シンガポールに行っていた醍醐が帰ってきました。
(花子)醍醐さん!帰っていらしたのね。
醍醐さん?どうしたの?
(醍醐)ごめんなさい…。
突然泣きだしたりしてしまって…。
はなさんの顔見たら何だか安心して…。
醍醐さん…。
いつお帰りになってたの?少し前に。
昭南市は戦闘が終わっていたから安全だったわ。
結局戦地らしい戦地は見ずに帰ってきたの。
そうだったの…。
でも…戦争とはどういうものなのか少し分かった気がするわ。
死って遠くにあると思っていたけれどすぐ隣にあるものなのね。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」すいません。
梶原さんせっかくいらして頂いたのにおさ湯しかお出しできなくて…。
(梶原)いやいや!うちも食糧事情は一緒だ。
紅茶なんか出てきたらそれこそ驚くよ。
それで今日はどうなさったんですか?聡文堂を休業する事にしたんだ。
随分粘ってはきたんだがいよいよ立ち行かなくなってしまってね。
そうですか…。
もちろんまた再開するつもりだ。
再開した暁はまた原稿をお願いします。
はい是非。
英治さんも青凜社を再開するつもりですから印刷の方も是非お願いします。
よろしく頼むよ。
あの…醍醐さんとはお会いになりましたか?そういえば日本に帰ってきたようだね。
連絡あった?ええ。
先日いらして…。
じゃあ何か話を聞いたのか?あまり話したくないようでした。
そう…。
あんなに明るかった醍醐さんから表情がなくなっていて…向こうで何があったんでしょう…。
ご家族から伺っただけなんだが帰りの船で随分怖い思いをしたらしい。
えっ…。
醍醐君が便乗していた船団がアメリカの潜水艦の魚雷攻撃でかなり沈められたらしいんだ。
沈んだ船の乗客は海に投げ出された。
だがいつ次の攻撃が来るか分からない状況でとても船を止めて救う事はできない。
海に漂いながら必死に助けを求める人々を見捨てて逃げるしかなかったらしい。
醍醐君帰国してから部屋に閉じ籠もってしまって誰とも会おうとしないそうだ。
醍醐から笑顔を奪ってしまうほどの戦争の悲惨さを花子も初めて身近に感じたのでした。
これ食べられるかしら…。
(吉平)はな!てっ!おとう!いらっしゃい!
(美里)おじぃやん!おお美里直子。
グッドアフタヌーン。
おとう声が大きい。
あっ?
(直子)グッドアフタヌーン。
おじぃやん。
直子ちゃん英語は使っちゃ駄目。
ん?おとうとにかくよく来てくれたね。
ああ。
おおえらく立派な畑作ったじゃん。
草取りけ?精が出るな。
あ…ううん違うの。
今夜のおつゆの具を探してて。
てっ!話には聞いてたけんど東京はほんなに食うもんに困ってるだか。
うん…配給の量も減ってきてしまって…。
ほれじゃあやっぱし持ってきてよかったじゃん。
よいしょ。
ふう。
ほれ米じゃん。
てっ…。
ほれ。
ほれ。
ほれほれ。
(直子)白いお米だ!うわ〜!こんなにたくさん…。
ほれ。
みそじゃん。
てっ!ほれほれほれ。
(吉平)かよ!
(かよ)おとう!
(英治)どうも。
(かよ)お義兄さんお姉やんいらっしゃい。
(もも)おとう!いつ東京に来たの?おおもも!今日の昼にな。
そう。
おお2人とも元気そうじゃんけ!おかげさまでなんとかやってる。
甲府は変わりない?おかあは元気にしてる?あっちはみんな元気だ。
(小声で)おとうがねお米とみそを持ってきてくれたの。
これはかよさんの分。
てっ!こんなにもらっていいの?遠慮なんしなんでいい。
(小声で)ほれからこっちはうちで造ったブドウ酒じゃん。
えっ…おとうブドウ酒なんて造り始めたの?声がでけえ!かよさんごちそうさん。
ありがとうございました。
(軍人たち)ごちそうさま!
