PSYCHO−PASS サイコパス新編集版 2014.08.15

(宜野座)《まだ子供だったころの話だ》《父に連れられて廃棄区画に入ったことがある》
(宜野座)《なぜ親子で行くことになったのか》《詳しいことはよく覚えていない》
(宜野座)《「ちょっとまずいことになったから安全な家に避難だ」》《そんなことを言っていたようなおぼろげな記憶がある》
(宜野座)《よく分からない場所のよく分からない部屋で父は拳銃を見せてくれた》《他に子供が喜びそうなおもちゃが何もなくて仕方なくという感じで…》
(宜野座)《火薬を使った古い武器》《「内緒だぞ」と父が苦笑していた》《そのときの俺は父と秘密を共有できたことが誇らしかった》
(宜野座)《今となってはそれが現実にあったことかどうかもはっきりしない》《それでも特別な1日だった》
(カウンセラー)悪くなってますね。
(宜野座)そうですか…。
(カウンセラー)犯罪係数が7ポイント悪化。
無視できない数値です。
これ以上悪化することがあれば報告義務が生じます。
(宜野座)ヒーリング系の装置でストレスケアはしているつもりなんですが。
(カウンセラー)もっと単純かつ効果的な方法を取るべきです。
(宜野座)それは?
(カウンセラー)親しい人に悩みを相談するんです。
恋人や家族は?
(宜野座)恋人はいません。
家族は…。
父だけが存命です。
(カウンセラー)あなたの年齢ならお父さまは理想的な相談相手ですよ。
特殊な事情がなければ話してみては?
(宜野座)あるんですよ。
(カウンセラー)はい?特殊な事情。

