NHK高校講座 地理「乾燥帯と熱帯の気候とは」 2014.08.15

(中田)世界中のあんな事…。
(山田)こんな事…。
(2人)いろいろ知っちゃおう!地理にますます興味津々中田敦彦です。
新たな知識に身震いぶるぶる山田彩です。
前回ケッペンの気候区分を学んで世界にはいろんな気候があるんだって事を知りましたよね。
今日はその気候区分のうち乾燥帯と熱帯について詳しく見ていきたいと思います。
乾燥帯といえばなんですけれどもこちら…。
山ちゃん何だか分かりますか?おっいい突っ込み。
違うんですよ。
ダジャレを言った訳じゃないんです。
僕が言いたいのはこのアメ玉の直径がおよそ35mmだという事なんです。
これは乾燥帯にあるエジプトの首都カイロの年間降水量と同じなんですね。
つまり1年間で降る雨がたまった場合の深さがこの幅35mmって事です。
たった35mmですか!そう少ないですよね。
え〜!そうカラッカラに乾いてるんですよ。
その乾燥帯が地図上でクリーム色や茶色になっている所ですね。
その中でもまずはアフリカ大陸に注目してみましょう。
エジプトのカイロから南に進路を取りまして進んでいくとどんどん風景が変わっていきます。
まずはそれを見てみましょう。
ではVTRどうぞ。
エジプトの首都カイロ。
乾燥帯の砂漠気候に属しています。
年間の降水量は僅か34.6mmですがナイル川の水の恵みを受けて古くから人が住むアフリカ有数の都市です。
ところがカイロから一歩出ると辺り一面植物が生えない不毛の大地が広がっています。
世界最大の砂漠…砂漠というと見渡す限り砂ばかりとイメージしがちですが時にはこんな変わった景色に出会う事も。
黒い鉄鉱石の山が長い年月をかけて浸食されその破片が散らばっています。
砂漠に雪?いいえ白く見えるのは石灰岩。
はるか昔ここは海の底でした。
そのころ堆積したさんご礁や貝殻が石灰岩となり強い風で削られてこの幻想的な風景をつくり出しています。
砂漠でも川や湖湧き水などから水を得る事ができれば人が住めます。
砂漠を海に例えればオアシスは港。
交易を行う人々が集まり大都市が出来る事もあります。
サハラの先には乾燥帯のもう一つの顔があります。
降水量がやや多くなる時期がある…砂漠と違って丈の低い草や灌木などそれほど大きくならない植物なら育ちます。
小動物や虫などさまざまな生き物も見られるようになります。
アフリカ大陸を更に南下して赤道付近まで来ると乾燥帯から熱帯へと移ります。
緑が随分と色濃くなってきました。
バオバブのような背の高い樹木も育ちます。
ここは…一年中気温が高くはっきりとした雨季と乾季があるのが特徴です。
サバナはまさに野生の王国。
キリンやシマウマなどの大型草食動物。
それを捕食するライオンなどの肉食動物が生息しています。
ここで方向を変えて西に向かいましょう。
アフリカ大陸の中央部から大西洋岸にかけて日本の倍の広さを持つアフリカ最大の熱帯雨林が広がっています。
たくさんの種類の木々が折り重なるように密生していて昼なお暗い森。
一年中高温多湿のジャングルは多様な動植物や資源の宝庫です。
更に南下していくと再びサバナやステップの草原砂漠が現れます。
アフリカ大陸を縦断すると赤道付近に熱帯がありその南北に乾燥帯が分布しているという事がよく分かります。
ずっと砂漠なのかと思ったら違う。
(山田)そういうイメージでした私も。
ステップがあってサバナがあって熱帯雨林があってってどんどんどんどん風景がミルフィーユ状に変わっていく感じ。
びっくりでした。
その謎について詳しい人に聞いてみたいと思います。
今回のゲスト内藤正典先生です。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
熱帯と乾燥帯が隣り合ってるという話もう一度おさらいしてみるとこれアフリカですけれどもピンクの所と赤の所ここが熱帯です。
そしてその隣クリーム色の所とやや茶色っぽい所がありますね。
こちらが乾燥帯になります。
で…乾燥帯ってカラカラ乾いているというイメージでしたね。
しかしそれに対して…えっ違うんですか?うん日本でいうとやっぱり熱帯夜っていうくらいで蒸し暑いというイメージじゃないですか。
しかしながら実際熱帯っていうのは気温が高いかどうかつまりあつあつかどうかの話であって…。
乾燥してるか湿ってるかという事は関係ないんですね。
温度の区分で乾燥帯っていうのは湿度の区分。
そうなんです。
それが並んでるというところが…。
分かりづらい。
ポイントなんですね。
じゃあこの熱帯のすぐ横の所に何で乾燥帯があるか。
これ大気地球を取り巻いている空気ですよね。
その大気の循環によるんです。
そのところ画像で見てみましょう。