(もも)ありがとうございました。
かよ!コップくりょう!このブドウ酒英治君にも飲んでもれえてえだ。
おとう…そのブドウ酒本当に飲めるの?バカにしてもらっちゃ困る。
徳丸んとこにゃあ負けんだぞ。
それは楽しみです。
いいけ?かよ。
ブドウ酒あんな軍人なんぞに出すんじゃねえぞ。
えっ?何で?あいつら甲州のブドウ酒根こそぎ持ってってどうせ夜な夜な宴会でもやってるずら!そんな事…。
軍人さんに失礼だよ。
お国のために働いて下さってるのに。
ほりゃあ俺たちも一緒じゃん。
おとうは何も分かってない!かよ…おまんどうしたでえ?2人とも落ち着いて。
さあお義父さん飲みましょう。
(もも)おとう。
(英治)お義父さん。
頂きます。
うん!これはうまいですね。
ほうずら?ええ。
ああそうそう。
今日はかよとももに相談があって来たの。
相談?おとうがね甲府に疎開してこないかって。
甲府には食いもんはある。
東京から疎開してきてる人らもいる。
食べ盛りのボコのためにもみんなで甲府に疎開してこうし。
それで…美里を甲府で預かってもらおうと思うの。
8月には生徒たちの集団疎開の計画もあるみたいだから。
そう…。
お姉やんはどうするの?私は東京に残るわ。
英治さんも仕事があって東京を離れる訳にはいかないしうちには大切な本もたくさんあるし。
かよはどうする?私は行かない。
何でだ?大した配給もねえに店やっていくのも苦しいら?私にとってこの店は命より大切なもんだ。
物不足で大変だけどなんとかやってく。
私は東京に残ってこの店を守る。
かよ…。
(セミの声)ごきげんよう!おじぃやんおばぁやん来たよ!おお〜!来たけ!
(ふじ)待ってただよ〜!美里と直子が安東家にやって来るのは初めてです。
さあさ上がれし上がれし。
さあ2人ともその前に。
(2人)はい!今日からお世話になります。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします!よろしくお願えします。
(リン)て〜っ!よ〜くできたボコたちじゃんけ!リンおばさん!朝市もいつの間に。
(朝市)美里ちゃん直子ちゃんよく来たじゃん。
2人の転校の手続きはもう済んでるだよ。
ありがとう。
朝市先生が学校にいてくれると思うと安心じゃん。
朝市先生よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
てっ!こちらこそよろしくお願いします。
て〜っ!よ〜くできたボコたちじゃんねえ。
ほりゃあ俺の孫たちだから当たり前じゃん。
また始まっとう。
(笑い声)上がれし上がれし。
(武)ごめんなって。
武!徳丸さんもご無沙汰しております。
(徳丸)おう。
疎開してきただけ。
東京はえらく大変みてえじゃんな。
ええ…。
徳丸さんまた何の用でえ?今日はおまんとこのブドウ酒全部引き取りぃ来ただ。
隠してるブドウ酒全部出しちゃあ。
てっ!何で知ってるだ。
(徳丸)軍に供出しろ!てっ…。
敵の潜水艦を探す機械を作るのにブドウ酒の成分が必要なんだと。
てっ!ブドウ酒で潜水艦を探すだと?てっ。
ブドウ酒はそんな使いみちもあったんですね。
この非国民めが!ああ供出するのは当たり前じゃんけ!さっさと渡せ!渡せねえ!てっ…おとう…。
あんたまたほんなこん言って!さっさと出さんとおまんの息子の憲兵だって捕めえに来るかもしれんよ!決められた分は供出してるら。
残った分を自分で飲んでどこが悪いだ。
お国のためお国のためって俺もお国の中の一人じゃん!なにょう訳分からんこん言ってるだ!てっ!ああ…うめえ。
まだいっぺえ隠してるずら!ああ。
隠してるさ!ああ…うめえ。
やめちゃあ。
やめちゃあ!この2人の関係は戦時下でもちっとも変わりませんね。
ごきげんよう。
さようなら。
生字幕放送でお伝えしますおはようございます。
2014/09/10(水) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(141)「生きている証」[解][字][デ]
人が変わったような醍醐(高梨臨)に花子(吉高由里子)は言葉を失う。花子は別件で訪れた梶原(藤本隆宏)から、醍醐が帰国する船上で恐ろしい体験をしたという話を聞く…
詳細情報
番組内容
シンガポールから帰国し、花子(吉高由里子)を訪れた醍醐(高梨臨)は以前の明るさを失っており、戦争はむごいものだと言ったきり黙りこんでしまう。聡文堂の休業を報告に来た梶原(藤本隆宏)から、醍醐が帰国する船上で米国の魚雷攻撃に遭い、恐ろしい体験をしたという話を聞いた花子は、初めて戦争の悲惨さを身近に感じるのだった。そんなある日、吉平(伊原剛志)が村岡家を訪れる。花子たちに疎開を勧めに来たのだ…
出演者
【出演】吉高由里子,伊原剛志,室井滋,黒木華,窪田正孝,高梨臨,鈴木亮平,藤本隆宏,金井勇太,土屋太鳳,カンニング竹山,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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