(禾生)報告書は読んだよ。
常守朱監視官の証言だがあれは本当に信ぴょう性があるのかね?現場検証は入念に行いました。
対象までの距離は8m弱。
被害者との位置関係も明白です。
犯行は明らかに常守監視官の目の前で行われそしてドミネーターは正常に作動しなかった。
(禾生)被害者は常守監視官の親しい友人だそうじゃないか。
動転してドミネーターの操作を誤ったのでは?彼女はそこまで無能ではありません。
(禾生)経験が足りてないと以前の君の報告書にはあったが。
だとしても素質は本物です。
監視官としての彼女の能力はシビュラシステムによる適性診断が証明しています。
(禾生)そのシビュラの判定を疑う旨の報告を君たちは提出しているわけだが…。
(禾生)宜野座君この安定した繁栄最大多数の最大幸福が実現された現在の社会をいったい何が支えていると思うかね?それは厚生省のシビュラシステムによるものかと。
(禾生)そのとおりだ。
人生設計欲求の実現今やいかなる選択においても人々は思い悩むより先にシビュラの判定を仰ぐ。
そうすることで人類の歴史においていまだかつてないほどに豊かで安全な社会をわれわれは成立させている。
だからこそシビュラは完璧でなければなりません。
(禾生)しかりシビュラに間違いは許されない。
それが理想だ。
だが考えてもみたまえ。
もしシステムが完全無欠ならそれを人の手で運用する必要すらないはずだ。
ドローンにドミネーターを搭載して市内を巡回させればいい。
だが公安局には刑事課が存在し君たち監視官と執行官がシビュラの目であるドミネーターの銃把を握っている。
その意味を考えたことがあるかね?それはむろん…。
(禾生)いかに万全を期したシステムであろうとそれでも不測の事態に備えた安全策は必要とされる。
万が一の柔軟な対応や機能不全の応急処置。
そうした準備までをも含めてシステムとは完璧なるものとして成立するのだ。
システムとはね完璧に機能することよりも完璧だと信頼され続けることの方が重要だ。
シビュラはその確証と安心感によって今も人々に恩寵をもたらしている。
はい。
宜野座君私は君という男を高く評価している。
本来ならば君の階級では閲覧の許可されない機密情報だが私と君の信頼関係において見せてやろう。
他言無用だぞ。
これは…。
(禾生)とある男の逮捕記録だ。
彼は犯罪係数の計測なしに身柄を確保された。
記録上はまあ任意同行ということになっているがね。
藤間幸三郎…。
3年前に世間を騒がせた連続殺人の被疑者だ。
君たちの現場では標本事件などと呼ばれていたようだが。
結局彼を取り押さえるに至った二係には徹底したかん口令が敷かれた。
なぜです!?この男のためにわれわれがどれほど…。
(禾生)今回のケースと同じだよ。
(宜野座)えっ?事実上の現行犯。
そしてあらゆる物証の裏付けがあったにもかかわらず藤間幸三郎にはドミネーターが反応しなかった。
彼の犯罪係数は規定値に達していなかったんだ。
われわれはこうしたレアケースを「免罪体質者」と呼んでいる。
免罪体質?
(禾生)サイマティックスキャンの計測値と犯罪心理が一致しない特殊事例だ。
確率的にはおよそ200万人に1人の割合で出現しうると予測されている。
槙島聖護の件についても驚くには値しない。
この男は3年前の事件にも関与していた節があるのだろう?
(禾生)藤間と槙島。
2人の免罪体質者が揃って犯行に及んだからこそあの事件の捜査は難航を極めたわけだ。
藤間幸三郎はどうなったのです?行方不明と公式には発表されているわけだが私もそれ以外のコメントをここで述べるつもりはない。
ともあれ重要なのは彼の犯罪による犠牲者が二度と再び現れることはなかったという事実のみだ。
彼はただ消えたのだ。
シビュラシステムの盲点を暴くこともその信頼性を揺るがすこともなく消えていなくなった。
君たちはシステムの末端だ。
そして人々は末端を通してのみシステムを認識し理解する。
よってシステムの信頼性とはいかに末端が適性に厳格に機能しているかで判断される。
君たちがドミネーターを疑うならばそれはやがて全ての市民がこの社会の秩序を疑う発端にもなりかねない。
分かるかね?
(宜野座)提出した報告書には不備があったようです。
(禾生)結構だ。
明朝までに再提出したまえ。
当然君の部下たちにも納得いく説明を用意する必要があるだろうが…。
(宜野座)お任せください。
よろしい。
宜野座君…やはり君は私が見込んだとおりの人材だ。
槙島聖護の身柄を確保しろ。
一日でも早くこの社会から隔離するんだ。
ただし殺すな。
即時量刑即時処刑はシビュラあっての制度だ。
了解しました。
(禾生)この男を捕らえ本局にまで連行すればいい。
あとは何も気にするな。
槙島聖護は二度と社会を脅かすことなどなくなる。
藤間幸三郎と同様にな。
(朱)失礼します。
(狡噛)ああ…。
読書ですか?ああ。
わざわざすまない。
いえ…どうせ私も少し休めって言われてますし。
葬儀の方は?一昨日に。
そうか…。
すみません。
なぜ謝る?槙島聖護を取り逃がしました。
あんたの責任じゃない。
おかしくなったのはドミネーターだ。
そうなんだろ?銃そのものには何の欠陥もなかったそうです。
今宜野座さんが上に掛け合って調べてくれてます。
一度も尻尾を出さなかったやつだ。
何かからくりがあるのかもしれない。
ドミネーターばかりに頼ってきた俺たちをまんまと出し抜くための秘策が…。
いつもどおりですね狡噛さん。
あんたも思ったより立ち直りが早い。
落ち込んでばかりじゃいられません。
槙島聖護を捕まえないと。
友達の敵ですもんね。
私にとっても狡噛さんにとっても…。
そうだな。
何だか安心しました。
ではお大事に。
一つだけある意味ではうれしいと思えることもあります。
槙島聖護は実在した。
もう誰も狡噛さんのことを疑いません。
私たちこれでようやく一つの目標を一緒に追い掛けられるようになりました。
常守がモンタージュを?
(縢)そうメモリースクープだよ。
記憶にある視覚情報を脳波から直接読み取って映像化するっていう…。
朱ちゃんあれで槙島聖護の姿を再現するつもりらしくて…。
今んとこ槙島ってやつの顔をはっきり見たことがあるのは朱ちゃんだけだから。
記憶の強制的な追体験だぞ!よりにもよって目の前で友人を殺された経験を…。
(縢)分かってるよ!だからみんなも止めたんだ。
いくら朱ちゃんでもサイコパスが無事で済むはずがない。
じゃあ何で…。
次は絶対に仕留めるってさ。
槙島を…。
だとすれば少なくともコウちゃんには彼女のことをとやかく言う権利はないかも。
狡噛か?はい。
たぶん縢君あたりがチクったんじゃないかと…。
話さなくていいのか?必要ないです。
私を止めるつもりなんですよ。
自分は無茶ばっかりするくせに…。
俺も反対だ危険過ぎる。
ただでさえ君のサイコパスはダメージを受けている。
最悪の場合は犯罪係数の悪化だって…。
局長命令で公開捜査はできないんですよね?ああ…何しろデリケートな問題だ。
専門のチームが調査している。
その結果が出るまで地下で起きたことは他言無用だ。
調査の結果を待っていられません。
非公開では手掛かりは集まりにくい。
モンタージュが必要です。
しかし…。
そのために犯罪係数が上がったとしても構いません。
私は執行官になってでも槙島聖護を追い詰めます。
そんなことを軽々しく口にするな!宜野座さん…。
大丈夫ですよ私ってサイコパスが曇りにくいのだけが取りえですから。
(志恩)準備完了朱ちゃん。
はい。
(志恩)あなたの体調とサイコパスはずーっとモニタリングしてるからね。
唐之杜さんを信用します。
OKOK!お姉さんに任せてね。
悪いようにはしないから。
犯人と遭遇したときのことをよく思い出して。
はい。
その記憶に関わる脳内の信号をキャッチしたら増幅します。
かなりの精神的な負担が予想されるけど…。
覚悟の上です。
よろしい始めるわよ。

