軍師官兵衛(32)「さらば、父よ!」 2014.08.16

午後3時から6時までの天気、九州・沖縄から東北にかけて雨が降り、雷を伴って非常に激しく降る所があるでしょう。
信長亡きあと秀吉は織田家の権力を受け継ぎ天下を目指した。
その秀吉に待ったをかけた男がいた。
徳川殿…。
何とぞご助力を!
(家康)亡き信長公に拾い上げて頂いた大恩も忘れ織田家をないがしろにする羽柴殿の振る舞い見過ごせぬ。
この家康がお味方つかまつる。
天正12年3月。
徳川家康と織田信雄の連合軍は秀吉と激突。
小牧長久手の戦いである。
(恒興)家康は小牧山に布陣しております。
気付かれぬよう回り込み一気に家康の本国三河をつきます。
本国を失えば家康はもはや終わりでございます。
(秀吉)分かった。
恒興。
はっ。
長可。
はっ。
頼んだぞ。
(2人)はっ。
参るぞ!
(一同)オ〜!
(小一郎)兄者。
官兵衛がいない時にこのような大戦よいのか?官兵衛には幾度となく書状を出した。
その度に「今は動くな。
考え直せ」の一点張りじゃ。
(三成)家康をたたくなら今でございます。
官兵衛様に頼らずとも我らはこの大軍。
負ける訳がありませぬ!
(忠勝)殿!敵が動きました。
(一同)お〜!
(家康)たわけめ。
わしの目をごまかせるとでも思ったか。
討って出よ。
(一同)はっ!そのころ官兵衛は戦場から遠く離れた備中で毛利との領地分割折衝のさなかにあった。
(足音)
(九郎右衛門)殿。
尾張長久手においてお味方大敗にございます。
(蜂須賀)官兵衛があれほど言上したに…。
なぜわしら抜きで戦などするか!池田恒興様ほかご重臣あまたお討ち死にとの事にございます。

(テーマ音楽)毛利との折衝を終えた官兵衛には播磨宍粟郡山崎に新たな領地が与えられた。
(蜂須賀)官兵衛よい城ではないか。
4万石の大名にふさわしい構えじゃ。
ハハハハハハハハハ。
のう?ハハハハハ。
(長政)小牧長久手の戦は果たしてどちらが勝ったのでしょう?
(太兵衛)長久手では家康に完膚なきまでに負けました。
(善助)しかしそのあと上様は信雄様を追い詰め早々に和議を結ばれました。
(蜂須賀)要するに引き分けじゃ。
なに官兵衛とわしが陣におれば徳川ごときに負けはせんかった。
(官兵衛)それは違います。
そもそも徳川と戦はしてはならなかった。
…もうよいではないか。
官兵衛上様の前で蒸し返すなよ。
(光)失礼致します。
(蜂須賀)お〜光殿。
(光)毛利相手に長きにわたるお勤めご苦労さまでございました。
うむ。
しかし長かったのう。
毛利と和議は結んだがはっきりと領地の分割を決めた訳ではなかったゆえのう。
すぐに終わるであろうと高を括っておったが…。
回想
(恵瓊)承知した。
伯耆の半分は進ぜましょう。
されどこの備中の川辺川より西これは毛利が頂く。
それでいかがですかな?
(蜂須賀)図面の上に線を引くのはたやすいがその線からはみ出した地侍を説き伏せるのが誠に厄介であった。
我が主羽柴筑前守がもらい受ける。
(頼宗)この地を領して三百有余年ここを出ていけと言うなら我らを滅ぼしてから奪うがよい!
(一同)そうだ!皆先祖伝来の地から離れたくないものゆえ…。
そのお気持ちよう分かります。
(蜂須賀)お〜そうじゃ。
婿殿。
糸は息災か?
