革命を達成し、仲間と力を合わせ、世の中を根本から変えるユートピア思想に賭けて、世間から遮断された暮らしに何年も耐えるささやかな集団がいる。彼らがつくりあげたのは、狂信的な忠誠心が最も重んじられ、部外者には理解できない儀式や異端分子の追放、さらには見せしめの処罰すら行われる組織だ。
この集団とは中国共産党ではなく、中国の電子商取引(EC)市場で4分の3を超えるシェアを持つアリババ集団(浙江省)のことだ。アリババは創業者で現会長の馬雲(ジャック・マー)氏の強烈な個性を反映した独特の企業文化と、先見性に富んだリーダーシップのもと、この15年間に驚異的な成長を遂げた。
■「初期の共産党を思わせる」
「アリババには結党当時の中国共産党を思わせるところがある」。かつてアリババに勤務し、この企業の経営手法をテーマにした著書を発表しているリ・チーフエ(Li Zhihui)氏はそう語る。「二流のプロ集団が一流の仕事をしているところが似ている」
史上最大規模と見込まれる今月のニューヨークでの新規株式公開(IPO)に向けアリババが準備を進めるなか、アリババの賛美派も批判派も、同グループがここまで成長したのは、新興宗教さながらの固い団結と馬氏の型破りな個性が原動力であったことを認める。
アリババは最大で1630億ドル(約17兆1600億円)の発行株の時価総額達成を目指すと5日発表し、書類を提出した。世界各地での説明会に先駆けて、本日(8日)、ニューヨークで機関投資家との個別説明会と、数百人の見込み投資家を招いた昼食会を開催する。
提出書類が設定している1株当りの価格60~66ドルで計算すると、アリババの新規株式公開の規模は、テクノロジー・インターネット関連分野では史上最大となる。投資家からの需要が好調なら、すべての産業分野を通じて最大規模の新規株式公開となる可能性もある。
投資家にあてた文書のなかで、馬氏はアリババを一中国企業から世界的企業へ拡大させることを目指す、壮大な野望を語っている。「過去10年間、当社は中国をどこまで変えられたかを尺度に業績を測ってきた。今後の当社の業績は、世界にどれだけ進歩をもたらすかによって判断されるだろう」
革命を達成し、仲間と力を合わせ、世の中を根本から変えるユートピア思想に賭けて、世間から遮断された暮らしに何年も耐えるささやかな集団がいる。…続き (9/9)
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