ほんとにあった怖い話 真夏の傑作選【大島優子 剛力彩芽 長澤まさみ 阿部寛】 2014.08.16

(久美)よく見てて。

(久美)行こう。
(昌代)
同級生の久美から家に泊まりに来てほしいと頼まれたのは高校3年の夏休みのことでした
(昌代)大丈夫?
(久美)うん。
この日久美の両親が旅行に行ったので彼女が留守番をすることになったのです
(久美)ごめんね。
頼れるの昌代しかいなくて。
(昌代)こっちこそごめんね。
あのイヤリングだけじゃ何にも分からなくて。
実はわたしには少し霊感のようなものがあるのです
(昌代)でも何であんな片方だけのイヤリングを拾ったの?
(久美)そうだよね。
小学生じゃあるまいし。
でも道に落ちているのを見たときはすごく魅力的に見えたの。
ただその日から変な音が聞こえるようになって。
(昌代)変な音?
(久美)そう。
だからすぐ捨てに行ったの。
でも何度捨てても戻ってくるのよ。
(昌代)お母さんやお父さんに相談したの?
(久美)誰も信じてくれなくて。
(昌代)そう。
(落下音)
そしてその夜

(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)この音なの?
(久美)うん…。

(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(衝撃音)・
(落下音)
(落下音)あっ!?
(落下音)
(昌代)あっ!
(落下音)
(落下音)
(昌代)久美。
女の人!女の人が!
(落下音)
久美には何も見えないようなのです

そのとき気が付いたのです
この女の人はイヤリングに未練があるのだと

(落下音)・
(落下音)
(昌代)もうやめて!・
(落下音)・
(落下音)
後で知ったのですが数週間前にこの近くで女性の飛び降り自殺があったのです
イヤリングは近くのお寺に引き取ってもらい供養してもらいました
それ以来おかしなことはなくなったそうです
(愛梨)
これは私が働いている病院で起きた出来事です
(愛梨)よし。
(愛梨)308号室へ行ってきます。
(恵美)はーい。
よろしく。
はい。
よし。
当時の私は看護学校を卒業したばかりの新人でした
(愛梨)米田さん。
ご気分いかがですか?
(米田)姉ちゃん。
すまんのう。
わし手が痛いんじゃ。
もっと優しくやってくれんか?
(愛梨)ああ。
すいません。
(米田)ああ。
ここもまた病室に戻したんだのう。
病室に戻した?
(米田)去年あたりだったかなぁ。
ここ倉庫だったんだよ。
(愛梨)そうなんですか?
(米田)うん。
(愛梨)ああ。
すいません。
私まだ新人なもので。
(米田)頑張れよ。
(愛梨)ありがとうございます。

(医師)4時35分死亡確認です。
(男性)お世話になりました。
(泣き声)
(女性)お父ちゃん。
(看護師)佐野さん。
(愛梨)あっ。
すいません。
(女性)起きてちょうだい。
(女性)おじいちゃん…。
そして数週間後
(愛梨)田村さん。
採血の時間ですよ。
はい。
終わりました。
じゃ手広げてください。
(愛梨)天井がどうかしました?
(田村)いや。
あそこがね何か気になるのよ。
(田村)フフフフフ。
いや。
やっぱり何でもないわ。
アハハハ。
(愛梨)アハハ。
数日後その患者さんも亡くなってしまい
(医師)5時39分死亡確認です。
(女性)お母さん。
お母さん。
お母さん。
そのときはまだ何も分かっていませんでした
そしてまた数週間がたち308号室には小さな患者さんが入院しました
人見知りが激しく少々扱いが難しい男の子でした
(愛梨)亮君。
お薬だよ。
はい。
お口開けて。
おっ。
こら。
駄目だよ。
うーん。
ほら。
ちゃんとお薬飲まないと。
(亮)やだ。
(愛梨)どうしたの?
(恵美)しょうがないよ。
いきなりこんなところに一人で入院させられてんだもん。
(愛梨)はい。
(恵美)それにお母さんも仕事でなかなか病院に来られないし。
(愛梨)はい。
うーん。
そうなんですけど。
(恵美)気にしないこと。
(愛梨)あっ。
308号室って前は倉庫だったんですか?
(恵美)うん。
そうだけど。
何で?それ。
(愛梨)あっ。
こないだ亡くなった患者さんがそう言ってたんです。
(恵美)あっ。
そう。
(愛梨)どうしてですか?
(恵美)手狭になったから倉庫を病室にしたのよ。
いや。
そうじゃなくて。
もともと病室だったところを倉庫にしてまた病室にしたって言ってて。
何でだろうなぁと思って。
(恵美)うん。
それは…。

(文代)そのときは病室よりも倉庫が必要だったのよ。
(愛梨)あっ。
お疲れさまです。
亮君。
検温の時間だよ。
あっ。
お絵描き上手だね。
あっ。
これもしかしてパンダ?そっか。
亮君パンダ好きなんだ。
お姉ちゃんもね小さいころねパンダの縫いぐるみを買ってもらってね。
それは今でも。
亮君?
(愛梨)どうしたの?天井に何か見えるの?
(文代)天井?
(愛梨)はい。
308号室で亡くなった患者さん皆さんあの病室の天井を気にして…。
(文代)ちょっと佐野さん。
(愛梨)はい。
(文代)あなた今日の山本さんの看護記録抜けてるじゃないの。
(愛梨)あっ。
(文代)天井もいいけど。
もっと他にやることがあるんじゃないの?あなたこの病院に来て何カ月になる?そんなことじゃまだまだ患者さんを任せられないわよ。
あっ。
すいません。
ハァー。
(愛梨)ハァー。
ハァー。

