(鈴の音)
(千里)キャーッ!
(貴子)はっ!うん?すいません。
男のストーカーと間違えちゃって。
男?ストーカー?どっちにショック受ければいいのよ!もうやめた!
(足音と鈴の音)
(風鈴の音)・・
(留守電アナウンス)「ピーッと鳴りましたらお名前とご用件をお話しください」・
(男)おかえり早かったね。
あれっ。
飲み会行かなかったんだ。
白いバッグに付いてる鈴の音いい音色だね。
ウフフ…フフフ…。
・
(ドアチャイム)
(千里)キャーッ!嫌!絶対に嫌わたし。
(山岡)そう言うなって。
(大介)取材?雑誌の?
(香織)女弁護士特集だって。
(山岡)『WOMAN』の編集長が知り合いでさ。
ぜひ話を聞きたいって女弁護士の。
冗談じゃないわよ。
それに女かどうかも分からないし。
えっ?とにかくね苦手なのこういうこと。
弁護士には倫理規定があって広告は制限されてる。
マスコミの取材は実に有効な宣伝活動だぞ。
事務所大変なんだろ?ダメダメ。
忙しいの。
そうなのか?・
(香織)そうでもないです。
もうガラガラです。
先生。
取材受けるべきですよ。
(香織)宣伝費用が浮きます。
事務所のためです。
何なのよ?あんたたち。
それに今は写真も修正効きますし。
そう!どういう意味よ?『WOMAN』は女性の企業家もよく読んでる。
企業法務のオファーがあるかもしれないぞ。
だけど!
(山岡)渉外弁護士としてアピールするチャンスじゃないか。
絶対に嫌!
(柳田)おはよう。
(柳田)何?
(紀三郎)おはようございます。
何か模様替えしました?取材があるみたいですよ。
取材?女性誌のね。
二人とも張り切っちゃって。
(大介)これ絶対必要だよね。
(香織)いるいる。
絶対いる。
あそこ。
そこそこ。
(柳田)何その犬?
(大介・香織)おはようございます。
何髪クルッとしてんのそれ?ちょっとカール?
(柳田)おいちょっとおい。
聞いてないよ取材ってさ。
そういうのさあらかじめ言っておいてもらわないとさ俺だって…。
ああ柳田さんは関係ない。
えっ何?間宮先生の取材なんで。
あっ…。
ちょっとみっともないよ君たちちょっと。
えっ舞い上がっちゃって。
(香織)いじけてる。
自分じゃないからって。
それより間宮先生遅くない?
(香織)うん。
随分嫌がってたけど。
(紀三郎)大丈夫ですよ。
ああ見えて意外とね…。
・
(貴子)おはよう。
(大介)化粧濃い!
(香織)小指立ってる!
(紀三郎)ねっ?
(大介)先生確実に…。
(香織)張り切ってる。
(紀三郎)でしょ。
うん。
(カメラのシャッター音)
(崎田)間宮先生のご専門は?はい。
あの企業法務をずっとやって参りましてえー…。
(崎田)渉外でしたっけ。
それを主に?はい。
あー特にMアンドAとファイナンスがあの専門分野で。
(カメラマン)あのすいません。
目線いりませんから。
あっ。
すいませんつい。
頑張れ!
(カメラマン)はいそれではいきます。
ええ。
(カメラのシャッター音)
(貴子)どういうことですか?編集長出して。
編集長。
(大介)アハハハ。
(柳田)おい。
(大介)はい。
(柳田)何?記事の中身違ったの?いえそれがね…。
何これ?「なんでもやります庶民の味方」?