(長政)はい。
元気すぎるほど元気にございます。
(蜂須賀)ハハハハハ。
じゃろうのう。
殿少しお休みになれますか?すぐ大坂に行き四国攻めの支度じゃ。
領民の顔を見る暇もありませんね。
致し方あるまい。
長政。
はっ。
前へ。
はっ…。
わしが留守の間お前にこの地を任せる。
(長政)それがしが?同じ播磨とはいえここ山崎は我らになじみのない土地。
領民の声によく耳を傾けよ。
はっ。
よかったな婿殿。
しかと励めよ。
はい。
この年の3月秀吉は内大臣になっていた。
前代未聞の出世であった。
(近習)上様。
黒田官兵衛様がお戻りでございます。
分かった。
茶室に通しておけ。
はっ。
三成。
(三成)はっ。
茶々に贈る打ち掛けはどうなった?既にお届け致しました。
大層お喜びの由。
そうか。
フフフ。
(秀吉)どうじゃ?官兵衛。
久しぶりの大坂は。
城下の大層なにぎわい結構な事にございます。
ハハハハハハハハハ…。
(三成)いずれこの大坂は京にも勝る大きな町になりましょう。
(宗易)関白殿下にふさわしい町にございます。
宗易殿気が早いのう。
まだなった訳ではない。
関白…?官兵衛お主にはまだ話しておらんかったのう。
わしは関白になる事に決めた。
それは…。
祝着至極に存じまする。
うむ。
(三成)本来関白は公家の中でも最も家柄高き五摂家の者にしかなれぬ官職。
それゆえ上様には名目上近衛前久様のお子になって頂きます。
ハハハハハハハハハハ…。
百姓上がりが位人臣を極めるんじゃ。
これほど痛快な事はない。
ハハハハハハハ…。
さすれば今後は天下の号令に重みが加わりましょう。
帝の御意を奉じた関白殿下が各地を平定する事は何よりの大義名分。
そのとおりじゃ。
早速次の四国攻めでは…。
いや。
四国は後じゃ。
まずは徳川を攻める。
徳川?先の戦では不覚を取ったがこたびは決して負けぬ。
お待ち下さい。
何故徳川と…。
上様そろそろ…。
(秀吉)官兵衛…。
この話はいずれまた。
毛利との折衝大儀であった。
ハハハハハハハハハ…。
徳川をいま一度攻めようと進言されたのは石田様のようで…。
三成殿が…。
大したものでございます。
あの若さで権勢を欲しいままに。
このところ上様は石田様を重宝がられ片ときもおそばからお離しになりませぬ。
茶々様との間を取り持っているのも石田様…。
茶々様?噂には…。
大層ご執心のご様子。
(茶々)猿め。
この私が打ち掛けごときに心を動かすとでも思っておるのか!
(三成)上様は間もなく関白になられます。
そろそろお心を開いてもよろしいのでは?
(茶々)秀吉は父浅井長政母市の仇。
何故私が仇の側女にならねばならぬのじゃ?
(三成)側女ではございませぬ。
もう一人のご正室としてお迎えすると上様は仰せでございます。
嫌じゃと言うておろうが!恐れながら!このまま過ぎた日の因縁にとらわれ日陰の道を歩まれるかそれとも新たな望みが待ち受ける日の当たる道を歩まれるか選ぶのは茶々様ご自身でございます。
もう聞きとうない。
下がれ。
はっ。

(おね)ここへ来る途中三成と擦れ違いました。
だから何じゃ?
(おね)近頃は誰ぞの威光を笠に着て人が変わったようでございますな。
何じゃと?
