韓国電力公社(以下:韓電)が、釜山と日本の間を結ぶ海底電力網を推進していると報じられました。8月22日付けの韓国の中央日報によると、釜山と対馬、そして対馬と九州の間に約200キロメートルの長さの海底ケーブルを敷設して、日韓間に電力網を連結するプロジェクトとのことですが、果たして実現可能なのでしょうか。
[画像]「日韓海底ケーブル」計画
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韓国の電力は余っている?
中央日報は以下のように報じています。「韓国は中長期的に電力需給が安定し、電力が残る半面、日本は原発の稼働中断で電力が不足する状況であるため、韓日双方にウィン・ウィンとなるという判断からだ」
記事では「電力は余っている」と断じていますが、韓国の電力事情を調べて見ると必ずしもそうとは言い切れないようです。急激な経済成長によって、発電設備の拡充が追いつかず、電力の需給は厳しいというのが実情のようです。また、2013年には、原子力発電所のトラブルが重なったことによって電力不足が心配されていました。
韓国の電気料金は、OECD加盟国のなかでは最も安い価格体系です。これに対して韓電は、燃料費の上昇などを理由に電気料金の値上げを政府に要求していますが、韓国政府は部分的にしか認めず2008年以来赤字が続いています。
日本もそうですが、国家レベルで見た時、経済成長の必修条件である「エネルギー事情の安定」は常に悩ましい問題であり、「安定して余っているから他国に供給する」という単純な問題ではなさそうです。
孫氏が参加の意向?
中央日報では、「韓電の関係者は『韓日海底電力網の構築には韓国系の日本人企業家である孫正義ソフトバンク会長も参加の意向を表している』とし『最近、韓電の経営陣と孫会長が会い、この問題について話し合った』」としています。
確かに、ソフトバンクの孫会長2011年3月の福島原発事故後に「アジアスーパーグリッド(Asia Super Grid)」事業を提唱しています。これは、韓国・日本・中国・ロシア・モンゴルの電力網を連結し、各国が持つ資源を垣根無しに活用できればというアイデアです。豊富な化石燃料と太陽光・風力資源を持つ中国・ロシア・モンゴルが電力を安く安全に生産し、韓国・日本がこれを輸入して使用しようというスケールの大きい計画です。この計画にはモデルがあります。ヨーロッパでは送電網やガスのパイプラインが張り巡らされていて、各国でエネルギーを融通できます。
2014/9/10 00:01 更新
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