日本!食紀行 2014.08.17

ずっと昔から島のじいちゃんが使ってきた斧。
薪でたく釜戸。
食堂で出すご飯を炊くタカちゃんです。
ちょっと音がしてきた。
わかりますか?昔ながらの方法を大切にして料理を作ります。
ここは瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
450人の島民は昔ながらの暮らしを守り続けています。
海の恵みは太陽の光で保存食に。
雨水を生かしてお米を作ります。
今も自給自足の暮らしです。
タカちゃんは島の魅力を伝えたくて食堂を始めました。
島の旬な食材にじいちゃんばあちゃんに聞いた調理法。
料理には海水も庭の葉っぱも使います。
島の知恵が詰まっています。
島のみんながタカちゃんの食堂のスタッフです。
近所に住むタミちゃん。
今日はビワをおすそわけ。
タカちゃんは島の温もりも料理に加えます。
今週の『日本!食紀行』は島の恵みを届けるタカちゃんの食堂。
昔ながらの味に学びます。
瀬戸内海に浮かぶ山口県上関町祝島。
日本最古の和歌集『万葉集』にも航海の安全を祈願する歌が詠まれるなど古くから海上交通の要衝として栄えた島です。
千年以上続く神舞神事。
4年に1度行われます。
島をあげて神様を迎える儀式。
古里を離れた島の人たちも大勢帰りみんなで一緒に祝います。
この時期は人の多さに島が沈むと言われています。
人口はおよそ450人。
高齢化率は7割を超えます。
広島県出身の芳川太佳子さん。
タカちゃんと呼ばれています。
4年前暮らし体験ツアーに参加した事がきっかけでその後すぐに移住し食堂を始めました。
島のおばちゃんたちからこの島で生まれた知恵も学んでいます。
タコ漁が盛んな島では夏にタコを天日で干して保存食にします。
冬はヒジキ。
大釜で炊き3日間天日で乾かすとやわらかいヒジキが出来ます。
生活の中で見出した一番美味しい作り方です。
これまで暮らしてきた町には24時間営業のお店がありいつでもどこでもなんでも買えました。
島の暮らしには町の便利さはないけれど豊かな自然の中で暮らしの知恵を教えてくれる人たちがいます。
島で得られる生活に豊かさを感じています。
ごめんねおじちゃん。
すいません。
食堂は石積みの練塀に囲まれています。
風が強い祝島独特の造りです。
これと床の間をアジサイにして…。
食堂で出すのは島でとれた食材で作る定食だけです。
電気代がもったいないので電気を使わず外からの光を大切にしています。
三つ葉は海苔と合わせます。
味噌汁は昆布だしです。
昔ながらの味付けです。
次何しようかな…。
定食の献立は予約が入ってから考えます。
その時一番美味しい食材をバランスよく並べたいからです。
小松菜と…三つ葉。
島の人に教わった調理方法で作ります。
魚を傷つけない一本釣り漁でとったタイとアジ。
漁師さんが締めたばかりの魚は刺身にするとプリプリです。
薪を使って釜で炊いたご飯と汁物。
ご飯のお供は5品程度作ります。
天日で干したやわらかさが自慢のヒジキ。
水に戻すだけで生でも食べられます。
タカちゃんはこのヒジキが好きなので定番料理にしました。
梅肉和えです。
味付けはしょう油とみりん。
梅とスライスした赤タマネギを合わせました。
祝島は水道水もありますがタカちゃんは井戸水も使います。
(タカちゃん)はーいこんにちは!タカちゃん!はい?ほら!開けてー!
(タカちゃん)はいはい…すごい!ありがとうタミちゃん!初めて島に来た時からお世話になっているタミちゃんです。
(タカちゃん)タミちゃんのかね?
