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 性同一性障害で戸籍上の性別が男性から女性に変わったことを理由に会員制ゴルフ場から入会を拒否されたとして、静岡県内の会社経営者(59)がゴルフ場の経営会社と運営クラブなどを相手に585万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部(古谷健二郎裁判長)は8日、入会拒否は違法として110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、原告の経営者は2012年6月、ゴルフ場側に入会に必要な書類や戸籍謄本を提出。しかし、運営クラブの理事会は性別変更を理由に入会を拒否した。

 判決は、入会拒否について「性別に関する自己意識を身体的にも社会的にも実現してきたという原告の人格の根本部分を否定した」と指摘。性同一性障害が本人の意思に関わりなく生ずることなどから、法の下の平等を定めた憲法14条などの趣旨に照らして「社会的に許容しうる限界を超えて違法」として、経営者の精神的損害を認めた。

 ゴルフ場側は裁判の中で、浴室や更衣室の利用で既存会員に不安感や困惑が出る恐れがあると主張していた。代理人は「入会拒否に悪意はなく、会員の話を聞いた上で運営上支障が出るので決めた。判決には不満だ。よく読んで控訴するか決めたい」と話した。(張春穎)