幻解!超常ファイル「検証!魔のトンネル伝説」 2014.08.15

最恐ミステリー・スポット魔のトンネル。
閉ざされた空間の恐怖。
都市伝説はなぜ生まれたのか?幽霊話に心引かれたあのノーベル賞文豪。
日本人が恐れ続けた闇の正体とは?有名なお化けトンネルを現場検証。
闇が誘う不可思議な謎。
光が導く検証と真相。
2人の栗山千明があなたと共に幻を解き明かしていきます。
私たちの身近な所で暗闇の口を開けている…さまざまな幽霊や不気味な怪奇現象。
全国各地に存在する魔のトンネルにはそんな身の毛もよだつ噂が付きまといます。
闇の奥へと延びたトンネルはあなたを恐怖のどん底へと導くのです。
トンネルは怪談話を特集する雑誌やインターネットで最も恐ろしい場所として取り上げられる。
現在日本全国60か所以上のトンネルで恐ろしい怪奇現象の噂がそれぞれの場所にまつわる因縁話と共に語られている。
東京都西部のFトンネル。
夜な夜な現れるのは白い服を着た少女の霊。
彼女はトンネル近くで起きた殺人事件の被害者で目撃した人には不幸が襲うという。
原因不明の事故が多発すると噂の群馬県東部Sトンネルに現れるのは…。
落武者の亡霊。
このトンネルは古戦場近くにあり討ち死にした武士たちの怨霊が事故を引き起こしているという。
東京都墓地の下を通ると言われるトンネルでは…。
あれ見える?何あれ!車を追いかけてくるのは恐ろしい形相の老婆。
なぜお墓の下で走る老婆なのか?理由は不明である。
神奈川県のとあるトンネル。
ここは人気タレントや日本を代表する作家も関わった有名な場所。
60年以上さまざまなタイプの怪奇現象に変化し語られ続けており今回はここを例にどのようにして魔のトンネルの都市伝説が生まれるのか解き明かしていく。
まずは現在語られているこのトンネルの恐怖は次のような衝撃的な話である。
夜トンネルにやって来た若者たち。
トンネルに入ってしばらくすると突然車が停車。
(言い争う声)更に…。
(ぶつかる音)
(悲鳴)車目がけてバラバラ死体が落ちてくるのだ。
あまりに現実離れした都市伝説。
あなたもそうお思いの事でしょう。
しかし実はこの話に似た事件を実際に体験したという証言があるのだ。
今から40年ほど前ある女性タレントが次のような恐怖体験を雑誌やテレビで語り話題となった。
この女性タレントはトンネルに幽霊が出るという噂話を聞いて霧雨の夜仲間と肝試しに訪れた。
突然…。
フロントガラスに青白い手のひらが浮かび上がった。
更に…。
(衝撃音)屋根に何かが落ちてきた衝撃。
この体験談に尾ひれが付いてバラバラ死体が降ってきたという現在の話になったと考えられる。
ここであなたはお気付きだったろうか?彼女たちがこのトンネルに向かったのは幽霊の噂話を聞いたからだった事を。
そのもともとの幽霊話に関わっていたのが…。
(汽笛)ノーベル文学賞作家文豪…昭和28年に発表された短編小説「無言」。
川端が地元のトンネルにまつわる噂話を小説に反映したと言われている。
「トンネルの手前に火葬場があって近頃は幽霊が出るという噂もある。
夜中に火葬場の下を通る車に若い女の幽霊が乗ってくるというのだ」。
そして実際に夜主人公がタクシーに乗りトンネルを越えると…。
「『出ました。
旦那の横に座ってますよ』。
私は酔いが一時にさめてふと横を見た。
『脅かすなよ。
冗談じゃない』。
『いますよそこに。
座ってますよ。
旦那には見えないんですか?』」。
自動車にいつの間にか幽霊が乗り込んでいる。
民族学の研究によるとこのような感覚は自動車が登場するはるか以前から日本人の意識にすり込まれているのではないかという。
車という乗り物には座席があるわけですけれども空の座席というものにですねそういった霊が乗り込んでくるという考え方が日本には古くからありましてお盆のですねお供え物の精霊馬牛や馬をなすやきゅうりで作るあれもそういった空の馬を用意する事によってご先祖様の霊がそこに乗ってあの世から行ったり来たりする。
そういう場所だと言えます。
タクシー幽霊の都市伝説は日本に自動車が普及し始めた昭和初期から全国的に語られるようになったと言われる。
タクシー幽霊と現代のトンネルのグロテスクな怪談。
そこにはどのようなつながりがあるのだろうか。
文豪川端康成まで関心を持った恐ろしい幽霊トンネルの噂話。
こうした自動車やトンネルを巡る都市伝説は時代や地域を問わず世界各地にあると言われます。
ここで幽霊トンネルの謎解きを始める前にちょっと目先を変えて2006年ヨーロッパでの怪奇事件をご紹介します。
そこには私たち現代社会ならではの興味深い背景が隠されていました。
自動車を巡る怪奇事件。
2006年に世界中を恐怖に陥れた映像が存在する。
撮影されたのは2003年ポルトガル・シントラ郊外。
深夜山道をドライブする3人の若者。
女性はテレサと名乗った。
およそ1分後あるカーブに近づくと…。
(悲鳴)
(ブレーキ音)
(衝撃音)2人が死亡。
生き残ったのは撮影した男性だけだった。
この映像は動画サイトで異例の再生回数を記録。
「怖くて夜眠れなかった」。
「私は本物だと信じる。
あのテレサという女の子悲しすぎるわ」。
実はこの映像実際の事件のものではない。
映像作家が創作した短編映画なのだ。
この作家が自分のサイトに掲載した後さまざまな人がタイトルを変えてコピーを重ねるうちにいつしか実際の事件映像として流布するようになってしまった。