(母)愛梨。
ご飯の準備できたわよ。
はーい。

(愛梨)亮君。
これ。
こないだ話したでしょ?お姉ちゃんが亮君くらいのころにこのパンダさんと夜もずっと一緒に寝てたの。
これ亮君にあげる。
(愛梨)亮君。
ここ置いとくね。

(愛梨)どうしてなの?亮君。
いつも天井ばっかり見てるけどそこに何かあるの?
(亮)分かんない。
これは?
(亮)駄目!
(恵美)元気出しなよ。
(愛梨)私この仕事向いてないんですかね?色々うまくいかないし。
(恵美)ああもう。
しっかりして。
ねっ?天井。
あの部屋の天井。
(恵美)えっ?いったい何なんですかね?
(恵美)私から聞いたって言わないでよ。
(恵美)実はね昔あの308号室に入院した患者さんは必ず亡くなるっていう噂があったらしくて。
以前は呪われた病室って呼ばれてたみたいなの。
それで倉庫にしたって。
(愛梨)呪われた病室?
(恵美)うーん。
でも昔のことだし噂だからね。
はっ!?
(シャッター音)
どうしてそんなことをしたのか自分でも分かりませんでした

(文代)病室を替えてほしい?
(愛梨)はい。
亮君の様子がおかしいんです。
お絵描き帳に黒い染みみたいな絵を何枚も何枚も描いていて。
(文代)佐野さん。
おかしいのはあなたの方じゃないの?
(愛梨)だけど308号室は呪われた病室だって。
あそこに入院した患者さんは亡くなるって。
(愛梨)あっ。
(愛梨)お願いします。
私亮君のことが心配なんです。
(文代)いいかげんにしなさい!
そして数日がたち…
(恵美)おはよう。
(愛梨)あっ。
お疲れさまです。
(恵美)昨日亮君別の病室に移されたよ。
(愛梨)えっ?どうしてですか?
(恵美)さあ。
誰かが亮君の絵を主任に見せて説得したらしいよ。
じゃあ。
ああ。
病室が替わってから亮君ともうち解け
飲めた。
さすが亮君。
(愛梨)はい。
撮れるかな?
(シャッター音)
(愛梨)撮れた?ホント?じゃあ見せて。
おっ。
上手だね亮君。
亮君も撮らせて。
はい。

これで全て終わったと思いました

(愛梨)よいしょ。
ウフッ。
カワイイ。
うわっ。
これすごいな。
ウフフ。
ウフッ。
カワイイ。
エヘッ。
ところが…
えっ?ああ。

(愛梨)亮君。
ここにはもう二度と来ちゃ駄目だよ。
いい?分かった?ここにはもう来ちゃ駄目。

(愛梨)亮君。

(愛梨)亮君。
行こう。

(愛梨)亮君。
早く。
ねえ?ねえ?早く。
ねえ?行くよ?ねえ?亮君!ねえ?亮君。
どうしたの?早く出るよ。
ねえ?ねえ?早く出るよ。
(女性)あああ…。

(愛梨)亮君。
亮君。
早く。
亮君。
早く。
ねえ?動いて。
亮君。
出よう。
(愛梨)ああっ。
いっ…。
あっ。
あっ!?
(女性)あああ…。

(愛梨)駄目。
駄目。
この子を連れてかないで!嫌ーっ!
(愛梨)あっ。
亮君?亮君?ああ。
ああ。
よかった。
(亮)お姉ちゃん。
パンダは?
(愛梨)あっ。

その後308号室は再び倉庫になりました
(洋子)
前略初めてお便りいたします。
今日はわたしの悩みを聞いていただきたいのです
(洋子)貴之時間よ。
いいかげん起きないと遅れるわよ。
遅刻しても母さん知らないからね!
(真由)もうほっとけば。
わたしのほうが遅刻しそうなんだけど。
(洋子)そうはいかないでしょ。
試験だっていうんだから。
(真由)ふうん。
わたしヨーグルトだけでいい。
おなかあんますいてないし。
(洋子)ダイエットだか何だか知らないけどダメよしっかり食べなきゃ。
(真由)お父さんだって残してってんじゃん。
ダメ!育ち盛りのあなたは別。
いい?ちゃんと食べなかったら携帯料金払ってあげないからね。
(真由)ずるい。
ずるくない。
早く食べなさいよ!
一見ごく普通の家庭のようですがわたしと子供たちの間には実はわたしにはとても理解の及ばぬ深い溝が横たわっているのです
(貴之)まいったな。
寝不足だ。
(洋子)何言ってんの。
さっさと顔洗って。
ご飯できてるわよ。
(貴之)ゆうべまた誰か部屋に入ってきてさそんで布団の上に乗っかんだぜ。
もうしんどくてさ。
(真由)やっぱり。
あれお兄ちゃんが拾ってきたんだ。
もう迷惑してるんだからね。
しょうがねえだろ。
俺だって好きで拾ってきてるわけじゃねえよ。
気をつけてよね。
見えねえのにどうやって気をつけろっていうんだよ?そんなこと自分で考えてよ。
お兄ちゃんはいいよ。
見えないから。
わたしの身にもなってよね。
(貴之)見えませんよ。
分かりませんよ。
見えません。
見える。
見えない。
子供たちがそんな奇妙な言い合いをすることはしょっちゅうでした
どうやら息子はその見えないものに取りつかれやすいたちのようで妹のほうはといえばそれが見えてしまうらしいのですがわたしや夫にはそういった経験が全くなくいいかげんこういう生活は終わりにしたいと思っていました
(洋子)ねえ?真由。
ちょっといい?
(真由)何?母さんねあなたや貴之のことが心配で。
ねえ?どんなものが見えるの?昨日のはね変な格好をしたおじいさん。
でも朝には消えてたみたいだから。
大丈夫なの?
(真由)うん。
ありがと。
でもしょうがないよ。
それにさあんなの見えないほうがいいって。

