〜
(熊沢刑事)あぁ水ってのはうまいもんだなぁ。
(一ノ瀬刑事)また飲みすぎたんでしょう。
ハハハうるせえ。
「友あり遠方より来る。
また…」青春時代をともにした仲間と酌み交わす酒はじつに実に味わい深いのである。
酒飲みってなんか理屈つけちゃ飲むんですよね。
ハハハまそれは言える。
(クラクション)
(クラクション)おい僚子ちゃん!
(急ブレーキ音)〜〜大丈夫ですか?怪我は…?大丈夫ですか?〜熊沢さん病院へ…。
〜ん。
〜記憶喪失…?
(人見医師)外傷もなく私の方に回されてきたんですが…。
で先生…記憶を失った原因は?心因性でしょうが…不可解なことが…。
何か…?おかしな時刻を繰り返して…。
おかしな時刻…?秋津香苗:25時…。
13分…。
その時刻がどうかしましたか?〜何か気になる事が〜あるんですね?〜〜25時…13分…。
〜人が…。
死んだ人が…。
死んだ。
うわごとのように呟いていました。
それはどういう心理から…?夢とか妄想の類なのかそれとも現実の事か…?彼女の中にこびりついている唯一ともいえる記憶ですがそれが何を意味するのか今の段階では何とも…。
〜先生よろしいでしょうか?
(人見)どうぞ。
人見先生からお話は…。
どこにも怪我がなくてなによりでしたね。
お名前は…?ご家族は…?ご家族は…?お名前は!熊沢さん。
何か困った事とか相談があったらいつでも遠慮なく連絡して。
ここに置いときますよ。
25時13分…。
その時刻に何か…?〜〜25時…。
〜〜13分…。
〜〜人が…。
〜〜死んだ…。
〜25時13分というと午前1時13分のことですけど普通そんな言い方しませんよね。
あぁ。
何らかのショック体験…強烈な出来事に遭遇した。
その時に脳裏に刻まれたものとも考えられるが…。
でも自分が誰か分からないってどんな気持なのか…。
きっとつらく苦しいことでしょうね。
(十文字課長)クマさ〜んクマさん!は〜い熊沢です。
何でしょうか?課長…。
あぁクマさん首吊り死体が発見された。
現場は小樽赤岩町5−26−5。
〜
(杉田刑事)五十川直也36歳です。
五十川直也?ここの住人です。
(パトカーのサイレン)
(丸岡刑事)熊沢さん…。
ん…。
あまり見かけない時計ですね。
25時…13分。
あ熊沢さん…。
あの記憶喪失の女性が…。
〜〜25時…13分…。
〜人が…。
死んだ〜《25時13分…〜人が死んだ…》〜
(パトカーのサイレン)
(谷垣刑事)熊沢さん。
よぉっ。
熊沢さん…。
ハハハ。
ご苦労さんです。
お〜い!道警の谷垣刑事だ。
(谷垣)6年前に亡くなった五十川水産の五十川宗太郎会長の息子さんですね。
道会議員も4期務めた五十川会長の次男で花園のレストランバー「サイコ屋」を経営してます。
第一発見者は?電気の定期検針員です。
すぐに110番通報。
入電時間は11時33分です。
首を縊った…ロープの跡。
縊死ですね。
ん…この踏み台を足場にしてこのロープを梁にかけ…。
足で踏み台を蹴って首を吊った。
その時の反動で踏み台が倒れたんでしょうね。
(吉野刑事)熊沢さん。
五十川直也さんのご家族です。
お母さんの泰江さん。
お兄さんの修介さん。
奥さんの志摩子さん。
あどうもこの度は…。
小樽中央署の熊沢です。
直也さんはこちらにお一人で住んでらしたんですか?
