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なぜ社長を砂浜に埋めたのか? LIG副社長がTEDxで語った、「好きから生まれるファンのつくりかた」

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なぜ社長を砂浜に埋めたのか? LIG副社長がTEDxで語った、「好きから生まれるファンのつくりかた」

ソーシャルメディア上で話題になる記事を量産している、株式会社LIG。その副社長・吉原ゴウ氏が、エッジの効いた企画の誕生秘話を語ります。また、それらの企画の根本にある「ファンになってもらうこと」「好きなことを発信し続けること」の大切さを説いたスピーチです。(TEDxSakuより)

【スピーカー】
株式会社LIG 副社長 

【動画もぜひご覧ください!】
好きから生まれるファンの作り方: Go Yoshiwara at TEDxSaku

あなたの「強み」は何ですか?

吉原ゴウ氏:みなさん、こんにちは。「好きから生まれるファンの作り方」というテーマで話したいと思います。僕、LIGという会社を経営してるんですけれども、これ社員です。

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社員の一部ですね、一部なんですけど、どういう会社をやってるかちょっとこの写真からだと非常にわかりづらいと思うんですけれども。

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Webの制作会社をやってます。Webサイトですね、こういう企業さんのホームページですとか、プロモーションサイトとか、そういったものを作ってます。それ以外にも、メディアですね、自社メディアといって、インターネットのニュースサイトですとか、あとこういう観光とか体験、こういったものをインターネット上で売買するための「TRIP」っていうサイトを作ってたりします。

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これ、うちの会社のWebサイトになります。見てわかる通りちょっとよくわからないサイトだと思うんですけど。

(会場笑)

ブログがベースになってるんですね。情報発信をここでよくしてます。常に社員がみんなでブログを更新して、1日に3本記事を書いて、それをもう3年くらい続けてます。あなたの会社の強みって何でしょう? これは会社じゃなくてもいいです。個人でもいいです。何か活動してる時に自分の強みっていうのが何なのか、これをうまく人に伝えていかないと、なかなか活動ってできないと思うんですね。

どの世界にもたぶん競合っていっぱいいると思うんですね。僕らはWebの制作会社なので、東京でやってるんですけれども、いっぱいあります。同じようなWebの制作会社っていっぱいあって、僕らと同じようなクオリティもしくは僕らよりも良いものを作る会社もいっぱいあるし、もっと価格の安いところもいっぱいある。

「ファンになってもらう」という戦略

じゃあ、こういった中でどうやって競争していけばいいのだろうって考えた時に、いろんな手法があると思うんですけど、営業をかけて自分の会社の製品を買ってもらう、もしくは価格を安くする、こういった手法になっちゃうのかなと思っています。

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でも僕はどうも、営業をかけるのがすごい苦手で、電話をかけて「どうですか? うちの製品買いませんか?」っていうのもなるべくならやりたくないですし、できるだけ高く買ってもらいたいわけじゃないんですけど、なるべく値段も下げたくない。こうなった時にどうやったらうちのサービスって売れるかなって思った時に考えたのが、ファンになってもらう、こういう戦略でした。

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じゃあ、どうやったらファンになるのかなと思うんですけれども、例えば企業のファンになる……人ってどういう時に企業のファンになるか、みなさん思い浮かびますかね? 今頭の中に「私この会社好きだな」とか「この会社のファンだな」って思えるような会社って思い浮かびますかね? 

僕、ちょっと考えたんですけど、企業のファンになるにはその会社のサービスをまず知らなきゃいけません。そこからサービスを購入します。そのサービスに対して感動したり満足したりすると、今度はリピーターになります。もう一回買おうとかもう一回そのサービスを受けようと。そこで初めて人はファンになるのかなと。これ多分素晴らしい流れですよね。

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こんなに良いサービスだったり製品を世の中に出してて、それが理由でファンになってもらう企業を僕も目指したいんですけど、本質はこれです。本質はこれだと思うんですけど、僕がやったのはちょっと違います。

「サービスを購入してからファンになる」この流れを変える試み

まず会社を知ってもらいます。僕らの活動を知ってもらって、そこで共感を生みます。感動でもいいですし笑いでも何でもいいんですけども、共感してもらう。そこでまずファンになってもらうんですね。製品買ってもらう前にファンになってもらう。で、ファンになってもらってからサービスを買ってもらうと。こういう流れを僕は作りました。

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こうすると非常に強いんですね。ファンだから買ってくれるんですね。これは競合他社と比べた時に価格も同じぐらい、サービスの質も同じぐらいって時に、だいたい比較検討した時に、どうせなら好きなほうから買おうかなっていう心理が働きます。

もちろんサービスの質は高いほうが良い。それはもちろん間違いないんですけども、それ以前の問題で好きか嫌いかで言ったら僕はなるべく好かれたいなと思っているので、こういうことをやりました。じゃあLIGが何をやっているのか。