(大介)激安スーパーじゃないんですからね。
あ〜写真もひどいなこれ。
イヒヒ。
あんなに張り切ってたのに。
(柳田)かわいそうに。
(大介)笑っちゃいますよねこれ。
大体話が違うでしょ。
何ですかこれ!?ストーカーや離婚が専門だなんてひと言も言ってませんよね?これで勘違いしてこういう依頼が増えちゃったらどうするんですか?マスコミの影響力ものすごい…。
(通話の切れる音)切った!こうやってあることないこと書くからマスコミは嫌いなのよホントに。
冗談じゃない…。
・
(香織)先生。
何?雑誌見て来たっていうお客さまが。
はあ?ストーカーでお困りだそうで。
早速です。
さすがマスコミ。
あなた…。
最初にお断りしておきますがわたしストーカー専門の弁護士ではありません。
こんなふうに書かれましたけどまあ受付が通してしまったので今回はしかたありませんが。
はあすいません。
ほかに知らないもんですから。
で前の会社の同僚にストーカー行為を受けていると?
(千里)はい。
実はわたし今夫と別居中で最初はそのことで相談に乗ってもらってたんです。
とても信頼できる人だと思っていたので。
でもそのうちにだんだん…。
(貴子)しつこくつきまとうように?
(千里)それで距離を置いていたらエスカレートしてきて。
帰りつけてきたりどこから見てるのか行動を監視してるみたいで。
警察へは?それがこの程度じゃ対応できないって言われて。
失礼ですけど考え過ぎということはありませんか?本人だけが思い込んでるという場合もありますしまぁ弁護士としてもね…。
(紀三郎)あの今はストーカー規制法ってのがありますから内容証明を送るっていう手はいかがでございましょうかね?「内容証明」?ええまあ「今後はこういうことはやめてくれ。
でないと法的処置をとるよ」というまあ警告ですな。
そうですね。
相手はサラリーマンですし周囲に知られるとまずいので効果的かもしれません。
被害の内容を細かく聞いてそのうえで内容証明送りましょう。
それでも治まらない場合は民事保全法による仮処分を地裁に起こし相手を近づけないようにするか警察に届けましょう。
でも…。
(紀三郎)大丈夫ですよ。
ウチの先生があなたの代わりになってきちんと相手と交渉してくれますから。
そうなんですか?あのこの名刺にねわたしへの連絡先が書いてありますから。
よろしくお願いします。
とにかくわたし今離婚のことだけでも頭がいっぱいなのに。
大丈夫ですよ。
ウチの先生が引き受けたかぎりご心配いりません。
失礼します。
お気を付けて。
本多君はどこに行ったのかな?あっ。
法律の学校に通いたいからって願書を取りに行ったみたいですね。
(香織)先生。
雑誌を見て離婚の相談をしたいという電話が12件ありました。
断って。
物理的に不可能でしょ。
それからストーカーがらみが11件。
断って。
あとウチも取材をしたいという女性誌が1件。
断る!受けました。
ハ?今度は事務所の写真も使うらしいんですよ。
あなたそれで?先生だってこの写真のままじゃ嫌でしょ?まあそれはそう…。
そういう問題じゃないの。
(岩尾)どういうことですか?
(貴子)そこに書かれているとおりです。
(岩尾)ほうほほう。
僕がストーカーだということですか?そんなバカな。
だけどあまりに頻繁な電話やメール会ってくれないと別居のことを言いふらすという行為ストーカーと言えなくはないですよ。
(岩尾)僕は親切心で…。
あなたは親切心かもしれませんが依頼人にとっては苦痛なんです。
ご理解いただけますか?あなた『WOMAN』という雑誌に出てきた弁護士さんですね?ネットで調べたら名前出てきましたよ。
それが?
(岩尾)フッフッフッフッフ。
こっちは何でも調べれば分かるんですよ。
あなたの住所だって電話番号だって。
これは脅迫ですよ。
まだ続けます?フッフッフッ。
(千里)助かりました。
ホントに先生はすごい。
そんな。
やっぱりスペシャリストは違うわ。
(大介)あれからは全く?
(千里)はい。
電話もメールもこなくなりました。
おかげさまで夜もぐっすり眠れるように。
それはよかった。
じゃあこれで…。
あああの!はい?