(ドアの開く音)
(貴之)ただいま。
(洋子)あっ貴之。
あなたもちょっとこっち来て。
母さん話したい事あるんだけど。
(貴之)ごめん。
もう眠くて眠くて。
直行帰ってきた。
少し寝る。
疑っているわけではありません。
ただもし自分にもそういうものが見えればもう少し子供たちのことをいろいろ分かってやれると思うのですが
(真由)《でもお母さん。
ホント見えないほうがいいって》・
(貴之)真由。
晩飯できたら起こしてくれる?おい真由。
どうした?・
(ドアの開く音)
(真由)ううん。
(水のしたたる音)
(利也)
これは僕が就職活動をしていたころの話です
(利也)ハァー。
(利也)ハァー。

(健太)利也。
そのため息で幸運が一つ逃げたぞ。
(利也)仕方ないだろ。
このご時世なんだから。
何だ?山田はいい仕事見つかったの?
(健太)いや。
笑うと幸運がやって来るって聞いたもんだからさ。
ハハハハハ!
(利也)ハァ。
(メールの着信音)
(利也)ああー。
(健太)また幸運が一つ逃げたぞ。
(利也)彼女と別れられれば幸運の一つくらい逃げてもいいよ。
(健太)真美か?もう駄目なの?
(利也)駄目だな。
(健太)別れんの?
(利也)そのつもりなんだけどね。
なかなかタイミングが。
(健太)うわー。
超もったいねえ。
あんな奇麗な子となかなか付き合えないよ。
(利也)いや。
確かに奇麗だよ。
でも何つうか一緒にいると疲れちゃうんだよね。
(健太)お前それぜいたくな悩みだって。
(利也)うん。
(メールの着信音)
当時僕には真美という2つ年下の彼女がいました
美人で明るくて最初は大好きでしたが最近はそんな気持ちもすっかり薄れてしまいいつ別れ話を切り出そうかと考えていました
(真美)で優子と一緒に大爆笑。
超ウケるでしょう?
(利也)ああ。
うん。
(真美)でしょう?ハハハ。
ハハハ。
ハハハ。
ハハハ…。
(真美)ねえ?今日何か元気なくない?
(利也)あっそう?
(真美)うん。
あのね。
ちょっと話があるんだけど…。
えっ?
(真美)ねえ。
(利也)うん。
(真美)最近右肩重くない?
(利也)はっ?
(真美)重いでしょ?絶対。
ああ。
まあ。
言われれば重いような。
(真美)やっぱり。
驚かないで聞いてね。
えっ?はい。
何?
(真美)私霊感あるって言ったじゃん。
ああ。
うん。
(真美)あのね…。
ええっ!?ねえ?ちょっと何?怖いよ。
(真美)シーッ。
今利也君の右肩にね。
(利也)うん。
(女性)もしもし。
(真美)いるの。
何が?
(真美)赤と青のワンピースを着た…。
(利也)えっ?
(真美)髪の長いおばさんが。
そんな。
『ほん怖』じゃあるまいし。
じゃあ行こう。
(利也)どこに?
(真美)決まってるじゃん。
行こう。
ほら。
(利也)えっ?
(利也)どこ行くんだよ?
(利也)あのさ。
何でそんなもん買ったんだよ?
(真美)ホントに心当たりないんだよね?
(利也)えっ?
(真美)髪の長いおばさん。
(利也)知らないよそんなおばさん。
(真美)そっか。
誰なんだろう?あのさ。
(真美)よいしょ。
お邪魔しまーす。
うわっ。
これは駄目だわ。
(利也)えっ?ここにいるの?俺についてるんじゃないの?
(真美)ってか利也君ちに来たのって超久しぶりかも。
ちょっとうれしかったり。
(利也)ハァ。
(真美)よし。
始めるよ。
(利也)えっ?あっああ。
おう。
(真美)はい。
(利也)はい。
(真美)よいしょ。
うん。
これで大丈夫だから。
(利也)おう。
ありがとね。
(真美)でもしばらくはこのままにしておかないと駄目だからね。
(利也)ラジャー。
えっ?まだいる?
(真美)フッ。
じゃあね。
しかしまあ。
マジですか?フゥー。
フゥー。
フゥ。
うわっ!?あっ。
自分かよ。
ハァー。
その後真美のおはらいが効いたのかすっかり右肩も軽くなり特に何も起きず普通に過ごしていました
ですが真美と会う気になれずだらだらと別れ話も引き延ばしていました
(健太)何?何?何?うーわ。
結局まだ別れてないじゃん。
(利也)うるせえな。
ちょっごめんごめん。
ちょっといい?はっ?どういう意味だ?これ。
(健太)おっ。
彼女にラブコールですか?
(利也)そういうんじゃないっつうの。
(健太)皆さん。
利也君ったら俺たちほっといて彼女にラブラブ電話しようとしてまーす。
(利也)バカ。
うっさい。
(男性)飲め飲め。
(健太)飲もう。
今日は飲もう。
よし。
飲むぞ。
いくぞ利也。
乾杯!
(一同)乾杯!一気に。
全部全部全部。
せーの。
いくよ。
(利也)ああー。
(男性)お前みてえなやつはな就活失敗すりゃいいんだよ。
(利也)何でそんなこと言う…。
(健太)取りあえず髪切れ。
髪を。
(利也)いいじゃん。
(健太)長いんだよ。
はい。
うん?あっ。
違う。
はい。

