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吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」

売却か賃貸か、どうする「実家問題」
“争続”を避け賢く引き継ぐ方法を考える

吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]
【第6回】 2014年9月9日
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直面してからでは
選択肢は少ない!

 最近、多くのメディアが「実家問題」に関する特集を組んでいる。関連する書籍も増えてきた。

 先月はお盆。読者の方のなかにも久々実家に帰省し、年を重ねる両親と接して、「他人ごとではないな」と思った方もいるのではないだろうか。

 地方から大都市へ人口が流出し、いまや国民の半数以上は3大都市圏(首都圏、関西圏、中京圏)に住んでいる。大学進学や就職を期に都市部へ移動し、そのままその地に住み続け、結婚し、子どもが生まれる。自分と妻の仕事や子どもの学校のことを考えれば、両親に万が一の事があっても、実家に移り住むという選択は取りづらいのが現状だ。

 では、両親が亡くなった後、その両親が住んでいた「実家」はどうするのか。そのまま空き家として放置するのか。売却か賃貸か、それとも更地にすべきか――。

 「実家問題」とは、こういうことだ。都市圏に暮らす多くの人が、これから必ず直面する大問題で、大いに頭を悩ませることになる。

 日本の平均寿命は男女とも80歳を超え、親世代が天寿を全うする頃、その親を看取る子どもは50歳を超えているだろう。その頃にのしかかる「実家問題」。考えただけでも大変だという印象を受けるのではないだろうか。

 問題が起きてから対処しようとしても、選択肢は限られている。不動産関係の専門家に話を聞くと、「親が亡くなってから考えるのではなく、生前から早めに準備をすることが大切。そうすると、いろいろな選択肢がある」と話す。

 つまり、40代で、両親がまだ元気な状態のときから考えておくべきことなのだ。

 本連載の趣旨は、子どもが独立したり、両親が高齢になり介護や看病が必要になったり、働き方や収入の変化よって、住まいも柔軟に変えるべきという前提のもと、そのためのヒントを考えていくことだ。「実家問題」は、親の死という家族構成の変化が訪れたときの、住まいに関する問題。まさに本連載で考えるべきテーマだろう。

 とても気持ちの重い問題だが、今回はとりわけ、自宅の土地と建物について、どう対処したらいいのか考えてみたい。

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吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]


早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。船井総合研究所上席コンサルタント・Real Estateビジネスチーム責任者を経て、現在、ディー・サイン不動産研究所所長に就任。不動産関連企業・ハウスメーカー・設備関連メーカーなどを中心にコンサルティングを行う傍ら、不動産エコノミストとしてデータ分析、一般・投資家・企業向けの講演を多数行う。著書に『2020年の住宅・不動産市場』(朝日新聞出版)『「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人』(青春出版社)など9冊。連載はダイヤモンド・オンラインをはじめ、各種媒体に月間6本を担当。オフィシャルサイト&ブログ http://yoshizakiseiji.com/blog/

 


吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」

40代後半になると、多くの人にとって子どもが数年後に独立を向かえ、自分の親は70代後半にさしかかる。子どもの就職や親の介護、病気などの新たな心配が増える時期になる。働き盛りで仕事は忙しいが、プライベートも忙しくなることが多いのではないだろうか。そんなときに、子どもが生まれて間もない頃に、子育て環境を最優先に買った郊外の住宅は最適だと言えるのだろうか。昔買った住宅に一生住み続けなければならない、ということはない。スマートに、家族構成や仕事の状況に合わせて住み替えるという発想を持ってもいいはずだ。当連載では、住み替えるためのさまざまな例を紹介し、40代後半からの住まいについて考える。

「吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」」

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