(千里)あっ…。
(香織)載ってる。
(紀三郎)うん?
(香織)来るかな業界からスカウト。
(柳田)何また取材?きれいに撮れてるでしょわたし。
懲りたんじゃないの?間宮先生。
じゃあいってきます。
離婚の相談ですか?あの最初に言っておきますけどストーカーと離婚は別の案件なのでまた着手金や費用が発生するんですけど。
もちろん結構です。
先生にお願いできるなら。
(大介)しょうがないですね。
わたしね離婚…。
(大介)こうなったらね。
ねっ。
(千里)主人は結婚5年目くらいから会社に泊まってくる日が多くなって知らない女からの電話も頻繁にかかるようになったんです。
ご主人さんが浮気してるという証拠は?カードの控え見たんです。
そしたら出張だって嘘ついてその女と温泉に。
しかもわたしが行こうって言ってた部屋に露天風呂の付いてる旅館。
西伊豆の!
(大介)それで黒澤さんとケンカしてご主人がマンションを出られた。
はい。
はい。
それから3か月。
ご主人のほうから連絡は?ありません。
怖くてできないんじゃないでしょうか?黒澤さんからは?もちろん。
何でわたしから。
こういう場合慰謝料とか取れるんでしょ?そうですね。
離婚となると黒澤さんは比較的有利だと思います。
家を出たということですからご主人も自分の非を認めてるんでしょ。
とにかくあの内容証明っていうんですか?あのそれガツンと送ってやってください。
あの人わたしをバカにしてるんです。
1人じゃ何もできないだろうって。
それは離婚を前提として話し合いをするということ?とりあえず内容証明だけでも送って脅してもらえません?驚いて飛んでくるでしょうから。
分かりました。
しっかりお灸を据えてやってください。
フフフ。
はい。
フフッ。
わたし田舎から東京出てきてすぐ結婚しちゃったからこういうことは相談できる人がいないんです。
先生。
よろしくお願いします。
(大介)よしっ!また!ちょっと。
頭切れてるじゃないそれ。
(香織)ああ。
どうせ貼るならね完全な状態で貼ってちょうだい。
あっ…。
ほらねっ。
わたしね左斜め45度がいいって言わ…。
ちょっと。
えっ?頭刺さってる。
あっ。
もう。
・はい。
間宮貴子法律事務所…。
えっ!先生!絶対取材は受けません。
死んでも受けません!
(木槌をたたく音)
(裁判長)判決。
(裁判長)死刑!
(男)ま待ってくれ!違う。
違うんだよ!
(裁判長)静粛に!
(女)あんた〜!
(男)ついうっかりしちゃったんだよ。
(裁判長)静粛に!日本の法廷では木槌なんか使いません。
それにね「判決死刑」なんて…。
(ディレクター)カーット!カットカット!先生!あっ本番中なんで。
あらやだ。
ごめんなさい。
30分休憩!
(スタッフ)あ〜あ。
(ディレクター)まあこういうドラマなんで。
でもね一応監修としてウチの事務所の名前が入る以上きちんとしていただかないとある程度。
(ディレクター)そうですよね。
言っときます。
『報道2004』の番組の方に紹介していただくっていうお話は?あー大丈夫大丈夫。
ちゃんと伝えておきますから。
ハハッ。
それじゃよろしく〜。
『報道2004』ってあの看板番組の?渉外弁護士として紹介してくれるって言うから引き受けたのに。
だまされた。
(香織)いいじゃないですか。
この際テレビにコネができるだけでも。
先生!今来てますよ。
何が?風が!うっ!うわっ!
(スタッフ)おい!邪魔だからどいて!すいません。
すいませんすいません。
わたしサインもらってきます。
ちょっと待って。
どこ行くの?イヤ!ちょっと…。
すごい。
いやもう吹き過ぎちょっと。
・
(ドアチャイム)あなた?・
(郵便局員)郵便局です。
黒澤千里さんあてに内容証明が来てるんですが。
えっ?