(修介)ええ。
親父がセカンドハウスとして建てたんですが財産分与で弟に…。
〜〜
(泰江)直也…。
(泣く声)〜〜直也…。
〜〜なんで…?〜じゃ弟さんは4年前に小樽に戻ってこられたんですか?でレストランバーを始めた。
それまでは?東京でクラブをやってましたけど結局うまくいかなくて…。
刑事さん…どうか弟のことは公には…。
(志摩子)主人にとっては今がいちばん大事な時なんです。
イメージダウンになるようなことは…どうかご配慮を!何とぞよろしくお願いします。
(谷垣)次の選挙に出るつもりなんですね。
ま蛙の子は蛙か…。
でどうなんだい?本部の居心地は。
とにかく次から次に事件で…体力勝負です。
道警本部が出張ってくるのは五十川宗太郎氏のご子息だから?そりゃ道議会の議長職まで務めたVIPだからね。
ちなみに熊沢さんと谷垣さんはどういう…?警視庁との合同捜査。
合同捜査…?谷垣刑事は以前警視庁にいたんだよ。
てことは谷垣さんは警視庁から道警へ…。
あぁやっぱり違うわねぇ。
え?違うってどういうことですか?センスよセンス…。
わあなによあなたのこのネクタイ。
(笑い声)〜まぁこういう時計があるとは聞いていたが…。
オーダーメードの懐中時計…。
五十川直也が骨董趣味の父親の所蔵品を形見分けでもらったもの。
25時13分…。
普通なら口にしない時刻でもこの懐中時計なら…。
同時刻にあの記憶喪失の女性が首吊り現場に居合わせた…ということでしょうね。
(十文字)しかしなぁ自分の名前も分からんとはねぇ。
よっぽどショックを受けてのことなんだろうが…。
検死報告です。
死因は頸部圧迫による窒息死。
死亡推定時刻は午前0時〜2時の間です。
この懐中時計だと24時〜26時。
やはり五十川直也の首吊り現場に居合わせた。
間違いないわね。
でも彼女はなぜ居合わせたのか五十川直也さんとの関係は…?課長死因に不審な点はありませんが…。
ん…谷垣君。
どうやら本部の出番はなさそうだな。
いやぁ出番がないにこしたことはありません。
はいどうも。
ちょっと待ってください!あの記憶喪失の女性は…?あぁ?あのままほっとけとでも?えっ?あのままじゃ…。
何かケアが必要じゃありませんか?ケア…?それは医者の仕事。
我々は刑事。
杉田君!あんた私に説教するつもり?まあまあ僚子ちゃん。
ねえ課長。
せめて身元の特定だけでも我々でやってやりましょうよ。
おいおいクマさん。
仕事が…。
五十川直也の自殺を裏付けるためにも彼女の供述は必要ですよ。
そりゃまぁそうだけど…。
うん。
まぁごらんのとおり相変わらず粘りのクマさんだよ。
課長もお変わりなく…。
いや若返ったんじゃないですか。
私若返った?そんな事ねえよ。
そう?アハハ。
〜〜25時13分…。
(雪子)そう…クマさんの後輩?でも仕事は一度だけです。
あら一度だけ?たった一度でもあの時の体験は…。
熊沢さんと出会えて自分は貴重な体験を…。
ハハハな〜に。
そうかあれからもう5年か。
早いなあ。
でもあの時のお前のことはよ〜く今でも覚えてるよ。
「人生は出会いと別れ…。
いい出会いは誰にでも訪れる。
がしかしいい別れはめったに訪れない」…クマさんの口癖。
よしなさいよユキちゃん。
谷垣さん。
こう見えてもクマさんロマンチストで寂しがり屋なのよ。
それは十分に。
先輩どうなんですか?いい女性いるんじゃないですか?おいおい。
どうなの?もういるのかしら?えっ?…いやいやそんな…。
じゃあ私立候補しちゃおうかなぁ。
石狩挽歌〜「海猫が鳴くからニシンが来ると」「赤い筒袖のやん衆がさわぐ」「雪に埋もれた番屋の隅で…」やっぱり人生には伴侶が必要なのよ。
最近私もつくづく…あら?〜「今じゃ浜辺で」「オンボロロオンボロボロロ…」
(信号機の音)マルさん…レストランバーサイコ屋は共同経営なんですね。
五十川直也が店を開いたのは4年前。
大沢和男との共同出資だな。
大沢和男…。
店の経営はうまくいってない。
借金もあったようだからそのへんが自殺の原因じゃないか…。
あっここここ。
〜
(大沢)自殺?自殺ねえ…。
ハハハ自殺なんてなあ。
大沢さん…五十川直也さんとの共同経営はどういう経緯で…?あいつとは高校時代からのつきあいで東京に店を出す時も誘われたけど自信がもてなくて…そうしたら。
東京のクラブは経営が困難になったのね。
直也が小樽に戻ってきた時期に俺がこの店の計画をしててね。
じゃ一緒にということになって。
あいつの家系なら信用力が違うから。
信用力つまり融資を受けるのにもってこいだった。
親の七光りで。
世の中そういうもんでしょう。
借金ずいぶんあったとか。
借金も勲章のうち…。
世の中そういうもんですよ!直也はそうは思ってなかったが。
俺と違って育ちが良すぎたからな。
この女性ですが。
あぁ…。
ご存じなんですね?うちの…秋津だけど…。
アキツさん…。
ここにお勤めで?お住まいは?ご家族は?五十川さんとは?おい落ち着け!えっ?彼女が何か…。
五十川直也さんとの関係を詳しく…。