(タミちゃん)タミちゃんの…。
(タカちゃん)わ〜お!すごいね!ニンニク…。
ありがとう!あれ食べさせんしゃい!この人ら。
はいわかりました。
ありがとうございます。
山で採ってきたばかりのキクラゲと畑で育ったニンニクのおすそわけです。
今作った。
ハハハ…。
食堂の隣に住む森田のばあちゃん。
余った切れで招き猫を作りました。
わあありがとう。
(森田さん)これあんた書け…千とか万とか両…小判を…。
(タカちゃん)商売繁盛ねありがとう!おばあちゃんなんでも器用で…。
(森田さん)フフフ…。
(タカちゃん)ありがとう!じゃけん何かあんた
(タカちゃん)フフフ…はい。
器用な方でなんでも作ります。
すごいです。
もらったキクラゲは味噌汁に入れます。
島の温もりも料理に加えます。
タカちゃんは盛り付けにひと工夫します。
探しているのは大きめのツワブキの葉。
これをお皿にします。
ヒジキや三つ葉小松菜大根のぬか漬けを盛り付けます。
食堂を始めてから毎日献立を手書きすると決めています。
そこには野菜を作った人魚をとった人の名前も。
タミちゃんやはじめさん林さん藤永さんのおばあちゃん浜本さんに児玉さんまーちゃんにもりたさん。
感謝の気持ちも込めました。
この日のお客さんは島の事をよく知っている家族とその友人のアメリカ人夫婦です。
(男性)こんにちは。
(タカちゃん)こんにちは。
わあ!3か月のベイビーと共に…。
そうですはい。
よかったですね今日は凪で。
(男性)ねえ本当。
初めて島に来た人にとっては珍しいものばかりです。
(タカちゃん)おこげが出来てます。
お米は林さんご夫婦です。
(タカちゃん)三つ葉ですね。
タカちゃんの食堂ではお客さんがご飯をよそいます。
釜で炊いたご飯の硬さ香りを味わってもらいたいからです。
(一同)いただきます!Yeah,It’sfromthemountain.三つ葉か…そうだ。
うん美味しい!島を見て島のものを食べてもらうっていうのがこれが日本だっていうのを知ってもらいたいなっていうのを…。
タカちゃんの食堂の隣は練塀の蔵です。
作業場として使っています。
機械を借りて自分で精米しています。
手間をかける事を惜しみません。
この島で習った事の一つです。
ご飯は薪を使って釜戸で炊きます。
島ではヨセと呼ばれる細い竹やタモの木などを薪にします。
手間をかける事でいろんな事がわかります。
美味しく炊くコツは最初から強火にする事だと島のばあちゃんに教わりました。
だからこっちが生半可な気持ちでやってたりなんかこう…火もこっちの…人によっては点いてくれなかったりちゃんと燃えてくれなかったり…。
今年5月。
島に来て初めて田植えを経験しました。
大体20本から30本ぐらいから1反8俵から9俵取れるの。
食堂で出すお米を作っている林さんの田んぼです。
島の小学校のふれあい学習の時間にタカちゃんは特別参加しました。
(林さん)昔はみんなこれで植えよったね…。
(タカちゃん)わあすごいねおじちゃん。
島の児童は毎年田植えを経験しています。
(タカちゃん)あれ?ちょっと待てよ。
(林さん)大丈夫大丈夫大丈夫…。
(タカちゃん)あっフフフフ…。
(林さん)大丈夫よ。
思ったよりも田植えは大変でした。
フフフフ…。
笑いすぎですよ。
(林さん)フフ…よい田植えじゃ。
タカちゃん!さっきね全部で6個。
(タカちゃん)6個だった?4つと6個。
(タカちゃん)人のを数える余裕まである…。
(男の子)だから僕7個ぐらい。
強い風から島の暮らしを守ってきた練塀。
タカちゃんの家も塀に囲まれています。
夏でもエアコンや扇風機は使いません。
広い土間から中庭に向かって心地いい風が入り込むからです。
木と泥で出来たお家らしいので涼しい。
その代わり土とかほこりはボロボロ落ちてくるので…。
(タカちゃん)猫が子猫を3匹産んで…。
昔ながらの暮らしが大好きです。
洗ってみると意外となんか…意外とこういう汚れも出るのかとかあとはなんか汚れてそうに見えてもちゃんと手でゴシゴシしたら取れた!みたいな。
ハハハハ…。
夏は肌を守るために長袖長ズボンに頭巾を被る祝島スタイルにも慣れました。
(一同笑い)食堂が休みの日は島のばあちゃんとおしゃべりです。
今日はタカちゃんがアイスクリームを買って行きました。
私をどんなか言って電話してくれたりね。