(貴子)これはご主人も代理人つまり弁護士を立てたという内容証明ですね。
(千里)何なんですか?どういうことなんですか?まあまあ奥さん落ち着いて。
これは単なる通知ですからハハハ。
ご主人は離婚に向けて話し合いがしたいということです。
離婚?黒澤さんはどうされますか?そんな。
急にそんな…。
離婚を前提に慰謝料などその他の条件を交渉するのか夫婦間の修復を条件に交渉するのかによって話し合いの内容が全く変わってきます。
ここはよく考えてください。
だってまだ別居してからひと言も話してないんですよ。
でもあちらも代理人を立てたということなんで。
(香織)失礼します。
はい。
先生。
CXテレビの野村さんからお電話ですけど。
『報道2004』の?さあ。
こっちに回して。
はい。
じゃあこうしましょう。
この依頼者ノートにご主人との知り合ったきっかけから結婚まで結婚生活今の思いとにかく何でもいいので黒澤さんの今のお気持ちを書いてきていただけますか?なるべくたくさん。
それはどういうことですか?あっちょっとすいません。
はいお電話代わりました。
間宮です。
ああはい。
いえいえ。
あっあのですねあのこういう相談にいらっしゃる方にはよくやってもらうことなんですがあー一度これにですねじっくりとご自分の気持ちを書いてもらってそして改めてご自分の気持ちの整理をしていただくとそういうわけなんですな。
先生は時間がないからですか?
(紀三郎)いいえ関係ありません。
いやもう。
それは…。
ええ。
分かりました。
じゃあそちらに伺ってからお電話差し上げればよろしいですか?はい。
(ため息)タイムシート?うん。
渉外弁護士の癖。
これ付けないとね落ち着かないの。
(大介)ちょっと。
ちょっと先生これ働き過ぎなんじゃないですか?働き過ぎのところ大変申し訳ございませんがねあの依頼人の話を聞いてやる時間をもう少し取っていただけませんかね?黒澤さんのこと?はい。
でも本人が離婚するかしないか決めてくれないかぎり動きようがないと思うんですけど。
そのとおりです。
そうなんですよ。
しかしあの手のタイプってのはね決めるまでが大変なんですよ。
困っちゃった。
何よあれ。
手抜いてるって言うの?何これ?うん?「こんにちは。
今日はストーカーについて弁護士の間宮先生にお話をお伺いしたいと思います」「よろしくお願いします」「ストーカーは特別な人間だけがなるのではないっていう…」忙しいね先生も。
シーッ。
「…誰でもストーカーになりうるということです。
精神的に追い詰められると相手との距離感をつかめなくなってストーキングをしてしまうということですね」「具体的に言いますと?」「最初はいたずら電話が多いです。
一日何十本という無言電話があったりしますね。
あとは手紙を盗む盗聴盗撮ネットでの嫌がらせ」
(岩尾)ウフフフフフ…。
「あとは注文していないのに何十人前の出前が届いたりとかそういう嫌がらせがありますね」
(野村)次は『報道2004』のプロデューサー必ず紹介しますから。
絶対ですよ。
(野村)お疲れでした。
どうも。
また。
何これ?
(ため息)・
(千里)先生。
黒澤さん。
すいません。
先生こちらだって聞いたんで。
あの依頼者ノート書いていただけました?それが書いているうちに逆にいろいろ考えてしまって。
(貴子)わたしの行き先まで教える人がどこにいるの?・
(大介)テ…テレビの収録だって言っただけですよ。
とにかく延々愚痴聞かされたんだから。
・
(大介)はあ。
ただでさえ忙しくて死にそうなのにもう二度と教えないでよ。
(呼び出し音)・
(黒澤)はい。
あなた?・
(黒澤)千里?弁護士ってどういうこと?まだちゃんと話もしてないじゃない。
何とか言いなさいよ。
・
(黒澤)悪いけど直接話はするなと言われてる。
(千里)ちょっと待ってよ。
・
(黒澤)それに…。
(千里)何?どうしたの?妊娠?ご主人と話したんですか?