(槙島)《君が手にしたその銃…》《ドミネーターをつかさどるシビュラシステムが決めるのか?》
(ドミネーター)《「犯罪係数48」》《「執行対象ではありません」》《「トリガーをロックします」》《とても残念だよ常守朱監視官》
(ゆき)《ああーっ!朱!!》
(ドミネーター)《「執行対象ではありません」》《「トリガーをロックします」》《やめてーっ!》ハァハァハァ…。
ハッ!
(宜野座)おい!
(志恩)分かってる。
(宜野座)しっかりしろ常守監視官!常守監視官!常守!!常守朱!!
(頬をたたく音)
(宜野座)すまない。
あっ…宜野座さん…。
ああ…大丈夫か?ううっ…。
常守…。
メモリースクープは成功。
早速イメージング処理に取り掛かるわ。
(宜野座)彼女のサイコパスは!?
(志恩)うん…大丈夫。
色相カーブは規定値以内。
犯罪係数は…。
すごいわ!?一度上昇したポイントがもう回復の兆しを見せている。
常守監視官…。
ううっ…。
フゥ〜。
ねっ平気だったでしょ?君はそうまでして…。
うん?
(六合塚)もうケガは大丈夫なの?これ以上入院させるなら病室に火を付けるって医者を脅した。
(縢)さすがコウちゃん。
嘘だよ説得した。
それより常守監視官はどうなんだ?
(六合塚)医務室でメンタルケアのセッション中。
でも志恩の診断ではすぐに持ち直すだろうって。
カワイイ顔してて根性据わってるっていうか…。
正直ビビったわ。
あれでサイコパスがレッドゾーンいかないってんだから。
何かあったらどうするつもりだったんだ。
心配してたのはあなただけじゃないわ。
でもね危険を冒しただけの成果は上がってるわよ。
これが…。
(六合塚)槙島聖護。
早速桜霜学園にも問い合わせたけどビンゴ。
教職員も生徒も揃ってこの男が美術科講師の柴田幸盛だと証言している。
これだけでも王陵璃華子の事件について重要参考人として引っ張れる。
(縢)今もね街じゅうのカメラの録画記録に片っ端から検索かけてるよ。
早速ヒットしたのがさ何と菅原昭子のマンションのエントランス。
ほら覚えてる?スプーキーブーギー。
タリスマン事件の犠牲者の。
(六合塚)フェイスレコグニションの優先手配も済ませてる。
次にこいつが動きを起こせば即座にこっちに通報が届くわ。
常守は…。
あいつは…もういっぱしのデカだ。
(征陸)お前が俺を呼び出すなんてこりゃ〜あしたは雪かな。
(宜野座)明日の降水確率は昼夜共にゼロだ。
昔からある言い回しだろうよまったく。
で何があった?常守監視官のことで幾つか質問が…。
(征陸)お嬢ちゃんがどうした?
(宜野座)なぜあいつの色相は濁らないんだ?どんなストレスケアを?それを俺に聞くかね?俺よりは親しく接してるだろ。
(征陸)分からんよ。
まあ一つはっきり言えるのはお嬢ちゃんは自分の犯罪係数をまったく恐れていないってことさ。
あの子は何ていうかその…物事を良しとしている。
世の中を許して認めて受け入れている。
それでいて危ない橋を渡るのもいとわないんだからただ流れに身を任せているわけでもない。
刑事っていう仕事の意味と価値を疑うことなく信じてるんだな。
あんたの場合は違ったっていうのか?俺か?ふん…そうだな。
こんな俺でも昔はあの子みたいに正義とかいうもんを信じていたような気がする。
ところがある日いきなり言葉をしゃべる銃を渡されてこれからはそいつの言いなりになって人を撃ち捕まえるなり殺すなりしろと命令された。
腹が立ったよ。
こんなやり方は俺が信じた刑事の仕事じゃない。
そう思えば思うほどサイコパスも曇っていった。
そこまで疑問があったならどうして刑事を辞めなかった?あんたはそんな不本意な生き方のために俺を…母さんを巻き添えにしたのか?ふざけやがって…。
いまさらどの面下げて泣き言をほざくんだ。
(征陸)まったくだよ。
嫌だ嫌だと言いながら結局俺は今でも刑事のままだ。
あんたはシビュラを否定しシビュラはあんたを否定した。
そして新しい秩序が生まれこの国だけが立ち直った。
(征陸)ああ…結局は俺が間違っていたのかもしれん。
今の時代を認めて諦めがついた頃合いに俺の犯罪係数は横ばいになった。
まあいささか以上に手遅れだったが…。
でお前はどうなんだ?サイコパスちゃんとクリアカラーで維持できてるか?あんたに心配される筋合いじゃない。
いまさら父親面しようっていうのか?
(征陸)出世を控えた上司を部下が気遣って何が悪い?お前がさっき俺に言ったとおりだ。
この仕事に疑問があるなら何か疑わしいと思うようなことを抱え込んだら気を付けろ。
そこから先には俺がはまったのと同じ落とし穴が待ち構えているかもしれん。

