大阪市の橋下徹市長が市庁舎に事務所を構える職員組合に退去を求めた問題を巡る訴訟の判決で、大阪地裁は10日、組合側の訴えを認め、市に対し事務所の使用不許可処分の取り消しや総額約400万円の損害賠償の支払いを命じた。中垣内健治裁判長は「市長には職員の団結権を侵害する意図があり、裁量権を逸脱している」と述べた。
大阪市は組合活動への便宜供与を禁じた労使関係条例を根拠に不許可処分を出していた。判決は「違法行為を適法とするために適用されるなら団結権等を保障した憲法28条などに違反して無効」との判断も示した。
判決などによると、市は2012年1月、組織改編で行政事務のスペースが足りなくなったとして、同年4月以降は組合に市庁舎内の事務所使用を認めない方針を通告、同年度の使用申請を認めなかった。同年8月には労使関係条例が施行。市は同条例も根拠に13、14年度についても事務所使用を不許可処分とした。
判決は「行政事務スペースは庁舎建設時から不足していた」と指摘。市の不許可処分の主な理由は「庁舎内における組合の政治活動を巡る点にある」と認定した。
組合側は判決後の記者会見で「市は控訴しないで、正常な労使関係を築くよう改善してもらいたい」などと話した。市は「主張が認められず残念。判決の詳細を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。
橋下徹、団結権侵害