しかもそれぞれの国の字幕が付けられその数なんと10か国以上。
自動車に女性の幽霊が乗り込んでくるという都市伝説はなぜか世界共通で人々の心を捉えるようだ。
では再び神奈川県のトンネルの話に戻ろう。
ここで噂され語られている怪奇現象の話は3つある。
最初は昭和20年代川端康成も描いたタクシーに乗り込む女の幽霊。
次に昭和50年幽霊話を確かめようとトンネルを訪れ謎の落下物に襲われた女性タレントのケース。
そしてその話に尾ひれが付いてバラバラ死体が落ちてくるという現在のケースに発展したと考えられる。
しかし疑問は残る。
いつの間にか車の中に現れ危害を加えずに消える幽霊話から車の外から何者かが物理的に襲うグロテスクな物語に変化している。
一体なぜだろうか?この謎に挑むのが…20年以上にわたりミステリー・スポットの現場検証を行い解明し続けてきた怪奇現象探偵だ。
広坂さんはこのトンネルに関する恐怖話の変化は実はトンネル自体が変化した事に関係していると指摘する。
このトンネルが新しく出来た…新しくといいますかタクシー幽霊の頃にはなかったトンネルです。
川端康成が小説で取り上げた昭和20年代。
現場周辺には2本のトンネルがありタクシーの幽霊の噂話はこの火葬場近くのトンネルが舞台だと思われる。
ところが昭和41年。
2つのトンネルの間をつなぐ新たなトンネルが開通。
連続する3つのトンネルが直線で結ばれた。
その後女性タレントが謎の落下物に襲われるケースが発生。
その謎を解くヒントは2本目と3本目のトンネルの入り口にあると広坂さんは推測する。
タレントさんの体験っていうのは雨の夜だったんだそうです。
雨の日になればああしたツタ草を伝ってですね泥水なんかが下にたれてくるという事が十分考えられるわけです。
続いて3本目のトンネルの入り口へ。
あ〜。
これが3本目のトンネルになるわけですけれどもトンネルのちょうど「高さ制限」とか書いてある辺りですけどもこのトンネルかなり古い明治の頃に出来たトンネルでレンガ造りなんですがレンガが落ちた跡が残ってますね。
現場を夜実際に走ってみた。
1本目のトンネルと2本目のトンネルのつなぎ目。
昼間は明るいつなぎ目部分も夜になるとトンネル内と区別がつきにくい。
特に開通当初はトンネルの照明も少なく暗い1つのトンネルが延々続いたように感じられたとしても不思議ではない。
霧雨の夜トンネルを走る車。
1本目と2本目の間で水滴か油が落下。
手のひら状に広がった。
しかしそれがトンネルの外だと気付かず驚いたまま2本目のトンネルを通過。
そして3本目の入り口でもトンネル内だと思っているところにレンガなどが落ちてきたとしたらその驚きは並大抵のものではない。
この落ちてくるものの恐怖っていうのを語ったのが実は当時の若いタレントさんだったっていうのがあるわけですね。
その時代に普及したテレビそのころのテレビのタレントさんの発言力影響力って非常に大きかったでしょう。
現在全国各地のトンネルで噂となっている都市伝説。
そこではですね私的な空間としての車いわば自分の部屋としての車の空間というものがそこで現れてきます。
そういう時代になってきた時に若者たちの怪談というのは自分の部屋私的な空間としての車に幽霊や妖怪が入り込んでこようとする攻撃を加えてくるそういうふうにその自分たちの部屋としての空間に入ってこようとする妖怪幽霊といった怪談に変化していく事になります。
都市伝説は変わる。
しかし人がトンネルを恐れる気持ちは永遠に変わる事はない。
確かに私たちは自動車の中を安心できるプライベートな空間と感じていますよね。
でもそれがトンネルという異世界に車ごと入っていくと一瞬にして逃げ場所のない閉鎖空間へと変わってしまいます。
そうしたうっすらと感じる恐怖心がトンネルでの恐ろしい錯覚を生み出し都市伝説として広めていく原因と言えるようです。
安心している時こそ私たちの心はちょっとした事で危うい罠に引っ掛かりやすいんですね。
「幻解!超常ファイルダークサイド・ミステリー」。
次回もお楽しみに!2014/08/15(金) 03:05〜03:25
NHK総合1・神戸
幻解!超常ファイル「検証!魔のトンネル伝説」[字][再]

怪奇現象が噂されるミステリースポット「トンネル」。なぜ日本人はトンネルを恐れるのか?ノーベル賞の文豪が心ひかれた幽霊話とは?現場検証で都市伝説誕生の秘密に迫る!

詳細情報
番組内容
恐ろしい○○が現れる…、天井から××が降ってくる…、走る□□が追いかけてくる…。日本全国「魔のトンネル」の都市伝説はなぜ生まれるのか?関東有数のトンネルを専門家が現場検証。あらゆる角度から推理、解明していく!文豪・川端康成が記した怪奇現象と、有名タレントが体験した謎の事件…なぜ伝説は変化したのか?世界を震かんさせた投稿映像から浮かぶ自動車内の心理分析。トンネルの構造から明らかになる衝撃の原因とは?
出演者
【司会】栗山千明,【リポーター】作家…広坂朋信,【語り】中田譲治

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
アニメ/特撮 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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