これであなたも、サークラになれる!!

 

突然だが、わたしはサークルクラッシャーだった。

サークルクラッシャーとは編集

だった、というのは、現在はサークルクラッシャーとして「活動」してはいないし、もとより、もう二度とサークルクラッシャーに戻ることはないと思っているからだ。

 

サークルクラッシャーであることを自認しながら、言葉通りの破壊活動を続けていたときには、ひと月の間に10人程度に愛の告白を受けて、最終的には5つのサークルと、それに付随する純粋(かも知れない)青年の心をぶっ壊し続けていた。

それだけの愛を受けるためにほぼ毎日違う相手と、せっせと水族館や映画に、あるいは飲みに、ときには夜の街に出ることに全神経を費やし、同時にその行為によって男女関わらず「死ね」と罵られ、中身が入ったままのビールジョッキを投げつけられ、twitter2ちゃんねるに悪口を書き込まれ、わたしは泣いたりするくせに、元凶となるサークラ行為は止めなかった。

美人ではなく、特別な気遣いが出来るわけでもないわたしがなぜサークルクラッシャーになったのか、というか、なってしまったのか。それは、どんな女でも簡単にサークラになれる法則を見つけてしまったのに他ならない。

 

  1. 男性が多い空間を見つける

まずは、男女比率が9.5:0.5くらいの趣味を見つける。

いわゆる男性向けのオタク趣味の多くは当てはまるだろうが、そのうえでモテなさそうな人が集まっているグループを見つけなければならない。

サークラになったばかりのときにまだ嗅覚が鋭くなくて、モテる人が1人でもいる集団に何度か顔を出した。すると、モテる人はそんなに可愛くない女の所詮付け焼き刃のモテテクなんぞあっという間に気づいてしまい、一笑に伏して、あの女に近づかない方が良いよと周りに丁寧に警告するか、あるいはすんなりと集団に馴染ませつつ他の男と近づかないようにバリヤーを張ってしまう。サークラの敵は同性ではなく、モテる男なのだ。

 

    2. 飲み会、オフ会には欠かさず顔を出す 

では、いかにしてモテない人が集まっているグループを見つけるか。

それはとにかく、足と指(主にtwitter)で稼ぐしかない。twitterで趣味をPRし、仲良くなった人の飲み会に混ぜてもらい、そのなかでもモテなさそうな人と連絡先を交換してその人のグループの飲み会にまた混ぜてもらう、の繰り返しである。

己のサークラ全盛期はほぼ毎晩、はじめての人が必ずいる飲み会に顔を出していた。連絡先の交換もメールではなく、twitterで繋がるとそのフォロワー、と広げやすい。

わたしがサークラをしていた5年前にはLINEはなかったが、現在はLINEだと気軽に連絡も取り易いのかもしれない。

 

   3. 笑顔で、誰とでも楽しく会話する

はじめのうちは、とにかく笑顔を振りまく。誰か特定の相手に絞り込むのではなく、広く、まんべんなく、楽しく会話をする。面白いことを話す必要なんて全くなく、

・相づちを打つ

・「それ、わかります!」「良いですよね!」と共感する

・「あーなるほど」「すごいですね」と感心する

この3つだけ、とにかく笑顔で繰り返していれば、相手に対して悪い心証は絶対に与えない。むしろ自分のことはあまり話さない方が良い。話を振られたときにだけ控えめに答え、すぐに近くにいる人にトスして会話の中心を移す。

オタクというのは大抵自分が喋りたい生き物だから、これだけで「話を聞いてくれるイイ子」があっという間に出来上がる。

 

   4.「自分から」次の飲み会の予定を決める

大人数の飲み会のなかで、今後「落ちて」くれそうな人と、くれなさそうな人を分類する。くれなさそうな人とももちろんtwitterなどでは親しくするが、落ちてくれそうだと判断した人には、個人的に連絡を取る。

twitterのDM(あるいはメール)にて「今日は○○さんとお話できて楽しかったです」「○○さんの知識の豊富さにびっくりしました!」と、大勢の相手のなかであなたと今後連絡が取りたい、とアピールする。

