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» 2014年09月09日 08時45分 UPDATE

「IGZO量産技術」は“秘伝のたれ” 保秘か供与か、難しい舵取り “ロンリーワン”に反省も (1/3)

シャープの「IGZO」は、半導体の苦い経験を生かし、技術者を引き抜かれてもすぐには追いつけない仕掛けにしていた。ただ、技術でオンリーワンを目指した経営が、いつの間にか“ロンリーワン”に陥った反省から、戦略的提携も進める。

[産経新聞]
産経新聞

 シャープの収益の柱と位置付けられる高精細で低消費電力の液晶パネル「IGZO(イグゾー)」技術は亀山第2工場(三重県亀山市)で量産を開始した平成24年3月当時、「賞味期限は意外に短い」と業界でささやかれていた。

画像 シャープの液晶事業の歴史

 基本特許を保有する科学技術振興機構(JST)は国内外の企業に分け隔てなくライセンスを供与し、巨額の研究開発費を投じる韓国サムスン電子ともすでに契約を締結。学会レベルでは複数企業がIGZOを活用したディスプレー技術を発表していたためだ。

 ところが、2年が経過した今もシャープ以外でIGZOを量産できていない。量産化技術がいかに難しいかを裏付けるが、背景には技術のコモディティー(陳腐)化とともに競争力を失った半導体や液晶テレビの教訓を踏まえた新しいブラックボックス戦略がある。

 半導体部門出身の方志教和専務は「シャープと同じ製造装置を購入したり、技術者を引き抜かれたりして技術的に追いつかれた半導体の教訓から、機械や技術者1人の情報ではまねできない仕組みにした」と説明する。

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