〜
(人見)昨日は〜よく眠れましたか?〜〜気分はどうです?〜秋津香苗…。
(一ノ瀬)五十川直也さんのレストランバーで働いていました。
東京のクラブ時代からの関係です。
当時から店の経理を担当していたようでレストランバーでもその仕事に就いていました。
4年前に五十川直也さんと一緒にこの小樽に来てますから恋人関係にあったんでは…。
恋人…。
PTSD…。
心的外傷後ストレス障害です。
記憶を失った原因はやはり心の中の問題なんですね。
脳のスキャナーでも異常は見つかりませんでした。
精神的ショックからの記憶喪失でしょうね。
精神的ショック…。
強烈な出来事とか極度のプレッシャーとか外圧に遭遇した場合の自己防衛の一種ともいえます。
人間の記憶中枢というのは実に不可思議な領域ですから。
先生…何かのきっかけで記憶は戻るんでしょうか?予測はできませんがその可能性は十分あります。
秋津香苗…。
これが君の名前なんだ。
秋津香苗…。
あなたは花園のレストランバーサイコ屋に勤めてたんですよ。
五十川直也さんが経営していたお店で直也さんとは恋人だったんですか?ご家族は?お母さんは?お父さんは?思い出せないんですね。
はい…。
でも焦ることないわ。
時間をかけて少しずつ…。
香苗さん…あなたの記憶はきっと戻してみせる。
住所は小樽市相生アメニティ202です。
生活に支障はない。
退院の許可も下りました。
ん…。
会わせてみよう。
五十川直也とですか?でも大丈夫でしょうか?避けて通れないことだ。
しかし…。
自分がどこの誰かも分からない。
生まれた環境も生い立ちも家族も分からないままだとしたらそのほうがもっとつらいんじゃないか。
(救急車のサイレン)分かりますね?誰だか…。
直也さん…。
あなたは何を見たのか…?2本の足…。
垂れ下がっていた…。
あなたが見たときの状況は…直也さんを訪ねて行って偶然見てしまったのか…あるいは何か…。
ううっ…。
うっ…うっ…。
ううっ…。
熊沢さん…。
(香苗のあえぐ声)鑑識の写真と同じです。
分かってるよ。
25時13分…。
25時…。
13分…。
あなたの中にこびりついたこの時計の時刻。
五十川直也さんはここにぶらさがっていました。
物音がして…。
何かが倒れるような音…。
(倒れる音)この音でしたか?はい。
ここを訪ねて来て死体を見てしまった。
止める間もなかったんですね?この懐中時計が壊れたのは?ここで…踏んだ。
その瞬間…停止した針。
25時13分だった。
(十文字)秋津香苗が見ていた…。
五十川直也の首吊りの瞬間を目撃してます。
彼女にとってはこれ以上もない悪夢のような体験だった。
だから記憶を閉じるという防衛本能が働いた…。
しかしよく記憶が戻ったもんですよね。
記憶の糸口はこの懐中時計だ。
なんと彼女の足が踏んでたんです。
まさに恋人が首を吊った瞬間の時刻。
頭の中が真っ白になってその魔の時刻だけが刻まれたんでしょうね…。
魔の時刻…たしかにそうかもな。
レストランバーの経営に行き詰まってた。
自殺の動機。
それに目撃証言。
課長…これで決まりです。
よしっ本部の谷垣君に報告…。
《25時13分人が死んだ》ママ…。
あ…クマさんいらっしゃい。
あっあ〜あ〜っ。
危なっかしいな。
何やってんだユキちゃん…。
代わるよ。
ありがとう。
フィルターも落としちゃって…。
こうか…。
やっぱり男手が必要よね〜。
そんな大それたことじゃありませんよ…。
あららら…大丈夫?あ〜あ〜熊沢さんっ…。
そういう関係だったんですか…?何言ってんの。
ビッグニュースがあるかもよ。
ビッグニュース?クマさんの再婚。
クマさん…どうしたの?どうしたの?クマさん。
熊沢さんこの踏み台がどうかしました?ん…。
熊沢さん…。
お〜わるいねシマちゃん。
(島崎)いやいや気にしないでくださいよ。
この天板と足掛けあたりだろうな…。
分かりました。
島崎さんそのレンズは?紫外線のみを透過する特殊なレンズだよ。
波長の短い紫外線は肉眼では見えないものを写し出すんですよ。
じゃいくよ。
(シャッター音)シマちゃん…この辺りも徹底的に撮っといて。
分かりました。
(島崎)紫外線撮影による踏み台の足紋です。
違うな…。
靴底の溝…紋様がある。
靴底の溝?どういうことですか?熊沢さん…。
五十川直也は靴なんかはいてなかった。
靴下のまんまだ。
こうした靴底の溝はつかない。
そうです。
この人物の足は靴足。
そう判断できます。
推定サイズは26〜27cmです。
26〜27cm。
靴下の足じゃなくて靴の足。
五十川直也が踏み台にのぼっていれば靴下の足紋がつくはずだ。
しかし五十川の靴下の足紋はない。
この足紋は別人ということだ。
別人?首吊りは自殺だと思われがちだ。
そこをついて巧みに偽装した…そういうことですか?首吊り偽装自殺…。
驚いたな〜ごくごく普通の首吊り自殺と思ったが…。
まさかこんなことに…。
ちょちょっと待ってください。
秋津香苗の供述は?