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何をやってるかっていうと情報発信をしてるんですね。

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先ほどのブログを活用しています。このブログを使って世の中に対して常に情報を出してます。僕らこういう人間ですよ、こういう会社ですよ、こういう人が経営してますよっていうのをずっと言ってます。

Webデザイナーを募集するために、社長を砂浜に埋めてみた

やってることはこんな感じです。

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(会場笑)

これうちの社長なんですけれども、見ての通り砂に埋まってます。これ、なんで砂に埋まってるかというと、2年ぐらい前ですかね、会社でWebデザイナーが不足してまして、ちょっと募集したかったんですね。

だいたいそういうのを募集かける時って求人サイトとかを使うのがセオリーだと思うんですけど、求人サイトってお金かかるんですよね。20万とか30万とか。そんなお金ないと。デザイナー取るために20万、30万のお金がない。

じゃあ、どうするか。自分たちはブログをやってるので、そこで募集をかけようと思ったんですけど、普通に募集をかけても無名の会社のそんな募集に応募してくるやついるのかなと思って、「じゃあ、とりあえず社長を砂に埋めよう」っていうよくわからないテンションになってきてですね、とりあえず海に行こうって言って千葉の九十九里まで行ってたんです。そこで「ちょっと埋まってくれ」って言って埋まってもらったんですね。

これをブログに書いて「社長がこんなことになって大変なんで、Webデザイナーを募集します」ってことを言ったら、ものすごい数の反響と応募がありまして、30~40人位応募が来まして、めでたくその中から一人戦力になるような人を雇うことができたんですけども。まあそんなことをやったりですね。

結婚も会社のブログで公式発表

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これ、死んでないですよ。実際はまだ生きてるんですけど、これうちの社員です。某映画のパロディなんですけども、僕どうしても頭の中にフッとこういう画が撮りたいなって思った時があって、銭湯を借り切ってちょっと社員に血糊を付けて、こういう画を撮って、ブログに発表したり。あ、意味はないです。本当に意味のない(笑)。ただこういうのをやりたかったっていう。

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あとこれ、社長がこの前、沖縄で結婚式をあげたんですけども、それを見に行ってですね、こういう社員のプライベートとかそういったのもブログで公式に公表してるんですね。「今日、社長が結婚式をあげました」なんて。そういったところをこのメガネの彼と一緒にレポートしに行って、そのメガネの彼にちょっとだけフォーカスを当てた結婚レポート記事っていうのを書いたりですね。

(会場笑)

だいぶ花嫁がピンぼけしちゃっててアレなんですけども、親族ですらピンぼけしてますからね。こういうのをやったり。

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これは何やってるかっていうとですね、夏休みのお知らせを書かなきゃいけないと。企業ってゴールデンウィークのお知らせとか、夏休みをこれぐらい取りますよみたいなことを公式で発表すると思うんですけど、見ててつまんないじゃないですか。

何日から何日まで休みます、それはわかったと。じゃあ僕らはどうしようか、それを伝えるためにとりあえず庭にプールを置いて水浴びをしようっていうことで、こんなことをやって発表したり。

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これも某映画のパロディなんですけども、これは自社のサービスの宣伝用のサイトを作るために撮った一コマです。一コマっていうアレじゃないんですけど。これ全員社員ですね。もうモデルみたいになってるんですけど、こんな社員がいたりですね。

ブログでお嫁さんを募集、14人からの応募が来た

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あとこれもですね、某大物アーティストの作品のパロディなんですけど。

(会場笑)

「HAPPY NEW YEAR」って書いてあるんでわかると思うんですけど、これ年賀状です。今年の年賀状に使ったんですけども、これも全員社員で、うちのオフィスで撮影をして、こんなようなテーマで撮ってこれを送ると。年賀状なんで反応は一切わからないんですけど、これを受け取った企業さんがどう思われたかはよくわからないです。ただやってて楽しかったっていうだけですね。

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他にもですね、これは去年の4月1日のエイプリルフールに僕の友人であり社員でもあるこの彼が、お嫁さんをうちのブログで募集したんですね。この彼30年間彼女いなくて、もう本当にどうしていいのかわからないって言うので、エイプリルフールだったらなんとなくそういうちょっと嘘と本音を混ぜてもいいんじゃないか、みたいなことで募集をしたらなんと14人の方から花嫁になってもいいというような応募が来まして。

(会場笑)

その14人の中から、メールベースだったんですけど、その中で1人だけパワポでちゃんと提案資料を作ってくれて、「私はあなたと結婚しても良いどころか運命の人だと思ってます。即日結婚しても構わないと思ってます」っていう提案資料をいただいて、もうこの人に決めなさいと言って。

そして、初めて会ったその日にそのまま婚姻届に判を押して入籍するっていう、出会って3時間で結婚するっていう。で、それを「秒速結婚しました」っていうような形で発表したらFacebookで「いいね!」が2.6万とか、個人の結婚に対して2万6,000人がいいね!を押すっていうようなことがあってですね、こういう社員のプライベートも全部出していくっていうようなことをやってたり。

