津波対応:釜石市を提訴…防災センターの犠牲者遺族
毎日新聞 2014年09月09日 11時43分
東日本大震災の津波で、岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)地区防災センターに逃げ込んだ市民が犠牲になったのは、本来の避難場所でないことを市民に周知しなかったためなどとして、遺族2組が9日、市に計約1億8400万円の損害賠償を求めて盛岡地裁に提訴した。推定200人以上が犠牲になった同センターを巡る提訴は初めて。
訴えた1組は、母親(当時71歳)を亡くした息子(45)ら計3人で請求額は約9100万円。もう1組は妻(同31歳)を亡くした40代の夫ら計3人で同約9300万円。
訴状などによると、同センターは震災8日前に市の津波避難訓練場所になるなどたびたび使用され、市民に避難先との誤解を与えた。実際に過去の大きな地震で多数の市民が身を寄せた際も、市は正しい避難場所を知らせる義務を怠ったとしている。同センターの被災に関し、市が設けた調査検討委員会も「市の行政責任は重い」と結論づけている。
市は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
国家賠償法に基づく損害賠償請求の時効3年が過ぎているが、遺族らは3月、市に対して提訴の意思を通知し、6カ月時効が延びていた。【中田博維、春増翔太】