(一ノ瀬)あの部屋を訪ねて首を吊るところを見てしまった。
(十文字)確かにおかしいな〜。
25時13分つまり午前1時13分に首吊り現場に居合わせたとしてその後の行動も不自然じゃないか?熊沢さんと私が海岸通りで出くわしたのが9時36分です。
その間の約8時間秋津香苗はどこで何をしていたのかだが…。
ショック状態でさまよい続けたっていうのもちょっとなあ〜。
あの女がやったんでは?だからあのとき。
落ち着けっ。
女の力じゃまず無理だ。
第三の男か…。
この靴の足紋の人物がいったい何者なのか?あの秋津香苗がなんであんな供述をしたのか…。
偽証…。
まさかあの秋津香苗が…とてもそんなふうには。
熊沢さん…。
秋津香苗の経歴です。
出身は虻田郡ニセコ町。
ニセコ町…。
ニセコ南高校から小樽経済大学の商学部に進学。
そこを2年で中退。
22歳の時に上京。
アパレルメーカーに就職する一方夜は五十川直也のクラブに勤めていました。
よし…分かった。
ニセコ署に詳しい身元照会だ。
熊沢さん五十川直也の生命保険ですが…。
契約は北海道生命。
死亡時の給付金は1億7,000万円。
1億7,000万円?受取人は?五十川直也と大沢和男が共同経営してる会社名義です。
レストランバーは客足が減って経営難…。
で大沢はかなりの遊び人です。
麻雀にポーカークラブ通いの常連。
それにかなりの額の借金もあるようです。
1億7,000万円の生命保険。
受取人が会社名義ということは実質的にはあの大沢のものです。
あの大沢和男は秋津香苗とデキてて2人が共謀した…。
大沢和男が手に入れるのは1億7,000万円の保険金と女。
大沢さん…。
ちょっとお話を。
五十川直也さんの生命保険なんですが死亡給付額は1億7,000万円で受取人は会社なんですね…。
だから…だから何だと?事実かどうかの確認を。
(笑い声)正直…直也の保険金は天からの恵みですよ。
しかし私は何も。
潔白です。
2度とこんなことはやめてください失敬だ。
大沢さん…。
まだ何か?ちょっと失礼。
どうも。
熊沢さん…。
吉野…お前の靴のサイズは?26.5cmです。
ちょっと出してみろ。
26〜27cm。
あの踏み台の足紋に一致します。
吉野…大沢和男の事件当夜の行動を洗えっ。
分かりました。
香苗さんあなたにとってつらいことでしょうけど五十川直也さんの死体を発見した時のことをもう一度詳しく…。
なんであそこを訪ねたんですか?深夜のあんな時間になんで…。
恋人だったんですか?ご家族は?ご両親は?生い立ちは?思い出せないんですか?人見:患者が本当に記憶を失っているかどうかは脳のスキャナーでも診断でも分からないでしょうね。
患者自身が記憶を失っている素振りを見せたとしたら一応はそのような判断をくだすよりほかは…で…どうだった?実家は町内の七瀬旅館ですがバブル期の投資が裏目に出て廃業に追い込まれています。
両親は?父親の研作は廃業の年に母親の昭代はその翌年に相次いで他界…。
娘の香苗はしばらく伯母の家に身を寄せていたようです。
マルさん…伯母さんて?町内網浜の小村絹代だ。
しかしなんだって記憶喪失なんか…。
なにかしらの秘密。
重大な秘密があってのことだろうが…。
重大な秘密?香苗の過去を洗おう…。
了解。
小村さん小樽中央署の熊沢と申しますが秋津香苗さんのことで…。
小村さんの姪御さんにあたるんですね?
(絹代)香苗の母親の昭代は私の妹ですから。
ご両親が亡くなられてからはこちらで暮らしてたんですね?ええ。
香苗さんの家庭環境について話してもらえませんか?東京と小樽ではどんな生活をされていたんでしょうか?小村さん!何もお話することはございません。
お仕事中すみません。
(知美)いいえ。
早速ですが秋津香苗さんとは高校大学と一緒でしたね…。
はい。
小樽経済大学の商学部に。
香苗さんは中退ですけど経済的な理由からですか?実家の倒産でとても大学どころじゃないって香苗は自分からやめて就職したんです。
香苗さんの家族関係や友人関係で何か変わったことありません?そういえば…。
何か?香苗から血液型のことを聞かれたことがあったけど。
血液型?そう…たしかA型とO型からはB型は生まれる訳ないよねって…。
は?丸岡さん…。
実子?昭和48年4月8日生まれ。
父研作母昭代の長女…。
戸籍にきちんと記載されてますから間違いありません。
収穫なしですね。
あ〜い俺だ。
町立ニセコ総合病院で確認しました。
父親の秋津研作は…。
父親の秋津研作はA型。
母親の秋津昭代はO型。
娘の秋津香苗はB型。
つまり香苗は実子じゃありません。
実子じゃない…。
えっ?でも戸籍には実子って。
どういうこと…熊沢さん。
もう1度小村さんだ。
香苗さんの出生には何か事情があるんですね?香苗さんはご両親の実子じゃありませんよね。
でも戸籍上では実子になってます。