珍しいものがあったら届けてくれたり。
親切にしてもらうんですよ。
タカちゃんが広島の町から祝島に来て4年。
もうすっかり島の人たちとは顔なじみです。
島の人がタカちゃんに畑を貸してくれました。
食堂で使う野菜を独自の方法で作ります。
(タカちゃん)もしくはこれからかな。
肥料などを使わずにどうやったら立派な野菜が出来るのか。
芽の周りに切った雑草を敷く事で栄養にし土の乾燥も防ぐ自然農法に挑戦しています。
ああ!すごい…はい。
オクラが出てるんですけどまだ種を被ってる…。
タカちゃんが育てた野菜です。
色や形は不揃いです。
しかし自然の力で育てた野菜の味には自信を持っています。
(氏本さん)出てるか?はい出てます。
(氏本さん)おお…ここ数日の雨が…。
この畑を無償で貸してくれた氏本さんです。
昔のおじいちゃんおばあちゃんから見るとなんだこの畑は!って事になるんですけど…。
氏本さんは7年前に島にUターンしました。
荒れていた先祖の土地に豚を放し田畑を再生させてきました。
家畜の餌は島の人たちが協力してくれています。
祝島では月に1度朝市が開かれています。
氏本さんは4時間かけて豚肉の燻製を朝市のために作りました。
島を元気づける朝市は島に戻ってきた人や島に移り住んだ若者が中心となり企画しました。
自慢の味を持ち寄ります。
タカちゃんは釜で炊いた炊き込みご飯を作りました。
島でとれた食材をふんだんに使って1杯150円です。
朝市のために小学校がテントを漁師さんが大漁旗を貸してくれました。
この日の出店者は15人。
島の外からの参加もありました。
総菜やちらしずしパンやドーナツ寒天などが並びました。
(女性)パン4つ。
アンパン4つ?今日は楽しいショッピング。
島の人は朝市を心待ちにしていました。
ええええ!入ってもええ?島のじいちゃんばあちゃんのために1升炊いた炊き込みご飯。
1時間もかからず売り切れました。
雨上がりに畑で収穫するタカちゃん。
今島のあちらこちらで野菜を作っています。
(タカちゃん)ここが小学校の下の方…。
あっ!…すごい危険。
瀬戸内の小さな島で食堂を始めた芳川太佳子さん。
島では家族を呼ぶように下の名前でタカちゃんと呼ばれています。
雨上がりに野菜の収穫です。
あっ!ごめんね。
(タカちゃん)いいよごめんね。
(タカちゃん)そうですね。
(タカちゃん)はいありがとう。
野菜を作る畑は3か所に増えました。
海が見渡せる高台にもあります。
人の手が入らなくなった畑を再生します。
町出身のタカちゃんが見つけた小さな島の豊かさ。
美味しいです。
それは離島暮らしで生まれた自然と共に生きる知恵や隣近所で支え合う人の温もりです。
島の魅力を詰め込んでタカちゃんは今日も作ります。
次回の『日本!食紀行』は山梨県河口湖謎のおもてなし料理めまきに学びます。
2014/08/17(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]

瀬戸内に浮かぶ小さな島、祝島。島独特の漆喰の壁に囲まれた昔ながらの食堂をご紹介。
釜炊きご飯・地元の食材を使った手作りのおかず。本当の幸せがそこにはあります。

詳細情報
◇番組内容
祝島は自給自足。冬はヒジキを、夏にはタコの足を天日で干します。1年中食べ物に困らないようにする先人たちの知恵です。タカちゃんの食堂「こいわい食堂」は、そんな島の食材を使った地産地消の食堂です。定食は新鮮な祝島産の食材にこだわり、調理方法は島のじいちゃん、ばあちゃんに習います。海水や庭の葉っぱも定食には欠かせません。
◇番組内容2
離島暮らしを支える保存食はもちろん、隣近所で助け合う“島の人の温もり”も料理に加えます。献立は手書き!「タミちゃんが山で採ってきた三つ葉」「一本釣りまーちゃんの鯛」…野菜を作り、魚を獲った島の人の名前も一緒に書きます。みんなへの感謝の気持ちも込めました。お客さんに伝えるのは、島の自然、離島ならではの暮らしの知恵、島の温もりです。
昔ながらの、小さな島の食堂には“豊かさ”が詰まっています。
◇ナレーション
池内博子(山口放送アナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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