この度は弊社の「世界家庭文学全集」に「王子と乞食」を入れさせて頂きありがとうございました。
(花子)こちらこそありがとうございました。
私が翻訳の仕事を本格的に始めるきっかけとなった作品ですのでとてもうれしいです。
心の声5歳の誕生日を前にしてこの世を去った歩は私の心に母性という火をともしてくれた天使でした。
歩はもういないけれど私の心の火は消えません。
日本中の子どもたちにその光を届けていく事が私の願いです。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」
(かよ)醍醐さん今日はまた一段とおしゃれですね。
(醍醐)かよさんどうしよう…。
実は私男の方と二人きりでお食事なんて初めてなんですもの。
心配しなんで大丈夫ですよ。
本当に無口であんまり笑ったりもしませんけんど別に怒ってる訳じゃないんで。
はあ…どうしよう…。
(戸が開く音)
(吉太郎)お呼び立てしておきながらお待たせして申し訳ありません。
私が早く来過ぎてしまっただけですから。
兄やんそちらへどうぞ。
失礼します!てっ…兄やん大丈夫け?座ります!あ…私の方こそ座ります。
てっ…醍醐と吉太郎はいつの間にパルピテーションの間柄に?
(吉太郎)醍醐さん。
これ…長い事お借りしてしまって申し訳ありませんでした。
いえ…お貸ししてよかったですわ。
おかげでこうしてお会いできたんですもの。
えっ?あっいえ…何でもありません!オホホホホホ!そういえば先日醍醐さんが弁当を作ってきてくれましたよね。
回想これ醍醐さんが作ったの?ええ。
はなさんも召し上がれ。
あの煮物はおいしかったです。
煮物…ですか。
あとおかかが入った握り飯もうまかったです。
おむすび…。
それから…。
ごめんなさい!実はあのお弁当女学校からのお友達の畠山さんにお手伝いをお願いして煮物もおむすびもほとんど畠山さんが作って下さったんです。
そうだったですか…。
あっでも卵焼きだけは私が作りました。
てっ…。
卵焼きだけなんて自慢できる事じゃないですよね。
お恥ずかしい…。
あの卵焼きが一番うまかったです。
見かけはよろしくなくありましたが味は一番うまかったであります。
ありがとうございます。
いえ。
何だ。
おらが何かしなんでも2人ともいい感じじゃんけ。
(蓮子)歩ちゃんもきっとお空の上でご本を読んでる事でしょうね。
(純平)そうだね。
あなたが生まれてきた時の事この間はちゃんと答えられなくてごめんなさい。
お母様はお父様と引き裂かれて一人であなたを産んだのよ。
だからおばあ様もあなたが生まれた時の事を知らないのよ。
・
(浪子)蓮子さん!大変!龍一弁護士の仕事を放り出してまた演劇に熱を上げてるみたいなの!
(戸が開く音)
(龍一)お待たせしました!皆さんセリフは覚えましたか?
(武)完璧じゃん。
てっ!武の台本ボロボロじゃんけ。
ほりゃあ何べんも何べんもこぴっと読み込んできただからボロボロにもなるさ。
何てったって今日の主役はおらずら…。
武…今日の主役は醍醐さんなんだけど…。
心配するな!この武様に任しとけし。
皆さんよろしくお願い致します。
何でえ?急用って。
と…と…とにかく早く上がって。
みんな兄やん来ました。
遅くなってすいません。
てっ。
武も来てただけ。
どうも吉太郎さん。
ご無沙汰しております…じゃん。
今日は重大発表があり甲府からはるばるやって来ました…じゃん。
重大発表?はい。
醍醐亜矢子さん。
はい。
何でしょう?おらんちは甲府でも名の知れた地主で…ごいす。
醍醐亜矢子さんおらの嫁さんになってくりょう。
(棒読みで)まあうれしいわ武さん。
(武)醍醐さんの事を必ず幸せにします!…じゃん。
武さん。
幸せにして下さい。
(小声で)花子さん。
(小声で)てっ。
あっえっと…その結婚ちょっと待った!なぜ止めるんだ?…ずら?あ…兄やん。
(棒読みで)このまま醍醐さんが結婚してしまってもいいですか?
(英治)そ…そ…しょうですよ…。
しょ…。
(調子の外れた声で)兄やん。
醍醐さんの事好きなんじゃねえの?
