僕に二課の仕事を手伝えと?お前が手伝うのは殺人被害者の財務分析だ。
お前は財務分析だけをすればいい。
捜査に余計な口を挟むな。
わかったな。
(神戸尊)あのこんなものが。
被害者のデスクに。
気になりません?うん…。
なぜ神戸警部補殿がここにいるのかが気になります。
一応あの方の部下ですから。
セットだと思ってください。
(三浦)「杉田哲明十一月五日」…。
11月5日…被害者が殺された前の日ですね。
(三浦)あのおととい辞めた方がいるようですけど。
(澤村和也)まあ歩合給のカットも続いてたんで。
(芹沢)会社苦しかったようですね。
苦しかったどころではありません。
財務分析の結果3年前から帯川社長を含めて従業員の給料分すべてが赤字です。
当然決算は赤字。
借り入れの総額は帯川社長個人を含め帳簿上で一千万円近く。
それも日に日に増えています。
当初は地銀や信金からの借り入れだったのですが2年前から商工ローン最近ではカードローンや消費者金融。
しかも2年前から売り上げより借り入れの方が上回っています。
怪しげな金融業者ばっかりですね。
専門家に相談すれば倒産を勧められる状態ですねえ。
ちょっとお聞きします。
帳簿に度々出てくる借入先緊急互助会というのはどちらの業者かご存じですか?そういう事は僕らにはわかりません。
資金繰りは社長1人で動いてたので…。
その業者が何か?計算したところ年率1000パーセントを超えています。
1000パーセント!?しかもその借入先だけ書類がありません。
異常な金利契約書類がない…多分ヤミ金ですね。
おいこのヤミ金探すぞ!はい。
(伊丹)ご主人の死亡時に三千万。
奥さんは昨日の夜10時から12時どちらに?
(帯川郁美)私を疑うんですか?いえ事務的な質問ですから。
(帯川美咲)その時間ならお母さん私と家にいました。
娘さん以外にそれを証明出来る方は?そんな…だってそんな時間…。
話は変わりますけれど…。
この業者これどこのでしょう?知りません。
知らない?私は会社の経営にタッチしていませんから。
この連帯保証人これ奥様ですよね?それでこちらは奥様のお父様。
もう一度伺いますね。
この業者これご存じありませんか?
(米沢)死亡推定時刻は昨日6日の22時から24時頃ですね。
米沢さん。
はい。
こちら被害者の携帯の履歴ですがこの番号の契約者を調べてもらえますか?はあ。
この番号だけ何度も着信があるのにこちら発信履歴にありません。
ヤミ金融からお金を借りる場合借り手が電話をかけるのは最初だけであとはヤミ金融からの催促だけになります。
なるほど…。
だから着信だけの番号に注目したわけですね。
え?ヤミ金って非通知にはしないんですか?借り手が自殺や事件を起こした場合あからさまに怪しい履歴は捜査対象になりますからね。
あなるほど…。
こちらが例の緊急互助会かもしれません。
捜査本部が調べてると思うので確認をしておきます。
どうもありがとう。
いえ。
これって凶器ですよね。
(米沢)ああ…これちょっと気になるんですよねえ…。
(伊丹)なんですか?あ…いや1枚目の刃が欠けてません。
うちでは必ずカッターの刃のここのところを欠けさせておくんです。
こうする事で刃が折れたらすぐわかりますから。
折れた刃が荷物に混じったりしたら取り引き停止になる可能性もありますからね。
でもこれ1枚目の刃欠けてませんよ。
被害者を刺した時に折れちゃったんじゃないですか?現場をくまなく探しましたがありませんでした。
ん…じゃあ被害者の体の中とか?解剖の結果見つかりませんでした。
じゃあ…どこに?おや…携帯にこんなデータが。
お届け先は「新潟県長岡市寺泊」。
受付日は…昨日ですね。
つまり被害者が殺害された日。
なんでこんな写真を?うん…。
ええ気になりますねえ。
いい加減にしてください!さっきの刑事さんに全部話しましました。
ホントに母が父を殺したと思ってんですか?うん?さっきの刑事さんがそう言ったの?それは…。
でも明らかに母を疑ってました!美咲…!やめて近所に聞こえるから。
5年前にご主人の入った生命保険が三千万。
一般的な金額です。
これだけで強制捜査は出来ません。
でも…私が会社の借金の連帯保証してるとか言われて…。
それも社長の奥様としては一般的な行動です。
会社を…潰して…。
はい?父を保証人にする前から何度も頼んだのに…。
