分からないものを勉強するときに、心を前向きにする方法──カーネルハッカー・小崎資広(5)

サイボウズ・ラボの西尾 泰和さんが「エンジニアの学び方」について探求していく連載の第6回(毎週火曜日に掲載、これまでの連載一覧)。

富士通のエンジニアとしてLinuxカーネルの開発に参加されている小崎資広さんへの「インタビュー:その5」。Linuxカーネルという巨大なソースコードと日々戦っている小崎さんのお話は、きっと「エンジニアの学び方」の参考になるはずです。

本連載は、「WEB+DB PRESS Vol.80」(2014年4月24日発売)に執筆した「エンジニアの学び方──効率的に知識を得て,成果に結び付ける」の続編です。(編集部)

文:西尾 泰和
イラスト:歌工房

今回は、小崎さんが初めてプログラミングを学んだときの話、そして「数の暴力に対する耐性」を身につけるに至った背景を深堀りしていきます。なお、今回から「tech@サイボウズ式」編集部の風穴さんも話に加わっています。

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小崎資広さん(左)

プログラミングは独学

数の暴力に対する耐性

集中力は自分のやりたいことで鍛える

点と点が繋がる成功体験

本はお友達だった

分からなくても気にせず最後まで読む

◆     ◆     ◆

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本やゲームに集中することが、後々、数の暴力に対する耐性に繋がったのですね。興味深いです。集中力を養う目的のためには、子どもがゲームをしているときに「ゲームばっかりしてないで勉強しろ」と言うのが正しいことかどうか悩ましいですね。

分からなくてもとにかく読み進めると、あとから点と点が繋がって分かるようになる、という考え方も面白いですね。第2回で話題に出た「ストレス発散法として何も考えずにコードを読む」ときも、同じような読み方をしているのかもしれません。

筆者は「あとから点が繋がる」という話を聞きながらスティーブ・ジョブズの講演[1]を思い出していました。「西洋書道の授業を受けたとき、それが人生の役に立つとは思っていなかった。しかし10年経ってMacintoshを設計するときにそれが役に立った。点と点の繋がりを予測することはできない。だから、点が将来どこかに繋がると信じて進むことが大事だ」 という話でした。

次回は、今までと少し毛色が変わって、コミュニケーションに関する話題です。同調圧力の強い人とどう付き合うのか? 議論タイプのリーダーが率いるカーネルコミュニティと同調タイプのリーダーが率いるコミュニティとはどういう違いがあるのか? そういうお話を伺います。(了)


[1]スティーブ・ジョブズ氏が、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチ。以下のサイトなどで参照できます。
Text of Steve Jobs' Commencement address (Stanford|News)
「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳(日本経済新聞)


「これを知りたい!」や「これはどう思うか?」などのご質問、ご相談を受け付けています。筆者、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)


謝辞:
◎Web+DB Press編集部(技術評論社)のご厚意により、本連載のタイトルを「続・エンジニアの学び方」とさせていただきました。ありがとうございました。
◎インタビュー会場として、「イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(シンカ)」にご協力いただきました。ありがとうございました。


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