NHK高校講座 家庭総合「いろんな子どもに目を向けよう!」 2014.08.14

その後赤ちゃんは多くの人との間に愛着を広げていきます。
その事が人間関係を安定させ社会とのつながりを深めていきます。
ねえあの〜アオイちゃんが非常に困っているというところで友人であるミカリン…。
ミカリンというのは前回も登場してますけども「結婚したい」とか「子どもが好き」とか。
割とすぐにパッと言っちゃう明るい子なんですよ。
悪気はないんですけどもアオイさんからしてみれば「うちにはお金がない」「あなたたちとはちょっと違うんですよ」と言ってますけど。
困ってる時はやっぱり向こうからでも言ってほしいです。
自分から根掘り葉掘り「何があったの」ってちょっと聞きづらい事があるから。
(尾崎)そういう事って触れていいのかなとか…。
逆に気ぃ遣って何も言えない状態になっちゃうかな。
(青木)言えないだろうな。
友達にはなかなか。
言ったところで何が変わるの?っていうふうにアオイちゃんは思っちゃったかもしれないしね。
これ難しい問題なんですよ。
実は今日は専門家の先生に来て頂いています。
よかった〜。
(安部)こんにちは。
この方…アオイさんはどうしたらいいですかね?そうですね今パパイヤさんが専門家の私を呼んでくれたところにヒントがあると思います。
つまりアオイさん以外にも非常につらい事があって困っている子って実はたくさんいるんですね。
けれども…そういう時につらくても我慢しなくていいんだよと助けを求めてよりよい生き方ができるんだよっていう権利が子どもたちにはあるっていうところが一つ大事なのかなと思います。
紛争や飢え貧困。
さまざまな問題が世界各地で起こっています。
その中でいつも真っ先に犠牲になるのが弱い立場にいる多くの子どもたちです。
1989年そんな状況を変えようと国際社会が動きました。
子どもの権利条約が国連で採択されたのです。
子どもの権利条約にはこんな事が書かれています。
人種国籍性別などあらゆる差別を禁じています。
子どもにとって最もよい事を考え実現しようという意味です。
命が守られながらその子らしく育つ権利を守ります。
当事者である子どもの意見に耳を傾けましょうという事です。
1994年日本もこの条約を批准し子どもの権利を守る事を約束します。
日本のように豊かで平和な国でも虐待や体罰を受ける子どもや障がいや貧困などが原因で権利が侵害されている子どもは少なくありません。
こうした問題に取り組み全ての子どもの権利を守る事を条約は目指しています。
子どもの権利条約っていうのは知ってました?いや初耳です。
私は高校の時習ったのかなっていうぐらいですね。
ではですね世界で…具体的にどんな子がいるのかなっていうのをちょっと考えてみたいと思うんですけれども。
世界にはおよそ22億人の子どもたちがいます。
そのうち成長に悪影響があるような…どれぐらいいるか想像できますか?
(安部)ちょっと数字を見てみましょうか。
こうですね。
児童労働に従事してる子どもは1億6,800万人。
日本の人口より多い感じですね。
なかなか児童労働というと私たちの生活に関係しないのかなと思われるかもしれませんが例えば着ている服がどこで作られたかとか。
食べ物の原材料どこで取られてるかって考えると誰がそれを作ってるのかなというところではもしかすると児童労働に関係してるかもしれません。
それから小学校に行けない子どもは5,700万人といわれています。
このうち3,000万人ぐらいが女の子だといわれていて。
5歳になる前に亡くなる子どもというのもまだまだいてですね660万人。
これは4.8秒に1人亡くなる…っていうふうな計算になります。
では日本ではどうでしょう?現在日本の子どもの貧困が深刻だといわれています。
アオイさんのように日本で暮らしていくには厳しい家計状況の子どもたちです。
さて何人に1人くらいいるか分かりますか?1万人に1人とかそれぐらいの世界かな。
それはどうなんだろう?少ないかな?でもそのぐらいなのかな?答えはですね。
(尾崎)え〜!えっ。
(安部)これは…
(尾崎)やっぱり多いんだ。
貧困以外にも権利が守られていない子どもたちがいます。
例えば…今テレビ見てる子たちの中にもいるって事…。
うちもそうだという。
子どもの権利条約を批准して日本は20年になる訳ですけれどもまず…大人も子どもも多いですしそれから…逆に皆さん方にお伺いしたいんですけれども…千瑛ちゃん何かある?私はですねアニメとか子どもの時すごい好きで見てたら「子どもなんだからテレビ見ないで」みたいな感じでチャンネルを変えられるっていう事はよく。
