このあと放送人形劇「シャーロックホームズ」の見どころを紹介
19世紀の作家アーサー・コナン・ドイルが生み出した名探偵シャーロック・ホームズとその相棒ジョン・H・ワトソン。
この名コンビがぐーんと若返って新たな冒険に挑みます
このあとスタート「シャーロックホームズ」
さっきから何をやってるの?聞かない方がいいと思うよ。
ミステリー界のヒーローシャーロック・ホームズ
先生君の勇気と行動力を貸してもらいたいんだ。
それはお安いご用だ。
法律違反も構わんかね?
これまで何度も映像化されたくさんの名優たちが演じてきました
このシャーロック・ホームズに新たに挑戦したのが…
脚本家の三谷幸喜
(三谷)シャーロック・ホームズがホントにこう今ブームできていて世界的にきていてだからここから僕らの新しいホームズはどうなんだろう何なんだろうって考えた末に…それは今まで誰もやってこなかった事なので全く新しいホームズになったんじゃないかなというふうには思っています。
多分見て頂けるとシャーロッキアンの方ほど楽しんでもらえるものになっていると思うし逆に言えば…言い切ってもいいような気さえしています。
三谷幸喜が描く新たなシャーロック・ホームズいよいよスタートです
(ワトソン)
僕がその学校に転校してきたのはある冬の事だった
(スタンフォード)へえオーストラリアにいたんだ。
父がロンドンで開業医を始めたんで家族全員でこっちに戻ってきたんです。
オーストラリア。
行ってみたいなあ。
スタンフォード君僕と同室の生徒ってどんな人ですか?名前はシャーロック・ホームズ。
ある意味問題児だな。
問題児?彼と同じ部屋になると3日でノイローゼになって大抵はそれで部屋を変えてもらう事になる。
そうなんだ…。
だからまあ君のベッドが空いていた訳なんだけど。
(スタンフォード)ごめんよ通して。
・誰…?あごめん…。
(スタンフォード)うちにはABCD4つの寮があってここはBのベイカー寮。
ベイカー寮?そう。
そして君の部屋が221Bだ。
221B…。
(ノック)
(スタンフォード)失礼。
ホームズこの部屋の新しい住人だ。
ジョン・H・ワトソン君。
よろしく!よっ…。
ねえさっきから何やってるの?
(ホームズ)聞かない方がいいと思うよ。
カエルだよね?クロロホルム3gでは足りないか。
はあ?オーストラリアには猛獣はいないそうだね。
え?前の学校ではラグビー部所属。
ポジションはフォワードでフッカー。
でも左足をけがして今はもうやっていない。
誰に聞いたの!?聞いたんじゃなくて分かったんだ。
君のかばんのステッカーは全てオーストラリアに関係している。
顔の日焼けを見ればスポーツをやっていた事は一目瞭然。
声が大きい事から団体競技である事は間違いないがサッカーにしては胸の筋肉が発達しているしバスケットにしては背が足りない。
あああ…。
でそんなに好きだったラグビーを辞めたのはやはり左足のひざを痛めたせいかな?はあ…。
それが生涯の友シャーロック・ホームズとの出会いだった
(ロイロット)ではみんな明日までに104ページまで読んでおくように。
(一同)はい!
