ダイバーシティー(人材の多様性)をいかに高めるか――。特に女性の活用は今や企業の重要課題となっている。軸受け(ベアリング)大手のNTNは女性社員の平均勤続年数が約18年と男性(約17年)を上回るほどの「定着する職場」を実現した。肝と位置づけるのは、支援制度の拡充、そして「任せる」ことだ。重要プロジェクトに積極起用し、口を出さずに任せきる。意気に感じる女性の働きが、企業の活性化を生む。
■「男性だけでは固定観念を打ち破れない」
音もなく走り出し、その場でくるっと一回転。次は真横に移動する――。NTNが開発したコンセプトカー「Q’mo(キューモ)II」は、モーターと減速機をタイヤホイールの内側に組み込んだインホイール型の2人乗り電気自動車(EV)だ。2011年の東京モーターショーで初代モデルを初披露すると、自動車らしからぬ動きが大きな話題となり、部品メーカーの出展ブースとしては異例の盛況ぶりだった。
「女性が苦手な縦列駐車も簡単ですよ」。会場で説明員を務めたEVモジュール事業本部の妙木愛子は、開発主要メンバーの1人。当時を振り返り「NTNのよいアピールになったかな」と笑う。実はこの戦略EV、開発の中心にいたのは女性社員だ。
起点は会長である鈴木泰信の「女性ならではの視点で、魅力あるEVを作れ」との指示だった。鈴木の口癖は「男性だけで仕事をしていたのでは固定観念を打ち破れない」。変化が激しい時代ではダイバーシティーが十分でないと、柔軟な発想、よりよいものは生まれないとの信念を持つ。NTNが実際にEVを売り出すわけではないが、部品メーカーが次世代エコカーに食い込み、新たなビジネスモデルを確立するのは最重要課題だ。常識にとらわれずに新製品を開発するには、女性社員の奮起が不可欠と考えていた。
EV開発に参加した別の女性社員は「色々な部署の人と仕事をすることで、自分の専門分野以外に視野を広げることができた」と話す。設計部門の女性も「量産を考えて設計することの大切さを再認識し、勉強になった」と語る。
サービス業などに比べて女性登用が遅れている製造業の現状に強い危機感を持ち、NTNは早くから女性が働きやすい仕組みづくりに力を注いできた。
ポイントは信じて任せること。「前例がない」といった言い訳や「ああすればいいのに」と周りが口を出すことを徹底的に排除し、トライすることを重視してきた。最近でも象徴的な出来事として話題になったのが、英航空機関連メーカーとの設計の交渉役だ。男性がほとんどの航空機業界向け取引でNTNは女性技術者を抜てきし、活躍の場を広げている。
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