(おね)お前様は何故官兵衛殿を遠ざけなさる?遠ざけてなどおらぬ。
いいえ。
小牧長久手の戦では官兵衛殿がおらぬまま戦を始め敗れてしまいました。
今もまた官兵衛殿に相談せぬまま新たな戦を考えておられる。
おねよ。
大将はこのわしじゃ。
官兵衛に頼らずともやっていける。
官兵衛殿の策なしでは勝てませぬ。
これまでの事を思い返してみなされ。
官兵衛殿は常に先を見通しお前様をどれだけ助けてきたか。
おね。
はい。
お前の言うとおりじゃ。
官兵衛は先が見え過ぎる。
上様が光秀に討たれたと書状が届いた時官兵衛は即座にこのわしに何と言うたと思う?「殿のご運が開けましたぞ!」。
こう申したんじゃ。
官兵衛の頭の中には既に全てが見えていたのかもしれぬ。
光秀を討ちこのわしが天下を取るまでの道筋がな。
(おね)まさか…。
わしは官兵衛のお膳立てに乗っかっていただけじゃ。
(道薫)お久しぶりでございます官兵衛様。
何故大坂に?
(道薫)上様のお伽衆に加えられたのでございます。
お伽衆?はい。
名も道糞から道薫。
「道の薫り」と改めました。
道の糞では上様のお話し相手としてはばかられますゆえ…。
信長公を裏切った私を取り立てる事で上様はその度量の大きさを示されました。
あるいは面白がっているだけなのかもしれませぬが…。
いずれにせよ上様は少しお変わりになった。
そうは思いませぬか?ではまた。
官兵衛!ハハハハハ。
いかがした?上様。
何故いま一度徳川と戦わねばならぬのか訳をお聞かせ下さい。
家康には幾度となく上洛を促したがいまだになしのつぶてじゃ。
あやつはこのわしに臣従する気などない。
このわしを侮っておる。
放っておいては示しがつかぬ。
(三成)それだけではございませぬ。
家康は天下に野心を抱いております。
しかも北条と盟約を結んでおりこの上更に我らと敵対する者と手を組めば必ずや厄介な者に…。
今討てば必ず勝てる。
勝てませぬ。
何じゃと?徳川は強うございます。
それは御自ら戦われた上様が一番お分かりのはず。
確かに徳川は強い。
じゃが同じ相手に二度負けするわしでは…。
兵を無駄に死なせるおつもりか!先の戦上様の兵力は敵の倍以上ありました。
にもかかわらず何故敗れたのかお分かりでございますか?お主がおらんかったからじゃ。
そう言いたいのであろう?さようではございませぬ。
三河衆の結束の強さに負けたのでございまする。
徳川家は譜代の家臣も多く固い絆で結ばれておりまする。
一方お味方はまだ上様に心から従っておらぬ寄せ集め。
これではいくら数に勝ろうとどのような策を立てようと勝ち目はございませぬ。
(三成)官兵衛様!それを勝利に導くのが軍師殿のお役目では…。
無謀な戦を止めるのも軍師の務め!上様…。
今は徳川と戦ってはなりませぬ。
まずは四国そして九州を平定しお味方が力をつければ徳川の方から臣従してまいります。
待っておればよいだけでございます。
徳川は今討つべきでございます。
これから関白になろうというお方に公然と盾つく者を捨ておいては面目が立ちませぬ!面目を守るための戦など愚の骨頂!何と仰せになられましたか?
(秀吉)三成…もうよい。
(秀吉)官兵衛。
このわしが間違っておった。
ハハハハハハハ。
お主の言うとおりに致す。
四国攻めの支度を致せ。
はっ!ハハハハハハハ…。
や〜!