(紀三郎)ご主人のお相手が妊娠なさってるんですか?
(泣き声)あのお気持ちは分かるんですが相手が代理人を立てた場合直接ご主人とお話をしてはいけないんですよ。
この先そういうことがあると交渉が不利になることもあるので。
わたしが悪いって言うんですか?いえルールのお話です。
わたしはあの人の本当の気持ちが聞きたいだけなんです。
でも代理人がご主人の意志を伝えるものなんですよ。
聞いてきてください!あの人の本当の気持ち。
きっと女にいいように言われてるんです。
分かりました。
とりあえず黒澤さんもこれからはアポを取ってから来ていただけますか?
(千里)いつ行っていただけます?今日?そんな。
あちらにも都合があるのでとりあえず電話はしてみます。
それからこちらから黒澤さんにご連絡します。
いつですか!だからとにかくきちんとやりますから。
何か?
(紀三郎)ああ…。
(大介)これって多分インターネットカフェのパソコンで送られてますね。
相手の身元調べるの不可能ですよ。
(柳田)「昨日のカレーはおいしかった?」って何じゃこりゃ。
間違い?まさかホントにカレーじゃなかったでしょ?あれ?不審な手紙やなんかは?あっ…。
(香織)手紙はいっぱいきてるんですけどテレビ見たとかっていう。
(大介)メルアド知ってるのってごく一部ですもんね?名刺に一応入ってるから。
(紀三郎)ほかに何か?いえ別に。
(紀三郎)じゃあ単なるいたずらじゃないでしょうかね。
(柳田)まっマスコミに出るといろいろあるんじゃないですか?
(岩尾)こっちは何でも調べれば分かるんですよ。
あなたの住所だって電話番号だって
(香織)やだ。
誰?こんないたずら。
(柳田)あっ。
香織さん…なんじゃないの?やってないよ!わたし。
ごめんなさい。
(大介)えっ?
(柳田)おっ。
・
(香織)あっ。
・はい。
えっ?『報道2004』が20分も?
(矢口)ええ。
渉外弁護士の特集をしようという企画がありましてね。
企業の吸収や合併には欠かせないという話を聞いて。
いやお忙しいでしょうけどウチの番組に出演されて損はないと思いますよ。
ハハハハ。
もちろんです。
よろしくお願いします。
(矢口)はいはい。
じゃまた連絡しますから。
はい。
どうも失礼します。
(矢口)はい。
(メールの着信音)
(岩尾)何の用ですか?
(貴子)ストーカーをやめさせたわたしを今度はストーカー?悪いけど忙しくてつきあってられないの。
これ以上続けるようなら証拠を集めて訴えるわ。
ストーカーに遭ってるの?あんた。
今なら警告にとどめておきます。
でもこれ以上続くようなら即刻法的手続きをとるわ。
わたしはあなたの住所も会社も知ってるのよ。
僕だって知ってるよ。
ハハハハハハ。
とにかく警告しましたから。
ブッ。
先生。
何度も電話したんですよ。
すいません。
ちょっと忙しかったもので。
本当に会って聞いたんですか?はい。
あぁ離婚の意志は固いようです。
(千里)おかしいじゃないですか?向こうから頭下げるのが筋でしょ?とにかくこちらはどうしたいのか決めましょう。
じゃないと前に進みません。
離婚ってことですか?それは黒澤さんが決めることです。
でも現実問題子供もできてるしご主人の…。
先生は向こうの味方なんですか?そんなバカなことあるわけないじゃないですか。
奥さん。
落ち着いて落ち着いて。
ではご主人の気持ちが変わるまで待つんですか?そんな。
わたしを裏切ったんですよ。
ですからどうするんです?離婚を前提とするのかしないのか。
それは…。
わたしが言えるのはここまでです。
何度も申してますようにあとは黒澤さんがじっくり考え結論を出していただかないと。
(香織)失礼します。
先生。
『報道2004』の矢口さんからお電話です。
すいません。
次の打ち合わせがありますんで。
はいお電話代わりました。
間宮です。
ああ先日はどうも。
はい。
(奈津子)あの『報道2004』!出るんですか?おかげさまでやっと来たわ。
(山岡)やったな。
(奈津子)今度は渉外弁護士として出るんでしょ?すごいな。
あの番組は企業の重役連中はみんな見てるぞ。
ふーん。
(山岡)いいのか?いいの。
お酒ぐらいゆっくり飲ませてって言うの。
ホントここんとこいいことと悪いことが次々に。
悪いこと?