(真美)利也君?ねえねえ。
大丈夫だった?
(利也)はあ?・
(真美)私昨日夢の中でワンピースの女に追い掛けられたの。
逃げても逃げても追い掛けてきて超怖かったんだから。
ワンピースの女?・
(真美)だからもしかしたら利也君にも何かあったんじゃないかって心配で心配で。
それ真美が見た夢の話でしょ?俺関係ないかなって。

(真美)だけど目が覚めたら金縛ってたんだよ。
私の上にその女が乗ってて「邪魔するなー!」って恐ろしい声で怒鳴られたんだから。
うーん。

(真美)ねえ?怖かった。
すっごい怖かったよ。
あのね。
大事な話があるんだけど。

(真美)私も超大事な話があるんだ。
私ねあの女を見つけたの。
は…はい?
彼女にどうしても見せたいものがあると言われいつもの店で会うことになりました
今度こそ別れ話を切り出す絶好のチャンスでした
あのね。
真美。
大事な話が…。
(真美)これなんだけど。
(利也)はあ。
私のブログなんだけどねこれ友達しか見れないようにしてるのね。
だからそれ以外の人が見にくることってないんだけど。
ああ。
ブログね。
(真美)うん。
(真美)でこのアンダーバーのハンドルネームだけまったく見たことなくて。
誰だろうと思って確かめてみたの。
そしたら…。
(真美)この人だよ。
(利也)えっ?利也君の右肩にぴったり張り付いてる人。
(利也)えっ?えっ?えーっ!?あっ。
(真美)シッ。
私の上に乗っかってた人。
(利也)で…でも何でここにいるの?
(真美)いや。
もう分かんないよ。
幽霊がブログやってるってこと?えっ?どういうこと?ホントに心当たりないの?
(利也)ないよないよ。
こんな人知らないよ。
(真美)ねえ?しばらく一緒にいようよ。
(利也)はい?
(真美)だって私のところにも出てきてるし。
私も狙われてるんだと思う。
(利也)えー。
いや。
でも一緒には。
(真美)ねえ?そうしよう。
で解決しようよ。
私できるだけのことやるから。
ねっ?決まり。
(利也)いやいやいや。
あのね。
っていうかね今日こそはきっちり言おうと思ってたんだよね。
俺…。
(真美)えっ?
(子供)いってきまーす。
彼女に一緒にいようと散々言われましたがそれは断り。
かといって別れ話もできず朝を迎えました
助けて!うわー!うわー!
真美の話のせいで変な夢を見たようです
(利也)《これって金縛り?》
(女性)邪魔するなー!うわー!
(利也)うわー!あっ。
すいません。
すいません。
(講師)えー。
日本の主要な輸出産業は経済の発展とともに…。

(物音)
(講師)大きく変化してきました。
まず戦後の復興期には…。

(物音)
(講師)繊維など当時の低コストな労働力を生かした労働集約的な製品が日本の輸出産業となり。
ちなみに繊維は日本の輸出の50%ほどを占めていました。

(物音)
(講師)一方で高度経済成長期には経済における物資の不足も徐々に解消され資本蓄積も進む中政府の産業支援の下で重化学工業化が志向されました。

(物音)
(講師)政府の資金的な支援の中臨海地域に巨大なコンビナートが形成され鉄鋼造船石油化学などいわゆるこの…。
(講師)重化学工業が輸出産業にも成長していきました。
しかし…。

