(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康のために「きょうの健康」です。
今週はこちら…3日間にわたってお送りしていきます。
骨粗しょう症といえば骨スカスカ骨密度の低下このイメージですよね。
しかし何かここに隙間がありますね。
これ何ですかね?確かにこれまで骨の強さは骨密度と考えられていたんですが最近では骨密度だけではなく骨質も関係していると考えられているんです。
これは文字どおり骨の質という事ですね。
これ注意が必要?はい。
更にこちらの骨密度に関するグラフをご覧下さい。
骨密度は成長期にどんどん高くなっていきまして20代にピークを迎えます。
その後年齢とともに低下していくんですが特に女性は50代を境に骨密度が急速に低下して骨折を起こしやすくなってしまうんです。
70代の女性ですと大体2人に1人が骨粗しょう症というデータがあるんですが実は50代の方も10人に1人が骨粗しょう症という事なんです。
50代って意外に若い時から注意が必要なんですね。
という事で今日のテーマこちらです。
どんな人が骨粗しょう症になりやすいかまた現在の骨の状態がすぐ分かる簡単な方法などもご紹介します。
今日も教えて頂く専門家をお迎えしております。
分かりやすくお話をして頂きます。
ご紹介致します。
整形外科リハビリテーションの分野で骨粗しょう症の診断治療をご専門とされています。
どうぞ今日はよろしくお願い致します。
骨折といいますと私だけではなく何と言っても高齢者が多いんでしょうというイメージがありますが50代からという話題を出しましたがそうなんですね?確かに女性の背骨の骨折であるとか大腿骨の付け根の部分の骨折は70代あるいは80代から多くなっていくんです。
けれどもこちらに示しています手首の骨の骨折。
これはなんと50歳代から患者さんの数が多くなっていっているんです。
ググッと増えていますね。
骨がもろくなってパッと手をついて手をついた時に骨折している方が多いんです。
転びそうになって…。
手をパッとついてそれが折れちゃうと。
こういう事なんですね。
気を付けなきゃいけませんね。
骨折はいろいろな問題に結び付いていきますよね。
悪い影響がありますよね。
それをご説明頂けますか?骨折はそれが原因となって筋力が低下してまいります。
更にバランス機能が落ちていったりする事でまた転倒を繰り返す。
転倒を繰り返す事でまた骨折を起こす。
つまり骨折を繰り返す事で何度も骨折を繰り返して最終的には寝たきりのようになってしまう方も多いんです。
これは伺えば伺うほど骨は丈夫にしなきゃというイメージが本当にしてくるんですが骨密度をちゃんとしておかなくちゃと我々思っていますが先ほど骨質骨の質という言葉が出ましたね。
これは何でしょうか?これまで骨の折れやすさは骨の密度骨密度だけで考えられてきましたが最近は骨質という事も考えられるようになっています。
そしてこの関係は骨密度が70%に対して骨質は30%このくらいの割合で骨の強度に関わっていると考えられているんです。
骨粗しょう症つまり骨密度も骨質も両方考えなきゃいけないんだよという事なんですね。
それでは骨密度の低下骨質の劣化とはどういう事なのか久田さんからです。
ではまず骨密度の方から見ていきましょう。
私たちの骨には骨を壊す破骨細胞そして骨を作る骨芽細胞があります。
この破骨細胞は古くなった骨を壊します。
これを骨吸収といいます。
そして骨芽細胞は新しい骨を作っていきます。
これを骨形成というんです。
この2つの働きが絶えず繰り返されているんです。
この2つの働きがバランスよく保たれていれば骨は丈夫で健康な状態を維持できます。
しかし骨粗しょう症ではこのバランスが崩れて骨を作る骨形成の働きよりも骨を壊す骨吸収の働きの方が大きくなってしまいます。
そのため健康な骨に比べてスカスカの状態になり骨密度が低下してしまうんです。
更に今注目されているのが骨質という事なんですが骨の強さを保つのに欠かせない骨質には骨の材料であるコラーゲンが関係しています。
骨を鉄筋コンクリートの建物に例えますとコラーゲンは鉄筋の部分にあたりカルシウムなどのミネラルはコンクリートの部分にあたっています。
