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円相場106円台 5年11か月ぶりの水準
9月9日 18時20分

円相場106円台 5年11か月ぶりの水準
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9日の東京外国為替市場は、アメリカ経済の先行きへの期待感などを背景に円を売ってドルを買う動きが強まり、円相場は1円以上円安が進んで1ドル=106円台前半と5年11か月ぶりの円安ドル高水準になりました。

9日の東京外国為替市場は、午後の取り引きになっても円を売ってドルを買う動きが続き円相場は一時1ドル=106円39銭まで値下がりして、5年11か月ぶりの円安ドル高水準となりました。
午後5時時点では、前日に比べて1円19銭円安ドル高の1ドル=106円31銭~32銭でした。一方、ユーロに対しては、前日に比べて84銭円安ユーロ高の1ユーロ=136円89銭~93銭でした。
ユーロはドルに対しては、1ユーロ=1.2876~77ドルでした。
円安ドル高が進んでいるのは、アメリカの景気の回復に伴ってゼロ金利政策を解除する時期が想定より早まるという観測が市場で強まっていることが背景にあります。市場関係者は「アメリカ経済に対する期待感が強い一方で、日本経済にはことし4月から6月までの経済成長率が下方修正されるなど先行きに不透明感があるため、円安ドル高が進みやすい状況だ」と話しています。
生産拠点の国外移転など日本経済の構造の変化によって輸出が伸び悩むなかで、一段と円安が進めばエネルギーや原材料など輸入価格の上昇を招くことから、景気に悪い影響を与えるという指摘も出ています。

円相場の推移

円相場は7年前、アメリカの低所得者向け住宅ローン、サブプライムローン問題でアメリカ経済の先行きに対する懸念が強まったことをきっかけに円高が進みました。
そして翌年のリーマンショックでアメリカをはじめ世界経済が大きな打撃を受けたことで、比較的安全な資産とされる円を買う動きが一段と強まり、一気に円高ドル安の流れになりました。
さらにヨーロッパの信用不安が深まった3年前には一時1ドル=75円台前半の最高値をつけ、歴史的な円高が日本経済に重くのしかかりました。
しかし、おととしの第2次安倍内閣の発足や日銀の大規模な金融緩和を背景に円安に転じ、去年12月には、およそ5年2か月ぶりに1ドル=105円台まで円安が進みます。
ことしに入るといくぶん円高傾向になり、値動きの幅が小さい状態が続いていましたが、先月から再び円安が進み始めました。
きっかけは先月、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長の講演。市場の最大の関心となっているアメリカのゼロ金利政策の解除の時期について、雇用の改善が加速すれば前倒しもありうるなどと言及したことで、円を売ってドルを買う動きが強まりました。
ゼロ金利政策が解除されれば、アメリカと日本の金利差が広がり円よりもドルで資金を運用したほうが、利回りを見込めるという見方が広がったためです。
今月に入っても、アメリカの着実な景気回復を裏付ける経済指標の発表が相次いだことなどから、ゼロ金利政策が早期に解除されるという観測がさらに強まって円安ドル高が進み9日、およそ5年11か月ぶりに1ドル=106円台前半まで値下がりしました。

「中期的には必ずしもプラスではない」

5年11か月ぶりの円安ドル高になったことについて東芝の田中久雄社長は、9日の記者会見で「半導体やインフラ事業などを輸出しているため、会社全体としてはプラスだが、あまり円安に振れると材料費や燃料費が高騰する可能性がある。中期的には必ずしもプラスではなく、急激な円安円高もできるだけ起きないでほしい」と述べました。
ジェトロ=日本貿易振興機構の石毛博行理事長は、9日の記者会見で「海外で生産している企業にとっては円に換算した手取りが増えるのでプラスの効果はあると思う。一方、輸入のコストアップという面で電力コストや輸送コストが収益の圧迫要因になってきたという話を最近、企業から聞くことが多くなってきたので、一方的に円安歓迎ということでは必ずしもないのかもしれない」と述べました。

専門家「先行きは警戒して見る必要」

5年11か月ぶりの円安ドル高になった背景について、三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「日本も金融緩和しているうえ、ヨーロッパも今月に入って追加の利下げをしている。またイギリスもスコットランド独立の是非を問う住民投票を控えており、アメリカ以外の先進国の状況を考えてみると、ドルが買われやすい状況だと言える」とみています。
そのうえで、今後の見通しについて瀬良氏は「ここに来て円安ドル高の動きが加速し始めたので、いったん動き始めるとある程度勢いをつけて円安ドル高に動く可能性が非常に高いと思う。しかし、このまま円安ドル高が一方的に進むかと言うと、アメリカの景気がこのまま回復するのかどうかという点や、この秋に行われるアメリカの中間選挙の状況、さらに回復が遅れている新興国の景気などによって状況は変わる可能性があり、先行きは警戒して見る必要がある」としています。
一方、円安が一段と進んだ場合の日本経済への影響について「ここまで円安が進んでいるにもかかわらず輸出がほとんど伸びていない。円安の効果ではもはや輸出を伸ばしていくことはできない経済構造になっている可能性がある」と話しています。

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