経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *基本内容の「ニッポンの理想・2兆円でできる社会」もご覧ください

成長にこたえる在庫増の重み

2014年09月09日 | 経済
 昨日公表の2次速報で、4-6月期GDPは年率-7.1%に下方修正された。多くのエコノミストが指摘するように、在庫投資が寄与度1.0から1.4に拡大するという、極めて内容の悪いものだった。0.5程度は駆け込みで減った在庫の復元としても、残り0.9の在庫増の解消は、巡航速度の成長を半年間も無にしてしまうほどの重荷だ。

 当然、各民間調査機関の2014年度GDPの見通しも、より低いものとなり、マイナス成長とする機関も出ている。7-9月期GDPについては、第一生命の新家義貴さんは、「+3.5%と控えめな予測だったが、下振れる可能性が高く、…+3%も行けば御の字、在庫次第では更なる下振れの可能性もある」とする。妥当な見方だと思う。外れるとすれば、在庫増が止まらないという、もっと悪い方向かもしれない。

 昨日は8月の景気ウォッチャー調査も公表された。現状は、-3.9と大きく下がって50を割り47.4となった。先行きは、-1.1の50.4と辛うじて50を保ったが、雇用が-2.5と最も大きく下げているのが気がかりである。7月から打って変わったのは、4-6月期GDPの1次速報の悪さを聞いて、苦しさに言葉を得たせいではないか。人間とは、そういうもの。

 7月の鉱工業生産では、在庫増は止まっていないものの、出荷と生産は底を打ったように見えるが、それが決して油断ならない状況にあることは、出荷先を内外に分けて分析した、鈴木淑夫先生の8月版の月例景気見通しを見れば分かる。実は、国内向けの出荷は微減、総供給は-1.0%減となっている。

 在庫調整をすれば、残業手当は減るし、景気ウォッチャー調査では、明らかに雇用を増すことへの不安が広がっている。これからは賃金も雇用も伸び悩むのであるから、回復は鈍いものとならざるを得まい。10/1公表予定の日銀短観で設備投資の見通しの大幅な下方修正があると、最後の望みも失われよう。

 アベノミクスは、「ゼロ成長にしても、増税で政府の取り分を増やす」という政策と化しつつある。1997年の悲劇は、在庫削減と所得減少の悪循環によるものであり、8月に在庫増が止まらず、9月の大幅な生産調整から始まった。危機が起こるとすれば、これからだ。橋本政権は、12月に2兆円の特別減税を表明し、2月には還付を始めている。今回は、年明けから補正予算の審議をするつもりらしいがね。

(今日の日経)
 商社、物流インフラ整備。非正規から正社員100万人。4-6月GDP実質年率7.1%減、成長率下ブレ予測。経済対策2段階で検討、12月にも補正。開発力で明暗・しまむら・ニトリ。経済教室・メガFTA・石川幸一。

※明暗は増税でレベルを降りてきた消費者をつかめたかだね。
ジャンル:
経済
キーワード
アベノミクス
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