Crossroad <五味弘文> 2014.08.16

(原田)日が暮れるとその家からは決まって子供たちの声が聞こえてきます。
もういいかい?ま〜だだよ。
10年前かくれんぼをして遊んでいたときからまだ見つからない男の子。
もういいかい?僕はここにいるよ。
早く捜してよ。
もういいよ。
(悲鳴)夏休み東京ドームシティにオープンしたお化け屋敷は連日若者や親子連れで大盛況です。
キャ〜!!そんなお客さんの反応をこっそり伺うのは…。
日本でたった1人のお化け屋敷プロデューサーです。
(悲鳴)みんなを怖がらせるのが嬉しくてしかたがありません。
なんで…。
うわ〜。
アハハハ…そうそうそう。
ちょっとした想像力が絶叫を巻き起こす。
うっうぅ〜。
恐怖の仕掛け人お化け屋敷プロデューサー五味弘文の世界へようこそ。
人の行く道は一本道とはかぎらない。
突然岐路が現れ進路を選ぶことで旅路は続く。
この人はどんな道を歩むのだろう?お化け屋敷プロデューサー五味弘文さんは毎日中野から20分歩いて事務所に向かいます。
事務所とは言うもののそこは趣味なのか仕事なのか。
お化け屋敷の制作会社を立ち上げ20年。
社員は2名。
五味さんお化け屋敷プロデューサーと自ら名乗ったわけではなく気がつくとそんな肩書がついていたとか。
寝ても覚めても頭にあるのはどうやったら人を怖がらせられるか。
不意におりてきたアイデアは拾ったフィルム殺人者のペンダントそして赤い糸黒い糸。
想像力はどんどん膨らんで形となったお化け屋敷は数知れず。
56歳にして日々あれこれ企みながらほくそ笑んでいるのです。
かといって僕から見てると…。
ここは五味さんにとって22年間お化け屋敷を作り続けてきたいわばホームグラウンド。
すごい狭い感じになっちゃいましたね。
今年も恒例のオリエンテーションが開かれました。
お化けを演じるスタッフに脅かし方のコツを伝授。
近いところに不意にガンッて出るから怖いんですね。
だからスピードをなるべく速く距離はなるべく近く。
ゆっくりア〜ア〜じゃない。
バンア〜!っていうふうに出る。
お客様こうやって来ました。
はいそしたら…。
うわぁ〜!はいはいはいはい。
えっとちょっと開けて。
そうそうそうつかむ!うわぁってつかむつかみかかる。
今やってみてつかみかかる。
うわぁって体ごとそうそうそうそうそう!うわぁ〜!仕掛けに使う人形作りにも五味さんならではのこだわりがあります。
人形の顔は実際の人間から型をとるのです。
おぉとれた。
はいお疲れさま。
がんばったねはいお疲れさま。
リアルさを求め毎年何人ものお化け候補の中から型をとる五味さん。
でもその候補何を基準にしているんでしょう?怖いよ。
というわけで出来上がったのがこちら。
お家に帰りたいお家に帰り…。
五味流お化け屋敷の特徴はお客さんに想像力を持たせること。
では扉閉めます。
小学生のヨウちゃんはお母さんと2人お父さんから隠れるように暮らしていました。
ある日ヨウちゃんは…。
えっ!やだやだ。
やだちょっと待って!お客さんは物語のなかの一員となり子供を捜す役割を果たさなければなりません。
(悲鳴)五味さんのもとには今遊園地だけでなく意外な場所からの依頼が急増しています。
去年五味さんは人通りの少なくなったいわばシャッター商店街にお化け屋敷を作りました。
すると1万3,000人ものお客さんが殺到したのです。
その成功が地方の活性化を図る人々から注目を集めるきっかけとなりました。
今年北は秋田から南は沖縄まで全国10か所でお化け屋敷を作ることになった五味さん。
驚くのはストーリーから仕掛けまで同じものは1つとしてないことです。
金沢市のお化け屋敷は繁華街のビルの地下。
お疲れさまです。
ここでのストーリーは金沢出身の文豪泉鏡花の作品『草迷宮』に着想を得ました。
タイトルは『地下室の子守唄』。
チェックを終えると慌ただしく次の現場へ。
すみません先に帰ります。
今年で2回目となる富山県高岡市は商店街の空きビルがお化け屋敷。
ある怪事件を追っていた新聞記者が目に万年筆を突き立てられて死亡するというお話。
ここでのタイトルは『見津子の血涙』。
移動から移動への毎日。
唯一楽しみなのが地元名物の駅弁を食べること。
お化け屋敷が仕事になるなんて思ってもいなかった。
ただ続けてこれたのはお客さんが熱狂する姿を見たくて。
性格はおとなしめ。
姉や妹とケンカをした記憶もありません。
本を読むことだけが好きだった少年が心待ちにしていたイベントがありました。
五味さんのふるさとです。
あれがそうです。
7年に一度行われる御柱祭。
その最大の見せ場が巨木が坂を滑り降りる勇壮な木落とし。
人けの少ない遊び場が熱狂の渦に巻き込まれるわずかなときそれがお化け屋敷プロデューサー五味さんの原風景。
ちょっと怖いです。
うわっ。
(笑い声)いやぁ…。