・「○○さん××がお好きって聞いたので、今度△△に行きませんか?」と、自ら1対1の関係性になるように誘う。

・相手がOKしてくれたら「○○さんが会ってくださるなんて、嬉しいです!」と喜ぶ。

ちなみにだが、この段階で告白してくる人が1割くらいいる。後でも述べるが、基本的にサークラに引っかかるひとたちはものすごく気が早い。

「そんな風に誘ってくれるなんて…!実は僕もあなたのことが素敵だなと思ってたんです!付き合って下さい!」という流れになっても無碍にせず「もっと○○さんとお話してから考えたいので、ひとまず会ってくれませんか?」と優しく誘うことが大切だ。

 

 5. 相手の弱点を見つけ、褒め続ける

ふたりきりで飲む、あるいはどこか出かけるチャンスを掴んだら、当日はひたすらに相手の話を聞く。インタビュアーにでもなったつもりで、趣味、好きなこと、あるいは嫌いなこと、性格、全てを聞き出すつもりで聞く。

あとはひたすら、聞いた話を元に相手のことを褒め続ける。作品を作っているのであれば丁寧に作品を読み込み、あるいはじっくりと眺め、どこが素晴しいと思ったのかを心を込めて細部に亘って話す。ゲームに凝っているのであれば、相手の点数やプレイを、もちろん事前にリサーチをしておいて褒める。自分に知らないジャンルの趣味を持っているのであれば、知識のひとつひとつに感心し、影響を受ける。それを3時間の飲み会の間に、あるいは1時間のお茶の間に、繰り返す。

さまざまな話を聞いていると、相手の弱点が見つかることがある。その多くは「女の子にモテないこと」であったり「他のひととうまくコミュニケーション取れないこと」だったりする。(そういう人を選んでるのだから、当たり前だが)その場合は弱点を握っておいて、それでもあなたは素敵ですよ、と褒める。

そしてこの段階でも、3割くらいの人に告白される。この場合は

「そんなに褒めてくれるなんて、僕のことが好きだったんですね!まだ決めかねていますが、あなたの気持ちがとても嬉しいです。あなたのことが好きかもしれない!」という、とにかく褒めてくれたことに対してこのひとが好きかもしれない、という錯覚を起こしているパターンである。

しかしサークラというのは、すべてこの錯覚の延長なので、決して別に好きじゃない、など否定することはせず、これまた笑顔で受け取っておく。

 

 6.ボディタッチする

使い古された手だが、ボディタッチは有効だ。いきなり手を握ったりすると相手もびっくりしてしまい「こいつビッチだ!!」(彼らの多くはビッチに厳しい)と心の扉を閉ざされてしまうので、その隙間に入り込むくらいのボディタッチが重要になる。

わたしが使っていた手としては

・「わー!○○さんですか?!いつも作品見てます!大好きです!」とテンションを上げ、その勢いのままに手を握る。

・飲み会で酔っぱらったままに、隣の人にちょっとだけ倒れ込み、手が触れ合ったくらいのところで「ああ、ごめんなさい、酔っぱらっちゃったみたいで」と慌てて手を引っ込める。

・相手が携帯(あるいはスマホ)の画面で何かを見せているときに隣から覗き込み、髪が触れるくらいの距離で「あ!△△!いいですよね〜!」と笑顔で相手の顔を見る。

あくまで、下心なく近くなってしまったんですよ、というアピールが必要になる。

 

この6つの法則を愚直に実行すれば、仮にこれまでの人生で一度たりとも告白されたことがなくとも、男から「キモい」「ブス」「デブ」と罵られ続けてたとしても、絶対に告白される。それが良いとか悪いとかは抜きにして、一度きりの人生でこのままだれからも愛を告げられることなく死ぬのか…!と思っている人は、実行してみてほしい。

なぜなら、6年前のわたし自身がそうだったからだ。

サークルクラッシャーとは、基本的に悪だと考えられており、当然わたしも褒められる行為だとは思っていない。しかし自分がサークラだった当時は、とにかく目の前にいる人に好かれようということに必死で、結果として上の法則を見つけた、という流れが正しく、別段当初からサークルをクラッシャーしてやろう、と思っていたわけではない、という苦過ぎる言い訳もしておきたい。

 

もちろんわたしがサークラ化してしまったのにも理由があるので、そこはまたぼちぼちと書いていきたい。