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 裁判所に再審を請求中の受刑者が、証拠品のビデオテープを警視庁が紛失したために損害を受けたとして、国などに計2千万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は9日、計40万円の支払いを命じる判決を言い渡した。山田明裁判長は「テープが再審の新証拠となる可能性は低いが、受刑者が解析して検討する権利が奪われた」と判断した。

 原告は星野文昭受刑者(68)。デモで警察官1人が死亡した1971年の「渋谷暴動事件」で殺人などの罪に問われ無期懲役が確定し、徳島刑務所で服役している。

 判決によると、テープは暴動の様子を報じた複数のニュース映像を警視庁が録画したもの。東京地裁に裁判の証拠として提出され、77年に地裁が警視庁に保管を委託したが、08年の調査で紛失が発覚した。

 判決は、警視庁について「注意義務を果たさず紛失した」と認定し、裁判所についても「保管状況を確認すべきだった」と判断。東京都と国にそれぞれ20万円の支払いを命じた。