「会社を潰したら明日からどうする?」「社員たちの生活はどうなる?」「その家族たちはどうなる?」ってそんな事ばっかり!奥さん落ち着いて…。
そうやって潰す機会を逃してあの人はただ傷を大きくして…!そうやって私たちに迷惑ばっかり!奥さん…。
もう遅いわよ。
今さら後悔したって…。
(帯川勉)俺鬼になるよ。
鬼になって社員クビにする。
それで…会社潰してふるさと帰るよ。
後悔…してましたか。
ひとつよろしいですか?神戸君。
はい。
このお届け先に心当たりは?寺泊…。
主人のふるさとです。
え…?もう知り合いもいないけど。
この人は?知りません。
この人に電話で確認したところ送り主はこの人でした。
知りません!一体なんなんですか?これはご主人の携帯にあった写真です。
なぜご主人は…?知りませんよ!この写真が主人が殺された事と何か関係があるんですか!?いやまだわかりません。
落ち着いて…。
落ち着けるはずないじゃない!夫が殺されてその上犯人扱いされて…!いや犯人扱い…。
私明日からどうしてったら…!どうやって生活してったら…。
私たち…保険が出るまでどうやって…!
(嗚咽)
(美咲)刑事さん!刑事さんが帰ったあと父の部屋を探したら…。
杉下さんこれ…。
(美咲)その刑事さんこの事訊いてたからだから…。
どうもありがとう。
お預りしておきますね。
お母さんが落ち着いたら連絡して。
まだお母さんを疑ってるの?多分何か力になれると思うから。
ね。
じゃ。
私…。
今日学校行ったらすぐ帰れって先生が。
お父さんに何かあったみたいだって。
もしかして死んじゃったんじゃ…。
自殺しちゃったんじゃないかって電車の中で泣いちゃった。
そっか…大変だったね。
違うんです!殺されたって聞いてホッとしたの。
お父さんの様子が変だって気づいてた。
会社大変そうだって。
でも声かけられなかった!わかった落ち着いて。
きっとそのせいで自殺しちゃったんだって…。
だから…私お父さんが殺されたって聞いてホッとした…!ひどい娘なんです!君が自分を責めてもお父さんきっと浮かばれないよ。
なんで…。
なんで殺されたの?お願いです!父を殺した犯人を見つけてください!もちろん犯人を捕まえるために我々は全力を尽くしますよ。
大丈夫ですかね?あの親子。
突然一家の主が殺され警察の捜査が入る。
取り乱すなというほうが無理かもしれませんねえ。
借金の整理もあるだろうし…大変ですよね。
あ…住所はここですけどホントにヤミ金ですかね?同友会…例の互助会はこの中にあるのでしょうかねえ。
ええうちは緊急互助会の事務所も兼ねてます。
会員から借りたお金を別の会員に貸し出すシステムのようですねえ。
しかも無利子で。
ああ互助会の副会長です。
(青木誠)青木配送センターの青木でございます。
突然お呼び立てしてすみません。
互助会の明細書を見る限り融資に利子はないようですね。
ええもちろん。
会員から会員への純粋な善意ですから。
あ会長です。
緊急互助会の。
突然お呼び立てしてすみません。
(須磨賢太郎)うちの互助会をヤミ金とお疑いだとか。
1000パーセント以上の金利で融資をしている業者を探しているのですがこちらは違っていたようですね。
当たり前です。
ええ純粋に運送業界の互助会のようです。
しかし例えばこちら。
50万の融資を受けた方がひと月で返済してその謝礼を5万払っている。
年率にすると120パーセント。
違法な金利ですねえ。
いえいえ杉下さん。
それ年換算の場合でしょう。
同業者同士の助け合いにそんな厳しい事言っても…。
このような方法を続けた場合違法になる可能性があるとご忠告申し上げてるだけですよ。
それでもそうやって資金を回していく以外我々に生き残るすべはないんだ!今はどこも運転資金の貸し出しには消極的なんで。
(須磨)我々にとって運転資金は生命線ですから。
帯川運送が互助会から融資を受けたという記録はありませんでしたね。
どっかのヤミ金に金を借りるたび互助会に借りてた事にしてたんですよ。
業者の特定急ぎましょう。
残る手掛かりはあの発信だけの携帯番号ですねえ。
(携帯電話の振動音)おっ…。
(携帯電話の振動音)もしもし。
(米沢)この番号飛ばしのプリペイド式でした。
現在の持ち主は不明です。
そうですか…。
(美咲)思い出したんです。
父がきのう電話で誰かともめてたのを。
(帯川)大丈夫心配ないから。
配達の時間だ。
切るよ。
君が辞めたとかそういう問題じゃない!
