きょうの健康 健康の要 腎臓!「慢性腎臓病を治す」 2014.09.10

(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今週はこちら…腎臓を守るためのポイントをお伝えしています。
今日のテーマはこちら…では早速お話を伺う方をご紹介します。
腎臓内科がご専門で特に慢性腎臓病の診療研究に積極的に取り組んでいらっしゃいます。
山縣さんどうぞよろしくお願いします。
まず今日のテーマ「慢性腎臓病を治す」という事ですがもう一度慢性腎臓病はどんな病気なのかおさらいして頂けますか?慢性腎臓病の患者さんは非常に多くて日本人の8人に1人は慢性腎臓病だといわれております。
早期には症状も全くなく知らず知らずのうちに進行して末期腎不全あるいはその結果として透析が必要になったりする事があります。
しかもこれは早く見つけて対処をすれば治るという事更には慢性腎臓病の結果動脈硬化が進むという事から心筋梗塞や脳卒中などの発症が多い事もよく知られております。
慢性腎臓病と診断されるとどんな対処治療が必要になってくるんでしょうか?まずはこちらのケースで見ていきましょう。
ご覧下さい。
50歳の男性Cさんです。
毎日残業続きの上接待などでお酒を飲む機会が多く運動不足もあり不摂生な生活が続いていました。
1年前の健康診断では…そして血圧は150/95と高かったんです。
尿検査の結果は尿たんぱくが1+。
そして血液検査からは腎臓の機能を示す糸球体ろ過量eGFRが70と分かりその後慢性腎臓病と診断されたんです。
山縣さん慢性腎臓病というのは尿検査と血液検査によって分かるという事でしたよね。
慢性腎臓病の診断には腎障害の代表としてたんぱく尿検査。
それと血清クレアチニンの検査を基に糸球体ろ過量を計算してこの2つで診断する事が可能になります。
Cさんの場合診断がついた当初は尿たんぱくが1+。
そして糸球体ろ過量は70という事でしたよね。
こちらの慢性腎臓病の程度を表す表で見てみましょう。
こちらの縦が糸球体ろ過量がどのくらいあるかという事です。
横が尿たんぱくの濃度を表しているんですがCさんは診断がついた時eGFR70。
尿たんぱくが1+だったという事でこちらとなります。
軽度の慢性腎臓病という事ですが山縣さんこの表を見ますと慢性腎臓病には軽度中度高度と分かれているんですがどの段階でも早く見つければ治療できる可能性はいかがなんでしょうか?慢性腎臓病の場合には先ほど申し上げたたんぱく尿を代表するような腎臓の障害。
あるいは腎臓の機能の低下。
これはeGFRが60未満。
こういうような状態が3か月以上続いた時に初めて慢性腎臓病と診断されます。
3か月以内に治ってしまうような急性のものを一応除外するという意味も含めて3か月後にもう一度確認をすると。
それで診断が可能になります。
尿たんぱくが出た場合はどうなんでしょうか?尿たんぱくが出た場合実際たんぱく尿の程度によって…。
実際にはたんぱく尿は結構状況によっては改善する事があります。
特にこれは原因にもよるんですが何でもという訳にはいきませんがある疾患によっては特に生活習慣のようなものの場合には治ってくる事が多い。
一方eGFR糸球体ろ過量なんですがこれに関しては60未満が悪いところに入る訳ですが一度低下してしまうとこの場合にはなかなか改善しないといわれるものであります。
ただこれ治療してこれ以上悪化させないようにすれば問題なく済む事も可能です。
悪化していくと腎不全になって人工透析が必要になってしまう訳ですからね。
Cさんに戻りますがその後はどうなったんでしょうか?それもこちらでご覧頂きましょう。
慢性腎臓病と診断されたあとすぐに治療を開始したCさん。
治療として行ったのは血圧を下げる薬の服用と食生活の見直しこれは塩分を1日5.8gに。
そして適正なエネルギー量を守って摂取しました。
そして運動は1日1万歩歩くように心がけたんです。
1年後Cさんは体重を70kgまで減らし肥満ではなくなりました。
頑張りましたね。
そして血圧も128/70まで下がったんです。
尿たんぱくは−になりeGFRは70と変わりませんでしたので慢性腎臓病が治ったという事になるんです。
1年で治す事ができたという事になる訳ですよね。
