将来の原発依存度、「できるだけ早期に設定したい」=小渕経産相
[東京 4日 ロイター] - 小渕優子経済産業相は4日、ロイターなどのインタビューで、原子力発電への将来の依存度を含むエネルギー・ミックス(電源構成比)に関する政府目標の設定について「できるだけ早く設定したい」と述べた。政府は、原発事故前に約3割だった依存度を「可能なかぎり下げる」との方針だが、小渕経産相は、具体的な数値や水準のイメージは示さなかった。
4月に閣議決定した政府の「エネルギー基本計画」では、原発について「重要なベースロード電源」と位置づける一方で、「可能な限り依存度を低減させる」としており、矛盾した内容との批判がある。
小渕氏は、将来の原発依存度は3割を下回る水準が基本方針かとの質問に対して、「30%を切るのか切らないのか、いまの段階で何%かを示すことほはできない」と述べた。
<初の女性経産相、原子力で試される力量>
第2次安倍改造内閣の最年少閣僚で、女性初の経産相となった小渕氏。内閣改造で話題となった女性の積極登用について聞かれると、「何が女性目線、男性目線なのかわからない」と答えるなど、気負いはみせない。
とはいえ、課題の先送りを長年続けたことで、東京電力 福島第1原発で最悪の事故を招く温床となった原子力政策にメスを入れ、質的向上に本気で取り組むことは、老練なベテラン政治家にも容易ではない。
特に、原発から出る放射性廃棄物の最終処分場のめどが立っていない実態は、長年、「トイレなきマンション」と揶揄され、原子力政策の先送り体質の象徴だ。
また、巨大な原発事故に金額面でまったく対応できないことが国民に知れ渡った原子力賠償制度の見直しも大幅に遅れている。
小渕経産相は、最終処分場の確保について、「いまの時代を生きる世代の責任として解決していかなければいけない課題。国が主体的にかかわる」と述べた。
原子力賠償制度の見直しについても、「国の責任のあり方については、関係省庁が参加して原子力賠償制度の見直しに関する副大臣等の会議で検討がされている」と語った。
最終処分場と賠償制度の見直しに関する小渕氏の言及は、すでに政府が方向性としては示している内容にとどまる。これらの課題をどう具体化させるのか。小渕経産相の在任中の課題となりそうだ。 (浜田健太郎)
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