(帯川)だから…。
(杉田哲明)多分その電話僕です。
あそこを辞めた翌日澤村から電話があったんです。
お前が突然辞めたからドライバーが足りなくなってそれで帯川社長その大口の仕事断ったんだよ。
えっ…?新潟にある100円ショップの工場から東京の倉庫までオリジナルブランドの商品を運ぶ仕事だったそうです。
ミスしなければ定期的な顧客になるって…。
会社を立て直すチャンスだよね。
だからさすがに申し訳ないと思ってそれで…。
代わりのドライバーが見つかるまで俺掛け持ちで働きますから!
(帯川)「大丈夫心配ないから」「配達の時間だ。
切るよ」でもそんな大きな仕事俺が辞めなければ…!
(帯川)「君が辞めたとかそういう問題じゃない!」新潟から東京までの仕事ですか。
ところでこの新潟行きの荷物ご覧になった事は?いや…。
うち…あいや帯川運送にあったものですか?帯川社長が撮った写真だと思います。
なんでこんな写真を…?それがわからないので気になっています。
ちなみに…お届け先のこのお名前にご記憶は?こちらが送り主なんですが。
知りません。
あ…でももしかしたらこれ新潟に行く時に載せる荷物のひとつだったのかもしれません。
あの結局その仕事どうなったんですか?他に回すって言ってました。
ああ他の荷物と一緒にちゃんと運びました。
その後新潟から東京へ100円ショップの荷物を運んだわけですね。
ええ。
(あくび)すみません。
さっきその仕事が終わったばかりで。
社長がご自分で運んだんですか?ええ。
大口の荷主になるかもしれない大事な仕事なんで。
我々ときのう会ってそのあとすぐに新潟へ?ええ。
そのお仕事初めは帯川運送にきたとか。
ドライバーが足りないから譲りたいとおととい急に帯川社長から連絡があって。
それきのうお会いした時は話してくれませんでしたね。
僕たちが帯川社長の件で来た事はご存じでしたよね?それは…。
(伊丹)失礼します。
…あ!どうも。
どうもじゃありませんよ!警部殿…捜査はするなと言われてますよねえ。
我々と同じ捜査員です。
あなた方は捜査員じゃありません。
はいすみません。
青木社長。
はい。
おとといあなたがこの100円ショップに出した見積書です。
金額が空欄…これどういう意味でしょう?運送料金はいくらでもいいという事でしょう。
警部殿には訊いてません。
つまりこうやって帯川運送にきた仕事を奪った。
奪ったんじゃない。
譲ってもらったんだよ。
ものは言いようですねえ。
詳しく話を聞きましょうか。
だから言わなかったんだよ。
疑われるから!ちょうどうちも新潟行きの荷物抱えてて安くてもいいから帰りの荷物を探してたんだ。
そしたら…。
(帯川)「急な話ですがうまくいけば定期の大口になります」いいんですか?ありがとうございます…!
(伊丹)そんな大きな仕事を電話一本で譲ってくれたんですか?それは…ちょっとは変だと思ったけどうちも切羽詰まってて今度不渡り出したらもう…!ほら!これ領収書ですよ。
その仕事の仲介料の!わかるでしょう?譲ってもらったんですよ!こちらは帯川さんの書いたものですか?
(青木)決まってるでしょう!一応筆跡鑑定させてもらいますよ。
あの領収書確かに帯川社長の筆跡でした。
そうですか…。
(角田六郎)忙しい?あ課長。
警部殿に頼まれた件だけどさああの飛ばしの携帯の番号使ってるヤミ金。
指定暴力団系にはなかったよ。
そうですかありませんでしたか。
(角田)うん。
お手数をおかけしました。
コーヒーね。
もちろんです。
神戸君。
はい。
君ならどうしますか?そのヤミ金を見つけて摘発します。
なるほど。
杉下さんは?同感です。
(携帯電話の振動音)あっごめんなさい。
「保険金が出るまで待ってほしい」母は電話でそう言ってました。
つまり債権回収の電話がかかってきた。
はい。
この番号からでした。
確かこの番号あの飛ばしの携帯の…。
そのようですねえ。
ねえお母さんはここの人に何時に会うって?
