Nimble Storage、ストレージ情報のリアルタイム収集による障害予測とフラッシュ最適化システムを特長とする新興ストレージベンダ

2014年9月8日

フラッシュメモリという新しい記憶媒体の登場によって、ストレージ市場には多くの新興ベンダが登場しました。米Nimble Storageもその1つです。フラッシュメモリとハードディスクドライブを組み合わせ、高性能と大容量を両立させたハイブリッドストレージを提供しています。

同社の大きな特長の1つが、クラウドサービスによってストレージの状態をほぼリアルタイムに監視し、障害予測などによってストレージの運用管理を容易にしている点です。サポートが発生するケースの90%は同社から顧客へ連絡することで発生しているとのこと。

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また、多くの新興ストレージベンダがそうであるように、同社も独自の技術「CASL」によってによりフラッシュメモリに最適化したストレージを実現しており、低レイテンシや高スループットといった高性能と同時に、インライン圧縮、スナップショット、レプリケーションなどの機能も実現しています。

同社の日本での展開は昨年に東京オフィスを開設、東芝が総代理店となっています。来日した同社CEO Suresh Vasudevan氏に同社の現状と製品展開について聞きました。

フラッシュメモリとクラウドがストレージを変えていく

──── Nimble Storageの会社と特長について教えてください。

Nimble Storageは2008年に立ち上げ、多くのメンバーがストレージ業界の経験者です。例えば私はNetAppに10年近く在籍し、最後のポジションはプロダクトマネジメントの執行役でした。

創業当時、私には2つの要素が業界を大きく変えるだろうという確信がありました。1つはフラッシュメモリです。破壊的な技術だと思いました。もう1つはクラウドです。クラウドと接続された世界では、クラウドからストレージをモニタすることで、サポートを顧客から待つのではなく、能動的かつ事前にサポートを提供できるのではないかと思いました。

製品としては、フラッシュに最適化した技術が弊社の「CASL」です。フラッシュメモリの高性能とディスクドライブの大容量を効率的に実現します。もう1つがクラウドベースの管理ソフトウェア「InfoSight」で、お客様のストレージシステムをモニタリングするシステムです。

──── どのような顧客層に利用されているのでしょう?

おもな顧客層は3つ。1つは最初の製品をリリースした4年前からのミッドサイズエンタープライズ、この2年で増えているのがフォーチュン100などに入るようなグローバルエンタープライズです。そして、いまいちばん成長しているのがクラウドサービス事業者です。業種で見ても非常に幅広く分布しています。

昨年末に弊社が上場するにあたり重要だったのは、北米だけでなくグローバルに展開するための資本が必要だったからです。現在のところ北米以外の売り上げは17%から18%ですが、成長率は北米の2倍ほどになっています。

日本では東京オフィスに5人の従業員がおり、来年の早い段階で大阪にも展開したいと思っています。

ストレージベンダなのにハードウェアエンジニアはたったの2人

──── ストレージをモニタリングして障害予測などを行う技術はとてもユニークに見えます。しかしすでに他社でも似た技術はなかったのでしょうか?

1990年代からNetAppやEMCなどで、すでにストレージのコンフィグレーション情報などを基に故障の予測などを行っていました。しかしNimble Storageで行っているのはより洗練された方法です。ストレージアレイの数千のパラメータを対象に、しかも数秒ごとというほぼリアルタイムに把握できます。

そのためとても高度な分析ができます。例えば大きなネットワークでスイッチのミスがあってストレージアレイに影響が出れば、それを検知できます。あるいは、遠隔地にレプリケーションをしていて帯域幅が不足して遅延している場合には警告することもできます。

私たちのサポートでは90%のケースでお客様からではなく私たちから連絡をしています。能動的に対応しているのです。1年以上前から、お客様自身でもストレージの状況をモニタできる機能をSaaSとして提供しています。そのために私たちは膨大なデータ処理をクラウドで行っています。

──── ストレージベンダというよりもソフトウェアベンダの側面が非常に強いですね。

Nimble Storageには220人のエンジニアがいますが、実はハードウェアエンジニアはたったの2人です。Supermicroからコモディティハードウェアを調達して採用しており、私たちはソフトウェアによって付加価値を提供しているわけです。

現在はこの形が最適だと考えていますが、いつかはハードウェアを特定せずアプローチを変えていく可能性もあり得ます。

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タグ : ストレージ , フラッシュストレージ

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