(ホームズの寝息)
シャーロック・ホームズは授業中ほとんど寝ていた
ホームズはとても孤独そうに見えた
友達はいないみたいだ
休み時間になると決まってベンチで一人何か思いにふけっていた
よう!一人でいる人間がみんな退屈しているとは限らない。
物を考えている時だってあるんだよ。
ああ失礼…。
いいよ座れば。
僕は今退屈してたんだ。
アハハ…。
みんなと遊んだりしないの?子供じゃない。
大人には見えないけどね。
僕は彼らとは遊ばない。
観察するだけだ。
観察?海を知らない人間でも僅か1滴の水からこの世に大海原がある事を推察する事は可能だ。
人間も同じさ。
人生は一本の鎖のようなもの。
だとしたらたった一個の小さなリングからその人間の本質を探り出す事だってできる。
そうかなあ?例えばあそこを歩いている生徒。
彼の名はバーニコット。
随分肩を落としている。
落ち込んでいるのは君にも分かるよね。
それくらいはね。
彼に一体何があったのか。
手に白い粉が付いている。
ひざの辺りも白く汚れている。
床にひざをついて物を拾い上げたんだろう。
よく見ると右手に何かを持っている。
石こうの破片だ。
石こうといえば美術の時間に先週僕らは強制的に石こう像を作らされた。
自分の一番好きな動物を作れって言われた。
恐らく彼は自分の作った自慢の石こう像を床に落として割ってしまったんだ。
バーニコット!せっかくうまくできたのに残念だったね。
ホームズ…まさかお前が壊したのか?ご冗談を。
石こう壊しちゃったの!?いい出来だったんだよ。
なのに夜中の間に誰かが忍び込んで粉々にしやがった。
許せねえ。
君は何を作ったんだっけ?君と同じカバだよ。
見ろよ鼻の穴しか残ってない。
まあ元気出して。
おお〜…。
この学園にはカバが嫌いな生徒がいるみたいだ。
友達がいないホームズだったが休日になると221Bを訪ねてくる人間が後を絶たなかった
僕はそういった探し物はしないんです。
(アガサ)母からもらった大事な指輪なんですってば!どこで外したか覚えてないんですか。
(アガサ)う〜ん…。
はあ…散歩してくる。
ごめんなさい。
クラウチ!アンドホールド!エンゲージ!
(部員たち)お〜!はあ…。
君を訪ねてくる生徒たちあれは何なの?依頼人の事かな。
依頼人?彼らが抱えている問題を解決してやるんだ。
みんなふだんは僕から距離を置いてるくせにね。
虫のいい話だけど面白い事件なら相談に乗ってやる。
探偵みたいだね。
フフッ…。
ここは奇妙な事で満ちあふれている。
考えようによってはこんなに楽しい所はない。
そういうもんかなあ。
いつも思うんだ。
この世の中はもつれた糸かせのようなものだって。
その中に一本だけ真実という名の赤い糸が混ざっている。
絡まった糸をほぐしてそれを取り出すのが僕の一生の仕事だ。
尊敬するよ。
人生の目標があるなんて。
ラグビーの選手になりたかったんだよね。
でもけがで諦めるしかなかった。
それで自暴自棄に?自暴自棄になんかなってないさ!君は自分に嫌気がさしている。
自分の将来にも。
机の上のそれは日記帳だろ?今年はもう終わろうとしてるのにまだ新品同然だ。
日記を書かなくなったという事は自分の将来が見えなくなったという事…。
僕にとってラグビーは全てだった。
それができなくなった今僕は何を目標に生きればいいか全く分からないんだ。
僕は…。
聞いてないね。
分かった?君は自分の話はしたがるくせに僕の話にはすぐに飽きる!さてそろそろ夕食の時間だ。
行こうかワトソン君。
聞いてないね…。
(ハドソン夫人)はい〜!・「タララッタッタッタ〜ラララララッタララ〜」良かったらこれ食べてちょうだいな。
私の手作りクッキー!どんなにおいしくても一人一個よ。
寮母のハドソン夫人。
悪い人じゃないけど自分の作った料理を半ば強引に僕らに食べさせる。
全ての生徒がクッキーが好きとは限らないのに。
・「タララッタッタ〜タ〜ラララ〜」どうぞ〜。
いただきます。
僕は結構です。
この人はいつもこうなの。
格好つけちゃって。
あとで後悔するわよ。
ここに置いとくわね。
食べなさいはいこれ食べなさい。
おいしそうだよ?食べない方がいい。
ハドソン夫人のエプロンに猫の毛が付いていた。
野良猫に餌でもやったんだろ。
あの人は猫と遊んだあと手を洗うような人じゃない。
ゲッ…。
悪い人じゃないんだけどね。
はあ〜…。
回想ここは奇妙な事で満ちあふれている。
自分が一番奇妙だろ。
(ベッポ)ほい。
ほいほいほい…。
え〜い!あ!何したの!?ああ〜…。
ああちょっと!?待て!ああ〜…ああ〜!