(大木長十郎)どうも。
あのマンションの301ですよね?ええ。
調べたところやはり無登録業者のようです。
(小松真琴)入居は1か月前で多分定期的に引っ越してます。
きっと飛ばしの携帯や使われてる口座も客から奪ったものでしょう。
被害届や告発状が出されて警察が動いてもその時はもう追えなくなってるってパターンですね。
すみませんねえ。
ヤミ金の摘発は担当ではないのに。
いえ課長もめったにないチャンスだって。
ではまいりましょうか。
はい。
(鈴原修)ホントに困ってるんですよ。
ええ…息子さんが。
このままでは息子さんの会社に連絡しなくては。
いやもちろんそう思ってこうしてお父様にご相談を。
(ドアが開く音)
(大木)はい手を止めて。
警察です。
こちらが金融業者だという通報がありました。
(小松)はい動かない。
事実関係を調べますのでご協力を…。
なんだよ!令状は…!その前に…これはなんでしょう?いろんな人のものがありますねえ。
客が逃げられないように強引に預かっちゃった?令状はすぐにでも取れそうですね。
「もしもし?」失礼。
「もしもし?もしもし?もしもし!」ああちょっといいですか。
はいお電話代わりました。
「あの…借金のほうは必ず返します!」「とにかく息子の会社には電話しないでください!」お父様ですね?こちら警察です。
「…は?」冷静に聞いてください。
この業者はヤミ金融だと判明しました。
したがって借金は元金も利子もそちらに返済の義務はありません。
「本当ですか!?」本当ですよ。
「ありがとうございます!」はいどうも。
そうなんですか!?もちろんそのような法的根拠だけでは社名や住所をコロコロ変えるヤミ金に対して実質効果はありません。
しかし今回は摘発出来ましたのでその法的根拠が通ります。
調べたところこちらからの借り入れはすべてそのヤミ金からでした。
それじゃあそれ全部返さなくていいんですか?夫が殺されたっていうのにお金の事ばっかりでしたね。
それだけ常にお金に追い詰められていたのでしょう。
これだけ融資金額がハンパじゃないしなあ…。
おおあのヤミ金さあしょっ引いた2人も入れて従業員は4人だった。
暴力団とのつながりは?今調べてる。
でさちょっとこれ見てよ。
300万以上融資している顧客の名簿ですね。
あああの業界には珍しくこんな大口も扱ってたみたいだ。
こりゃ意外に余罪も多いかもしれないよ。
神戸君。
はい。
「須磨賢太郎」…あ!
(角田)うん?須磨賢太郎。
なんでこんなところから借りるんですか?互助会は?人に貸せるような余裕のある会員が減ったんですよ。
それにこれだけの大金ですからねえこれを見る限り数日ごとに取り立てをされているようですが。
しかしもう取り立てられる事もありません。
フン…死んじまったからな。
はい?それを聞きに来たんだろ?どういう意味でしょう?俺を取り立ててたのは帯川だよ。
…え?貸すとこがなかったから俺たちが貸したんっすよ。
人助けだって言いたいのか。
そう。
俺たちが貸さなきゃ死んでた奴だっています。
ちょっとよろしいですか?どうぞ。
客である彼に債権の回収をさせていましたね?えっ!?
(ため息)なんのためにそんな事させたんだよ?大口の債権回収はねえ結構人件費かかるんっすよ。
だからって客にやらせる事ないだろう。
これも人助けっすよ。
金が返せないもう死ぬしかないって客をそうやって助けてやってるんです。
3日以内に現金がないと不渡りが出るんです!このままじゃもう死ぬしかありません!じゃあ死んじゃえば?
