社会
北大、1600万円流用で元教授告訴 「氷山の一角」の声も
2013/12/29 【北海道新聞】

 国などから支給された研究費を取引業者に不正に管理させる「預け金」問題で、北大は27日、関与した教員44人のうち、詐欺容疑で北大遺伝子病制御研究所の西村孝司元教授(60)を告訴し、残る43人については私的流用はなかったとした。

 しかし、調査は、業者が任意提出した帳簿に基づく聞き取りであり、教員と業者が口裏を合わせれば、それ以上、調べようがないのが実態だ。業者の間には、他の教員の私的流用を疑う声もある。

 北大によると、西村元教授の私的流用額は少なくとも1600万円。物品の架空請求などを通じて取引業者3社に4915万円を不正に預け、このうち試験用薬品販売の関販テクノ(札幌)に預けた2500万円の一部が、高級腕時計の購入や車の車検費用など、明らかに研究とは無関係の目的で使われたことが判明した。

 04~11年度までの44人の不正経理額は、民間との共同研究費なども含めて合計4億8400万円。文部科学省によると、このうち同省が調査対象とした公的研究費は3億6400万円。北大を含む全国47研究機関の合計額は5億7500万円で、北大が約6割と突出している。

 西村元教授の告訴について、北大と長年の取引がある札幌市内の業者は「氷山の一角だ」と言う。別な教員からも、明らかに私用の交通費への支出を依頼されたことがあり、「業者としては、頼まれれば断れない」と打ち明ける。

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