(棒読みで)あ…兄やん。
地主なんかに醍醐さんが奪われてしまってもいいの?持つ…も…持つ者がも…もた…持つ…。
持つ者が持たざる者から奪う社会をおかしいとは思わないんですか!持たざる者が富める者から奪ってこそ意味がある!そのとおりだ!よく分からんけんど醍醐さんが武と結婚してえって言うだから…。
吉太郎さん違うの!吉太郎さん!醍醐さんの事が好きなら略奪してでも一緒になるべきだわ。
たとえ世間から後ろ指さされたって好きな人と一緒にいられれば耐えられる。
好きな人と一緒に生きられる事ほど幸せな事はないわ!
(小声で)あれ?そんなセリフあったかな…。
私は龍一さんと一緒にいられて…とても幸せよ。
蓮子…。
(せきばらいと畳をたたく音)吉太郎さん今ならまだ間に合うわ。
醍醐さんを連れてお逃げなさい。
(平祐)駄目だ駄目だ!吉太郎君は軍人なんだ!軍人の脱走がどれほどの重罪になるか。
君の一生…いや君の家族の人生まで台なし…。
父さん父さん。
ちょっと…。
いいから。
(小声で)これは醍醐さんと吉太郎さんの仲を取り持つためのお芝居なんです。
仲を取り持つ?ええ。
憲兵の吉太郎君が物書きの女性とそうやすやすと一緒になれる訳がないだろう。
シ〜ッ!もうここで静かに観劇してて下さい。
じゃあ…蓮子の最後のセリフからもう一回!セリフ?えっ?あっ…。
吉太郎さん。
醍醐さんを連れてお逃げなさい。
自分は脱走などできません!醍醐さんが武と結婚して幸せになるなら…よろしいのであります。
(武)て〜っ!ほれじゃあ本当におらが醍醐さんと結婚していいだな?
(小声で)武。
違うんです!今のは全部お芝居で…吉太郎さんがなかなか思いを告げて下さらないから私焦ってしまって…。
えっ?私が好きなのは吉太郎さんなんです!吉太郎さん。
私と…結婚して下さいませんか?いや…。
駄目です。
兄やん…。
あ…そうですよね。
ごめんなさいこんな事言ってしまって。
それじゃあ皆さんごきげんよう。
醍醐さん!あっ…。
(一同)てっ!?醍醐さん!あの…本当に申し訳ありませんでした。
吉太郎さんのお立場も考えずにあんな事…。
醍醐さん話は最後まで聞いて下さい。
こういう大事な事は自分の性分として女の醍醐さんに言わせる訳にはいきません。
自分から言わせて下さい。
自分もあなたの事が好きであります!あ…まさか…。
(吉太郎)いえ!本当に結婚してほしいと思っておるのであります。
吉太郎さん…。
てっ…。
ですが…。
・
(拍手と歓声)ですが…何ですか?ですが…自分は憲兵という立場上独断で結婚する事はできません。
少し時間を頂けませんか。
いくらでも待ちます。
よかった…。
醍醐さんが武を選ばなんで本当によかった…。
まあ。
芝居なんか打つ必要なかったみたいですね。
そうみたいね。
てっ。
武!どうしたでえ?醍醐さ〜ん…おらが嫁にもれえたかっただ〜…。
武…なにょう言ってるでえ!醍醐さんと兄やんの思いが通じ合って筋書きどおりじゃんけ!ほれとこれとは違うじゃん…あ〜…。
吉太郎と醍醐幸せになれるといいですね。
泣くな武。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/08/16(土) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(120)「海にかかる虹」[解][字][デ][再]
ある日、「貸切」の札がかけられたかよ(黒木華)の店で、醍醐(高梨臨)が誰かを待っている。緊張しきりの醍醐をかよが励ましていると、そこへやって来たのは…
詳細情報
番組内容
思いを新たにした花子(吉高由里子)は、以前にも増して翻訳家として意欲的に取り組んでいく。しばらくたったある日、かよ(黒木華)の店で誰かを待っている醍醐(高梨臨)。緊張しきりの醍醐をかよが励ましていると、なんと吉太郎(賀来賢人)がやって来る。はじめはぎこちなかったが、徐々に打ち解けていい感じになるふたり。やがて、進みそうで進まないふたりの様子に、龍一(中島歩)が一計を案じ花子たちに声をかける…
出演者
【出演】吉高由里子,仲間由紀恵,賀来賢人,黒木華,高梨臨,鈴木亮平,中島歩,中原丈雄,矢本悠馬,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:2752(0x0AC0)