(禾生)とうとう面が割れちゃったね。
後がないよ聖護君。
(グソン)意外ですね。
(槙島)何が?
(グソン)いや例のあいつ。
旦那が手を貸すほどの相手かな…と。
欲望の方向をいじるだけで自由にコントロールできる駒ってのも手軽でいいじゃないか。
人間の欲望とは何か?僕は最も厄介な欲望は自己顕示欲だと思う。
嫉妬も痴情のもつれも源泉はそこだ。
(グソン)旦那は薄そうですねそれ。
ゼロに近いと自負している。
それが犯罪係数をコントロールする秘訣なのかな。
ラッセルの『幸福論』を読んだことは?
(グソン)ないですね。
退屈の反対は快楽ではない。
興奮だ。
興奮するのなら人間はそれが苦痛でも喜ぶ。
分かるだろ?シビュラシステムは退屈そのものなんだ。
(バイブレーターの音)
(グソン)あっ。
あっ始まったみたいです。
(槙島)いってらっしゃい。
あの何か?
(伊藤)このメモどおりの薬を出せ。
(薬剤師)あのこれはちょっと…。
向精神作用の薬物はですね認可された施設で処方箋と生体データを…。
(伊藤)分かってないな〜。
(薬剤師)うっ!ぐっ…。
(女性)あっあっ…。
(女性)誰か!誰か来て!
(伊藤)た…助けは来ない。
さっさと薬を出せ!あっ!うっ…。
(コミッサ)こちらは公安局刑事課です。
現在このエリアは安全のため立ち入りが制限されています。

(狡噛)おい!
(朱)わっ!何を考えてるのかは何となく分かる。
狡噛さん…。
だが今は目の前の事件に集中しろ。
はい。
(宜野座)どういう状況だ?これは。
(征陸)どうもこうも…。
事件そのものは明快極まりないんだよな。
犯人は堂々と玄関から入ってきて係員を殺し好き放題に薬物を奪った後で平然とそこのドアから出ていった。
(六合塚)一部始終監視カメラに映ってますよ。