(鈴原)そういえばさ生命保険入ってるよね?三千万。
あれ?おたくのは自殺じゃおりねえのか。
だから俺が勧めたやつに入ればよかったんだよ。
これから入っても1年間は死ねないよ。
それならさ死んだ気になって働いてみる?そうやって債権の取り立て屋にするわけですか。
ギャラは出来高制で利息の一部をチャラにしてやる。
それでも元金と利息はほとんど消えないよな。
うちは高利っすよ。
結構いいギャラだと思いませんか?なんだったらもう少し融資してやろうか?少しだけ利息高くなるけどうちの仕事手伝ってくれるんだったらちょっとは引いてやるからさ。
やんなきゃここ潰れるねえ。
せっかく今日まで頑張ってきたのに残るのは莫大な借金だけ。
ハッ人生無駄にしたねえ。
長年尽くしてくれた従業員は?路頭に迷わすの?ん?確かほとんど40歳以上だよな?仕事あるかなあ?まあ俺の善意がいらねえっつうんだったら別にいいんだけどさ。
被害者は取り立てられる側だけじゃなく取り立てる側でもあったんですね。
そのようですねえ。
帯川社長の携帯の履歴です。
この番号だけ発信だけで着信履歴にありません。
ええ私の番号です。
ええ帯川社長から何度も電話があったようですねえ。
すべて取り立ての電話ですか?許せなかった…。
ヤミ金に苦しんでる人間の気持ちを誰よりもわかってたくせに…。
(帯川)社長…これ以上もう待てません。
同業者に荷物を回してもらうように頼んでる!そんな会社ありませんよもう!最近は荷物が減る一方だ。
それは私が一番よく知ってる!社長んとこ今月の支払いは100万近く来月はそれ以上足りませんよね。
でも切り崩す貯金もない。
お願いです!トラックを処分してください!なんで…なんでそんな事が言える!あんただって…!
(帯川)税金滞納してるでしょう?税理士に相談する現金もないでしょう?無料相談行っても関係者に謝って会社潰せって言われるだけだ!全部わかってる!1台処分すればとりあえずはしのげます。
私だってこんな事は言いたくないでも…!なんでこんな真似する!そこまでわかっているのになんで苦しめる!同じ業界の人間じゃないか!助けてくれ…助けてくれよ帯川社長…!変わるしかないんですよ…。
取り立てられる側から取り立てる側に変わるしか…。
(須磨)ふざけるな!最初に伺った時なぜ話してくれなかったんですか?言ったら疑ってたでしょ。
(ドアが開く音)
(芹沢)いると思った。
あ…どうして…?こちらの社長が被害者に取り立てられてたって話を聞きましてね。
その時にその人が被害者を殴ったのを見たという匿名の通報があったんです。
須磨社長ですね?あの…お話聞かせてもらえませんか?好きで取り立て屋になったわけじゃない。
生き地獄だったでしょうね。
ああそれもまだ訊いてない人がいましたね。
ええ。
他のみんなは?
(澤村)仕事を探してるんじゃないですか。
君はいいの?僕は…まだ気持ちの整理がつかなくて。
そうですか。
ちょっとこれを見ていただけますか?
(澤村)ああ新潟行きの荷物…。
ご存じでしたか?ここで仕分けた荷物です。
つまり帯川社長が殺された日に帯川社長と一緒にですか?ええ。
でも新潟行きの荷物も100円ショップの荷物も他の業者にいっちゃいましたけどね。
ん…?その事をここを辞めた杉田君に君電話してるよね?どうして?とっとと辞めてった杉田になんか言ってやりたくて…。
お前が突然辞めたからドライバーが足りなくなってそれで帯川社長その大口の仕事を断ったんだよ。
好きだったんだねこの会社が。
好きでした。
会社も…社長も。
帯川社長もここを潰したくなかった。
だから頑張りすぎてしまった。
でもここに君みたいな社員がいたなら少しは浮かばれるかもしれないね。
その100円ショップの仕事結局杉田のところにいったみたいです。
え…?皮肉ですよね。
ええ結局うちが運ぶ事になったんです。
それも僕が。
なんか運命感じますよね。
帯川社長のとこにきた仕事が回り回って僕のとこにくるなんて。
ちなみになんでそういう事に?実は…。
その理由は100円ショップの荷物にカッターの折れた刃が混じっていたからだそうですねえ。
その刃を借りて調べました。
鑑定の結果凶器であるカッターの先端でした。
帯川社長を刺した時それが犯人の衣服に付着しその後100円ショップの荷物に混入したのです。
よって犯人は100円ショップの荷物を運んだ人物。
それはあなたでしたねえ青木社長。
まさかこんな事でわかってしまうなんて…。
いえあなたの事が気になったのはもっと前です。
仕事の仲介料として被害者が書いた領収書。
被害者の死亡推定時刻は6日22時から24時頃。
しかしこの領収書の日付は…。
被害者は24時ちょっと過ぎまで生きていたみたいですねえ。
だからあなたに渡すこの領収書にこの日付を書いた。
つまり被害者の死亡時刻あなたは一緒にいたんじゃありませんか?領収書の筆跡が被害者のものだと判明した段階で僕はすぐにあなたに会おうとしました。
しかし…。
この事件の動機はヤミ金です。
あなたを逮捕すればあのヤミ金はすぐに雲隠れしてしまう。
しかしそれじゃあ帯川さんの遺族は救われません。
ですから先にヤミ金融の検挙という事になりました。
ヤミ金…うちも手出してますよ。
毎日資金繰りの事で頭がいっぱいでもうどうしたらいいか…。
追い詰められてました。
そんな時です。
突然帯川さんから連絡があったのは。
これで会社が助かった。
そう思いました。
(青木の声)仲介料を渡したいって言ったら…。
(青木)はい確かに。
(青木)あざ…どうしたんですか?