どんな事情があったのか…話してもらえませんか?小村さん…大丈夫秘密は守ります。
決して他言はしない。
約束します。
妹の昭代にはなかなか子供ができなくて。
どうしても子供が欲しくてね〜。
それで私が隣り町の倶知安の先生を紹介して。
産婦人科の先生ですね…。
その先生の斡旋で赤ちゃんを…。
中絶に批判的な先生でしたから。
その先生の斡旋で香苗さんをもらいうけたんですね?もう30年以上も前の話です。
先生はとっくに亡くなりました。
香苗さんの実のお母さんは?それは聞かないことが条件でした。
でもそっくりの赤ちゃんが…。
そっくり?双子で…。
双子…。
香苗ちゃんはその姉のほうでした。
姉…妹さんは?東京の泉原家に。
泉原家…。
名前は泉原…?沙代さんです。
泉原沙代…。
でそのことは香苗さん本人は知っているんですか?妹の昭代からは絶対に言うなと…。
でも…昭代の納骨の日に…。
双子の妹の存在を話したんですね?なぜ打ち明けてしまったのか…。
打ち明けたばっかりに香苗ちゃん随分苦しんで…。
どういうことでしょうか?双子の妹が…恐ろしいことを…。
恐ろしいこと?いったいなにが?何があったんですか?罪を犯してしまったんです。
罪を…。
罪…どんな罪?泉原沙代。
罪状は殺人です。
殺人…。
なにっ?管轄は警視庁滝野川東署。
被害者は羽山丈彦30歳…。
羽山丈彦…泉原沙代との関係は?愛人と思われます。
愛人殺し…。
あらららら。
で泉原沙代の刑期は?それが…被疑者死亡扱いです。
死んでる…。
死亡日時は4年前の10月16日。
しかも投身自殺です。
(丸岡)投身自殺?あの秋津香苗に双子の妹がいた。
しかも戸籍上には存在しない。
その妹がなんと殺人犯。
秋津香苗の秘密って…このことなんじゃ?熊沢さん…。
クマさん…何考えてる?秋津香苗…。
泉原沙代…。
双子の姉妹…。
きしぼじん…?昔は「きしもじん」と言ったもんだ。
へぇそうなんですか。
熊沢さんここですね。
いずみはら…。
(泉原)お帰りください。
お帰りください!突然お邪魔して非礼はおわびします。
娘さんのことでどうしても確かめたいことがあるんです。
私には娘はおらん!そんな…沙代さんはれっきとした娘さんではありませんか。
あんなのは娘でも何でもない!そういう言い方ってないんじゃ…。
泉原さん実は自分にも娘がおりましてね…一人娘です。
これがまたどうしようもない男とくっついちゃってほとほと往生してますよ。
しかしいくらできの悪い娘でも親子の縁だけは切っても切れない…。
どこの親も…悩みは尽きませんよね…。
どうか娘さんのことを話していただけませんか…?沙代には苦労させられました。
寿命が縮む思いで…。
あんた方には分からんことです。
娘さんといっても血のつながりはなかった。
倶知安の産科医の斡旋でしたね。
その出生の秘密を沙代さんは知っていたんですね。
それが原因だったのかことごとく母親に反抗してとうとう家出した。
家出…?あげくの果てに男に騙されて…。
その男性を殺めてしまったんですね。
そこまでご存じなら何もきくことないでしょうが。
沙代さんがお亡くなりになった原因なんですが…。
ビルの屋上から飛び降りたんだ!身投げ…。
やはり投身自殺。
娘さんの遺品ですか?これだけは一応とっておきました。
拝見させていただきます。
僚子ちゃん!あっ!これって…。
右が…秋津香苗さん…口紅の濃い左が泉原沙代さん…でしょうね。
この秋津香苗さんのことはご存じだったんですか?いいえ。
娘さんが双子だったことは…?それは聞いておりましたが生涯会わないという約束でした。
実は内緒で会っていたんですね。
うん…。
僚子ちゃん滝野川東署に行ってみよう。
ですからどなたが担当だったのか…なんで答えてくれないんですか?
(水沼刑事)だから忙しいんだ!お名前だけでも…。
忙しいんだ!忙しい忙しいって…。
お忙しいようだから手短かに…担当者は…?ですから退職しまして…。
ですからその退職した方のお名前は…?そうあれはトクさんだったと…徳永さんだ!だからそのトクさんは今どちらに…?去年逝っちゃったよ。
肝臓をやられてね。
無類のウワバミだったからなぁ。
もう1人は…?単独捜査ってことはないはずですよ。
まさかその方も逝っちゃった?あいつはたしか道警に行ったと…。
道警…?道警のどなたです?谷垣弘です。
谷垣…。
熊沢さん…。
これです。
終わったら呼んでください。
イヤな感じ…。
被疑者泉原沙代。
被害者の羽山丈彦。
凶器に使われた果物ナイフですね。
投身自殺。
死因は頭蓋骨骨折と全身打撲。
被疑者死亡ということですね。
熊沢さんこの事件を谷垣さんが担当していたとは…。
谷垣さんが警視庁を辞め改めて道警に採用されたのは3年前ですよね。
でもなんで警視庁から道警に…?あいつの実家は留萌だ。
病気の母親がいてね。
介護のためだと言っていたが…。
結婚詐欺…?