ただCさんは特別何かしたという感じではないですよね。
一見慢性腎臓病の治療らしくないような感じがしますがこのように生活習慣が関係するようなものに関してこれはそれぞれそういうものを改善する事によって腎臓の働きがよくなるあるいはたんぱく尿が消える事が十分期待できる。
特に肥満の解消であったり血圧を改善させた事それと適度な運動をする事によってもやはり…。
特に肥満を改善するとたんぱく尿が消失する場合もありますのでそういう効果があったのかもしれません。
その肥満それから血圧を下げるという事ですがこの治療の重要性をもう少し詳しく教えて頂けますか?結局はそれぞれ慢性腎臓病の悪化因子いわゆる発症のリスクというものがあるんですがこれが悪い生活習慣や肥満の結果起こる…それぞれ発症のリスクでもあり合わせて悪化の因子でもあると。
従ってこういうものによって動脈硬化が進んで腎臓そのものは実は血管の塊という事でそのまま腎臓の働きが落ちるあるいはたんぱく尿が出るような糸球体の症状が出てくるという事が起こってきます。
糖尿病が特に非常によくないという事なんですね?やはり糖尿病は動脈硬化を非常に進める事で有名ですからこういうような事が腎臓病を悪化させる要因として非常に重要なものになってきます。
そして慢性腎臓病は脳卒中心筋梗塞心不全という命に関わる病気にもつながるという事ですね。
結局は先ほど言った動脈硬化そういうものが当然ですが脳卒中や心筋梗塞等の原因にもなりますし先ほどのこれら腎臓病を悪化させるような因子。
これらもそれぞれ動脈硬化を進めてこれらの疾患の原因になって本当に悪循環を進める事になるかと思います。
いろんな事が絡み合って悪循環が進んでしまうという事ですよね。
ではCさんのような軽度の慢性腎臓病の治療のポイントをもう一度こちらで確認しておきましょう。
まずCさんの場合高血圧だった訳ですがほかにも糖尿病脂質異常症などの病気があった場合はそれをきちんと治療していきます。
そして生活習慣病がある場合は食事と運動も治療の柱となってきます。
まず食事では食塩制限そして適正エネルギー量を守って摂取していく事が大切です。
運動は医師と相談の上ウオーキングなどの無理のない範囲での有酸素運動。
それからタバコを吸っている人は禁煙。
これも大切になります。
山縣さん慢性腎臓病の場合血圧血糖値具体的にはどれぐらいを目標にすればいいんでしょうか?具体的な数字の目標がありまして糖尿病がある方に関しては血圧は130/80mmHg未満。
これは正常よりは若干低いところを目標にします。
それとHbA1Cは7%未満を目標にする。
更に悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールは120未満。
なかなか100未満というのは難しいんですが120未満を目標にします。
慢性腎臓病の人がこういった薬を使って今の目標値を達成していこうという場合ですが特別に注意が必要な事はありますか?例えば血圧が高い場合ですが降圧薬の中でも多少腎臓に負担のかかるような降圧薬もあるんですがこれがたんぱく尿を減らすには都合がよかったりするのでそういう薬を選択するとか糖尿病の場合にも今いろいろ新しい薬で低血糖の心配もなく飲み薬で血糖をコントロールできるような薬も増えてきました。
更には脂質異常症に関しても腎臓の保護をできるような脂質異常症の薬なんかも出てきていますのでこういう薬をうまく使ってあげる事も重要な事になってくると思います。
次に食事について伺いますが塩分制限それから適正なエネルギー量。
これが大切だという事ですがどういう意味があるんですか?食塩制限に関しては一応3gから6g未満エネルギーもやはり肥満を防ぐようなものが必要です。
特に食塩制限はやはり血圧を安定化するという事には非常に重要ですしそれ以外にも腎臓機能の障害の進行を防ぐにも塩分制限は有効な事だと思います。
そしてこちら運動ですね。
有酸素運動とありますが何となく腎臓を患っているとあんまり運動しちゃいけないという気もするんですがその辺りはいかがですか?重症の方はもちろん全ての方という訳ではないんですがお医者さんと相談の上適度な運動をする事は血圧のコントロールにもいい事がありますし肥満のある方にはいい事につながっていきますので相談をしながらやって頂ければという事になると思います。
