今回は…。
天下を分けたのは貿易の力でした。
外国からの唯一の玄関口だった出島は異文化が花咲く最先端のスポットでした。
ちょっと長崎行ってくる。
ちょっとっていや遠いですよ。
ここですか?はい。
宮崎さんが長崎出島へ。
うわ〜。
そこには江戸時代の日本にやってきた驚きの品が。
この世でいったい何が起こったのか?あれ?大家さん。
ん?何やってるんですか?見て見てきれいでしょう?この棚がねちょっと寂しかったもんだから私のコレクションの石を置いたの。
きれいって…。
あっちょっと勝手に飾らないでくださいよ!しかも石なんてちょっとやめてくださいよ。
石なんて?石なんて!?いいじゃないきれいなんだから!いいじゃないの。
でも石じゃないですか。
石だからいいんでしょう。
まあまあ。
あのねこれはねこの研究室にふさわしい石なんだよ。
大家さんこれは銀鉱石ですね。
あ〜これが…銀なんですか?そうなのよシルバーよ。
さすが博士ね。
はい。
かつての日本を支えた貴重な鉱物なんだよ銀は。
実に美しい。
博士間違ってますよ。
黄金の国ジパングっていうじゃないですか。
日本を支えたのは金ですよ金!日本の銀を知らないの?勉強不足ね〜。
え〜?ほんとにね〜。
近頃の若い者は…。
ハラハラ。
いやあの…。
(ベルの音)あっあぁ!池上さんから手紙がきたぞ!間通ります。
さあ今日は何でしょうかね〜。
「寺脇博士お元気ですか?」。
「かつて日本ではたくさんの銀が生産されて中国やヨーロッパに流通していたのを知っているかな?世界に流通する銀の3分の1を占めていたというんですよ」。
世界の3分の1?ほらね。
しかし池上さん計っているかのようなタイミングだな。
あっまだ続きがありますよ。
「では日本はその銀で何を買っていたのだろうか?。
実に興味深い話なんですよ。
では後程」。
後程?う〜ん。
(ノック)あっ誰か来たみたいですね。
どの国から買ったかというのもポイントなんでしょうね。
そうね。
それは大きいわよね。
博士。
玄関にこんなものが。
何だ?これ。
何だ?これ。
ん?出前?頼みましたっけ?頼んでないぞ。
何が入ってるんだ?ん?あら。
え?あれ。
ん?手紙だ。
え〜?あ〜。
どっかで見てるんだな。
池上先輩?あれ?ん?えっでも銀と鴨って関係あるんですか?いやいや鴨じゃないでしょ。
このヒントは南蛮のほうでしょ。
南蛮。
16世紀から17世紀に行われた南蛮貿易のことだろうね。
しかしこの暑い中に鴨南蛮とはね。
この中に日本が銀と交換に輸入したものがあるわけ?
(2人)う〜ん。
そのヒントが鴨南蛮とはどういうことなのでしょうか。
よし。
では今日もおなじみの3人の武将にご登場いただいて南蛮貿易の秘密をひも解こう。
相内君。
はい!すぐに取材に行きたまえ。
はい。
我々はお昼にしましょうかね。
いいわね〜。
え〜私のは?だって2つしかないのよ。
偉いもん順だからね。
1番2番…。
キミ南蛮?鴨南蛮。
アハハ…。
あ〜お腹空いたぁ。
このあとポルトガルで…。
受付に飾ってありますよ。
南蛮貿易の秘密を探りに向かったのはポルトガルの首都リスボン。
戦国時代の日本と貿易をしていた国です。
このホテルでおもしろいものを見つけました。
あ…。
受付に…真正面に飾ってありますよ。
屏風です。
日本の屏風です。
へぇ〜。
ポルトガルではよく屏風を飾るんですか?屏風は一般家庭でも飾られるほどポルトガルの定番アイテム。
特に戦国時代の日本とポルトガルとの貿易を描いた南蛮屏風が人気です。
ポルトガルでは何て呼ぶんですか?ビヨンブ。
屏風はポルトガル語にもなっているのですね。
17世紀頃日本からの輸出品のひとつがこの屏風でした。
ではでは日本における南蛮貿易の変遷を見ていきましょう。
まずいつから始まったかというと…。
はいはい。
はい大家さん。
鉄砲伝来の時でしょ。
だってヨーロッパ人が初めて日本に来たんだもの。
正解です。
1543年ポルトガル人が種子島に漂着したのをきっかけに南蛮貿易は始まりました。
以来ポルトガルが最大の貿易相手国になります。
カステラとか金平糖とかポルトガルの文化が入ってきたのよね。
そして日本の権力者たちも勢力拡大に南蛮貿易をおおいに利用したんです。
まずは織田信長。
好奇心旺盛だった信長は新しもの好きでワインを楽しんだり金平糖を持ち歩いたりしていました。
信長は南蛮貿易で火薬と鉄砲を買い入れます。
それをいち早く取り入れた長篠の戦いなどで歴史的勝利を収めるんです。
本能寺の変がなかったらって思うわよね。
さあ信長のあと天下を統一した豊臣秀吉。
彼も南蛮貿易を盛んに行いました。
で何を買ったのか。
はい秀吉は中国地方の石見銀山をおさえ生糸と砂糖を買い付けました。
生糸は当時の日本には生産する技術はなく大変な贅沢品でした。
ねぇねぇ砂糖も貴重だったの?ええ。
砂糖は身分の高い一部の人しか手に入らないものでした。