ワトソンメモ
これはこの奇妙な学園に転校して僕が出会った人たちや出来事を書き留めたメモ。
今みんなが見ている物語は全部このメモが元になってる。
僕の生涯の親友シャーロック・ホームズ。
退屈で寂しいと思っていた学園生活が彼のせいで全然違うものになった事は確かだ。
彼と出会ってから僕は思わぬ事件に次々に巻き込まれていった
(ベッポ)はいはいはい…はいはいはい…。
(ノック)
(モリアーティ)ジョン・ヘイミッシュ・ワトソン。
新しい生活には慣れたかね?まだしばらく時間がかかりそうです教頭先生。
(モリアーティ)ホームズしばらく席を外してもらえるかな。
ワトソン君と大事な話があるんだ。
僕は別に構いませんけど。
本人がそう言ってるんで。
(モリアーティ)はあ…。
実は最近生徒が作った石こう像が次々と壊される事件が起こっていてね。
ゆうべもモースという生徒が作ったカバの像が何者かに壊された。
壊される…?あ…。
随分動揺しているようだが。
全然してません!君を犯行現場で見たという人間がいるんだがね。
僕を?逃げていく姿を目撃されているんだよジョン・ヘイミッシュ・ワトソン。
ベイカー寮2年のベッポ君だ。
君が今夜見た事を話しなさい。
(ベッポ)中庭にいたらこの人が石こう像を持ってやって来てバーン!って落として割ったんです。
おいらが駆け寄ったら慌てて逃げ出して追いかけたらすごい速さであのトゲトゲの何でしたっけ…?有刺鉄線かね。
(ベッポ)それをビューンって飛び越えて逃げていったんです。
という事だよジョン・ヘイミッシュ・ワトソン。
君は前の学校でトラブルを起こしているね。
書類によれば同級生を殴ったらしいじゃないか。
それで結局学校にいられなくなった。
転校は関係ありません!転校を余儀なくされた腹いせに生徒の作った石こう像を壊して回っても不思議ではない。
犯人は…君だ。
分かりました。
僕が犯人です。
今のは自白と思っていいね?結構です。
処分は追って通達する。
それまでは謹慎するように。
待って下さい教頭先生。
君には関係のない事だシャーロック・ホームズ。
無実の人間が罪を着せられるのは見ていて気持ちのいいものじゃないんで。
余計な事に首を突っ込む癖はまだ直ってないようだな。
ホームズもういい。
君は良くても僕は嫌なんだ。
彼は犯人ではありませんよ。
根拠は?単純な事です。
彼は前の学校にいた時ラグビーの試合で左足をけがしている。
(モリアーティ)だから?追われて逃げる時有刺鉄線をビューンって飛び越える事なんか絶対に不可能だ。
(モリアーティ)どうなんだ?う…うん…。
(モリアーティ)しかしとなると…。
ベッポはうそをついています。
なぜうそをつく必要がある?そりゃ…事件に関わっているからじゃないですか?君にいくつか質問がある。
わあ…!どうしてその時間に中庭にいた?おいら美術室の清掃の担当だから。
だから?石こう像が盗まれると何か責任感じて夜回りをしてたんだよ。
君が責任を感じるのはちょっと無理があるな。
そんなのは人それぞれだ。
犯人を見失ってからどうした?中庭に戻ったよ。
するとそこに生徒たちが集まってきた。
(ベッポ)見てたの?君はワトソンが逃げるところを見てなんかいない。
逃げたのは君の方だ。
そしてワトソンがいなくなってからまた戻ってきた。
そこを生徒たちに見られたのでとっさにうそをついたんだ。
何を言ってるんだお前は。
石こう像を割ったのは…君だベッポ。
あ…あれは君だったのか!