「子どもだから」って言われた事はありますかね。
私も含めて大人って都合よく子どもなんだからって使っちゃうと思うんですが。
そうじゃなくて子どもであってもちゃんと自分の意見を言ったり差別されない権利があるよっていうところにつながっていくかなと思います。
成君とかは?僕は家族で白子を食べてたんですね。
白子を。
随分いいね。
なんですが白子は大人の味だから子どもは駄目って言われて。
これどうなんですか?
(安部)それは関係すると思います。
本当に?そんな事で訴えられたらたまらないわ。
困っちゃうね。
権利条約で考えていくと…というのは…一事が万事なんだ。
一見ささいな事でも子どもの権利という視点で考えてみるといろいろ発見がありそうですね。
という事はですね最初のお悩み漫画なんですけどもアオイさんは教育の権利が奪われてしまっているって事なんですか?
(安部)そうですね教育の権利が奪われてるともいえますしお兄さんですね。
お兄さんがアオイも一緒に家計を支えてくれるよなと言ってる辺りではアオイさんは進学したいんですがそれを家族から抑えられる事はアオイさん自身の意見表明意見の尊重というのが阻害されてるというふうに言えるかもしれません。
彼女が進学できる道はあるんですか?
(安部)はいもちろんあります。
アオイちゃんのような状況の子どもたち教育を受けたいけど受けられない子どもたちに対する支援もあります。
橋さんは現在あしなが育英会という団体が運営する学生寮から都内の私立大学に通っています。
学生寮は4人部屋。
朝夕2食付きで月1万円です。
現在80名の学生が暮らしています。
橋さんは北海道で建築業を営む両親の元育ちました。
しかし中学1年生の時思わぬ試練が訪れます。
お父さんが会社の負債を返済しようと自ら命を絶ったのです。
橋さんは父を亡くしたショックに加え経済的な困難にも直面しました。
(橋)結局父親の…母親もお金を借りれないので…貯蓄もないですし。
家を見つけられないっていう事になるんですよね。
住み慣れた家を離れ厳しい生活が続きました。
しかし橋さんは周りの誰にも相談しませんでした。
自分一人で苦しいっていうのは恥だと思ってたんです。
苦しいっていうのは我慢ができないやつが言う言葉だと。
なのでほとんど自分で抱え込む形でしたね。
相談はほとんどできなかったです。
高校生になった橋さんは大学への進学を考え始めます。
しかし家族の経済状況ではとてもそれは不可能に思えました。
困り果てた橋さんはある日たまたま学校で壁に貼られたある紙に目を留めました。
それがあしなが育英会のポスターでした。
あ〜助かったって気持ちですね。
自分は遺児だしだったらあしなが育英会の支援を受けれるので受けてみようと思って申し込みました。
寮では似た立場の仲間と出会い恋の悩みも打ち明け合うようになりました。
僕は女性心理を勉強してるのに彼は実地でもう…。
実践されているんでね。
この野郎って感じですね。
頂きます。
夢を諦めなかった橋さん。
苦しんできたのは自分一人ではないという事に気付きました。
僕のように一人で抱え込むのはよくないかもしれないですね。
友人とか頼れる先生とかに話していくべきだったかもしれないです。
頼る人が多ければ多いほどそういった情報はその分集まってくるというかですね。
頼っていくべきなんじゃないかなと思いますね。
困っていると自分が思うなら。
よくポスター見たね。
よかったですね。
苦しいと言うとね負けたみたいに思うとかって言ってましたがそういう精神って日本人にはあるだろうなって思うけどやっぱりね人にこう気持ちを伝えるとか助けを求めるとかした方がいいですね。
すごく大事だと思いますね。
今見たのはあしなが育英会という民間の団体で教育進学のための費用を支援するという事だったんですけれどもそれ以外にも子どもたちの権利が奪われてる事ってよくあるんです。
それに対してNPOであるとか自治体が支援をしていたりします。
ここで東京都世田谷区の場合を見てみましょう。
この中で児童相談所は全国共通です。
そのほかは世田谷区独自の施設や支援サービスです。
住む地域によって違いがあるんですよね。
いろいろ。
ありますね。
制度の内容だったり。
例えば広報のしかたなんかも住む地域によって違ってきます。
それによって制度とか仕組みはあるんだけれども届かない。
必要な人に届かない。
使われてないという現状もあります。
割と統一してほしいんですけどね。
そうなんですよね。