(女性)「誰か来て!」
(縢)何だ?このヘルメット…。
露骨に怪しいじゃん。
(六合塚)ただ怪しいというだけでセキュリティーは作動しないわ。
エントランスからずっとこの男のサイコパスはクリアカラーの正常値なの。
スキャナーにもログが残ってる。
まるっきりあの槙島ってやつと同じじゃないっすか。
サイコパスが正常なまんまで人殺しができるなんて。
(宜野座)おそらくこのヘルメットが鍵だろう。
サイマティックスキャンを欺く何らかの機能があったに違いない。
常守監視官を出し抜いた槙島という男も同じような装置を使ったのかもしれない。
しかしよこんなヘルメット一つでサイコパスの偽装なんてできるもんなのか?
(六合塚)サイマティックスキャンを遮断するというならまだ分かるわ。
もちろんその程度のことならセキュリティーは突破できない。
スキャニング不能な人物が通過すればその時点で警報が鳴るもの。
問題はスキャナーが侵入者のサイコパスを検出している点だ。
虫も殺せないほど善良な一般市民としての色相判定をな。
クラッキングかな?あり得ないわね。
こんなに短時間で場当たり的な犯行なのに何の痕跡も残さずデータを改ざんするなんて不可能よ。
(宜野座)現行のセキュリティーはサイマティックスキャンの信頼性を前提に設計されてる。
だからこそサイコパスに問題がなければ問題を起こす可能性すらないものとして素通りだ。
実際の傷害も窃盗もそれを犯罪行為と断定できる機能がドローンのAIには備わっていない。
みんな対象のサイコパスだけを判断基準にしているからな。
こんな犯罪に対処できる方法はもうこの街には残ってない…。
(藤井)そうなのよそれでねそれは私の仕事じゃないんじゃないですか?って言ってやったの。
でさそのときのあいつの顔ったらホントバカみたいでさ。
な…何ですか?あなた。

(コミッサ)重篤なストレス反応を検知しました。
(コミッサ)速やかに専門の医療機関でメンタルケアを受けることを推奨します。
お困りですか?厚生省アーバンサービスは市民の皆さんの健康な生活をサポートしています。
ケガ人急病人の方がいらっしゃいましたら最寄りの救急病院に救急車を依頼しますか?その場合は保険外の料金として…。
これはいい感じにろくでもないな。
(宜野座)昔は玄関に物理的なロックを掛けるのが当然だった。
まずは他人を疑うことを前提に秩序を保っていたからだ。
それ征陸さんの思い出話ですか?ああ…あの老いぼれの受け売りさ。
今は誰かを疑ったり用心したりする心構えは必要なくなった。
道端で会う赤の他人は全てサイコパスの保障された安全で善良な人物。
その前提でこの社会は成り立っている。
あのヘルメット男のようにサイマティックスキャンを欺く方法があると知れ渡ったらパニックは避けられん。
もしくは槙島聖護のような存在が発表されても…。
(着信音)
(宜野座)どうした?
(志恩)世田谷区でエリアストレス警報なんだけどそれはそれとしてネットにとんでもない動画が上がってるわよ。
(志恩)見て。
なっ…何だ?これは。
あっ…。
始まった。
(征陸)これは…何が起きてる?槙島の犯罪。
賭けてもいい。
いや…。
そもそもこの世界における犯罪とは何だ?コウ…何を考えてる?ただの犯罪じゃない。
もっとこう…何かの土台そのものを揺るがすような…。
(青年)うわっすげえ!
(青年)デモンストレーションってマジだったんだな。
行くか。