(谷垣)泉原沙代は言葉巧みに男を騙して結婚詐欺を重ね男と組んで美人局もやってました。
そいつは羽山丈彦だな。
彼女の素顔は美貌を武器にして犯罪を重ねた悪女でした。
その一方愛する男には尽くす一途な女の素顔もあって結局はその男に裏切られ弄ばれていたんです。
羽山丈彦には妻子がいました。
男を手玉にとっていたはずが実は自分も手玉にとられていた。
それが原因で…。
ガイ者は羽山丈彦30歳。
胸部を数か所果物ナイフで刺され失血死でした。
果物ナイフの指紋部屋とドアの遺留指紋現場から立ち去る目撃証言などから泉原沙代の犯行と特定するのに時間は要しませんでした。
で指名手配の手続きをとったら…10日後…。
(シャッター音)
(谷垣)現場は取り壊し前の空きビル…。
その屋上から投身自殺を図りました。
追いつめられた果ての身投げ…27年の短い人生でしたけどある意味じゃ欲望のままに生きた波乱の人生といえます。
しかしあの泉原沙代に双子の姉がいたとは…。
戸籍にもそんな記載は…。
当時の泉原沙代の親からもなにも…。
先輩!今度の五十川直也の事件と何か…?まだハッキリとは見えてきてないが。
だが今度の事件の鍵はあの秋津香苗が握ってる。
それだけは間違いない。
そうか…そうか。
いいかげんにしろ!まだこの俺を疑ってるのか!?まあまあ落ち着いて大沢さん。
秋津香苗さんのこと正直に話してくれませんか?五十川直也さんとはどういう関係だったのか彼女とあなたとは実際はどうだったんですか?何をバカなこと…。
事件当夜の午前0時から2時までの間なんですが…。
だから自宅にいたと…何十回同じことを言わせるんだ!俺は潔白だ!これが何かお分かりですか?五十川直也さんの首を吊った男の靴跡です。
26.5cm…あなたの靴と一致するんですよ。
大沢!この靴…!弁護士…弁護士を呼べ!弁護士…!知ってるね。
泉原沙代…君の双子の妹だ。
妹さんが東京で起こした事件のこと話してくれませんか?妹さんのことはニセコの伯母さんから聞いて知っていた…しかもこうして会ってるんだ。
妹さんがアクセサリーケースにしまってたものだ。
妹さんにとっても君の存在は大きかったに違いない。
君にとってもとても大きなものだったはずだ。
10年前母が亡くなって…伯母に妹のことを聞き出して。
東京の妹に会いに行って…。
目の前に私と同じ顔の妹…。
一卵性双生児…同じ遺伝子を持つ妹…。
この体中に不思議なものが…もう1人の私がいるようで…。
離ればなれになっていた時間が一気に縮まったようで…。
気持まで明るくなって…夢のような時間でした…。
でもそれが一変して灰色に…。
妹さんが罪を犯していた…それを知ったからですね。
鏡を見るのが…怖くなって…。
鏡が怖い…?同じ顔の妹を見るようで…。
できることなら…頭の中から消して…。
待って!なんであんな偽証をしたんですか?五十川直也さんは自殺なんかじゃありませんね。
あなたが見たのは…自殺ではなく殺人だったんじゃありませんか?香苗さん!また記憶喪失に逃げるつもりですか?僚子!熊沢さん…。
(僚子)双子の妹が犯した罪…頭の中から消してしまいたい…。
その姉の気持は分かりますけど…。
なにもあそこまで…彼女は妹のことで実害をこうむったわけでもないでしょうに…。
実害…?でも不思議ですよね。
戸籍にもなくこの世に認知されてない2人が磁石が引き合うように出会った。
これってまさに双子の持つ神秘性ですよね。
熊沢さんそれ私の…!あっワルイ。
なんならとっ替えましょうか?ちょっと待って…。
左の泉原沙代と右の秋津香苗。
こうして入れ替えると左は泉原沙代で右は秋津香苗。
はぁ…?瓜二つの顔…。
見分けがつかないけど…。
ソコだよ。
ソコって…。
一般の姉妹ならありえないことでも双子の姉妹だったら…。
姉の香苗さんも妹の沙代さんの事件と無関係ではなかった…違いますか?大事なことなんです!小村さん話してください。
香苗ちゃんは妹の肩代わりをしてたんですよ。
肩代わり…!?双子をいいことに香苗ちゃんになりすまして随分お金も借りてたんですよ。
なるほどその借金を肩代わりして香苗さんが返済してたんですね。
同じ血が流れている双子だからきっと強い絆で結ばれていたんでしょうねぇ。
警察には…?あの娘も調べられて…。
調べられた…。
取り調べた刑事は…?たしか谷…谷ナントカ…。
分かりました。
なに谷垣とつながってる!?泉原沙代が秋津香苗の名を騙っていた。
谷垣が香苗の聴取をしていたはずなんですが…。
でもそれに関しては調書にも書かれていないんです。
調書にも書かれてない…?クマさん…ままさか…。
秋津香苗との関係…谷垣はそれを伏せた。
なぜ伏せたのか…?熊沢さん!先月の28日土曜日秋津香苗が宿泊してます。
彼女の電話の交信記録から引き出しました。
同じ日の宿泊者の中に谷垣刑事らしき男の客が…。
間違いないのか?身元を確認したら記帳された住所氏名は存在しません。
熊沢さん!どうした?フロア係に確認しました。
同日の客は谷垣刑事に間違いありません!そうか…。
秋津香苗の休日谷垣刑事の非番…。
これで2人の関係が…。
熊沢さん!事件当夜あの現場にいたのは3人…。
3人…?ガイ者の五十川直也と秋津香苗…それに…。
谷垣刑事…。
えらいこっちゃなクマさん…。
何かの間違いであってくれと祈っていたが…。
5年前の3月…強盗殺人犯を追って警視庁から刑事が来た…それがあの谷垣だった…。
男が逃げつく先は女のところしかない。
谷垣はその信念で一睡もせずに女を張り続けた。
谷垣の睨んだとおり女は男と密会した。
江木!
(江木)銃を捨てろ!江木…。
捨てろ!