久しぶりにこんなことしたな。
楽しいですね。
大学進学のため上京した五味さんは演劇の道に目覚めます。
自ら劇団を旗揚げするほどのめり込んだものの食べてはいけずアルバイトとして遊園地のイベント企画に参加。
それがお化け屋敷プロデューサーへの第一歩となるのですがそこである人物との出会いがありました。
この日五味さんが訪ねたのは…。
あっ久しぶりです。
麿さんすみません。
あぁどうもどうも。
どうもごぶさたしてます。
お久しぶりです。
元気そうで何より。
これあの…。
何これ?これ何ですか?いやこれ皆さんで召し上がっていただきたくて。
あぁそういうことね。
おい皆さんにいただいた。
ありがとうございます。
(一同)ありがとうございます。
白塗りの舞踏集団大駱駝艦。
率いるのは前衛舞踏の大家麿赤兒さん。
実は五味さんの運命を変えた人物なんです。
おかげさまで…。
ほんとにお世話になって…。
五味さんが初めて作ったお化け屋敷は『麿赤兒のパノラマ怪奇館』。
白塗りの舞踏家たちが客を驚かすという前代未聞のお化け屋敷。
これまでにないお化け屋敷を模索していた五味さんはちょっと失礼かなと思いつつも麿さんに直談判しました。
そしてお化け屋敷はその夏を席巻。
五味さんの人生をも決定づけました。
まあそうですよね。
そうですよね。
まあ今でもそうですけどね。
お化けっていうとおかしいけどね。
そうですね。
この夏全国10か所で展開する五味さんのお化け屋敷。
そのいちばん最後となる舞台広島での準備が始まりました。
まずは初めて訪れた商店街をブラブラ。
道路沿いにあるこの空き店舗がお化け屋敷の舞台となります。
イメージを膨らませながら歩き回る五味さん。
敷地は100平米ほどだそうですが…。
(スタッフ)やりづらい?やりづらい。
早速東京に戻った五味さん。
下見でつかんだイメージを具体化していきます。
タイトルは…。
広島のお化け屋敷は『赫い糸の家』。
このお化け屋敷で五味さんは今回も新しい仕掛けを試してみることに。
何ですかこの袋どこで見つけてくるんですか…。
いよいよオープン前日。
商店街に糸屋が現れました。
どこもかしこも赤い糸だらけ。
お化けたちもスタンバイオーケー。
そしてこちらが広島お化け屋敷の見せどころ。
暗闇からつかみかかるように迫りくるお化け。
すみません。
うわぁ!もう一回。
さあ準備万端。
お楽しみはこれからだ。
五味さんのお化け屋敷に商店街のゆるキャラトマトンも応援に駆けつけました。
少しでも多くのお客さんに来てもらえれば商店街はもっと活気づきます。
五味さんここでちょっとしたおもしろい演出を用意しました。
巻いて。
えっそんなもん?二人で…あっそんなんで大丈夫。
お客さんは二人一組になり運命の赤い糸を互いに結び合って入場。
怖い!無理。
自由に動けないため更に恐怖感が増すのだといいます。
わあ!びっくりした。
それでは『赫い糸の家』そのさわりを私が少しだけご案内。
まずは壁に書かれた物語を読んで想像を膨らませてください。
結んだ赤い糸を切られないように糸織という女性の怨霊が待ち受ける店の奥へと足を進めるのです。
(悲鳴)待って違うちょっと待って。
(悲鳴)そして待ち受けるのは五味さんの渾身の仕掛け。
怖い。
うわぁ〜。
キャー!キャー!!怖い!ああ〜!あ〜!あ〜!キャー!うわ〜!
(泣き声)もうやだもうやだ!やだ無理。
怖い。
五味さんがいちばん好きな瞬間。
それはお客さんが出てきたときの泣き笑いを見るとき。
お化け屋敷プロデューサー五味弘文さん。
あなたの唯一無二の世界を応援します。
この商売は…。
2014/08/16(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
Crossroad <五味弘文>[字]

日本でただひとりの“お化け屋敷プロデューサー”五味弘文に密着。日本を震撼させる“恐怖の仕掛人”の意外な素顔と挑戦の夏を追う。

詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
日本でただひとりの“お化け屋敷プロデューサー”五味弘文。「どうすれば人を怖がらせることが出来るのか?」を、ただひたすらに考え続けて22年。気が付けば、今年の夏プロデュースするお化け屋敷は、北は秋田から南は沖縄まで、全国10カ所にものぼる。日本を震撼させる“恐怖の仕掛人”五味弘文とは何者なのか?その意外な素顔と挑戦の夏を追った。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなCrossroad(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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