(お福)2人ともお気を付けなさい。
おけがなさいますよ。
お福放っておきなさい。
男の子は少々けがをするくらいでちょうどよい。
フフフ。
(糸)母上。
あ糸殿。
(糸)昔から蜂須賀に出入りしている商人を連れてまいりました。
なかなかよきものが…。
ご覧になって下さいませ。
(おゆう)まあきれい!いかがです?あ…私に?母上も今や4万石の城主の奥方。
よき反物で打ち掛けの一つでもこしらえませぬと。
私とおそろいでいかがです?あ…私はこれで十分。
古くなったものでもこうして繕えばまた使えます。
しかしいつも同じお召し物ではご気分がお変わりになりませぬ。
是非。
糸様はまだご存じないようですが黒田家では先祖代々倹約を旨としております。
擦り切れても破れてもこうやって繕って使うのが黒田家の家風でございます。
まあなんとけちな…。
フフッ。
けちではございません。
倹約でございます。
フフッ。
どこかで聞いたようなやり取り。
フフフ。
私もお福も嫁入り当時は倹約をせよとよく叱られました。
けちではなく倹約だと。
けちではなく倹約…。
そう。
黒田家の家風でございます。
分かりました。
そういう事なら…。
(長政)何故一向に兵が集まらぬのだ?四国攻めが近いというに。
(善助)この地は長らく西播磨守護代宇野家によって治められておりました。
その宇野家が羽柴様に滅ぼされ領民の中には恨みを持っている者も多いようで。
(太兵衛)年貢の取り立てにも素直に応じようとはしませぬ。
姫路とは大違いでございます。
困ったもので…。
これでは父上に顔向けできぬ。
いかがするか…。

(太兵衛)今日は若殿がわざわざお前たちの話を聞いてやると仰せだ。
(善助)何でも申し上げるがよい。
皆の存念を聞きたい。
遠慮なく申せ。
(村長)不満など何もございません。
黒田様には万事よくして頂いております。
誠か?そのようには見えぬぞ。
遠慮はいらぬ。
言いたい事を言ってみろ。
(村長)本当によろしいので?構わぬ。
されば恐れながら申し上げますが…黒田様がこの地に入って以来道や堤を造ったり駆り出される事が多く皆嘆いております。
それはお前たちのためになる事だ。
堤を造れば田畑が水につからなくなり取れ高が増えるではないか。
取れ高が増えた分年貢も増えます。
そうだ!働き損じゃ!いつまでこんな事が続くのか。
つらくてたまらんのでございます!今はつらくとも何年か先必ず自分たちに返ってくるのだ。
そんな事も分からんのか。
今日明日の事で精いっぱいで何年も先の事など分かりませぬ。
(一同)そうじゃ!以前の方がよかったのう。
(一同)そうじゃ!宇野のお殿様はもっと百姓を案じて下さいました。
(一同)そうじゃ!しかたねえ!黒田の殿様は軍師様じゃ。
戦の事は分かっても百姓の事は何も分かっとらん!
(一同)そうじゃ!父上を侮る事は許さぬ!若!何をなさる!何でも言えと仰せゆえ申し上げたまで。
それでわしらをお斬りなさるか?
(善助)そのような事はない!力ずくで来るならば百姓といえども覚悟がございますぞ。
(一同)そうじゃ!
(又兵衛)百姓がそんな事を…。
(長政)我らを信用しておらぬのだ。
それゆえ領民は何かにつけてあらがう。
全く困ったものじゃ。
(又兵衛)だからといって乱暴は感心致しませぬ。
乱暴など働いておらぬ。
太刀に手をかけられたと聞きましたが。
あれは父上を侮ったからだ。
(糸)殿いかがなされました?大きな声で。
父上に任されたのだ。
なんとかせねば。
(職隆)太刀に手をかけたか…。
それがしがついておりながら…申し訳ありませぬ。
その場は収めましたが村の連中の不満はくすぶったままでございます。
これがもとで一揆など起こさぬようまずは村長を得心させまする。
うむ…。
この事官兵衛は?いえ…殿が知れば若はますます焦り次はどのような挙に出られるか。
(職隆)ははあ。
それでこの年寄りの知恵を借りに来たという訳か。
(2人)あ…。

(又兵衛)ごめんくださいませ!又兵衛でございます!大殿!こっちじゃ。
これは…栗山様母里様…ご無礼を…。
いかがした?又兵衛。
実は若の事でお知恵を授かりたく…。
そうかお前も案じてくれたか。
「お前も」?