フジテレビでドラマ化までされた、LIGの新入社員

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あとこれ、就活生でこの彼「世界一即戦力な男」というキャッチフレーズですね。これ6年間引きこもっていた彼が、大学を卒業するにあたって就職活動しなければいけないんだけれども、普通に横一線で就職活動しても僕なんかの経歴じゃ絶対に採用されないと。

じゃあ、どうしたらいいかっていうのがもうよくわかくなっちゃって、そこでWebサイトを作って僕は世界一即戦力な男だから企業が雇いたいと言うのであれば、僕は受けてあげてもいいっていうすごい上から目線の就活サイトを作ったところ、インターネットですごい話題になりました。

これを僕が見て「是非うちに来ないか」と言って誘って、この前の4月1日ですね、4月からうちに正社員として入社したんですけれども、その引きこもりの彼が自分でサイトを作って入社するっていう……サクセスストーリーと言っては、まぁ普通に就職しただけなんですけど、それが面白かったっていうことでですね、なんとフジテレビでドラマ化されまして。

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フジテレビのWebサイトがあるんですけど、これをそのサイトで見れますし、この前、地上波でもオンエアされました。僕がやったことってそういうちょっと変わった社員を採用しただけなんですけど、フジテレビが興味を持ってドラマ化までしてくれて、ちなみにこの向かって右側の女性が吉原ゴウという名前で僕の役柄なんですけど、なぜか女性になっちゃってます(笑)。

うちの社員、さっきの写真を見てもわかる通り男性ばっかり、女性もいっぱいいるんですけど男性の比率が高く見えちゃうので女性にしましたって言われました。こんなようなことが起きていろんな面白いことが起きてます。じゃあ、なんでこういうことをやってるのかっていうと、僕は人を笑わせるのが好きなんですね。

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一番大切なのは自分の「好き」という気持ち

自分が楽しかったり、まず自分自身が笑いたい、楽しませたいっていうのが好きで、この好きなことをベースに常に情報を発信し続けています。メインはブログですけれども、FacebookとかTwitterとかいろんなツールを使って常に情報を出してます。この情報を出し続けるとどうなるかというと、知ってもらえるんですね。

それを3年も4年も続けてるとだんだん僕らのやってることを知ってくれる人が増えてくる。そこから共感が生まれて、ファンになってもらえるんですね。僕この流れで一番大切なのってこの「○○○が好き」っていう、この何が好きなのか、これ僕は何でもいいと思うんですね。僕はたまたま人を笑わせるのが好きなんです。

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でも、今日僕の前に登壇した人たちもみんな何かに熱中してるじゃないですか。そういうことだと思うんですよね。何が好きでもたぶん大丈夫なんです。好きなことをベースにそれを常に情報を発信し続ける。そのための手段って今この現代はすごく恵まれてると思います。

いくらでも情報は発信できる。発信し続けてると知ってもらえるんですね。どんなに良い活動をしてても知ってもらえなかったら共感は生まれません。なので僕らはこの一番最初の好きなことをベースに情報を発信し続けていって、結果ファンを作っていく、こんなようなことをやってます。

好きなことを発信し続けることでファンができる

先ほどの流れ、こうですね。まずは会社を知ってもらう。そして、ファンになって、そこからサービスを購入してもらう。この流れを作っています。

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例えの話なんですけど、ワインが大量に在庫としてありますと。みなさんはこれを売らなきゃいけません。もう大量に余っちゃってます。これをどうにかして売ってください。どうしますか? たぶんいろんなやり方があると思います。値段を下げる、安く売る。いろんな人に宣伝する。友だちに買ってもらう。インターネットで売る。

いろんなやり方はあると思うんですけど、僕らはこういう時、何をしたかっていうとみんなで楽しく飲んじゃうんですね。ワインが好きなんで、もう僕ら好きだから売るっていうよりも俺ら飲んだほうが楽しいんじゃねって言ってガバガバ飲むんですね。

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その飲んでるところを常に周りに言うんです。「これ美味しいよ! 楽しいよ!」って。それをネット配信もしちゃう、みたいなことをやってます。そうするとだんだん人が集まってきて「何それそんなに美味しいの? そんなに美味しいなら俺らにもちょっと売ってくれない?」そんなような流れが生まれるんですね。

これって営業もしてなければ値段も下げてないし、ただただ自分たちは楽しんで好きなことをやってるだけなんですけど、楽しむと人は集まってくる。そこから商売にちょっとずつ繋げていくと。そんなようなことをやってて、今、僕は非常に楽しく会社経営をやってるんです。

今日お伝えしたかったのは、好きなことをベースにしてみなさんも何か情報発信をしていただけると、徐々にそういうのに共感してくれて、周りにファンができてきて、自分の活動とかやってることっていうのが周りを巻き込みだすのかなと思っています。是非ご活用いただければなと思います。今日は聞いてくれてありがとうございました。