練習を終え、スタッフと談笑するアギーレ監督(右)=横浜市内
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日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)がいきなりぶちギレた。日本代表は7日、国際親善試合のベネズエラ戦(9日・日産ス)に向け、横浜市内で約1時間半のトレーニング。紅白戦形式の練習中、指揮官はDF酒井高の位置取りに注文を付けると、その“怒り”はDF長友に飛び火。かぶっていた帽子をピッチにたたきつけるなどパフォーマンス含みの「アギーレ劇場」で、チームを強烈に咤咤(しった)した。
メキシコ人指揮官が怒った。紅白戦形式のトレーニングで行われた右CK。MF本田がタッチライン際のMF柴崎に短くパスを出すと、近くにいた酒井高が下がった。柴崎がパスの出し手を失い、そこで甲高い笛が鳴った。指揮官はプレーを止め、酒井高に向けたスペイン語の口調を強めた。ウルグアイ戦の前日練習で確認したパターンとは異なる動きが気に入らなかったのだ。
その直後。アギーレ監督は今度はDF長友に怒りの言葉を飛ばし、かぶっていた白色の帽子をピッチにたたきつけた。長友が両腕を広げながら“抗議”すると、指揮官はニヤリと笑った。アギーレ流の闘魂注入、パフォーマンスだった。
「怒るというより士気を上げる感じ」とFW大迫が言えば、長友は「監督のコミュニケーションの1つ。怒っているようで、実はあまり怒っていない。選手たちを信頼していて愛情があり、それが僕たちを成長させてくれる」と、独特の指導法を歓迎した。
ウオーミングアップ中は静かに見守っていたアギーレ監督も、実戦形式の戦術トレーニングになると、徐々にヒートアップ。何度も声を張り上げ、「バババババッ!!(行け、行け)」「ベベベベベッ(見ろ、見ろ)!」とプレーのテンポを上げさせた。MF田中は「『プレーを早く』というのを分かりやすく伝えてくれている」と意図を代弁した。
初陣のウルグアイ戦は完敗を喫した。それでも、チームの士気は下がるどころか、巧みな「演出」によって高まっている。「良い練習ができている。監督の思いに応えて、結果にこだわって勝ちにいく」と長友。激情家と言われる「アギーレ劇場」の成果は、ベネズエラ戦で試される。 (松岡祐司)
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