今雲が動いてますよね。
赤道の辺りに割と雲が多いですよね。
多いですね。
ずっと雲ありますね。
ここが熱帯雨林になる所ですね。
よく雨が降る所。
はい。
その北の所ちょっと茶色い所ってあまり雲来ませんよね。
ホントだ。
つまり雲がかからないという事は雨が降らない。
という事は砂漠になってしまうという事なんです。
なるほど。
地球の構造上雲が全くかからなくなってるために雨が降らない。
だから雨が降る所と降らない所が隣り合わせてても不思議ではないという事ですか。
不思議ではないという事ですね。
雲の画像を見ると乾燥帯特に砂漠の所には全然雲がかからないで雨が降らないっていうのがよく分かりました。
その雨の降らない砂漠ではどのように水を得てるのか。
気になりますよね。
ではここでこんな例を見てみましょう。
VTRどうぞ。
今度はアフリカ大陸の東アラビア半島に目を向けてみましょう。
オマーンは国土の全てが砂漠気候に属しています。
年間降水量はおよそ100mm。
乾ききった大地が広がる中にこつ然と緑豊かな都市が現れます。
砂漠の真ん中だというのになんと絶え間なく流れる水が。
オマーンでファラジ。
一般的にはカナートと呼ばれる灌漑施設です。
東京ドーム15個分もの広さのオアシスを生み出す豊かな水は一体どこから来ているのでしょうか。
その答えは町から40kmほど離れた場所にあります。
山の中の洞窟に入っていくと…。
(石が池に落ちる音)何百年何千年もかかって雨水がたまった池です。
この水を途中で蒸発しないように地下水路を掘って町まで引いているのです。
水を通す横穴だけでなく縦穴も数十m置きに掘ります。
縦穴は穴を掘る時に出た土を運び出したりメンテナンスをする時のために必要になります。
このような地下水路はオマーン国内に3,000以上あるといわれ中には世界遺産に登録されているものもあります。
カラカラの乾燥地帯砂漠で生きていくための大いなる知恵です。
…とそこで!トリプルGが調べてみた。
はい私は今三重県のいなべ市に来ています。
なんとですね私が立っているこの下にオマーンのファラジと全く同じ構造で造られた地下水路があるという事なんです。
(山田)
案内して下さったのはこの地域の歴史に詳しい…
日下さんに連れられてやって来たのはごく普通の住宅地。
その一角にな…なんと!
(山田)すごいですね何か。
深い!「まんぼ」っていうのは…。
(日下)江戸時代に掘られた地下水路です。
(山田)水はない…。
(日下)このごろ雨が降らないので水がないんですよね。
このまんぼ自体が地中に染み込んだ水を集めるように掘られているんですね。
水田の水不足を防ぐために掘られた片樋まんぼ。
今でも現役の農業用水なんです。
で乾燥地帯の地下水路と同じ構造だという事ですから今私がいるこの縦穴から横穴を進んでいくと隣の縦穴に出られるって事ですよね
(山田)じゃあ行ってみます。
あっ中入ると結構暖かいですここの中。
手掘りの感じが出てますすごく。
さて私が横穴を進んでいる間に片樋まんぼが世界からも注目されているというお話。
アフガニスタンをはじめ乾燥帯にある国から続々と農業関係者が訪れています。
まんぼの技術が水の少ない地域の農業に大いに役立っているのだそうです。
と言っている間に…
(山田)出口ですね多分。
おっ?おっ出口に着きましたね。
ちょっと上がってみよう。
縦穴を上るとそこは…
山ちゃんお疲れさまでした。
行ってきました。
実際に。
ぎゅうぎゅうの…。
しゃがんでやっと通れるぐらいの大きさで…。
すごいねわくわくしましたね。
面白かったんですよホントに。
これ先生。
民家と民家の間になってるっていうのも面白いですよね。
そうですね。
今はそうなっちゃったんだろうと思うんですがもともとは畑に運んでいくためにいろんな人の敷地を通らなきゃいけなかったというもんだと思うんですね。
その前にファラジっていうのが出ていましたけれども乾燥帯では世界中いろんな所にあるんですね。
イメージで言うと世界遺産になるものってもう使われてなかったりするものなのかなって思うんですけど。
その文化遺産を守っていくためにリストに載せるという事ですので先ほどのファラジも人間が乾燥している所でどうやって水を利用するか。
その技をみんなで守っているというところから世界遺産に指定されています。
なるほど。
いろんな国にそういう用水路がある。
ホントの砂漠には人間っていうのはほとんど住む事ができないんです。
ただ旅をしてどこか違う所に移動する事はたくさんある訳でじゃあそういう時の知恵…。
砂漠をもし旅行でツアーで行くとしたら…。
やっぱり水をたくさん持っていくとかね。
いっぱい持っていかなきゃ駄目ですよね。
