競争で行われている取引の承認作業を勝ち抜くとコインが生成される。発行の上限(埋蔵量)が決まっているため希少性が高く、現実の金の採掘になぞらえて「マイニング」と呼ばれる。当たりを引くまでひたすら計算を行うため、強力な演算処理能力が必要だ。IT企業経営者の峰松浩樹さんが構築した専用装置の能力は数年前のスパコンに匹敵するという。コンクリートむき出しの現場では排熱処理対策のため、カバーのない装置がずらりとならんでいた(3月、長崎市)
峰松氏はマイニング用の拠点を別の場所にも構えている。発掘の難易度が日に日に上がっているため、電気代のコストなどを考えると採算が合わなくなってきているそうだ
2013年の1年間でビットコインの価格は100倍以上に跳ね上がり、投機性に注目が集まったが、デジタルであるにもかかわらず偽装が生まれないそのシステムに革新性があるといわれている。
取引参加者とプログラムだけでシステムが維持、管理されるため、利用者は取引手数料をほとんど負担せずに済む。大型システムを駆使する既存の銀行が高額の手数料を徴収するサービスを提供するのと対照的だ。米バンクオブアメリカは昨年末のリポートで、ビットコインは既存の送金サービスに並ぶ存在となるだろうと報告している。
早稲田大学ファイナンス総合研究所の野口悠紀雄氏は、「コスト意識の高い企業が送金や決済手段として使い始めるのでは」と話す。金融システムが整っていないアジアなどの新興国から始まり、国内でもライバル企業の利用で一気に波及する可能性があると予測する。「経済や金融システムに大きな影響を与えるだろう」と野口氏は語る。
一方、「匿名性」という便利さが悪用され、不正取引の温床になっているとの疑念も消えない。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の対策を担う国際組織、金融活動作業部会(FATF)は世界的な調査を始める方針だ。
中国やロシアなど取引を規制する国がある一方で、シンガポールやドイツなど事実上容認する国も出てきた。日本は「課税対象にする」と表明し存在を認めたものの、所管官庁を決めていない。利用者保護の問題をどうするかなど課題は山積している。
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