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2013年4月~6月
2013年05月08日
武田薬品工業株式会社
Inviragen, Inc.
- グローバルヘルスへの取り組みとして、デング熱ワクチンと手足口病ワクチンを獲得 -
武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とInviragen, Inc.(本社:米国コロラド州フォート・コリンズ、以下「Inviragen社」)は、このたび、武田アメリカ・ホールディングスInc.(武田薬品の100%子会社、以下「武田アメリカ・ホールディングス」)がInviragen社を買収することについて合意しましたのでお知らせします。本買収は、今後、必要な手続き等を経て、14日以内に完了する見込みです。本買収契約に基づき、武田アメリカ・ホールディングスは、契約一時金として35百万米ドルをInviragen社に支払います。また、武田薬品は、将来、開発の進捗および販売に応じたマイルストンを最大215百万米ドル支払う可能性があります。その他の経済条件は開示していません。
本買収によって武田薬品は、ワクチンの開発パイプラインを拡充するとともに、Inviragen社が開発しているワクチンの対象疾患が多いシンガポールの同社開発サイトを獲得することにより、ワクチンの研究開発能力を強化することになります。さらに武田薬品は、現在保有するウィルス様粒子技術や細胞培養技術などのワクチン製造に関する基盤技術に加え、Inviragen社の生ワクチンと不活化ワクチンの基盤技術を獲得します。買収完了後、Inviragen社は武田薬品のワクチンビジネス部の傘下に入り、研究開発活動を継続する予定です。
Inviragen社は、生ワクチンと不活化ワクチンの研究開発に特化し、米国ウィスコンシン州およびシンガポールに拠点を有するバイオ関連企業であり、現在、デング熱などに対するワクチンを開発しています。同社のデング熱ワクチン“DENVax”は、デング熱の原因となる4つのウイルス型全てを含む4価ワクチンで、現在、臨床第2相試験1)を実施中です。また、Inviragen社はエンテロウイルス71により発症する手足口病2)ワクチン(臨床第1相試験終了)、チクングニヤ熱3)ワクチン(前臨床段階)も開発中です。デング熱、手足口病、チクングニヤ熱のいずれについても、現在、有効な治療法はなく、武田薬品では、これらワクチンを必要とする世界中の人々に届けるべく、各国政府や国際機関と連携していきます。
デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症としては最も重要な疾病であり、そのワクチンは世界保健機関(WHO)により、優先的に開発すべき4つのワクチンの内の一つに位置づけられています。世界中で年間約4億人がデングウイルスに感染し、その内約1億人がデング熱を発症すると言われています。デング熱による入院患者数は約50万人で、2万人がデング出血熱などの合併症で死亡しており、そのほとんどは小児です。現在、デング熱およびデング出血熱には対症療法しかなく、唯一の予防法は蚊の駆除となっています。また、デング熱などの症状を伴うデングウイルスの感染症の報告は、過去50年間で30倍に増加しており、発症地域も拡大し続けています。
武田薬品のワクチンビジネス部長であるラジーヴ・ヴェンカヤは、「Inviragen社の買収と、同社が開発中のデング熱ワクチンの獲得によって、当社は、グローバルにワクチン事業を展開するという目標に向けて、さらに大きな一歩を踏み出しました。デング熱は、全世界の約半数の人々が感染リスクに曝されている感染症であり、本買収は、当社の使命である世界的に重要な感染症に対する革新的なワクチンの開発を加速するものです」と述べています。
武田薬品の取締役 チーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサーである山田忠孝は、「今回の買収は、当社の研究開発戦略および長期成長戦略に合致するとともに、イノベーションと新規テクノロジーを通じて人々の健康に貢献するものです。当社は、昨年10月、最も臨床開発が進んでいるノロウイルスワクチンを有するLigocyte社を買収しており、Inviragen社の買収によって、武田のグローバルでのワクチン事業への取り組みを推進し、グローバルに公衆衛生に貢献するというコミットメントを果たしてまいります」と述べています。
Inviragen社のCEOであるDan Stinchcombは、「当社の生ワクチンと不活化ワクチンに関する研究開発専門性およびワクチンの前臨床・臨床開発に関する世界的なネットワークが武田薬品に加わり、同社の経営資源、開発力、グローバルな販売拠点を活用して当社のワクチンを世界中にお届けできることになります。世界中の人々の健康に貢献するワクチン開発に注力している武田薬品の一員になれることを嬉しく思います」と述べています。
シンガポール経済開発庁 (EDB) の投資部門でInviragen社の大株主であるEDBインベストメント(EDBI)のCEO & PresidentのSwee-Yeok Chuは「EDBIは、他の投資家とともに、アジアを含む世界中で流行している感染症に対する重要なワクチンの開発を進めてきたInviragen社を支援してまいりました。武田薬品は、これらワクチンの開発を加速するための最良のパートナーであると考えています」と述べています。
武田薬品は、日本国内において60年以上に亘って小児用ワクチンの安定供給に努めており、2012年1月にワクチンビジネス部を設立し、ワクチン事業のグローバル展開に取り組んでいます。2012年10月には、Ligocyte社を買収し、同社が臨床開発中のノロウイルスワクチンをはじめ、前臨床段階にある複数のワクチンおよび同社のウイルス様粒子技術を獲得しています。
1) 90日間の間隔を置いた2回投与のスケジュールで臨床第2相試験を実施中。
2) 手足口病は、アジア・太平洋地域で流行する感染症であり、2010年以降、毎年、数百万人の発症が報告されている。
3) チクングニヤ熱は、蚊の媒介によって感染し、アフリカ、インド、アジア、欧州で流行したとの報告がある。
記
1. 取得の方法および日程
(1) 株式取得の実施者:武田アメリカ・ホールディングスInc. および武田薬品工業株式会社
(2) 株式取得の対象者:Inviragen社の株式保有者(EDBI, Charter Life Sciences, Venture Investors, Phillip Private Equity)
(3) 株式の取得方法: 現金
(4) 発行済株式総数:39,035,439株(優先株の普通株換算後、完全希薄化後)
(5) 買収価額:契約一時金35百万米ドル支払った後、開発の進捗に応じたマイルストンを最大215百万米ドル支払う可能性がある。
(6) 取得完了予定日:必要な手続き等を経て14日以内に完了予定
(7) リーガルアドバイザー(武田薬品):Morgan, Lewis & Bockius LLP
(武田薬品のファイナンシャルアドバイザーはなし)
(8) ファイナンシャルアドバイザー(Inviragen社):Torreya Partners LLC
(9) リーガルアドバイザー(Inviragen社):Wilson Sonsini Goodrich & Rosati
2. Inviragen社の概要
(1) 名称: Inviragen Inc.社
(2) 所在地: 米国コロラド州フォート・コリンズ
(3) 子会社:シンガポールに100%子会社あり。
(4) 代表者の役職・氏名: Co-founder and CEO Dan Stinchcomb
(5) 設立年: 2005年
(6) 資本金: 777米ドル
(7) 資本剰余金:1,979,995米ドル
(8) 株式の種類: 非上場
(9) 従業員数: 約50名
(10) 武田薬品との関係: Inviragen社との間に、資本・人的・取引関係において記載すべき事項はない。
本買収が武田薬品の2014年3月期の連結業績に与える影響は軽微です。
以上