もう一つあるんです。
水持っていく以外に?砂漠というのはものすごく乾燥している訳ですから肌からもどんどん水分は蒸発蒸散していきます。
肌を露出した格好というのは体力を消耗してしまうんです。
砂漠地域の人って結構厚着してますもんね。
結構覆ってますよね体を。
二重三重に覆ってるのは暑い事は暑いんですけれども実は水分を逃さないための工夫なんです。
タンクトップに半ズボンの人あんまり見ないもんね砂漠地域でね。
乾燥帯っていうのは非常に過酷な環境なんですね。
ええ。
我々この地球を将来どうやって守っていくかを考えた時に既に完全な砂漠になっている所はもうしょうがないんです。
しかしその隣の所を守っていかなきゃいけない。
これは人間の手で守るものなんです。
それは人間の手で守れるものなんですか?守れます。
ただ内戦や戦争がありますとどうしても追われていく人たちが煮炊きをしなければならない。
そうところで灌木を切ってしまうというような事がありましてつまりある意味人間が平和に暮らしていくという事がこの乾燥気候も含めて地球を守っていく事になるんです。
そうなんですね。
大きな問題ですね。
内藤先生ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
さて一方の熱帯特に熱帯雨林は一年中雨が多いのが特徴ですね。
砂漠とは違って雨が多いっていうのがちょっとやっかいなところですね。
そんな熱帯雨林で快適に過ごすための工夫とは何なのか。
今度は東南アジアに注目してみましょう。
赤道付近に位置する東南アジアの島々は多くが熱帯雨林気候に属し昼なお暗いうっそうとしたジャングルが広がっています。
年間の降水量は2,000mmを超えスコールと呼ばれる強風を伴う激しい雨に見舞われる事もあります。
熱帯雨林では多すぎる水といかにうまくつきあっていくかという点に生活の知恵が見られます。
東南アジアで多く見られるのが…床下の風通しをよくする事で湿気から逃れる事ができます。
また森に住むトラや毒ヘビなど危険な動物から身を守る事もできるのです。
陸地ではなく水の上に家を造る人々もいます。
カリマンタン島の北部に位置する三重県ほどの大きさの国ブルネイ。
国土のおよそ80%が熱帯雨林に覆われています。
豊かな森を水源とする川にアジア最大の水上集落がありおよそ3万人が暮らしています。
住民の多くが水上タクシーの仕事や漁などで生計を立てています。
この川は生活の場だけでなく仕事の場でもあるのです。
日が暮れると川の上を心地よい風が吹き抜けていきます。
熱帯の暮らしには水をうまく利用する知恵が息づいています。
日本にいるとこの水の量が当たり前なんだって思って暮らしてるから…。
どこでもそうだろうと思ってるので水がないとか逆に多いとかっていうのは思わないですよね。
僕がすごいびっくりしたのは砂漠は人間が荒らしちゃったから砂漠なんだよね。
すいませんみたいな…。
でもそうじゃないんだよね。
そうじゃないんです。
ここは砂漠であるしかないんですよね。
逆にこの境目を守っていく事が大事だっていうのがすごい印象的でした。
ここは守れるところだと。
これが分かったら僕らが何ができるかというのも分かるからすごくいい勉強になりましたね。
それではこの調子で次回も…。
世界のいろんな事を…。
(2人)知っちゃおう!赤道付近には一年中気温が高い熱帯が広がっています。
スコールなど雨が多く常に湿気が多いのが熱帯雨林気候。
雨があまり降らない乾季があるのがサバナ気候です。
熱帯の南北には降水量が少なく樹木が育ちにくい乾燥帯があります。
雨季があるかないかで砂漠気候とステップ気候に分けられます。
人間が生活するには過酷な環境である乾燥帯。
2014/08/15(金) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「乾燥帯と熱帯の気候とは」[字]

人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。

詳細情報
番組内容
世界各地を旅しながら「乾燥帯と熱帯の気候とは〜砂漠と熱帯雨林の暮らし〜」について学ぼう!  <学習の3ポイント>(1)カラカラの乾燥帯とアツアツの熱帯 (2)砂漠と熱帯雨林、暮らしの知恵 (3)水のないところに人は住めない
出演者
【講師】同志社大学大学院教授…内藤正典,【出演】中田敦彦,山田彩,【語り】安元洋貴

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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