(メールの着信音)短時間でこれだけエリアストレスが上昇…。
ハァ…。
お疲れさま。
いけるね計画に修正は必要ない。
バカだな。
人が人を殺してるだけだ。
大変なことなんてまだ何も起きていない。
大変なことはこれから起きる。
なあ計画を全部伝えてるのは君だけなんだ。
頼りにしてるよ。
(コミッサ)こちらは公安局刑事課です。
被害者の名前は藤井博子。
(征陸)繁華街のど真ん中とはな〜。
この街はいったいどうなっちまったんだ?薬局襲撃犯と同じ犯人でしょうか?可能性は高い。
それにしてもこれだけの人間がいたのに…。
カカシか?こいつらは!目撃者の証言は似たり寄ったりです。
「何が起きているのか理解できなかった」と…。
無理もないと思います。
目の前で人が殺されるなんて想像もつかないし思い付きもしない。
そういう出来事が起こり得る可能性なんて見当もつかないまま今日まで暮らしてきた人たちばかりなんです。
結局誰も事件を通報せずにエリアストレス警報で異常が発覚したってんだもんな。
見過ごしたのは人間だけじゃない。
(征陸)ハァ〜…よりにもよってサイコパススキャナーの目の前で。
(征陸)じゃあ犯人の色相変化もリアルタイムでモニターされてたわけか。
これです。
(征陸)相変わらず正常値のまんまかよ。
恐れ入ったね。
女を殴る瞬間でさえたったこれだけしか変動がない。
やっぱ数値そのものが偽物って可能性は?
(六合塚)ないわね偽のサイコパスを捏造するなんてスパコンでも引きずって歩かないと無理。
いやこいつは妙だ。
見てのとおりだろ。
そうじゃない反応として正常過ぎる。
見てみろこっちがエリアストレスの変移。
犯人の色相変化とそっくりそのまま推移している。
(縢)あっホントだ。
こいつ周囲の目撃者とまったく同じメンタルで行動してたってことになる。
果たして彼らはすぐに仕掛けを見破れるかな?
(グソン)種を明かせば簡単なことでね。
ただ若干融通の利かないところもありまして。
(グソン)感度はだいたい30m圏内ってくらいですか。
しかしまあ範囲内に1人でもクリアカラーの人間がいればヘルメットの中で何を考えてようが何をやらかそうがお構いなし。
(グソン)刑事課の連中もそのうちに気付くでしょうよ。
現場に居合わせた人間のスキャンデータを全部照合すればまるっきり同じ色相の人間が2人いたってね。

(志恩)監視官また緊急事態。
(宜野座)今度は何だ?
(志恩)高速道路で現金輸送車が襲撃されたって。
現金輸送車って…。
志恩そいつらもヘルメット装着者だな?
(志恩)さすがそのとおり。
数は3人全員工具類で武装。
さっきの事件とは別口ね。
(縢)どう追い掛けます?班を2つに分ける縢六合塚一緒に来い。
(六合塚)はい。
(縢)へ〜い。
君たちは引き続き薬局襲撃犯を。
俺たちは現金輸送車を追う。
しっかし武装強盗ね〜。
こいつが通用しない相手なら俺たち丸腰と変わらないんじゃないっすか?ギノさん。
余計なことは考えるな。
行くぞ!それにしても犯人は何でこんなことを…。
はあ?「何で」ってそれは…。
(征陸)どうした?間抜けだったぜ。
犯行があまりにも異常で何となく通り魔的な犯罪に見えていたが…。
2件目の被害者。
あれだけ憎しみを込めた手口ならむしろ動機がなきゃおかしい。
(志恩)何よもうこの忙しいときに。
調べてほしいことが。
もう色々と調べてる最中なんだけど。
ちょっとでいい。
あんたを情報分析の女神さまと見込んで頼んでる。
私おだてられると木にも登るタイプなのよね。
で何?被害者藤井博子。
彼女の周囲にトラブルはなかったか?記録に残るほどのものはなかったようね。
彼女の関係者に長い間外出してない人間はいないか?外出していない?そいつはたぶん街頭スキャナーに引っ掛かったら一発でセラピー送りになりそうな容体だったってのは?なるほど…。
こいつどうかな?伊藤純銘職場の同僚。
(志恩)ここ2週間ほど病欠続きで健康管理指導の通達中。
住所は弦巻。
そう遠くないな。
(征陸)留守か?当たりだな。
ハァ〜…。
近ごろずっとこういう気分だったんならそりゃ部屋の外には出られないわけだ。
フゥ〜…。
うわっ!?
(ドミネーター)「犯罪係数32」「刑事課登録監視官」お…追わないと!監視官あんたの犯罪係数は?はあ!?
(ドミネーター)「犯罪係数32」「刑事課登録監視官」「警告執行官による…」そういうことか。
えっ…えっ?手品の仕掛けが分かったぜ。
志恩この近辺で人がいない区画は?
(志恩)いきなり何よ?どういうこと?ホシはそばにいる人間のサイコパスをコピーしてる。
あのヘルメット自体が他人のサイマティックスキャンをしてるんだ。
そうかじゃあそのスキャン圏内から人払いをすれば…。
あのヘルメットはガラクタになる。
急げ!えっとね4ブロック先に資材倉庫!フルオートメーションだから職員はゼロ!そこに追い込む!近隣のドローンを動員して誘導を。
OK!聞いてのとおりだとっつぁん!回り込んで頭を抑えてくれ!
(征陸)おう!それと監視官!あんたは伊藤に近づくなさっきの二の舞になる。
はっ…はい!
(コミッサ)市民の皆さまへお知らせします。
こちらは公安局刑事課です。
現在緊急手配により交通封鎖を実施中です。
案内表示による迂回をしてください。
(志恩)いいよいいよその調子!
(ドミネーター)「犯罪係数282」「刑事課登録執行官任意執行対象です」「セーフティーを解除します」そりゃどうも。
(伊藤)うわっ!282ってお前…。
あ〜ついぶち殺してやるとか思って…。
自分のサイコパスを撃たれた感想はどうだ?こいつがエリミネーターに変形しなくてよかったよ。
フッ!ハァハァハァ…。
うまく追跡はまけたようだね。
(青年)ちょろいもんさ。
ドミネーターの使えねえ公安なんてへでもねえ。
でもよ〜フンッ!あんたさ〜肝心なところで一本ネジが抜けてるよな。
それだけのお宝を1人で持ち歩いて用心とか考えなかったわけ?これは啓蒙のための道具だったんだ。
人が人らしく生きるために…。
家畜のような惰眠から目を覚ましてやるために…。
はあ?シビュラに惑わされた人々は目の前の危機を正しく評価できなくなった。
その意味では君たちもあの哀れな羊たちと等しく愚かしい…。
(青年)ヘッそうかよ!ああ…本当に嘆かわしいことだ。
2014/08/15(金) 01:58〜02:58
関西テレビ1
PSYCHO−PASS サイコパス新編集版[字]

