【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は7日放映の米NBCテレビ番組でイスラム過激派「イスラム国」掃討のための有志連合にサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの参加を要請する考えを示した。9日に米議会指導部と協議した後、10日に国民向けにイスラム国の壊滅に向けた包括的な戦略について演説をする方針も明らかにした。
オバマ氏はイスラム国との戦いに関して「支配地域を縮小させ、最終的に打倒するつもりだ。サウジアラビアをはじめUAEなどスンニ派の国に立ち上がってもらう必要がある」と述べ、中東の周辺諸国に有志連合に加わるよう求めた。米側は有志連合に関して北大西洋条約機構(NATO)加盟国を軸に中東に広げる構想を持ち、今月下旬の発足をめざす。
オバマ氏は国民向けの演説で「戦略がどのようなものになるかを説明する。国民にイスラム国の脅威の質を理解してもらい、われわれの対応力を信頼してもらう」と表明した。「空爆はあくまで国際的な有志連合の一員としてイラク軍やクルド人勢力を支援するためのものだ」と指摘し、米軍の地上部隊は派遣しない意向を重ねて強調した。
イラクに続き、シリア領のイスラム国に空爆を拡大するかどうかには言及しなかった。米軍は空爆を始めた先月8日以降、143回になったと発表した。
イスラム国による2人目の米国人ジャーナリストが殺害されたにもかかわらず、オバマ氏は先月下旬にイスラム国への「戦略はまだない」と述べ、野党・共和党や米メディアから一斉に非難された。オバマ氏が10日に国民向けに演説するのは、こうした事情がある。
オバマ、イスラム国、有志連合、UAE、NBC