コラーゲンがきちんとつながる事で鉄筋の部分は強くしなやかになりコンクリート部分がしっかりと支えられて丈夫な建物になります。
しかしコラーゲンがきちんとつながっていませんと鉄筋の部分が弱くなりコンクリートの部分がしっかりしていても建物の強度は弱くなってしまいます。
骨質は骨の強さに大きく関係していて骨質が低下するとカルシウムをいくらとっても骨は弱くなってしまうんです。
という事はどんなに骨密度が下がらないように注意していてもそれだけでは骨折を防ぐには十分でないという事なんですか?ええ。
中には骨密度が十分なのに骨粗しょう症による骨折を起こしてしまうケースもあるんですよ。
これは注意が必要ですね。
では50代から注意という事をおっしゃいますが自分の骨の状態がどうなのかという事をごく簡単に知るような方法は何かないんでしょうか?いろんな方法がございますが今日は簡単に体重と年齢から骨の状態が分かる方法をご紹介致します。
骨粗しょう症危険度判定というものがございます。
これは体重から年齢を引いてそれに0.2をかけるというものなんです。
これは非常に簡便な式ですね。
今まさに50代という私の例で今日は計算してみたいと思います。
ではまず体重ですが43kgです。
そして年齢はちょうど50です。
衝撃の告白。
秘密だったんですけどね。
これを引きますとまず…43から50を引くと−7ですね。
これに0.2をかけますと−1.4となります。
これが問題ですね。
どうなんでしょうか?この結果が−4未満の場合には例えば−5とか−6という方は高危険度になります。
それから−4から−1の場合は中等度でありますし−1以上つまり−0.5とかプラスになったような方はこれは低危険度であります。
ちょっと待って下さい。
久田さん。
ここじゃないの。
そうですね。
中等度という事でまさに気を付けないといけないという事ですよね。
高危険度の方は骨密度の検査が必要ですし中等度の方の場合はこのあとリスクの高い方についてのお話も致しますがそういった方は骨密度の検査を受けて頂きたいと思います。
低危険度の方はすぐには骨密度の検査の必要はありません。
分かりましたね。
よく自覚して頂いて。
今教えて頂いた事は体重が大きな要素のようですがこれを50歳の方を例にもう少し詳しくご説明頂けますか?実は体重が軽くなるほど危険度が上がるという事になります。
でもこれは…体重が多いという事はそれ自身が当然問題となりますので健康的な範囲で生活習慣病などのリスクを考えまして健康的な範囲で考えて頂きたいと思います。
この事の意味は痩せ過ぎは非常にリスクが上がるという理解でよろしいですよね。
体重が多ければいいのかと安易には考えないで増えれば増えるほど生活習慣病のリスクが上がりますから痩せ過ぎに注意という事ですね。
さてよく聞く骨密度検査でございますがこれはどのような検査があるんでしょうか?骨密度検査のうちこれは超音波でかかとを測定する方法と腕の部分やこれは腰とか股の付け根の骨こういった部分をはかるものがございます。
こちらはX線で測定する方法になります。
X線が比較的正確に測定できます。
いろんなはかり方がありますね。
これはどれぐらいの負担がかかってできるものでしょうか?女性の場合は国の制度によって行われている骨粗しょう症検診であれば500円程度で受ける事ができます。
骨粗しょう症検診は40歳から70歳までの女性に対して5歳刻みの節目の年齢で実施されています。
いつぐらいからこの検査を受けるといいんでしょうか?女性は40歳ぐらいの頃から積極的に受けて頂くのが望ましいと思われますし男性の場合は65歳ぐらいで自分の骨の状態をチェックして頂ければと思います。
分かりましたね。
積極的に…。
受けなきゃいけないですね。
対策もとって下さいね。
さて骨粗しょう症になりやすい人注意が必要な人はどういう人なのかという事を教えて下さい。
まず閉経が関与しております。
50歳代から骨折が増えるのはそのためであります。
閉経によりまして破骨細胞の働きを抑えるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下するためなんです。
