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植村記者は義母の詐欺の共犯だったのか



太平洋戦争犠牲者遺族会の会長だった梁順任は、2011年12月に詐欺の容疑で韓国の警察に逮捕された。彼女は朝日新聞の植村隆記者の妻の母親である。容疑は、日本統治時代の戦時動員被害者に「日本政府から補償金を受け取ってやる」といって会費15億ウォン(約1億2000万円)をだまし取ったというもので、遺族会の幹部39人も摘発された。

これは朝日新聞の「『元慰安婦 初の証言』記事に事実のねじ曲げない」という記事と関係がある。ここでは植村記者が韓国メディアより早く金学順の記事を書いた経緯について「当時のソウル支局長からの連絡で韓国に向かった」と書いているが、ソウル支局長がこんなスクープを自分で書かないで、大阪社会部に知らせることはありえない。

彼が情報を入手したのは、挺対協を支援していた義母からの情報提供による疑いが強い。このときの金学順の録音テープには「14歳からキーセン学校に3年間通った」という話があったが、植村記者の第一報(8月11日)では、「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」となっている。

これについて朝日の検証記事は「証言テープ中で金さんがキーセン学校について語るのを聞いていない」という植村記者の話をそのまま紹介しているが、彼は12月の提訴の後も「強制連行」と書いた。強制連行は挺対協の訴状には出てこないのに、なぜそんな嘘を書く必要があったのか。

それは慰安婦より大きなマーケットである戦時動員被害者として、金学順を利用する必要があったからだ。当初、福島みずほ氏がNHKに売り込んできたときは元キーセンだった金学順を、植村記者が(義母の資金源である)強制連行に仕立てることで、遺族会と挺対協が共闘できたのだ。

なぜこれが重要かというと、植村記者が義母の詐欺を支援するために強制連行という嘘をついたとすると、彼は義母の詐欺の共犯になるからだ。つまり詐欺のために捏造した強制連行という作り話が、その後20年以上も日韓関係を狂わせたことになる。

大阪社会部のデスクが当時、こういう彼の意図を知っていたとは思えないが、結果的には朝日の紙面を使って詐欺の片棒をかついだことになる。少なくとも朝日の記事によって、梁順任が3万人もの被害者(ほとんどは元慰安婦ではない)から金を集めやすくなったことは間違いない。

これは犯罪にかかわる疑いがある。植村記者は記者会見を開いて「強制連行」という嘘をついた理由を説明すべきだ。

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