(ナイン)爆発は20時ちょうど。
それまでに爆弾を直接回収するしかない。
(ツエルブ)インポッシブルなミッションだねぇ。
(ナイン)《まさかあいつが…》
(非常ベルの音)
(柴崎)爆弾は撤去するんじゃなかったのか!
(倉橋)俺もそう聞いていた。
(バイブレーターの音)
(ツエルブ)ナイン。
これって。
(ナイン)間違いない。
(ナイン)ハイヴだ。
・
(ハイヴの歌声)
(クラレンス)そんな楽しそうなあなたは初めて見ますよ。
ハイヴ。
(ハイヴ)当たり前でしょう。
ゲームは一人じゃつまんないわ。
負けて打ちのめされてたたきつぶされる敗者が必要なの。
だから…。
(ハイヴ)あんたを捕まえらえるのは私だけよ。
ナイン。
(リサ)あっ。
あっ?うわぁ。
(岡野)地下鉄での爆発事件ですが死亡者こそ出なかったものの重軽傷者合わせて72名に及びこれまでで最大の被害が出ています。
(岡野)目下のところは首都新宿線の監視カメラ映像および爆弾の破片を解析中です。
(岡野)また各社の携帯電話が一斉に不通になった事案と爆発との関連性も調査中です。
(倉橋)会議は以上とするが最後に一つ報告がある。
(福田)倉橋君。
(倉橋)実は米国政府から捜査協力の申し出があり今後本件はFBIのテロ対策専門部隊の協力を仰ぐことになった。
聞いたか?
(倉橋)もし彼らから何らかの要請があった場合は優先的に対応してくれ。
以上だ。
(ざわめき)《フフフ…ハハハ…!》《ハハハ…!》はっ。
・ナイン。
大丈夫?まだ休んでれば?いや。
あいつは待ってくれない。
ひょっとして恨んでるのかな。
あいつ俺たちのこと。
あのときそうしようと思えば逃げられたはずだ。
あいつはきっとゲームがしたいだけだ。
あのときからのゲームの続きを。
厄介な相手だね。
まっ逃がしちゃくれないだろうけど。
・
(リサ)あの私にも何か手伝えることないかな?お前には無理だ。
私だってできるよ。
何をだ?だからその…。
爆破とか人殺しとか?いやそれは…。
できるのか?たぶん無理。
俺たちがやってるのはこういうことだ。
ナイン。
この爆発は俺たちのせいじゃない。
邪魔さえしなければいい。
それが何よりの協力だ。
(柴崎)協力ってのは建前で連中は全てを仕切るつもりなんだろ?そうなれば俺たちは一切の動きを封じられるかもしれんぞ。
この件は俺がどうにかできるレベルを超えてる。
そういやぁ昨日会議の途中で呼び出されてたな。
何があった?呼び出された先は官房長官室だった。
お偉いさん方ががん首揃えててな。
そこにあの2人がいた。
(警視総監)《倉橋君紹介するよ》《FBI特別捜査官のクラレンス氏だ》
(クラレンス)《初めまして》
(倉橋)《捜査一課長の倉橋です》
(福田)《今回スピンクス事件の協力を仰ぐことになってな》《FBIがですか?》
(官房長官)《これはもちろん政府も了承済みの案件だ》《しかし日本国内の事件になぜFBIがわざわざ貴重な人員を割いてくださるのですか?》《倉橋君》
(クラレンス)《半年前青森県の核燃料再処理施設が何者かに襲撃されました》《合衆国政府はそこで奪われたものに大変興味を抱いています》《ん?》
(クラレンス)《そしてわれわれはその襲撃犯と今回の連続爆破テロの犯人は同一人物だと推測しています》
(ハイヴ)《確証を得ている》《推測じゃない》《確証とはどのようなものです?》《情報を開示していただければ犯人逮捕に…》
(ハイヴの笑い声)
(ハイヴ)《あいつらに好き勝手やられた上に証拠一つつかめずおまけに捜査情報を流出させた無能なやつが「逮捕」なんて言葉を口にするなんてことし一番の冗句だわ》
(倉橋)女の方はNEST。
核緊急支援隊という組織から派遣された研究者らしい。
(柴崎)研究者?あの女がか。
(倉橋)正式な辞令を確認した。
あいつらも青森の一件でプルトニウムが盗まれたと踏んでるってことか。
ああ。
(柴崎)倉橋。
あいつらは犯人を追い詰めてあぶり出す気だぞ。
昨日みたいなやり方でな。
もし徹底的に追い詰められた犯人がジョーカーを使ったら。
・薄い黄色なんだよね。
えっ?リサの声。
えっ?何かさ共感覚とかいうやつらしいんだよね俺。
音がいろんな色に見えるってやつ。
(リサ)色?そう。
でもさそんな色の声の人なんてめったにいないんだぜ。
そう。
珍しいんだ。
ホントに。
私邪魔だよね。
ここにいない方がいいんだよね。
あいつさぁ口は悪いけど別にリサのこと嫌ってるわけじゃねえんだ。
でもさっき…あっ。
あいつドSだからね。
フフフッ。
何かすごく彼のこと分かってるんだね。
ん?ちょっとうらやましいな。
まっずっと2人で生きてきたからね。
あいつと2人で。
(アナウンサー)緊急速報をお伝えします。
連続爆弾テロ犯スピンクスから新たな犯行予告が出されました。
おっと。
偽者登場ってわけか。
俺たちも有名になったもんだね。
先手を打ってきたか。
「ジュリアス・シーザーはアラブへ行った」
(羽村)行ったんすか?