(物音)
(利也)うわっ!
(学生たち)えっ?ヤバくない?何だよ?
(講師)どうした?うん?大丈夫か?
(利也)大丈夫です。
(講師)ああ。
これはひどいな。
どうする?保健室行くか?なっ?
(利也)はい。
(講師)ちょっと。
翌日健太の紹介で霊媒師の人に会うことになりました
(美由紀)あなたさ。
(利也)はい。
(美由紀)別れようと思ってる彼女がいるよね?
(利也)えっ?
(美由紀)だけどまだきちんと別れてないみたいだね。
(利也)えっ?えっ!?えっ?な…何で分かるんですか?今あなたに降り掛かってる災難はそこにいる女のせいじゃないわ。
(利也)えっ?えっ?えーと。
それはどういう?あなたについてる中年の女は彼女の生き霊よ。
(利也)はい?
(真美)えっ?ちょっと待って。
何の冗談?冗談なんかじゃないよ。
(真美)私の生き霊とかいってマジ意味分かんないんだけど。
ってか私中年じゃないし。
私の生き霊なら何でそんな中年の変なワンピース着た女なわけ?訳分かんないんだけど。
フフッ。
生き霊になる人間はほとんどの場合本人はまったく気付いていないそうだ。
えっ?
(美由紀)《あなたの彼女霊感が強いって言ってなかった?》
(利也)《そもそも俺に霊が取りついてるって言ったの彼女です》
(美由紀)《やっぱり》《けどねその話は彼女の嘘よ》
(利也)《嘘?》
(美由紀)《彼女あなたが別れようとしてることに気付いてたのね。
けどどうしても別れたくないからそんな嘘をついて。
そのうちにいつの間にか生き霊となってあなたに取りついてしまったと》《そうすればそれを理由にそばにいられるって思ったんでしょ》
(美由紀)《普通の霊ならはらえるわ》《でも生き霊は死者の霊より強い力を持ってる》《私にははらえないわ》《そこにいる女を追い払いたいならあなたがはっきりとした態度を示さないと駄目よ》
(真美)っていうかそんな訳分かんない女の言うこと信じてるんだ。
あり得ないんだけど。
もうそんな話どうでもいいからさどうやったら女を追い払えるか一緒に考えようよ。
あのさ。
(真美)何?魔女って魔法で若返ってるけどホントはずる賢い老婆でしょ?えっ?何言ってんの?あのときあそこにいたよね?
(講師)《それら重化学工業が輸出産業にも成長していきました》《しかし1973年の石油ショック以降は石油価格がそれまでの5倍以上に…》・
(物音)
(利也)《うわっ!》
(講師)《どうした?えっ?大丈夫か?》
(利也)《大丈夫です》
(講師)《ああ。
ひどいなこれは》
(利也)いたんだよね?ってかあの先生の講義が聴きたかったから潜り込んだだけだし。
(利也)何で別の大学の君がいる必要があるの?いいじゃん別にそんなことどうだって。
ねえ?やっぱりいるよ。
ねっ?一緒に追い払う方法考えよう。
あっ。
私またおはらいに行ってあげる。
今度はもうちょっと強いおはらいした方がいいと思うんだよね。
ちょっと時間かかるかもしれないけど今から行っても大丈夫だよね?早くどうにかしないともっと大変なことになるかもしれないし。
ねっ?行こう。
(真美)ねえ。
聞いてる?
(真美)利也君?別れよう。
えっ?さよなら。
そして僕たちの関係は終わりました
(健太)ジャーン。
また行ってきました。
パワースポット。
(利也)お前そんなとこ行く暇あったら説明会行ったら?
(健太)お前分かってないな。
説明会よりも御利益あんだよ。
(利也)やっぱそうなのか?
(健太)バカ。
んなわけねえだろ。
(メールの着信音)
(利也)あっ。
(健太)誰?
(利也)真美。
(健太)あーあ。
何だよ?いまさら。
(健太)何?この題名。
「ごめん。
やっぱり私だったかもしれない」
(真美)「元気にしてますか?」「ちょっと伝えたいことがありメールしました」「最近人生の大掃除のつもりで部屋を片付けていたらこんなものが出てきました」「子供の頃すごく気に入ってて着ていた物なんだけどすっかり忘れていました」画像が添付されてるね。

(健太)うん?
(真美)「だからごめん。
あの女私だったのかも」
(女性)邪魔するなー!
(男)おはようございます。
(邦弘)おはようございます。
(女)おはようございます。
(邦弘)おはようございます。
(知也)はぁ。
(邦弘)あ〜。
うん?なるほどね。
(知也)これでもちょっとはやせたんですけどね。
(邦弘)嘘。
ハッ。
分かんないしょ。
これ目に見えてやせないとさ。
(知也)はぁ。
(邦弘)「はぁ」って。
全く身にまとった脂肪の割にはさ気の小さいヤツだね。
(知也)すいません。
(平野)おはようございます。
これ小山さんの結果です。
おうサンキュー。
あれ?ちょっとリボン曲がってない?俺直してやるよ。
やめてください。
(邦弘)冗談だよ。
ハッハハ。
かわいいな。
ハハッ。
なっ?ちょっと気にすんなよ。
たかが健康診断でしょ。
あ〜。
あっやせすぎ。
ハハハ。
冗談だよ。
怒んなよお前。
ハハハハ。
たかが健康診断じゃないですか。
しかもちょっとコレステロール値が高かっただけだし。
(知也)小山さん。
いくらなんでもちょっと吸いすぎじゃないですか。
今に肺ガンになりますよ。
うるさいな。
誰のせいでさ迷ったと思ってんだよ。
さっさと場所探せよ。
ってお前。
何でお握り食ってんだよ。
(邦弘)
こうしてわたしたちは会社の命を受け研修と称した2泊3日の断食ツアーに参加することになったのです
何だこれ。
(知也)何か雰囲気のあるとこですね。
肝試し大会とかあったりして。
幸せなヤツだなお前。
そろそろ行きましょうよ。
小山さん。
ホントダメですよ。
体に悪いですって。
ホントお前小姑みたいなヤツだね。

(八重子)あの禁煙なんですけど。
そんなはり紙さどこにしてあります?
(八重子)すいませんタバコは…。
あっあっ。
あっ捨てた。
営業2課の小山と言います。
よろしく。
あっすいません。
えっとわたし今回の研修を担当しています厚生部の水野八重子です。
よろしくお願いします。
よろしく。
(八重子)ではそろそろ始まりますので中のほうにどうぞ。
あっ分かりました。
(小宮)まず皆さんには日ごろの運動不足の体を動かしてもらいます。
それではこの後グループに分かれて掃除をしていただきます。
組み合わせと場所は紙に書いてあるとおりです。
(小宮)あとしつこいようですがくれぐれもこの3日間は禁酒禁煙でお願いします。
禁煙ですって。
タバコをやめるにはちょうどいい機会ですね。
うるさいな。
大きなお世話だよ。
(邦弘)全く冗談じゃないよな。
何でトイレでこそこそ吸わなきゃいけないんだよ。
高校生じゃあるまいしさ。