(あざ笑う声)よせ!お前の女だろ!お前のためにどれだけ…!江木!江木っ!
(銃声)
(もみ合う声)谷垣よせ!よせ!忘れろ!これがこの男の正体だ!こんな男のことは忘れるんだ!いいか…そうしないと君までボロボロになっちまうんだよ!谷垣!谷垣…。
ボロボロになっちまうんだよ!犯罪の陰には泣かされてる女が実に多い…。
そういう女への…思い…いたわり…やさしさかなぁ…。
それも半端じゃない…被害者の心情にあそこまでのめり込んでたんじゃこの仕事は…。
あの時…刑事としての危うさのようなものを…。
あぁ…優しすぎては刑事は務まらんからなぁ…。
あ熊沢さん…。
珍しいですね。
今日は何か?どうぞ。
谷垣…。
2人だけで…。
4年前の泉原沙代の事件…お前は秋津香苗の聴取をした。
双子の姉妹…その事実をお前はつかんでたはずだ。
お前が真実を語ってくれなければ彼女から…。
彼女を追い込むことになる…。
俺は…お前の口から…。
1時間後…森林公園のポプラ並木で待ってる。
もしもし…。
谷垣さん…?逃げろ…いいから逃げろ!早く…逃げるんだ!でも…。
逃げてくれ…頼む!いいな!谷垣さん…。
熊沢さん…。
来たな…。
今な…5年前のあの事件の夜のこと思い出してたよ。
寒かったな…。
寒かった。
熊沢さん…。
(車のエンジン音)刑事さん!刑事さん!すべて私が…!よせ!よせ!お前は何も言うんじゃない!双子の妹…泉原沙代が犯した罪と罰…。
だが自分は重大なミスを…。
ミス…?この香苗を結婚詐欺の重要参考人で…。
お前何人の男を騙した?何人の男を手玉にとったんだ!?ガス自殺した男もいたんだぞ。
(机を叩く音)そんなしおらしい顔をしても駄目だ!お前のような女は絶対に許さん!刑務所にぶち込んでやるからな!
(谷垣)厳しく追求した。
被害者の面通しもした。
証言も得られた。
いくら追求してもあの時の香苗は何も喋らなかった…。
取り調べの中では何てふてぶてしい女なんだと…。
だが捜査の過程で…真実が…。
実際の犯行は双子の妹の泉原沙代だった。
秋津香苗…彼女の名前を使って詐欺をはたらいてた。
何で…?何で話してくれなかった?実は双子の妹がいる…。
その妹が姉のあんたの名を騙ってやったことだ!何で…何でそれを話してくれなかったんだ!?妹をかばいとおし姉は何も喋らなかった…。
そっくりの顔の双子として生まれついたばかりに姉の人生は狂わされていたんだな…。
俺は何てことをしてしまったのか…。
完全な見込み捜査でした。
香苗を追い詰めてしまったことに苦いものがこみあげて…。
妹の借金の返済までしてる…。
それを知ってこの胸がよけい疼いて…。
徳永:谷垣…えらいミスを犯しちまったな。
でも…このことはなかったことにしよう。
誰にも…。
調書も捨てろ。
いいな?俺はな…あとひと月で無事に定年退職だ。
最後のヤマで…つまずくわけにはいかん…。
晩節をけがしたくない。
谷垣…いいな?
(谷垣)無事に定年を迎えたい…徳永さんの気持は痛いほど…。
捜査上のミスは2人の胸にしまい込みました。
ところが羽山丈彦の殺人事件が起きた。
(刺す音)
(うめき声)
(谷垣)指名手配中の妹泉原沙代が姉の秋津香苗に接触を図るに違いない…。
そう読んで私1人で張り込みを続けたんです。
妹が犯した罪の償い…関係ない…関係ないじゃないか…。
そんなろくでなしの妹なんかほうっておけ…。
だがそこには…双子の妹の罪を償おうとする姉がいて…。
香苗を張り込んでいるうちに無意識に感情移入している自分に気づかされて…。
いったい俺は何をしてるんだ…?不思議な感覚と感情にとらわれて…。
あの張り込みは…まるで愛する女をのぞき見るようでした。
張り込んだお前の勘は的中し泉原沙代は姉のところに現れた。
沙代…。
(沙代)羽山丈彦を殺してやった。
何で…?何で…?お願い…。
お願いだから…自首して!なにバカなこと言ってんのよ!姉さん。
逃げられるわけなんか…沙代!あんな男…死んだっていいのよ!沙代…。
お金は全部あいつが…。
女がいたのよ。
その女との間に子供まで…。
最愛の男に裏切られたのよ。
やり直すしか…。
私も力になる…。
だから自首して!沙代…!お姉ちゃん…化粧も一緒…。
私と代わって。
え?フフフッ…。
今日からこの私がお姉ちゃんになる
(沙代の笑い声)これが私の妹か…。
重要参考人にされてまでかばいとおしたというのに…。
その妹が…悪魔のように思えて…。
本当の悪魔に!死ね〜!やめて沙代!死ね〜!
(もみ合う声)沙代!沙代…。
よせ!よせ!よせ!死ぬな!死ぬんじゃない!死ぬんじゃない!
