【NQNニューヨーク=横内理恵】8日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反落し、前週末比95銭円安・ドル高の1ドル=106円00~10銭で取引を終えた。米金利の上昇を受け、日米金利差の拡大を手がかりとした円売り・ドル買いが優勢になった。一時は106円09銭と2008年10月3日以来、約5年11カ月ぶりの安値を付けた。
米金利が上昇し始めたのと前後して、円売りが加速した。日本の4~6月期の実質国内総生産(GDP)が改定値で下方修正された。一方、5日に発表された8月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数の伸びこそ低調だったが、米雇用や景気の改善は続いているとの見方が根強い。日米金利差が拡大するとの見方が強まったという。
サンフランシスコ連銀が公表したリポートで同連銀に所属するエコノミストなどの見解として、「米連邦公開市場委員会(FOMC)の委員に比べ、市場関係者がより緩和的な金融政策を見込んでいるようにみえる」と指摘。市場の一部で米連邦準備理事会(FRB)による事実上のゼロ金利政策の解除時期が想定よりも前倒しになる可能性が意識され、円売り・ドル買いを誘ったとの指摘もあった。
英北部スコットランドの独立を問う住民投票を18日に控えて、週末の英紙の世論調査で独立賛成派が初めて反対派を上回った。スコットランドの独立が実現すれば、英国の政治や経済、金融政策に多大な影響を与える可能性があるとして英ポンドが対ドルで急落。円を含めた主要通貨に対してのドル買いに拍車がかかった面があった。
この日の円の高値は105円23銭だった。
円は対ユーロで4営業日ぶりに反落し、前週末比60銭円安・ユーロ高の1ユーロ=136円65~75銭で取引を終えた。対ドルで円が売られ、対ユーロでも円の売りが優勢だった。
ユーロは対ドルで反落し、前週末比0.0055ドル安い1ユーロ=1.2890~2900ドルで終えた。一時は1.2882ドルと13年7月10日以来、約1年2カ月ぶりの安値を付けた。英ポンドの急落につれたほか、米金利の先高観もユーロ売り・ドル買いを誘った。ユーロの高値は1.2957ドルだった。
英ポンドが大幅安となった。前週末の1ポンド=1.63ドル台前半から1.61ドル台前半に水準を切り下げた。スコットランド独立の可能性が浮上したことを手がかりにポンド売りが膨らんだ。一時は約10カ月ぶりの安値圏に下落した。