タバコを吸われる方なんですがやはり禁煙は欠かせませんか?タバコはタバコを吸うという事だけでたんぱく尿が増えるあるいは腎臓の働きが低下する事が明らかにいわれております。
もちろん動脈硬化も進みますからやめるべきと言った方がいいと思います。
ここまでは軽度の慢性腎臓病の方の治療について見てきた訳ですが中等度高度になりますと特別な治療が必要になってくるんでしょうか?高度の場合には食塩制限や適正エネルギー量に加えて例えばたんぱく質。
これはたんぱく質そのもの特にたんぱく質が分解された窒素なんていうものが腎臓から主に排せつされるようになります。
従ってたんぱくのとり過ぎはとにかく腎臓に悪くてある程度の制限によって適正なたんぱく質量の摂取に変えた方が腎臓の保護につながるといわれております。
更にはカリウムについてですがこれも全ての人ではないですが腎臓からカリウムが排せつされるものですから腎臓の働きが悪くなって高カリウム血症になった場合検査の結果でカリウムが高い場合にはカリウムの制限が必要になってきます。
特に食事はたんぱく質それからカリウムというのが要注意という事ですね。
そして有酸素運動禁煙。
これは軽度の方と同じですが症状に対する薬というのがありますね。
やはり腎不全の特徴的な症状というか例えば貧血になるとかむくんでくるとかこういうものに対しては適切なそれぞれの治療薬がありますのでこれを行っていく必要があると思います。
そしてその結果なかなか治りにくいようないわゆる尿毒症の症状が出てきた場合には透析が必要になって透析を適切な時期にお受けになる必要が出てくるかと思います。
この慢性腎臓病はなかなか症状となって現れにくいという大きな特徴があるんですがここが落とし穴になっていてまず健康診断で尿検査あるいは血液検査で悪い数値が出た場合にはとにかく治療を始める事が大事になってくる訳ですよね。
ですから自覚症状がなかなか出にくいというところがありますからこれをやっぱり自己判断はせずに腎臓の働きが…なかなかこれは病院に行って調べる事によって初めて分かるというところなので検査の結果を先生に見てもらってあるいは相談しながら適切な治療を受ける事が悪化を防ぐには非常に重要になってくると思います。
今日は「慢性腎臓病を治す」というテーマなんですが適切な治療あるいは運動そして食事によって治したり改善していく事は可能だという事ですね?全ての腎疾患という訳にはいかないんですが特に生活習慣病が原因となるような疾患に関しては適切な生活習慣の改善とこれは先生と相談の上血圧の薬なり糖尿病の薬なり適切な投薬を受けそして自己判断はせずに「しっかり食事を守ったから治った」なんて勝手には思わずに治療を続けていく事が非常に重要です。
ひとまず検査がよくなったとしてもそれで大丈夫だとは思わずに治療を続けていく事が重要です。
病気が進行してしまう前に治療というのが大事だという事ですね。
どうもありがとうございました。
2014/09/10(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 健康の要 腎臓!「慢性腎臓病を治す」[解][字]

慢性腎臓病は腎臓の働きの低下が悪くない初期段階であれば完治も可能。治療の基本は生活習慣改善、高血圧など原因の病気の治療。進行すると食事制限や症状に対する薬も。

詳細情報
番組内容
腎臓の働きが悪くなる病気・慢性腎臓病。治療の目的は、進行を遅らせて日常生活の質を向上させること。しかし、腎臓の働きがそれほどひどくない初期段階であれば、完治も可能。特に、悪い生活習慣が原因で発症した場合には、その生活習慣の改善だけでもよくなることが多い。また、慢性腎臓病の原因となる高血圧・糖尿病・脂質異常症などの治療のほか、食塩制限や運動も大切。中等度・高度の人では、食事制限や症状に対する薬も。
出演者
【講師】筑波大学大学院教授…山縣邦弘,【キャスター】寺澤敏行,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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