(物音)うん?あっ!びっくりした。
すいませんあの…。
あっ。
すいません。
(邦弘)暑い。
えっどっち?
(八重子)こちらです。
(邦弘)こっちですか?
(八重子)はい。
ふ〜っ。
こんなとこをさ掃除したって意味がないんだよな。
はい?
(邦弘)あっいや何でもないです。
はい。
(指輪の転がる音)あれ?
(邦弘)「かずおはるえ」?ハッ。
何だこれ。
入らない。
これ何だと思う?
(八重子)お呼びですか?
(邦弘)あれ?どうかしました?いやだってだって君今ここにいたでしょ?どうかした?いえ別に。
あっあのわたしちょっと。
(邦弘)えっ?
(知也)嘘だろこれだけかよ。
さっきから元気ないみたいだけどどうかした?いえ別に。
あのさっきのことなんだけどさ。
はい。
何かあんの?いえ。
やっぱ何かあんでしょ?は…話してくれないかな。
実はねさっきトイレでも変なことあったんだよね。
わたしだけじゃなかったんだ。
えっ何?どういうこと?昔ここの裏手に小さな病院があったんです。
そこに結婚が決まった若い看護婦がいたんですけどあるとき指輪をなくしちゃったらしいんですよ。
それで恋人との仲がこじれちゃったみたいで…。
それで?自殺したっていうんですよ。
(八重子)その人別れを言われてからも毎日必死になって捜したらしいんですけどでも結局見つからなかった。
それで今でもなくした指輪を捜し続けてるんじゃないかって。
フフッ。
まさか。
やっぱり来るんじゃなかった。
気のせい気のせい気のせい。
えっ指輪?何だよそれ。
きっと何かの間違いだよ。
(車輪のきしむ音)
(八重子)ううっ!
(知也)少しは手伝ってくださいよ。
ちょっと聞いてます?うるせえな。
悪いけどさお前俺の分も敷いといて。
えっ?俺壁側でさ。
お前入り口側だからね。
何で勝手に決めてんすか。
(邦弘)間違えんなよ。
ちょっと小山さん。
あっすいません。
水野さんいますか?ちょっとお伺いしたいことがあるんですけど。
ああ水野なら帰りましたよ。
えっ!帰った?どうして?さあ。
突然だったんで我々にもよく分からなくて。
いや分からないって。
えっ…えっ?まああしたも早いですし早くおやすみになってください。
あっいやちょっと…。
おやすみなさい。
わたしは水野さんがいなくなったことがとても気がかりでした
バカバカしい。
(八重子)それで今でもなくした指輪を捜し続けてるんじゃないかって
(バケツの倒れる音)こういう物はさ元の場所に戻しとくのがいちばんいいんだよ。

(車輪のきしむ音)
(車輪のきしむ音)
(指輪の落ちる音)
(車輪のきしむ音)
(邦弘)あっあら。
(車輪のきしむ音)
(邦弘)あっあらあら!?あれあれあれあれ…!?
(邦弘)ちょっちょっと…。
あれっ!
(車輪のきしむ音)
(車輪のきしむ音)うっ…うっ!
(車輪のきしむ音)
(車輪のきしむ音)
(車輪のきしむ音)
(扉の開く音)
(扉の開く音)
(扉の開く音)
(車輪のきしむ音)
(指輪の落ちる音)
(邦弘)ううっ!うっうっ!ん…んっ。
(車輪のきしむ音)痛っ。
あーっ!
それからのことは記憶にありません
結局あの女性が徘徊している本当の理由は分からずじまいでした
そうなんだけどね…。
あっごめんね。
小山さん。
どうも。
(八重子)どうも。
先日はすいませんでした。
挨拶もなしに帰ってしまって。
ああいえ。
あっわたし部署が異動になったんですよ。
だからもうあそこには行かなくていいんです。
あっそうなんだ。
あっ…。
どうかしました?それ。
ハハッ。
何かさこれ全然関係なかったみたいだよ。