【#07】
刑事課の中で唯一、槙島の顔をはっきりと目撃した朱は彼を捉えようとする気持ちを新たにする。一方、宜野座は衝撃の事実を告げられて…。

詳細情報
番組内容
 あらゆる感情、欲望、社会病質的心理傾向はすべて記録され、管理され、大衆は「良き人生」の指標として、その数値的な実現に躍起になっていた。人間の心の在り方、その個人の魂そのものを判定する基準として取り扱われるようになるこの計測値を人々は「PSYCHO−PASS(サイコパス)」の俗称で呼び慣わした。
 犯罪に関する数値も“犯罪係数”として計測され、犯罪者はその数値によって裁かれる。
番組内容2
 治安維持にあたる刑事たちは常に、犯人を捕まえる実働部隊となる“執行官”と、執行官を監視・指揮する“監視官”のチームで活動する。自らが高い犯罪係数を持ち、犯罪の根源に迫ることのできる捜査官こそが優秀な“執行官”となりうる。それゆえに、犯罪者になりかねない危険もはらむ“執行官”は、その捜査活動を冷静な判断力を備えたエリートである“監視官”に監視されている。
番組内容3
 公安局刑事課一課のメンバーはそれぞれの思いを胸に、正義のありかを常に突きつけられながら任務を遂行していかなければならない。
 彼らが立ち向かうものの先にあるのは—。
出演者
狡噛慎也: 関智一 
常守朱: 花澤香菜 
宜野座伸元: 野島健児 
征陸智己: 有本欽隆 
縢秀星: 石田彰 
六合塚弥生: 伊藤静 
唐之杜志恩: 沢城みゆき 
槙島聖護: 櫻井孝宏 

ほか
スタッフ
【総監督】
本広克行 

【監督】
塩谷直義 

【ストーリー原案】
虚淵玄(ニトロプラス) 

【脚本】
虚淵玄(ニトロプラス) 
深見真 
高羽彩 

【キャラクター原案】
天野明 

【キャラクターデザイン】
浅野恭司 

【色彩設計】
上野詠美子 

【美術監督】
衛藤功二 

【3D監督】
佐藤敦 

【撮影監督】
荒井栄児 

【編集】
村上義典 

【音楽】
菅野祐悟
スタッフ2
【音響監督】
岩浪美和 

【アニメーション制作】
Production I.G

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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