それから骨には適度な体重がかかる事で骨密度は維持されています。
従って細身の体のために骨に十分な負荷がかからないと骨密度が低下致します。
そういった意味では過度のダイエットもよくない事が分かっております。
カルシウムなど骨に必要な栄養素も不足致します。
栄養も不足するし負荷も減るという事ですね。
そしてそのほかありますが…。
家族に骨粗しょう症と診断された方がおられる場合も同様でありまして親が大腿骨の付け根を骨折していますと同じ箇所の骨折のリスクが2.3倍になるというデータもあります。
あとタバコやお酒も挙がっていますがどう関係するんでしょう?喫煙は破骨細胞の働きを抑えているエストロゲンの働きを抑制するといわれています。
またアルコールには利尿作用がありまして飲み過ぎますと尿の中にカルシウムが出てしまう。
その結果骨粗しょう症になりやすいと考えられています。
更に薬や病気も関係しているんですね。
ステロイドは骨形成やカルシウムの腸からの吸収を抑えてしまいます。
それからいくつかの病気例えば関節リウマチですと全身の関節に炎症が起こって骨が弱くなりますし糖尿病あるいは慢性の腎臓病動脈硬化こういったものも骨粗しょう症のリスクを高める病気と考えられています。
今日話題になっております骨質ですよね骨質を劣化させるのに関係するのはどういう事なんでしょうか?こういったステロイドは骨が丈夫な状態であっても折れやすく致しますしこういった病気があってもやはり骨質が悪くなる病気。
中でも糖尿病は骨質を悪くさせる原因の疾患と考えられております。
では更にここは伺いたいところですが骨密度とともに骨質を下げないようにするには何に注意しなきゃいけないのか。
これはどういう事でしょうか?今お話ししたようにこういった病気が関連するので糖尿病をはじめとした生活習慣病こういったものにり患しないようにふだんの生活食生活を心掛けて頂く必要があります。
既にこういった疾患にり患しておられる方はその病気をきちっと治してコントロールして頂く事が骨質を改善する事につながります。
やはり何と言っても生活習慣病関係はならないように日頃から生活習慣の注意が必要だという事ですね。
骨粗しょう症の治療ですが柱としてはどういう事になるんでしょうか?医療機関では薬物療法食事療法運動療法を並行して行っています。
薬物治療を行う事で背骨や股の付け根の骨折を50%ぐらい減らす事ができる事が分かっております。
それから予防といった面では食事運動を行う事で骨粗しょう症や転倒骨折といったものの予防につながります。
治療や予防などについては次回以降詳しくお伝えしていきます。
しかし一番印象に残ったのは意外に若い年齢から骨折に注意しなきゃいけないという事ですね。
50歳代から骨折というのは起こっておりますので決して高齢者の病気だと思わないで50歳の比較的若い方から気を付けて頂けたらと思っております。
どうもありがとうございました。
2014/08/16(土) 04:15〜04:30
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康「始めよう 骨粗しょう症対策 50代から注意!」[解][字]
骨がもろくなり、骨折しやすくなる「骨粗しょう症」。高齢者の問題と思いがちだが、実は50歳代から注意が必要!簡単にできる「骨粗しょう症危険度判定」で早速チェック!
詳細情報
番組内容
骨がもろくなり、骨折しやすくなる「骨粗しょう症」。高齢者の問題と思いがちだが、実は50歳代の比較的若い世代から注意が必要!50歳代の女性の10人に1人は骨粗しょう症といわれている。まずは簡単にできる「骨粗しょう症危険度判定」で自分の骨の状態をチェックしよう。危険度が高い人は専門機関での検査がすすめられる。国の制度によって行われている「骨粗しょう症検診」であれば、500円程の費用で受けられる。
出演者
【講師】鳥取大学教授…萩野浩,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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