(青木)じゃあ失礼します。
帯川社長…。
本当にありがとうございました。
正直言ってうちの会社もうダメだと思ってました。
でもこれで生き延びる事が出来ます。
(帯川)じゃあ…。
(帯川)代わりに殺してくれないかな。
えっ!?社長…。
(帯川)お疲れさまでした。
社長…大丈夫ですか?帯川さん…。
(嗚咽)やっぱり同業者に迷惑かけちゃダメです…。
社長なら従業員も取引先も守らないと…!でも…もう疲れた…。
万策尽きました…!助けて…。
助けてください!
(嗚咽)
(帯川)迷惑はかけたくなかったのに…!死んですべてうまくいくならいつでも死にます!でも自殺じゃダメだ!それじゃ保険が出ない!せめて最後ぐらい妻にも子供にも従業員にも迷惑は…!
(青木の声)同じだと思いました。
自分と同じだと。
すみませんでした…。
お疲れさまでした。
(刺す音)
(青木の声)なんであんな事したのか…。
ただ…もう見ていられなかった。
(嗚咽)自分を見ているようで…。
楽に…してやりたかった。
(青木の声)自分の代わりに…楽に…。
ありがとうございます…。
あ…。
ふざけんな…ふざけんな!ああ…ちくしょう…!ああ…ふざけんな!ちくしょう…ちくしょう!きっとそのあと帯川社長は…。
(帯川)ううっ…。
(青木)やっと…肩の荷が下りました。
お金は人から冷静さを奪う。
それはわかりますよ。
でもなんで殺さなきゃならなかったんです?さっぱりわからないな。
ああそれも結局わからずじまいでしたね。
帯川社長なんでそんな写真を…。
奥さんがおっしゃっていましたねえ。
寺泊…主人のふるさとです。
これまでずっと懸命に会社を守っていた彼が耐え切れずに死にたいともらすと…。
死ぬしかありません!死んだ気になって働けと取り立て屋にされ…。
そうまでして会社を守り続けていたにもかかわらずある日従業員から退職願を出され…。
(須磨)ふざけるな!その翌日同じように苦境に立たされていた社長に取り立て行為をして殴られ…。
その瞬間切れてしまったのかもしれませんねえ。
これまで懸命に張っていた緊張の糸が。
そんな時仕分けをしていた荷物の中にこれを見つけた。
ずっと帰りたかったふるさとへ運ばれる荷物を。
だとしたら一体どのような気持ちでこの写真を撮ったのでしょうねえ。
(ため息)どうですか?久しぶりに花の里でも行きませんか?おや。
君に言ってませんでしたかね?ん…?何を?花の里はもうやってませんよ。
え!?え?どういう事です?そういう事ですよ。
え…なんにも聞いてませんよ。
たまきさんもひどいなあ。
そういう人なんですねえ。
ちなみになんでやめちゃったんです?とても一言では説明出来ません。
まあ君の好きなナポリタンでも食べながらゆっくりお話しするとしましょう。
えっ…?今週の新婚さんいらっしゃい!は「沖縄へいらっしゃい」と題しまして2014/08/17(日) 12:00〜12:55
ABCテレビ1
相棒 season10[再][解][字]
「ライフライン」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)の名コンビが難事件に挑む!豪華ゲストも見もの!
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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