東京でいうと区によっても全然違いますもんね。
あとはどこに連絡していいか分かんない時ありません?ある。
総合案内みたいのがあると…。
そういうのってあるんですか?
(安部)それがまさに課題で。
子どもが何か困った時とかモヤモヤしてる時にどこかに一個つながればあなたの相談ここですよって言ってくれるようなものが今あるかと言われるとなかなかないのが現状なんですね。
相談先に迷った時のために2つの番号を覚えておいて下さい。
困っている事が具体的で明確な時のためには児童相談所の全国共通ダイヤルがあります。
一方何となく悩んでいる誰かに相談したいという時にはチャイルドラインにかけてみて下さい。
あしなが育英基金と出会って大学に進んだ橋さん。
今度は自分が今苦しんでいる子どもたちに何かをしたいと考えるようになりました。
そこで橋さんは国に働きかける事にしました。
政府が推進している子どもの貧困対策法検討会のメンバーになったのです。
子どもの負担にならない奨学金制度を充実させてほしい。
そして貧困などで困っている子どもたちに支援が行き届くようにしてほしい。
そんな思いを当事者として訴えています。
日本っていう国は恵まれてたと思ってたんですけど実はみんながみんなで我慢してただけだったんだと。
結局自分が我慢できるからといって我慢したらその次の世代どんどんどんどん我慢し続ける事になってずっとみんなつらいんです。
今苦しんでいる人は本当に自分が苦しいという事を言わないといけないと思います。
いや立派だね。
本当ですね。
今ある制度というのが決してパーフェクトではないんですよ。
…っていうのがとても大事な部分かなと思います。
つまり…では最後にですねお悩み漫画に戻りたいと思うんですけど。
お友達のミカリンがね唯一近い存在なのかなこの漫画の中でいえば。
どう?
(尾崎)話しやすい環境を作ってあげるというか。
支援してくれる所があるんだよっていう事を伝えるだけでもちょっと違ってくるのかなとは思うので。
(安部)そうですね。
つまり…
(安部)一緒に行動して1人だと恥ずかしくても一緒だとできるかもしれません。
さあアオイさんどうすればいいと思います?
(足立)話せる人だけでいいから信頼できる人にちょっと悩みを打ち明ける勇気を持てたらと思います。
支援を受ける力…受援力を持っていくというのも高校生にとっては大事な視点かなと思います。
つまり助けられていいんだよとあなたには助けられる権利があるよというところですかね。
「うちにはお金がない」これはすぐには変えられないかもしれません。
しかし「みんなとは違う」という事ではありません。
一人一人によりよい人生を生きる権利がある。
その事を胸に刻んで下さい。
紛争飢え貧困など厳しい環境下で権利を奪われた状態にある子どもたちが世界中にいます。
1989年国連は全ての子どもがよりよい生き方ができる社会を目指して子どもの権利条約を採択しました。
支援制度は住む地域によってさまざまです。
困った時は周りを頼る受援力を持つようにしましょう。
周りに困っている人がいる時は支援と本人をつなぐ役割を担いましょう。
2014/08/14(木) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 家庭総合「いろんな子どもに目を向けよう!」[字]

「子どもの権利」という言葉を知っていますか?権利を侵害されている子どもは、世界中に、そして身近にも多く存在します。【出演】パパイヤ鈴木・青木さやか・安部芳絵ほか

詳細情報
番組内容
1989年「子どもの権利条約」が国連で採択され、すべての子どもが差別されないこと、意見を尊重されることなどが定められました。しかし現実には、困難な状況下に生きている子どもが身近にもいます。友達や自分自身の人権が奪われていたら、どうしたらいいでしょうか?経済的な理由で進学をあきらめている子どもを例に考えます。【出演】パパイヤ鈴木、青木さやか、足立成、尾崎千瑛、安部芳絵【声】沖田愛【マンガ】和田フミ江
出演者
【ゲスト】早稲田大学招聘研究員…安部芳絵,【出演】尾崎千瑛,足立成,【司会】パパイヤ鈴木,青木さやか,【語り】沖田愛

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
バラエティ – その他

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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