（礼央）僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
「それ」とはゆがみのない真理。
明快で合理的な思考。
考えを伝えるための強力な武器。
今こそ手に入れよう。
…ってこのやり取りくどくない？
（杏奈）カット！
（カチンコの音）もう〜礼央！この映画は感情がテーマなの。
だからここでくどいくらいに言い合わないとその重要性が表せないの。
そうだったの？アンドロイドが売りの物語だと思ってた。
勝手に決めないで。
（マリー）う〜ん…そろそろタイトルを決めるべきじゃない？タイトルが決まってないからこういう問題が起きる気がする。
（マリー）第５話。
それではタイトルを決めましょう！あれっマリーが議長？そうよ。
私部長だもの。
じゃあ杏奈から。
「機械の感情」ってどう？僕は「アンドロイドの涙」がいい。
私は「こころの国のアリスとテレス」がいいな。
う〜んやっぱり「機械の感情」が一番いいと思う。
えっ「アンドロイドの涙」の方がよくない？
（せきばらい）あの〜私部長なので「こころの国のアリスとテレス」でいかせて頂きたく…。
信じられない。
「機械の感情」で決まりでしょ。
そんな事ないよ。
（溝口）みんなどうしたの？子供みたいに言い合って。
あなたたちが今行ったのは水掛け論よ。
（３人）水掛け論？そう。
そしてさっき撮っていたあのシーンも水掛け論。
水掛け論とは何か。
早速検証してみましょう。
平行線か…。
そう。
イメージとしてはこんな感じ。
ロールキャメラ！レディー…アクション！カット！こんな事をやっていたら永遠に結論にたどりつかない。
あっ！何でそう考えるのか理由を言えばいいんじゃない？私が演じてるアリスは感情は必要だって思っている。
その理由は？…かな。
杏奈どうしたの？ふに落ちないようね。
う〜ん…。
理由を言うだけだとまだ何か足りない気がする。
そうかしら。
一度理由を入れてやってみたらどう？カット！やっぱり駄目。
杏奈どうしてそうなったと思う？なぜって…。
理由を言っても言わなくても２人が違う意見を持っている事に変わりはないわ。
そうかな。
感情がなぜ必要なのかって理由を説明する事で議論が始まってる気がするんだけど。
だけど今のままだとお互いに相手の理由を受け入れず自分の理由を言ってるだけじゃない？だったら相手の理由に対しても意見を言えばいいんじゃないかな。
そう。
いいところに気が付いたわね礼央。
…とアリスがテレスに対して尋ねるとか。
ああそのせりふで相手にクローズアップした感じになった。
…と意見を付け加える？いいわね。
これで議論が深まる。
ロールキャメラ！レディー…アクション！うん？あれ？カット！
（カチンコの音）う〜ん…感情が必要なのかどうかどっちが正しいのかまだ私には決めきれない。
杏奈水掛け論から脱したからといってすぐに答えを出す必要はないの。
こうして議論しながら考えを深める事が大事なのよ。
水掛け論から脱するためには…そして……っていう事よね？あっそうだ。
議論といえば映画のタイトルを決めるの忘れてた。
はいは〜い！それじゃ部室に戻りましょう。
それではここからが本題。
まずなぜそれがいいのか理由を言わなくちゃ。
じゃあ僕から。
アンドロイドが主人公なのでまず「アンドロイド」を入れてそれからアンドロイドが感情を手に入れようとする物語だから感情の象徴として「涙」。
それで「アンドロイドの涙」。
はいはい！次は私。
えっと…私も「感情」は入れたいけど軟らかい言い方にして「こころ」。
それと２人の名前が「不思議の国のアリス」と哲学者のアリストテレスから来ているので２人の名前を入れました。
私もキーワードは「感情」だと思う。
そしてあえて冷たいイメージのする「機械」という言葉を選んで並べてみたの。
そうか。
意見がばらばらだと思ったけどみんな「アンドロイド」と「感情」の対比を考えてるんだ。
そしたら「アンドロイド」とそのまま言うのがいいのかより冷たい感じの「機械」にするのがいいのかそれとも登場人物の名前を使って「アリスとテレス」にするのがいいのか。
あとは「感情」と言うか軟らかくして「こころ」にするかそれとも象徴的に「涙」と表現するか。
議論の始まりね。
また水掛け論にならないように注意しないとね。
そう。
水掛け論って意地を張り合うとすぐ始まっちゃう。
それが水掛け論にならないための方法なんだ。
もしかしてこれも？そう。
これも…「ロンリのちから」。
（アリス）ウサギさんウサギさん水掛け論といえば女王よね。
（ウサギ）そうだね。
あの人とは全く議論にならないよ。
何かと言えばすぐに「こやつの首をはねろ！」だもんね。
（ハートの女王）何か言ったかい？
（アリス）うわっ女王様。
お前たち私の悪口を言ってたね。
言ってません。
いいや言ってた。
こやつらの首をはねろ！言ってないのにどうして首をはねるんですか？お前たちの首がまだつながっておるからじゃ。
首がまだつながっているとどうしてはねないといけないの？お前たちの首ははねられるべきだからじゃ。
女王様理由と結論が同じになってますけど。
（アリスウサギ）うわ〜。
（チェシャ猫）理由と結論が同じ。
そういうのは循環論法っていうんだぞ。
循環論法だ。
循環だ。
堂々巡りだ。
循環だ。
女王様の論理は循環論法だ。
その首のない猫の首もはねてしまえ！ない首まではねたいなんて女王って本当にわがままね。
2014/08/15(金) 00:50〜01:00
ＮＨＫＥテレ１大阪
ロンリのちから「水かけ論・理由を言う」[字]
論理的思考力を養う番組です。毎回、簡単な例文を題材に、論理的に考えるとはどういうことかを学んでいきます。今回は「水かけ論」とそこからの脱却について学びます。
詳細情報
番組内容
「アンドロイドに感情は必要か」という問題をめぐって、「必要だ」「必要でない」と言い合いが始まる。その様子を見ていた溝口先生は、それは水かけ論」だと指摘する。今回は、議論を進めていくためには理由を挙げて意見を言うこと、そして相手の挙げた理由をきちんと検討することが大切であることを学ぶ。【出演】緒川たまき、大場はるか、山崎紘菜、植田慎一郎
出演者
【出演】緒川たまき，山崎紘菜，大場はるか，植田慎一郎
ジャンル :
趣味／教育 – 中学生・高校生
趣味／教育 – 生涯教育・資格
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:1681(0x0691)