(里菜)
これは私が2年前に体験したお話です

(加奈子)だからさマジ超張り切るわ私。
(里菜)やる気だね。

(加奈子)里菜もそろそろいい人と巡り合わないと。
(里菜)うん。
まあね。
当時の私は彼に振られた傷もだいぶ癒えそろそろ次の恋をしようと思い始めていたころでした

(加奈子)じゃあ7時に渋谷だからね。
(里菜)7時ね。
OK。
あっ。

(加奈子)うん?どうした?イケメン。

(加奈子)はあ!?
なぜだか分かりませんが私はこの人形に強烈に引かれてしまいました

(加奈子)えっ?もしもし。
里菜?ねえ聞いてる?何?あんた。
合コン前にいい人見つけちゃった感じ?あっ。
ごめん。
また後でかけ直すね。

(加奈子)えっ?ちょっと!
(里菜)あの人形下さい。
(加奈子)乾杯!
(一同)乾杯!
(聡)その荷物こっち置いとこっか?邪魔でしょ?
(里菜)すみません。
(聡)ああ。
やるやるやる。
大丈夫。
(里菜)ありがとうございます。
(聡)いいえ。
(加奈子)じゃあ料理は取りあえず後にして自己紹介しようよ。
(一同)おっ。
うん。
(加奈子)ねっ?じゃあ自己紹介タイムです。
(一同)イェーイ!
(加奈子)はい。
どうぞ。
(聡)えっ?俺!?はい。
えー。
どうも。
山本聡です。
サラリーマンです。
よろしく。
(加奈子)はい。
よろしく。
(一同)はい。
よろしく。
飲み会はとても盛り上がり終電を逃してしまった加奈子は私の部屋に泊まることになりました
(里菜)いつものことだよ。
(加奈子)いつもなの?
(里菜)いつもなのこれ。
よいしょ。
はい。
ただいま。
(加奈子)お邪魔します。
(里菜)何か飲む?
(加奈子)うん。
しっかしさ今日はかなり当たりだったよね。
(里菜)うん。
そうかも。
(加奈子)私マジで小川さんにアタックしちゃおうかな?
(里菜)加奈子ってホント眼鏡男子好きだよね。
(加奈子)えっ?だってさあの眼鏡越しの目にきゅんとしない?
(里菜)しない。
(加奈子)えー。
何で?あの眼鏡取ったときのギャップだよ。
ギャップ。
(里菜)えー。
分かんないよ。
そんなことより。
(加奈子)うん。
あっ。
噂のイケメン君の顔を拝見しようではないか。
ジャーン。
フフッ。
やっぱいい顔してるね君。
何か目がマジだねこの人形。
(里菜)えっ?
(加奈子)いや。
何ていうか。
うまく言えないけど怖くない?ちょっと。
私の王子さまに向かって何てこと言うの?いや。
あんた王子さまとかヤバいってそれ。
あっ。
ねえねえ。
それよりさ里菜の方こそどうなの?山本さん。
(里菜)えっ?うん。
まあね。
(加奈子)何?ちょっともったいぶらないでよ。
(メールの着信音)あっ。
山本さんだ。
(加奈子)うん!嘘?あっ。
「今日はとても楽しかったです」「無事に帰れた?もしよければ…」「明後日映画でも観に行きせんか?」って。
(里菜)どうしよう?
(加奈子)えー。
どうしようってもうこれ恋の始まりでしょ。
(里菜)よいしょっと。
(里菜)電気消すね。
(加奈子)あっ。
ちょっと待って。
何してんの?
(加奈子)いや。
何かこっち向いてると落ち着かなくてさ。
えっ?見られてるみたいで。
ええっ?神経質過ぎ。
(加奈子)ごめんごめん。
(里菜)もう早く。
じゃあおやすみ。
(加奈子)はい。
おやすみ。
(里菜)よいしょ。
(加奈子)えっ!?やだ。
何で?
(加奈子)えっ!?やだ。
何で?どうしたの?
(加奈子)ねえ。
これ見てよ。
(里菜)えー?寝ぼけて加奈子が動かしたんじゃないの?
(加奈子)何でよ?私が動かすわけないじゃん。
(里菜)じゃあ何だろう?
(加奈子)ねえ。
あのさ里菜。
おはよう王子。
(メールの着信音)あっ。
山本さんだ。
このときはまだ人形のことをあまり気にしていませんでした
(聡)ごめん。
お待たせ。
じゃあ行こっか?
彼とすっかり意気投合した私はだんだん彼に引かれていったのです

(チャイム)
そして初めて彼が家に遊びに来た日
(聡)よう。
(里菜)どうぞ。
(聡)うん。
お邪魔します。
(里菜)じゃあそこ座ってて。
(聡)うん。
おおっ。
なかなかおしゃれな部屋じゃん。
(里菜)そうかな?
(聡)奇麗にしてるんだね。
(里菜)やだ。
恥ずかしいからあんまりきょろきょろ見ないでよ。
おっ。
これが里菜ちゃんの言ってた人形?
(里菜)あっ。
うん。
そう。
ねっ?なかなかのイケメンでしょ?そうかな?俺の方がイケてるでしょ?フフフ。
もう何言ってんの?
(聡)痛っ。
(里菜)どうしたの?大丈夫?
(聡)こいつ触ったら切れたんだよ。
痛え。
何?とげ?
(里菜)特に何もないけど。
(聡)何だろう?まあいいや。
ばんそうこうある?
(里菜)あっ。
うん。
ちょっと待ってね。
(聡)うん。
まあ紙でも切れることあるしね。
(里菜)びっくりしたよ。
(聡)ホントだよ。
ありがとう。
(里菜)うん。
(音声)
(聡)ハハッ。
ハハハ。
(音声)
(里菜)あっ。
ねえ?おなかすかない?えっ?ああ。
うん。
(里菜)どうしたの?なっ?外に飯でも食いに行かない?えっ?オムライスでも作ろうと思ってたのに。
(聡)それはまた今度。
なっ?行こうぜ。
(里菜)えっ?
(里菜)何してんの?
(聡)いいからいいから。
行くよほら。
彼は人形のことを妙に気味悪がっていました
ですがそれまで人形に違和感を感じていなかった私も…

(里菜)ただいま。
ハッ。
さすがに私もおかしいと思い始めたのです
そんなある日

(里菜)よし。
(里菜)ねえねえ。
もうすぐできるから机の上片付けられるかな?・
(聡のいびき)
(里菜)ケチャップ。

(聡のいびき)
(里菜)もう。
ちょっと爆睡?ねえ。
起きてってば。
(里菜)ちょっと聞いてる?もう。
しょうがないなぁ。
聡君?何してるの?ねえ?
(里菜)ねえ?起きて。
起きてってば。
(聡)うっ。
(里菜)聡君?聡君!
(聡)人形…。
(里菜)えっ?
(聡)ハァハァ…。
痛っ。
(聡)マジかよ。
俺さっき確かにあそこの壁側に向けて置いといたのに。
(里菜)何で?悪い。
俺帰るわ。
(里菜)聡君。
ちょっと待って。
聡君。