(長政)お待たせを致しました。
官兵衛の留守を預かっておるそうではないか。
お耳がお早い事で。
ハハハなに。
いろいろ話を聞かせてくれる者がおってな。
孫の働きぶりを一目見とうなっての。
は〜うまくいかぬ事ばかりでございます。
いやいや立派な仕事ぶりじゃ。
のう長政。
はっ。
わしの父が目薬を作っておった話覚えておるか?無論です。
目薬売りで財を成し黒田は大いに栄え姫路に根を張る事ができたのです。
幼い頃父に連れられよく薬草取りに行ったものだ。
その話は初耳にございます。
どれが薬草か見分けられるようになると面白くなってのう。
ある日一人で山に入りいつもの倍ほど籠いっぱい取って帰ってきたら父にこっぴどく怒られた。
褒めてもらえると思ったのじゃが逆じゃった。
どうしてだと思う?さあ…。
まだ育ちきらぬ小さな芽まで取り尽くしてしまっていたのじゃ。
これでは次の年もはや何も生えてこぬ。
時が来るまで育つのを待つ。
そして摘み取る頃合いを見極める。
それが肝心じゃとわしは父から教わった。
父上。
おう官兵衛!どうした?大坂から山崎へ帰る途中父上のご機嫌伺いにと思い。
せんだってお加減を悪くされたとお聞きしましたが…。
大事ない。
今はほれこのとおりピンピンしておる!
(ぬい)官兵衛殿!母上。
官兵衛殿からも言ってやって下さい。
無理をするなと。
もう年なのですから。
ぬい。
じじい扱いをするな!
(ぬい)お薬を…。
山崎はどうじゃ?新しい領地ゆえいろいろ苦労もあろう。
今は長政に任せております。
姫路に負けぬ町をつくると皆張り切っております。
先が楽しみじゃ。
されど急いではならぬ。
今でこそこの姫路で黒田といえば皆が慕ってくれるが初めからそうだった訳ではない。
昔からその地で生きてきた者は新しい領主を歓迎する事はまずない。
頭ごなしではいかぬが甘すぎてもならぬ。
そのさじ加減が肝心なのじゃ。
うむ…。
ハハハ。
官兵衛ならよく分かっておると思うが…。
父上何か心配事でも?いや…。
黒田家の昔話たまには長政に聞かせてやってくれぬか?あ…はっ。
うむ。
ハハハ。
うむ。
山崎はいい土地じゃ。
や〜!や〜!糸何をしておる?召し使う者たちが出ていってしまいました。
それで手が足りなくて…。
何故出ていった?妙な噂が広まっております。
噂?黒田家では何か不始末をすれば即座に手討ちにされてしまうと。
それで皆恐れをなして…。
何だそれは!ご自分でまいた種でございます。
(熊之助)父上!父上…。
話し合いの途中で我を忘れ太刀に手をかけるなど言語道断!仮に命に背く者がおったとしても我らの方が先に領民を信じるのだ。
裏切られても信じる。
厳しくするだけでは領民の心は離れていくばかり。
新参者の我らを受け入れてはくれぬ。
されど甘い態度をとれば侮られます。
厳しき仕置きがあると分からせねば領民は従いませぬ。
物事には順序というものがある。
心を一つにする事ができれば厳しき命にも従ってくれるのだ。
お前のやり方は育たぬうちに刈り取りをするようなもの。
育たぬうちに刈り取る…。
回想時が来るまで育つのを待つ。
それが肝心じゃとわしは父から教わった。
善助。
(善助)はっ。
いま一度村長の所へ行き村人を集めてくれ。
皆にわびる。
全てわしが悪かった。
じかに皆の所へ行き許しを請わねばならぬ。
若…。
そういう竹を割ったようなところいかにも若らしいですな。
すぐに取り計らいます。
わしはまだまだだ。
民の声が聞こえておらぬ。
父上…。
こたびはご心配をおかけして申し訳ありませぬ。
うむ。
四国攻めが始まった。
先鋒となった黒田軍は破竹の勢いで進撃。
四国の覇者長宗我部元親はついに降伏。
僅かふたつき余りで戦いは終わった。
勅を奉じ…。
四国攻めのさなか秀吉はついに関白となった。
(家康)四国が平定されたか…。
(直政)秀吉の軍師黒田官兵衛の働きによるものと。
(家康)黒田官兵衛?どこかで聞いた名じゃ。
(忠勝)高松城を水攻めにした男でございます。
(康政)中国大返しも全てその男が絵図を描いたとも…。
(ぬい)干し柿!こんなにたくさん!