(柴崎)エジプトにな。
でもこれはおそらく…。
シーザー暗号のことだ。
そこからアラビア数字に置き換えろってことか。
(柴崎)シーザー暗号はアルファベットの各文字を指定された文字数だけシフトする単一換字式暗号だ。
シフトする文字数は特に指定のない場合は3文字。
それらしい指定がないことを考えるとこれも3文字シフトで解けるはずだ。
数列じゃないね。
座標とか?かもな。
羽田空港国際線ターミナル。
ああ。
俺たちの標的の一つだ。
(岡野)よしっ。
すぐに羽田に連絡をつけろ。
(加藤)はい。
(羽村)最後の「20」というのは?
(柴崎)おそらく爆破予告時間だろう。
(メールの着信音)
(羽村)あっ。
(羽村)「VONvoyage!」「よい旅を」だと?ふざけやがって!
(木下)スペルが違いますね。
いや。
合ってるよ。
「羽田にVON」これじゃホントに俺たちがやったみたいじゃん。
おそらくメッセージだろう。
「全てはお見通しだ」っていうな。
(管理者)ええ。
国土交通省さんの方から話は伺っていますよ。
(クラレンス)本件は警察機構でも一部の人間のみが参加する極秘作戦ですので一部の警察官や刑事あるいはテロリストから何らかの連絡があった場合は全てこちらに回してください。
分かりました。
全員に手配しておきます。
あの指示でよろしいのですね。
犯人は本当にわなだと分かっていながら…。
(ハイヴ)来んのよ。
私に会いにね。
爆弾が偽物って可能性は?ハイヴなら本当に爆発させるはずだ。
爆発したところで俺たちがやったという警察発表を出せば済む話だからな。
「俺たちじゃない」って声明を出せば?えたいの知れないテロリストと警察発表。
世間はどっちを信じる?なるほど。
爆弾を止めにいけば捕まり無視すれば俺たちは無差別殺人犯に仕立て上げられるわけか。
よくできてるねぇ。
夏休みで空港は人であふれてる。
爆弾の設置場所と威力にもよるが何百人と死ぬかもしれない。
正気じゃないね。
はなっから正気なんて持ち合わせちゃいないさ。
あいつも俺たちもな。
(刑事)急げ!どうしたんですか?これは本当にやつらなのか?
(羽村)えっ?何でですか?実際的過ぎる。
メッセージ性のようなものが感じられん。
もうそんなこと考えてる場合じゃないでしょ。
爆発まであと4時間なんですよ。
行きましょう!柴崎さん。
(島田)皆ちょっと集まってくれ。
上からの指示が出た。
爆弾の撤去は爆弾処理班が対応する。
諸君らはこの場で待機してくれとのことだ。
ちょ…ちょっと待ってください。
部長!これは俺たちへの挑戦状なんですよ。
行かせてください!
(加藤)そうですよ!
(木下)納得できません!
(刑事)そうだ!
(刑事)何で俺たちが!
(岡野)みんな落ち着け!部長。
上からの指示というのは…。
(島田)警視総監命令だ。
言うまでもないが勝手な行動は取るなよ。
分かったな?あっ柴崎さん。
どこ行くんすか?
(柴崎)飯だよ。
出動命令は出そうにないしな。
でもさ国際線ターミナルって広いでしょ。
ああ。
どうやって爆弾を探すの?空港に行けばおそらく次の謎掛けが出てくるだろう。
国際線ターミナルの監視カメラは約1,500台。
まず間違いなくモニターしてるだろうね。
捕捉されることを前提として動くしかない。
だけどそうするとあと一人面が割れてない人間が必要だよね。
・
(物音)・
(リサ)キャ〜!あっあのおそうめんゆでようと思って。
問題外だ。
そうめん駄目?
(解錠音)・
(羽村)どこ行くんです?食事に公用車を使うのは規則違反ですよ。
それとももっと重大な違反を犯すつもりですか?一人でカッコつけようなんて今どきはやりませんよ。
・
(解錠音)
(岡野)それはお前もだろうが羽村。
柴崎さん。
食事のお供させてもらいますよ。
無理だ。
でもさこの場合ちょっと素人くさい人間の方が向いてない?
(リサ)素人?行くぞ。
あの九重君。
いや…ナイン!私ナインとツエルブの仲間になりたいの。
だからまだ爆弾とかは無理だけど私頑張るから!フッ。
別行動だ。
(リサ)えっ?監視カメラを避けるからお前は電車で向かってくれ。
・
(戸の開く音)しっかし俺たちテロリストなのに爆弾を止めに行くなんておかしくない?
(電子音)詰めが甘いわよ。
ナイン。
そろそろかな。
ああ。
出るぞ。
ん?チェスか。
ハイヴのやつあのときの続きをやろうってわけ?ああ。
この空港をチェス盤に見立ててゲームをするつもりだ。
ゲームに勝てばその駒の位置にきっと爆弾があるってことか。
ああ。
Nf6だ。
頼む!
(ハイヴ)さあゲームの始まりよ。
ナイン。
2014/08/16(土) 03:53〜04:22
関西テレビ1
残響のテロル[字]【大規模爆弾テロで、この国を眠りから覚ましたのは二人の少年だった】
ハイヴがテロを妨害したと直感するナイン。そして、ハイヴは自分達を恨んでるのか?と考えるツエルブ。そんな中、スピンクスを名乗る何者かから犯行予告が届く…
詳細情報
番組内容
ある夏の日──
突然、東京を襲った大規模な爆弾テロ。
平穏なこの国を眠りから覚ました事件の犯人は、たったふたりの少年だった──。
“スピンクス”と名乗る犯人たちの、日本中を巻き込んだ壮大なゲームがいま、始まる。
出演者
ナイン: 石川界人
ツエルブ: 斉藤壮馬
三島リサ: 種