それが南蛮貿易で庶民にも広まり料理やお菓子に使われるようになったんです。
あらじゃあ和食や和菓子が出来たのは南蛮貿易の砂糖のおかげだったの。
そうなんです。
更に秀吉はポルトガル商人から最新の世界地図や地球儀も手に入れ世界に目を向けました。
世界に興味を持ったから朝鮮半島にも攻め込んだのかしら。
うんそうかもしれませんね。
さあそして続いての天下人徳川家康。
江戸時代に入ると貿易相手国が変わっていきます。
はい17世紀に入ると一番の貿易相手国だったポルトガルが力を失いオランダが勢力を増します。
新興国のオランダはポルトガルがキリスト教の布教で日本を侵略しようとしていると幕府に吹き込みました。
江戸幕府はキリスト教徒が増え一大勢力になるのを警戒しました。
そこで鎖国に踏み切ります。
日本史における大事件です。
そして…はいどけてはいどけてどけて。
うりゃ〜。
あっあ!長崎の出島ね。
出島は1636年に海を埋め立てて造られた人工の島で大きさは日本武道館と同じくらい。
この島でしか貿易はできませんでした。
当初はポルトガルもこの出島で貿易ができていたんですがキリスト教の布教を続けていたため出入り禁止になりました。
代わって名乗りをあげたのがオランダ。
オランダはキリスト教の布教をしないという条件を幕府に約束したんです。
それで鎖国になってもオランダだけ貿易を続けることができたのね。
そうなんです。
オランダは商売は商売と割り切ったんですね。
外国からの唯一の玄関口だった出島は異文化が花咲く最先端のスポットでした。
くぅ〜。
お?お?お?どうしました?もう我慢できない。
私ね出島を見にちょっと長崎行ってくる。
えっ。
ちょっとっていやちょっとって遠いですよ。
大丈夫大丈夫。
手ぶら?また手ぶら?長崎は今日も雨でした。
あいにくの雨ですけどね。
あっあれですかね?昔風の建物が並んでいる。
鎖国の時代外国船の来航が許された唯一の場所出島。
出島和蘭商館跡。
どうも。
こちら出島というのはどこからが出島なんですか?えっと今立っておられるですね先のほう道路少しあの白い?白く塗装が変わってますけど。
今宮崎さんたちがいるのはこの部分。
オランダの貿易船が到着した場所です。
現在出島の周りは埋め立て地になっています。
じゃちょっと荷物になった気持でここから。
じゃ今海から上がってきました。
はいはい。
この門からどんなものが輸入されたのでしょうか?出島の中には土産品を保管する蔵が並んでいました。
こちらですか?こちらがはい。
お〜お砂糖。
最も多かった輸入品は当時貴重だった砂糖はオランダの植民地だったインドネシアから大量に運ばれました。
こんなふうにどさどさっと。
そうですね。
こういった…。
積み込まれてたんですか。
よく行われていてまあオランダ人にしてはちょっと困ったことに…。
隣の倉庫跡には砂糖以外の輸入品の展示が。
これはすばらしいなんですか?なんですか?輸入品ですね。
こちらはうわ〜。
ヨーロッパのこちらも取り引きされた商品なのですが。
脇荷物っていうのはですね。
へぇ。
小遣い稼ぎでこういったものを持ってきて売っていた。
地球儀やガラスの瓶などヨーロッパの雑貨を船員個人が持ち込み日本の商人に売っていました。
更に商品だけでなく。
クローバー。
これはああいった貿易品を箱に詰めたときにパッキンですか?これは。
詰めものですね。
ツメクサなんですけど。
なるほどね。
日本人が初めて見たクローバーはパッキンのように使われていたんですね。
これらの商品と交換されていたのが銀でした。
かつて日本の銀は世界で生み出される銀の3分の1を占めたこともあったのです。
7年前に世界遺産に登録された石見銀山は当時から世界的に知られる場所でした。
日本からの輸出品でおもしろいものを見つけました。
あっいろんな焼き物がね。
これは珍しいお皿ですね。
これはひげ皿と呼ばれてるお皿なんですけどもオランダ人の注文でわざわざ作ったお皿じゃないかと思いますけど。
おひげをそるときにですね…。
そういった用途で使われた。
焼き物の産地佐賀県有田で作られ輸出されました。
日本で唯一海外との接点だった出島。
どんな人がどんな暮らしをしていたのでしょうか。
ここはオランダ人の駐在員が暮らした建物。
おぉ!オランダ人たちが暮らしたお部屋を再現した場所なんですけど。
畳なんですね。
基本的に畳のお部屋ですね。
それにこういった家具は自分たちで持ち込んでお部屋を設えて。
建物の中はまさに和洋折衷。
出島は長崎の商人たちが作った施設でオランダ人は賃貸で暮らしていました。
オランダ人はそれを借りて生活をしているので。
ちなみにお家賃っておいくらくらい…。
出島全体でだいたい今のお金で1億円。
1年間?1年間1億円。
その1億円をいいわねぇ。
大家っていってもいろいろね。
更に奥へ案内してもらうと。
うわぁ!ご馳走が並んでますよ。