(休夢)たんとあるのう。
ハハハハハ。
はい。
おいしく出来たものですからお裾分けを。
後でみんなで頂きましょう。
それにしても播磨はすっかり静かになりましたね。
こうして山崎から姫路へといつでも行き来できるのですから。
あんなに戦が続いていたのが嘘のよう。
これも官兵衛のおかげじゃ。
うん。
光うまい。
ようございました。
フフフ。

(吉太夫)おじじ様!
(熊之助)おじじ様!教えて下さりませ。
(吉太夫)おじじ様。
(職隆)よいか?それっ!
(2人)回った〜!やってみなさい。
はい!えいっ!えいっ!
(熊之助)駄目じゃ。
両手に力を入れて…。
わ〜!お〜そうじゃ!回りませぬ。
吉太夫上手じゃ。
えいっ!それっ!回った!
(セミの声と子どもたちの声)
(セミの声)おじじ様うまくできませぬ。
おじじ様?兄者兄者!うまい干し柿…。
兄者…。
父上…?お前様…?お前様…?お前様…お前様…。
お前様!子どもたちを優しく見守りながら静かに眠るように…。
父上らしいご最期でございました。
父上…。
ありがとうございました。
あとはお任せを。
(職隆)家臣を信じ家族を慈しみこの乱世を皆で生き抜くのじゃ!官兵衛!
(道薫)ここには化け物しかおらぬ。
(秀吉)道薫!望みがかないましたな。
(おね)茶々殿の事でございます。
(茶々)生き恥をさらし生き続ける事こそこの男が受けねばならぬ報い。
キリシタンに!?
(右近)あの方の魂を救おうとなさったのです。
(三成)それゆえ油断ならぬお方でございます。
貴様じゃ。
シメオン…。
(右近)あなたの心は何を求めているのですか?
天正12年官兵衛は秀吉から宍粟郡を与えられました
町を見下ろす山の中に官兵衛の居城とされる山崎城はありました
官兵衛が新たな領地に暮らす一方で父職隆は姫路にとどまりました
天正13年8月。
職隆がこの世を去ります。
その人柄は正直で慈愛に満ちていたと伝わっています
墓は姫路市の南部にあり数百年もの間土地の人々によって守られてきました
黒田家の繁栄を支えた職隆。
官兵衛は父の思いを受け継いでいきます
2014/08/16(土) 13:05〜13:50
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(32)「さらば、父よ!」[解][字][デ][再]

秀吉(竹中直人)からちょう愛された三成(田中圭)は官兵衛(岡田准一)と対立する。父の留守を預かる長政(松坂桃李)は領民の反発にあい職隆(柴田恭兵)の助言を仰ぐが

詳細情報
番組内容
秀吉(竹中直人)は、官兵衛(岡田准一)の忠告を無視し、小牧・長久手の戦いで家康(寺尾聰)に手痛い敗北を喫する。側近として頭角を現す三成(田中圭)は家康を敵視するが、官兵衛は逆に取り込むよう進言、激しく対立する。一方、黒田家は新たに与えられた播磨・山崎に居を移すが、留守を任された長政(松坂桃李)の厳しさに領民が反発、騒動が勃発する。祖父・職隆(柴田恭兵)は領主としての心構えを説き、長政を改心させる。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,寺尾聰,松坂桃李,田中哲司,二階堂ふみ,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,塚本高史,田中圭,高畑充希,山路和弘,阿知波悟美,ピエール瀧,嘉島典俊,隆大介,藤吉久美子ほか
原作・脚本
【作】前川洋一

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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