(岩尾)僕だって知ってるよ。
あなたの住所だって電話番号だって
(山岡)何かあるのか?別に。
ちょっと顔色悪いぞ。
働き過ぎかなアハハ。
大丈夫か?何が?いやほら有名人を狙ったストーカーとかよく問題になるじゃないか。
ああいうんじゃないだろうな?バカ言わないで。
(山岡)女性の1人暮らしは何かと物騒だっていうからさ。
大丈夫。
家にはジョージがいるから。
ジョッ…ジョージ?さあごちそうさま。
疲れてるからお先。
(山岡)えっ。
(奈津子)ありがとうございます。
ジョージって彼氏いたの?あいつ。
・何これ?
(メールの着信音)あっ!・
(ドアチャイム)
(寿司屋)「お待たせしました。
みどり寿司です」
(電話の不通音)北区王子町までお願いします。
(ノック)あなた!いいかげんに…。
あっ。
何だよ?
(女)誰?誠君?ああ。
誠君にもちょっと分かんないな。
ごめんなさい。
・
(物音)あなた…。
どうして?
(すすり泣き)
(紀三郎)大変でしたね。
すいません。
こんな時間に呼び出したりして。
いやいや。
わたしは独り暮らしですから。
どうぞ。
ありがとうございます。
妻が亡くなって6年になりますがねいちばん変わったことはこの茶を飲まなくなったことですな。
たわいもないことをあれこれしゃべりながらよく茶を飲んだもんです。
この話を聞いてくれる相手がいないってのはつらいもんでね。
彼女もそうだったんじゃないですかね。
ちょっとしたことでも誰かに話を聞いてもらうことで気が落ち着くってことがあります。
しかも離婚の相談に来る依頼人ってのは精神的に不安定です。
わらにもすがりたい思いで弁護士のところへ来る人がほとんどなんじゃないでしょうかね?わたしは…。
いやもちろん弁護士だって1人を相手にしてるわけじゃない。
多忙の身です。
しかしこの依頼人てのも実に身勝手なもんで自分一人を見ていてもらいたいんですな。
しかも交渉がうまくいかなきゃ弁護士のせいにする。
いやあ逆恨みだってしかねませんよ。
わたしは依頼されたことはきちんと…。
そうです。
依頼人の態度がはっきりしないんだから弁護士だって動きようがありませんよ。
これ正論です。
しかしこの正論ってのがまたますます相手を傷つけるんですな。
わたしが彼女をここまで?でもわたしも彼女の力になりたいと。
そう!そうそうそうそれですよ。
それさえ相手に通じればオッケーなんですがね。
(大介)あの…。
先生ちゃんと仕事してましたよ。
あっそうだ。
よいしょ。
(大介)これ見てください。
これは1件の依頼につき何時間働いたかというタイムシートです。
この赤いところ「黒澤」と書いてあるでしょ。
これは黒澤さんの面会や調査調べもので使った時間です。
先生今マスコミに出だして忙しいのにこれだけの時間使ってるんですよ。
ほらこの週なんて2日徹夜。
ああ見えて一生懸命やってるんです。
先生はいいかげんな仕事だけは絶対しませんよ。
それはもう僕が保証します。
・
(ドアの開く音)
(香織)はい。
ただいま。
(香織)はいすいません。
あっ…。
(香織)先生。
『報道2004』の矢口さんから「打ち合わせどうなってるんだ」ってお電話です。
朝から何度も。
怒ってますよ。
はい。
・
(矢口)何度も連絡したんですよ。
留守電入れても電話ないし。
