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ロックTシャツとかしこいインディ 〜Vol.13 「ファッション」特集に寄せて

2014年9月10日(水)発売となった雑誌『WIRED』VOL.13。特集は「Fashion Decoded:ファッションはテクノロジーを求めている」。本誌編集長が、最新号に寄せて綴る。

 
 
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TEXT BY KEI WAKABAYASHI

1985年8月14日(水)にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたモトリー・クルーのライヴTシャツは、今でも編集長の宝物。

最近、若い女の子が、いわゆるロックTというヤツを着ているのをよく見かけるのだけれども、かわいいなとは思いつつも、この際正直に、ちょっとイラっとしなくもないということを白状しておこう。

ロックTを着るには資格がいる、と考えるのがオールドスクールなロックファンというもので、基本ロックTはライヴ会場で買ったものを着るというのが原則だ。ライブも見ないでそのバンドのTシャツを着るなんて言語道断、ファンの風上にも置けない。ライヴに行くときは、前回のツアーのものを着て出かけるのが真に正しいありよう、これぞ忠誠心の証、と、ぼくなんかはわりと本気で思っている。

だから、メタリカ、とか、ジューダスプリースト、とか、デカデカと書かれたTシャツを着た女の子を見ると、「ねえ、聴いたことあんの?」と、いらぬおせっかいで聞いてみたくなる。もっとも向こうにしてみれば、それがバンドの名前であろうがなかろうが、ただ、それがいまオシャレだから着ているのだろうし、ぼくも「ファッション」がそういうものだということは理解してみせはするのだが、とは言いつつ、なかばふてくされ気味に、「だからファッションってのはキライだよ」と思ってしまったりもする。

「ファッション」は、そういう意味ではアンビヴァレントな言葉で、日常会話のなかで「それってファッションでしょ?」って言うとき、それはあまりいい意味ではなく、表層的で上っ面なもの、という意味になる。つまり、ロックおじさんから見たロックファッションは、なにをもってそれを本質とするかはさておいても、ロックの本質から遠い何かに見えてしまう。ファッションは、このとき「本質(的なもの)」の対義語である。

とはいえ、自分で選んでそれを着ている以上は、やはりその人なりの本質に、それはどこかで根ざしているはずなので、それを他人からとやかく言われる筋合いもない、というのも真実だろうし、どだいガチでロックTを着てるヤツの暑苦しいメンタリティはダサいという相場観を、ぼくだって認めるにやぶさかではない。



 
 
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