(ベッポ)くっそ〜!フンッ!・
(ドアの開閉音)なぜ罪をかぶろうとした。
意味はないです。
(モリアーティ)そんな訳はない。
僕が認めれば全て丸く収まるような気がして。
やってないならやってないとはっきり主張すべきだ。
流されてはいかん。
すみませんでした。
相変わらず知恵が働くな。
ありがとうございます。
ベッポが石こう像を壊して回る理由は?それは調査の依頼ですか?夜分遅く失礼した。
おやすみ。
ジョン・ヘイミッシュ・ワトソンそしてシャーロック・ホームズ。
おやすみなさい教頭先生。
おやすみなさいモリアーティ教頭。
礼を言う必要はない。
君が謹慎になって一日中この部屋にいられたんじゃ息が詰まる。
ハハハッ。
モリアーティと同じ質問をしてもいい?ベッポはどうして石こうを割ったの?そこまでは僕も分からない。
じゃあ僕もモリアーティと同じ質問を。
なぜ罪をかぶろうとした?なぜかなあ…。
自分でもよく分からない。
前の学校で同級生を殴ったっていうのは?それは本当。
理由は?僕の事なんかに興味ないくせに。
君にはないが人間の心理には興味がある。
ラグビーができなくなってむしゃくしゃしてたんだ。
それだけじゃないはずだ。
何で分かる?3日も一緒にいれば君という人間が見えてくる。
肌の色が違う生徒がいて彼がいじめられていたんで止めに入ってそれでケンカになった。
どうして君だけが罰を?いじめてたやつの父親が町の有力者だったんだ。
なるほど。
世の中なんてそんなもんさ。
同じ部屋の住人として一つだけ言っておく。
どうぞ。
君が思っているほどこの世の中はつまらないものじゃない。
言ったじゃないか。
この学園には奇妙な事があふれている。
奇妙な人間であふれている。
同じ制服を着ていても皆それぞれ心の中には奇妙な何かを抱えている。
僕にはそれが面白くてたまらない。
つまらない事なんてないさ。
はあ…。
まあ君だって言うほど人生に絶望していない事を僕は知ってる。
将来に絶望した人間はそもそも白紙の日記帳を取っておかないからね。
いずれ君はまた日記を書き始める。
僕からすれば一番奇妙なのは君だよホームズ君。
お褒めの言葉と受け取っておく。
一つだけ君は間違えてる。
その日記帳はね表紙がきれいだったから取っておいただけさ。
日記はもう書かない。
書くんだったら何か他の事がいいな。
文章を書くのは昔から嫌いじゃないから。
前の学校で賞をもらった事もあるんだ。
ところで君も石こう像を作ったって言ってたよね。
どこにあるの?カバって言ってなかったっけ?カバだよ。
これはピーナツだろどう見ても。
カバだよ。
君にはカバがこう見えてるの?美術は嫌いなんだ。
ほっといてくれ。
フフッカバねえ…。
え〜!
(ロイロット)とにかくそういう事だ。
その夜の事だった
ディーラー寮のドレッバーが?
(レストレード)今病院に運ばれた。
命に別状はないらしいけどかなり苦しんでた。
こちら生活委員のレストレード君。
転校生のワトソン君だ。
ああはじめまして。
よろしく。
でドレッバーの腹痛の原因は?ロイロット先生は食中毒じゃないかって言ってる。
食中毒?かなりおなかピーピーだったし間違いないね。
食中毒の原因は?今一番疑われているのが…。
ハドソン夫人のクッキー!今おばちゃんロイロット先生の取り調べを受けている。
(ロイロット)とにかくあんたが作ったクッキーしかありえんのだよ。
ひどすぎる!私を犯人にするなんて!この責任は取ってもらう!ハドソン夫人を犯人と決めつけるのはどうかな。
クッキーを食べた生徒は他にも大勢いる。
もし菌がクッキーに入っていたのならもっとたくさんの生徒がおなかを壊してるはずだ。
とりあえず現場に行ってみよう。
うん!すみません!僕もついていっていい?お好きにどうぞ。
ハハッ!
それが僕と彼との最初の事件の始まりだった
(花子)歩…。
2014/08/14(木) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
シャーロックホームズ「最初の冒険」(前編)[字][再]
三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年・ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。第1回目は二人の出会いを描く。
詳細情報
番組内容
三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年・ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。ロンドン郊外にあるビートン校に転校してきたジョン・H・ワトソンは、寮の部屋で風変わりな少年・シャーロック・ホームズと出会う。ホームズは、ワトソンを一目見るなり、その経歴をずばり言い当ててしまうという優れた観察眼と洞察力を備えた少年だった。そんな二人の前にある事件が起こる。
出演者
【声】山寺宏一,高木渉,堀内敬子,江原正士,岸尾だいすけ,三瓶由布子,浅野和之,梶原善,妻夫木聡
原作・脚本
【脚本】三谷幸喜
ジャンル :
アニメ/特撮 – 特撮
ドラマ – その他
趣味/教育 – 中学生・高校生
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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