ちゃんと打ち合わせできないと番組出せないよ!『報道2004』がどういう番組か分かってんの!?えっもしもし!聞いてる?すいません。
・
(矢口)すいませんじゃないよ。
こっちはもっと大事な打ち合わせなんで。
・
(矢口)特集コーナーはその目玉なんだ!扱ってくれっていうオファーはね山ほど来てるし何ならほかのネタに変えてもいい…。
これで静かになった。
座って。
先生。
じっくり話を聞く覚悟がなければ離婚事件なんて引き受けてはいけないそれがプロとしての心構え。
それができていなかった。
その点は反省してます。
でも一つ言わせてください。
やっぱり決断するのはあなた自身。
ご主人の気持ちが戻るのを待つのか離婚という方法を選ぶのか。
それはあなたにしか決められない。
決断するまで迷いも不安もあると思います。
でも最後には自分の足で立って。
自分の足で立って初めて周りも支えられる。
そのときまでとことんつきあいますから。
はい。
あのこれ。
よろしくお願いします。
一緒に頑張りましょう。
(香織)はあ。
やっぱ先生にテレビは荷が重かったか。
そうか残念だなあ。
・
(柳田)あっおはよう。
(一同)おはようございます。
おいちょっと。
何…何ですか?ああの中継車とかは来てないの?中継車?うん。
ああ『報道2004』の?ああそうだ。
そう何か今日撮影とか何か言ってなかった?あああれ。
中止になったみたいです。
えっ!ええ。
ああそう。
あれっ?柳田さんこれもしかして勝負サスペンダー?
(紀三郎)チラッと見えたけど靴下も心なしか派手。
(大介)ひょっとして柳田さんテレビ写る気で。
いやあもう全然。
やだ〜。
(大介)いい年して。
(紀三郎)張り切っちゃって。
・『心の旅人』2014/09/10(水) 15:53〜16:48
関西テレビ1
離婚弁護士 #05[再][字]【天海祐希 玉山鉄二 ミムラ 佐々木蔵之介 津川雅彦ほか】
「対決!ストーカー」
詳細情報
番組内容
山岡(陣内孝則)の依頼で、女性誌の取材を受けることになった貴子(天海祐希)。しかし、目が半開き状態というヒドイ写真を使われた上、離婚やストーカー問題の専門家として紹介されてしまった貴子は、怒りを爆発させる——。
そんな折、雑誌を見たという女性が貴子の元にやってきた。それは、ストーカー被害に苦しんでいるという女性・千里(りょう)だった。
番組内容2
千里の依頼を簡単に解決した貴子だったが、なんと今度は貴子自身がストーカーのターゲットに!!イタズラ電話、郵便物荒らし、届けられる大量の出前、そして監視…果たして犯人は誰なのか?そしてその目的とは?
ゲストにりょうを迎えて送る衝撃の第5話!!
出演者
天海祐希
玉山鉄二
ミムラ
佐々木蔵之介
久我陽子
陣内孝則(特別出演)
津川雅彦
5話ゲスト
りょう
デビット伊東
デーブ・スペクター ほか
原作・脚本
【脚本】
田渕久美子
林宏司
監督・演出
【演出】
光野道夫
田島大輔
【プロデュース】
長部聡介
瀧山麻土香
音楽
井上鑑
【主題歌】
「心の旅人」hitomi
【挿入歌】
「ホワット・アム・アイ・トゥ・ユー」N・ジョーンズ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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