こちらはパーティーのディナーを再現した部屋。
そうなんですか。
日本人はここで初めて牛や豚を使った肉料理を食べたのです。
これは当時の食事風景を再現した模型ですね。
意外なことに気づきました。
インドネシアから一緒に連れてこられた。
そうですね。
オランダ人だけじゃなかったんですね。
ここにはオランダの植民地だった出島には彼らが奏でるこんな音楽が流れていました。
〜ここだけは別世界だったみたいね。
でも食べ物もね今私たちがおなじみになってるイチゴとかジャガイモとかトマトとか。
そういうものもここに入ってきた。
家畜も豚や牛や七面鳥が!日本では当時肉食の習慣もないので全部とにかくここで自給できるものはやってたみたいで。
娯楽もちょっと…。
ビリヤードね。
そう。
びっくりしましたね。
こんなことをここで楽しんでたんだ。
江戸時代にね。
そしてこのお菓子は何ですか?そうそうこれワッフル。
ワッフル?おせんべいじゃなくて?うん。
出島で食べられていたベルギーワッフルよりも早く日本に上陸していました。
確かに…粘りがある。
甘い!甘い?何が挟まってるの?なんかキャラメルみたいな。
夢のような食べ物だったでしょうね。
当時の江戸の人にとっては。
ところで池上さんから届いた鴨南蛮。
銀と交換したもののヒントだと言っていましたが。
池上先輩からのね冒頭の質問ありましたね。
南蛮貿易ってどうして南蛮っていうの?ヨーロッパは南じゃないじゃない。
当時ポルトガルの貿易船というのは東南アジアのほうからやってきたのでポルトガル人を南蛮人って呼ぶようになったということなんです。
鴨南蛮には何が入っていますか?鴨。
他には?そば。
他には?何?ネギですねネギが入っている。
ポルトガル人というのはネギをよく食べていたんですって。
なのでネギが入っているそばのことを南蛮と呼ぶようになったという説があるんですね。
ネギがそうだったの。
そうなんです。
ネギも南蛮貿易で輸入されたもののひとつです。
他にも出島を通じ日本に入ってきたものがあります。
本当に入ってきたんですか?はい。
鎖国の時代出島は日本が世界とふれあえる唯一の場所だったのです。
よしと。
大家さんに飲ませると大変だからな。
一人で飲んじゃおう。
あ〜うまい。
あっそういえば日本が初めてビールと出会ったのも出島だったな。
《オランダ商人は出島にビールを持ち込み楽しんだ。
日本の蘭学者たちも西欧文明に少しでも接したいと飲んでいたようだ。
そのときの感想はことのほかあしきもの》つまりまずかった。
当時の日本人の口には合わなかったということか。
こんなにうまいのになまじで。
まじで…できた。
上から呼んでもまじででじま。
下から呼んでもまじででじま。
乾杯!
「おとな旅あるき旅」今回は…
2014/08/16(土) 18:00〜18:30
テレビ大阪1
137億年の物語【南蛮貿易と出島の物語】[字]
今回の主人公は「戦国の三大武将」。宇宙が始まってから現在までの歴史を描きます。池上彰の監修で、寺脇博士と相棒の相内助手がドラマ仕立て解説。
詳細情報
番組内容
江戸時代、鎖国政策がとられる中、外国からの唯一の玄関口だった出島。出島は海を埋め立てた人工の島で、大きさは日本武道館と同じくらいです。この出島でポルトガルに代わって貿易を認められたのがオランダですが、なぜオランダだけが貿易を認められたのでしょうか?また織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の戦国三大武将は外国との貿易をどう捉えていたのか?いろんなものが行き交った南蛮貿易をひもときます。
この番組は…
話題のベストセラー本「137億年の物語」を映像化。「137億年前に宇宙が始まってから今日までの全歴史」という壮大なテーマを紐解く。
寺脇康文が扮するちょっと変わり者の寺脇博士が模型やイラストなどを駆使して、わかりやすく歴史を解説。世界史が大好きな大家の宮崎美子、世界中の歴史現場を取材する助手の相内優香。ドラマ仕立ての不思議な歴史報道番組。
出演者
【博士役】
寺脇康文
【研究室の大家役】
宮崎美子
【寺脇博士の相棒・助手役】
相内優香(テレビ東京アナウンサー)
【著者】
クリストファー・ロイド
監修
池上彰
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/137/
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ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ニュース/報道 – 解説
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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