(谷垣)妹に人生を翻弄されたあげく死のうとまでしている…。
このままではボロボロになってしまう。
俺が守ってやらなければ…。
あの時から…俺は刑事という職業を外れて香苗への感情に正直に生きることを選んでしまったんです。
死因に矛盾はなく調書も自分で…。
投身自殺に導くことは可能なことでした。
泉原沙代の投身自殺…そのウラに隠されたもの…。
秘密を握る人物がこの世にただ1人だけ…。
五十川直也…。
4年前のあの日…私は病気を口実にクラブを休んで…。
あの男が見舞いに来て偶然目撃されました。
(シャッター音)五十川:25時…13分。
(シャッター音)25時…13分…。
(五十川)そう…25時13分だった。
いいもの見せてもらったよ。
君の運命が僕の手に握られた記念すべき時間だよ。
時計の針はね…もう戻らない。
お前らのしたこともこの針に刻まれてるんだ!消すことはできない。
いいな!
(谷垣)香苗は言うがままになって小樽に…。
生き延びるにはそれしか…。
そんな香苗を独りにはできなくて…。
自分も警視庁を辞めてこっちへ移りました。
谷垣…お前には…五十川が何も要求してこなかったとは思えんが?あの男がいつ牙を剥いてくるか…。
でも不思議と何も…。
ところが…。
谷垣さん…あなたにお役に立っていただく時が…フッフッフッ…とうとう来ましたよ。
もちろん…間違ってもいやだなんておっしゃらないでしょうねぇ…。
何を…この俺に何をしろと!?香苗さん…あなたから説明して。
とてもそんな気分じゃなさそうだな…。
実は奥のパーティールームのことなんですがねぇ…。
会員制でカジノをやってます。
それであなたのお力をぜひ…。
あなたたちは僕の操り人形になることを運命づけられているわけですからねぇ…
(谷垣)道警の摘発情報の提供と暴力団対策…。
あの男は俺に道警内部のスパイになれと要求してきました。
断れば…あの秘密を暴露すると…。
あの男の意のままに生きるしかなかった香苗がどれほど苦しく自由のない地獄のような人生を歩まされてきたか!その時…はっきりと思い知らされたんです。
俺は…気づくのが遅すぎたって…。
いつしか…俺と香苗は頭の中で同じことを考えていました。
そしてお前たち2人は…五十川直也殺しを実行に移した。
私たちのことは誰にも…。
直也さん…約束してくれますか?もちろん。
ま…あなたたちの返事しだいだけどね…。
ううっ!ううっ!25時13分…あの懐中時計の針が指した時刻は4年前と同じ時刻…。
運命を狂わされた魔の時刻…。
25時13分…その時刻が物語っていたのはこの4年間に積もり積もった憎しみと恨みだった。
香苗さんの記憶喪失も計算されたものだったんですね…。
香苗は何も…すべての筋書きは自分が…自分がやりました!何を言うの!?何を言うのよ!どんなに支えられたか…。
あなたがいなかったら私はとっくに…。
私がこれまで生きてこれたのは谷垣さんの支えがあったからです!これだけは…これだけは真実です!信じてください!谷垣!谷垣さ〜ん!!香苗は何も!お願いします!谷垣!お前を死なせるわけにはいかん!香苗さんのためにも!お前が刑事の道に背いたのは何のためだったんだ!?谷垣さん…。
谷垣…お前の命はお前だけのものじゃないんだぞ。
《女と男の破滅の人生…。
だがその愛だけは壊れていない。
壊してはいけない…》2014/08/14(木) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
和久峻三サスペンス「25時13分の首縊り 小樽・記憶喪失の女」[字]
禁断愛に堕ちた男と女が沈黙の31年の果てに犯した殺人の真実。
詳細情報
番組内容
ある朝、小樽中央署刑事・熊沢真琴と同僚・一ノ瀬僚子の乗った車の前を突然、赤いコートを着た女性が横切り、危うく轢きそうになる。女性は病院での診察の結果、「記憶喪失」と診断される。ただ、うわ言のように「25時13分」という時刻を繰り返し、さらに「人が死んだ」ともつぶやいていた。その頃、小樽市内の住居で首吊り死体が発見される。
番組内容2
被害者は住人の五十川直也で、床には「25時13分」で止まった懐中時計が落ちていた。現場には熊沢の知人たちの他、道警本部捜査一課・谷垣弘も駆けつける。五十川は、6年前に亡くなった元道議会議員の次男でレストランバーの経営者だった。死亡推定時刻は午前0時から2時の間で、現場に残された、割れて時の止まった懐中時計の「25時13分」という時刻から、記憶喪失の女性が首吊り現場に居合わせた可能性が浮上。
番組内容3
捜査本部は記憶喪失の女性の身許確認に乗り出す。
出演者
熊沢真琴・・・古谷一行
秋津香苗・・・国生さゆり
谷垣弘・・・・田中実
一ノ瀬僚子・・遊井亮子
雪子・・・・・かとうかずこ
十文字伍一郎・平泉成
泉原正一郎・・ケーシー高峰
小村絹代・・・絵沢萠子
五十川直也・・菊池隆則
五十川泰江・・和田幾子 ほか
原作脚本
【原作】和久峻三
【脚本】峯尾基三
監督・演出
【監督】齋藤光正
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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