このことが原因で彼とはうまくいかなくなり次第に連絡も取れなくなってしまいました

この人形には何かあるのかもしれません
かわいそうとも思いましたがとにかく少しでも早く人形を手放したかったのです

(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)泥棒?・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)・
(足音)
(里菜)ハッ。

(足音)・
(足音)
(里菜)嫌。
嫌。
嫌…。

私はそのまま気を失ってしまいました
翌朝。
大家さんにお願いして一緒に調べてもらったのですが
(大家)気のせいじゃないかな?
(里菜)でも。
(大家)寝ぼけてたんじゃないの?
(里菜)そんな。
確かに聞いたんです。
(大家)だって足跡なんてどこにもないし。
ねっ?大丈夫大丈夫。
ハハハ…。

(チャイム)・
(ノック)・
(加奈子)里菜?私だよ。
(里菜)ああ。
ありがとう。
(加奈子)里菜大丈夫?
(里菜)うん。
上がって。
(加奈子)うん。
その日私のことを心配してくれた加奈子が泊まりに来てくれたのです
(加奈子)あの人形がないとずいぶん部屋の雰囲気違うね。
(里菜)やっぱりそうかな?
(加奈子)絶対そうだよ。
だって…。
実はさ…。
(里菜)えっ?何?うん。
あのね。
今だから言うけど。
この前泊まりに来た日さ夜中にいきなり金縛りに遭ったんだよね。
そしたら…。
《ハッ》
(加奈子)壁に向けて置いたはずの人形がこっち向いてて。
それで朝起きて怖い夢でも見たのかなって思ったんだけどあの人形里菜の方向いてたじゃない?だからもしかしたらあれは夢じゃなくて本当に起きたことなんじゃないかなってずっと気になってたんだよね。
やはりあの人形を捨ててよかったんだと心から思いました
ところが…

(足音)
(里菜)来た。

(足音)
(里菜)来た。
(加奈子)マジだ。
(里菜)ねえ。
どうしよう?
(加奈子)よし。
捕まえてやる。
(里菜)えっ?嘘!?ちょっと。
ちょっと。

(足音)・
(足音)
(加奈子)行くよ。

(足音)・
(足音)あれ!?
(里菜)嘘?嫌!
(加奈子)何!?嫌。
嫌。
嫌…。
(加奈子)ああっ!
そこには捨てたはずのあの人形が横たわっていました
私たちは慌ててその場を逃げ出しました
(加奈子)あの人形捨てたんじゃなかったの?
(里菜)捨てたよ。
絶対に捨てた。
(加奈子)じゃあ何であそこにあんのよ?
(里菜)そんなの分かんないよ。
よし。
もう1回行こう。
(里菜)えっ!?やだよ。
(加奈子)だってあのままじゃ気持ち悪いじゃん。
そうだけど。
(加奈子)行くよ。
ねっ。
(里菜)えー。
待って。

(里菜・加奈子)えっ!?
人形の姿はありませんでした
結局私たちはどうしていいか分からず夜が明けると神社に行きおはらいをしてもらいました
(里菜)海行かない?
(加奈子)海いいね。
それからは何も起こっていません
あれはいったい何だったのでしょうか?
そしてあの人形はどこに行ってしまったのでしょうか?
私は今もまだあの人形がどこかに存在しているような気がしてならないのです
(加奈子)あっちは?
(里菜)あっち?
(加奈子)行こう行こう。
2014/08/16(土) 09:55〜11:45
関西テレビ1
ほんとにあった怖い話 真夏の傑作選[字]【大島優子 剛力彩芽 長澤まさみ 阿部寛】

ほん怖史上、最も怖い実録心霊ドラマ傑作選が登場!▽呪われた病室▽追いかけてくる!▽右肩の生き霊▽人形に愛される恐怖▽うしろの女▽赤いイヤリングの怪

詳細情報
番組内容
『呪われた病室』
新人看護師として毎日元気に働く愛梨(剛力彩芽)。ある日出会った少年はひたすらに天井の黒いシミを見上げていて…。

『うしろの女』
森本家のふたりの子どもには不思議な能力があった。兄の貴之(塩澤英真)は“見えないもの”に取り憑かれやすく、妹の真由(長澤まさみ)にはそれが見えてしまうのだ。母親の洋子(金沢映子)は、そのことで言い争いをしたりする子どもたちのことが心配で仕方がない。
番組内容2
そんなある日、貴之が帰宅するとその背中には…。

『右肩の女』
ある日、つきあっている彼女から霊がついていると言われた利也(岡田将生)。彼女がお祓いまでしてくれたが状況は悪化するばかり。ついに利也の命をおびやかすほどに…。

『蠢く人形』
園田里菜(指原莉乃)は雑貨屋で見つけたくるみ割り人形に強烈にひかれ購入する。しかし不気味な視線を感じる人形が恐ろしくなり、ついに捨てることを決心するが…。
番組内容3
ほかに、『赤いイヤリングの怪』『真夜中の徘徊者』をお送りします。
出演者
『赤いイヤリングの怪』
大島優子 ほか 

『呪われた病室』
剛力彩芽 ほか 

『うしろの女』
長澤まさみ 
金沢映子 
塩澤英真 ほか 

『右肩の女』
岡田将生 ほか 

『真夜中の徘徊者』
阿部寛 ほか 

『蠢く人形』
指原莉乃 ほか
スタッフ
【脚本】
鶴田法男 
玉城悟 
清水達也 
穂科エミ 

【演出】
鶴田法男 
森脇智延

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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